freee株式会社

カスタマージャーニーをトータルに把握し、 全社で顧客に対応できるシステムを Salesforceプラットフォームに構築”

 

- 第1章 Service編

Salesforceを中心に、一気通貫な顧客体験を提供

SalesforceはCRMとして完成していて、
しかも進化している

freeeは、法人および個人事業主向けにクラウドサービスを提供する企業だ。「会計freee」、「人事労務freee」を二本柱に、中規模以下の組織や個人のバックオフィス業務をサポートする。国内におけるクラウド会計・人事労務ソフトの法人シェアは首位だ。近年はサードパーティーアプリとのAPI連携を積極化し、周辺ソフトを組み合わせたトータルなソリューションを提案できる体制を整えている。
2013 年にリリースした会計freeeは、完全にクラウドで提供される会計ソフトとして注目を集めた。小規模事業者からのニーズも大きく、2014 年9 月には法人営業を強化するためにSales Cloudを導入。本格的な法人営業をスタートさせた。
サポート&サービス本部 Support & Service Planningシニアマネージャー 畠山 忠士氏は、「会計freeeのユーザーデータベースを顧客データベースに見立てて施策を組み立てるという状況からスタートしましたが、電話番号が登録されていないなど、データの欠落も多く、営業活動にそのまま使うには厳しい状況でした。Salesforceは以前に使った経験があり、CRMとして完成していて、しかも進化していることを実感していましたから、ほかの選択肢は考えませんでした」と話す。
Salesforceを採用し、定着化にこぎ着けたことで営業プロセスは整えられたが、サポートでは別のソフトウェアを利用していた。同社はサブスクリプション企業であり、顧客がサービスを満足して使用してくれることが契約継続につながる。そのために2015 年、カスタマーサクセス活動を開始。ユーザー体験の向上をもたらすさまざまな施策を展開した。
その際に、一気通貫でカスタマージャーニーを把握できないという問題に直面した。Sales Cloudとサポートで利用しているソフトは接続したものの、完全なデータ連動は困難な仕様になっている。設計段階で接続方法を固めるという選択肢もあるが、それでは現場のニーズの変化に柔軟に対応することができない。
サポート&サービス本部 サービスオペレーション シニアマネージャー 井上 健氏は、「無理をすればできなくはないのですよ。しかし、システムを魔改造すれば劣化版になるでしょう( 笑)。Salesforceは、Sales CloudとService Cloudを一気通貫で使うという設計思想になっていますから、2つのソフトを並立させる意義はありませんでした」と話す。

一気通貫でカスタマージャーニーを把握するために、
Salesforceの適用範囲を拡大

Service Cloudの採用を念頭に置きながら、カスタマーサクセス担当者やサポート担当者など、主要なメンバーを集めてミーティングを重ねた。それまでのやり方をそのまま続けたいという人も中には居たが、一旦それを頭から取り払って「SaaS企業としての先進的な顧客サポートの形とはどういうものか」について考えてもらった。最初に全員が集まってディスカッションをした結果、皆が同じ方向を向くことができた。
共通して持っていた課題は、「顧客中心に経済が回る中で、縦割り組織のサポートは通用しなくなる」という危機感だった。それを払拭し、「顧客一人ひとりを理解して能動的にサポートを提供することで、一気通貫な顧客体験を提供できる体制を作らなければならない」とだれもが考えていたのだ。単に、顧客の「現在の悩み」を解決するのではなく、過去と未来をとらえながら、顧客のストーリーごとに最適な成長を促すようなサポートを提供していくことが理想だ。
GYOMUハック エンジニア 廣野氏は、「最初のディスカッションは、本当にやってよかったと実感しました。ここで大きな方針を決めることができましたから。全員が同じ方向を向いて動けるようになったことで、私たちエンジニアもその理想像を実現するシステムを作り上げることに集中できました」と話す。
営業段階からカスタマージャーニーを一連の流れとして把握し、顧客を深く理解した上で最適なリソースを提供する。すべてをSalesforceで一本化すれば、顧客対応の履歴は顧客にひも付くログとして時系列に追える。これが、コミュニケーションの連続性を担保してくれる。
現場が理想像を共有したことで、Service Cloudはシステム移行ではなく、新しいシステムとして創り上げることになった。まずは、アドバイザー向けサポートから稼働。同社では、ユーザーの契約する税理士などの専門家をユーザーと同等にサポートする必要があり、これは専門家サポートのための仕組みになる。そして、2020 年春をめどに、法人および個人事業主向けのサポート業務でも新システムがリリースされる。
開発には、社内リソースを活用した。廣野氏をはじめとする複数のエンジニアが、大枠を固めた上で、現場のニーズを迅速にシステムに反映していく。現場からのニーズは数多く、日々改善活動を行うために、社内エンジニアの存在は大きい。設定の追加や簡易なユーザーインタフェース変更などは、その日のうちに対応してくれることもある。
IT Produce本部 本部長 CISO兼CIO 土佐 鉄平氏は、「新しいサポートを提供できるのはこれからですが、基盤を整えることはできました。大きな役割を持つツールを複数使用することは、運用コストや連携コスト面からも負担だと考えていました。幅広い範囲をワンストップで提供してくれるSalesforceの懐の深さは魅力です。」と話してくれた。
 

