日立グループも含めた他社事例を調査した結果、先進的な企業はSales Cloudを活用しているケースが多く、当社も導入しました。長期的にはマーケティングから営業、製造、サービスに至るバリューチェーン全体を、Salesforceでカバーし、ビジネスプロセスの最適化をしていきたいと考えています”

株式会社日立ハイテクノロジーズ 吉田 直晃氏 デジタル推進本部 ビジネスIT部 部長代理
 

2001年に日製産業株式会社と株式会社日立製作所の計測器グループ、半導体製造装置グループとの事業の統合により発足し、日立グループの中核企業の1社として重要な役割を担っている株式会社日立ハイテクノロジーズ。「ハイテク・ソリューション事業におけるグローバルトップをめざします」という企業ビジョンを掲げ、科学・医用システム、電子デバイスシステム、産業システム、先端産業部材という4つの事業分野において、グローバルに事業を展開している。これらの中でも特に大きな売上比率を占めているのが、先端産業部材と科学・医用システム。特に後者は、SEM(走査電子顕微鏡)や生化学・免疫自動分析装置といった取り扱い製品が世界トップシェアになっており、市場でも大きな存在感を放っている。

「科学・医用システムの販売で大きな課題となるのが、お客様のシステム更新時期に合わせたタイムリーなアプローチの実現とグローバル化の加速です」と語るのは、日立ハイテクノロジーズ 科学・医用システム事業統括本部 事業戦略本部 事業管理部 コミュニケーション戦略グループ 主任の伊藤 裕基氏。顧客による情報収集が更新時期のタイミングで集中的に行われる傾向があるため、ここを逃してしまうと他社に顧客を奪われる危険性が高くなるという。「しかし電子顕微鏡や検査機器は更新までの期間が長く、そのタイミングを確実につかむことは簡単ではありません。そのため常にお客様とのつながりを維持し続けることが重要になります」。

この目的のため2007年に開設されたのが、「S.I.navi(エスアイナビ)」という会員制サイトである。同社が提供する製品のユーザーや潜在的な顧客層に対し、製品の応用事例やマニュアル類、使い方のノウハウなどを発信。現在掲載されている応用事例の数は5,000件以上に上っており、研究者や医療関係者にとって重要な情報源になっている。

しかしコンテンツの充実に伴い、新たな課題も顕在化していった。このサイトの基盤となっていたCMSの検索機能が十分ではなく、会員が求める情報を見つけ出すことが次第に難しくなっていったのだ。また当初は日本国内だけを対象にしていたが、ビジネスのグローバル化が進むことで海外の会員も増大。国や地域によっては販売していない製品もあるため、会員の属性に合わせて発信する情報もコントロールする必要が出てきたが、このようなきめ細かい対応も困難だったという。

 

これらの問題を解決するために採用されたのが、Salesforce Community Cloudである。ここに至るまでの経緯の発端は、2014年4月まで遡る。この頃に全社プロジェクトとして「SCM改革」が立ち上がり、営業部門と製造部門をよりシームレスにつなぐことでキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を短縮しようという取り組みがスタート。その基盤としてSalesforce Sales Cloudが採用されたのである。

「日立グループも含めた他社事例を調査した結果、先進的な企業はSales Cloudを活用しているケースが多く、当社もこれを