- 第 2 章 人事編

Salesforceをプラットフォームとして、
社員のライフサイクルをすべてデータ管理

キャリブレーションを重視する評価制度

freeeは、クラウドソフトウェアを提供するSaaS企業。「会計freee」と「人事労務freee」を二本柱に、中規模以下の組織や個人のバックオフィス業務をサポートしている。その同社の人事評価制度はユニークなものだ。社員を数字で評価するのではなく、成長のためのフィードバックを文章で一人ひとり丁寧に実施する。次のステップに向けて成長するために必要なことを明確化し、定期的に1on1で支援する機会を設けているのだ。
経営管理本部 カルチャー推進 西村 尚久氏は、「私たちは、”キャリブレーション”を大事にしています」と話す。「直属のマネージャーだけでなく、別の部署を含めた複数のマネジャーが話し合って調整し、社員一人ひとりにより適したフィードバックを実施するのです」。
同社には、社員の成長を可視化した共通のジャーニーマップがある。そのマップ上に現在の位置づけと次のステップをプロットすることで、的確なフィードバックを行うことができる。キャリブレーションにより、それをさらに精緻にするのだが、そのためにはさまざまなプロセスや資料が必要になる。
2014 年から続くユニークな評価制度だが、システム面は限界だった。使っていたツール群だけではプロセスを回すことができず、大量のスプレッドシートでその穴を埋めていた。キャリブレーションのたびにデータを更新する必要があり、データの整理と集計、可視化だけで現場にかなりの負荷がかかっていたという。
実際に、複数の部門から新たなツールが必要だという声が上がり始めていた。人事評価にかかわるマネージャーは、より一覧性があってわかりやすいデータが必要だ。また、他部署のマネージャーとのすりあわせのためにそれをオンラインでやり取りできれば理想的だ。採用チームは使用しているツールに不満があり、人事はキャリブレーションに向けたデータ整理に忙殺されていた。財務部門からも、各部署のヘッドカウントを正確に把握するために”まともなツール”が欲しいというニーズが上がってきた。

要件を充たすパッケージは存在しない

そこで、市場にあるさまざまなツールを検討することになった。複数のツールは、デモを見せてもらう段階まで精査した。それでも満足のいくものはなかった。大きな要素のひとつに、人事労務freeeがある。給与計算、勤怠管理、労務管理という人事管理パッケージのコア機能は、自社製の優れたツールを使えるめ、同社にとっては不要なのだ。
その上、独自の人事評価制度の要件を充たせそうなツールは少数で、パッケージを導入するとしても大幅なカスタマイズは不可避だった。高額なソリューションの中には、使い方次第で運用に乗せられそうなものもあったという。しかし、コストが見合わなかった。
そのころ、社内ではSalesforceの導入プロジェクトが一段落していた。社内のSalesforce開発メンバーは、「GYOMUハックチーム」として、Salesforceを利用した業務改革を手掛けており、彼らからSalesforceを使えば要件を充たすシステムを開発できるのではないかという提案があった。
GYOMUハックチームのアイデアは、Salesforceのアプリケーションを採用するのではなく、SalesforcePlatformを利用して業務部分を開発するというものだ。GYOMUハックチームマネージャー 田村氏は、「私たちGYOMUハックチームのメンバーも、キャリブレーション会議に参加する人であり、自己レビューを入力する人でもあります。要件定義が現場側と開発側でほぼ共有されている状態で、ニーズをわかった上でスタートできるため、作ること自体はそれほど難しくないと考えました」と話す。IT Produce本部 本部長 CISO兼CIO 土佐 鉄平氏も、「すでにSalesforceを利用している社員の追加ライセンスが不要であることも魅力でした」と後を押した。
2019年7月に採用が決定。年に1度の社内イベントで、「人事管理に使っていたツールをやめて新しい仕組みを作る」と土佐が発表した。「そのとき、会場が沸いたのですよ。もっとも社内が盛り上がった発表だったかもしれません(笑)」(西村氏)。

わずか1か月半で主要な機能をリリース

田村氏をはじめとするGYOMUハックチームは、9 月の自己レビュー入力までにシステムを稼働させるべく、開発に取り組んだ。「画面が動くところまで作ってから現場と意識を合わせ、修正するアジャイル型で開発しました。グループ機能を使うことで、他部門のマネジャーと柔軟かつセキュアに評価を共有するなど、Salesforce内でコミュニケーションしながら”どうやって成長を促すか”という議論を進められる設計になりました」(田村氏)。
9 月上旬に全社員が自己レビューを入力。中旬から10月にかけてマネージャーによるキャリブレ―ション会議が開かれ、同中旬から下旬にかけて各社員との面談が実施される。開発を始めてからわずか1か月半というタイトなスケジュールだったが、GYOMUハックチームはやり遂げた。
西村氏は、「画面はスプレッドシートライクなため、いちいち説明がなくても一目で使い方がわかります。分析軸の多い評価系の項目も、ダウンロードしてスプレッドシート上で加工・分析する必要はなく、すべてが画面内で完結します。集計はレポート機能で作り、権限を設定してURLを渡すだけで、キャリブレーション会議に参加する全員が同じ内容を共有できます。出来上がったときは、感動しました」と話す。
現在は、人事労務freeeとの接続部分、および採用管理部分をSalesforceに移行中で、2020 年内にはすべての移行を完了させられる見込みだ。その次のステップとして、入社時や異動時のSaaSプロダクトライセンスの発行/抹消の自動化も視野に入っている。
土佐氏は、「セキュリティ要件を充たしながら、大量のスプレッドシートで穴を埋めていたプロセスがきれいにつながり、Salesforceで一連の流れをセキュアに管理できるようになりました。現場からも好評ですし、GYOMUハックチームのモチベーションも高まりました。プロジェクトを通して、Salesforceの開発生産性の高さを再認識させられました」と話してくれた。
※ 本事例は2020年3月時点の情報です
 
 

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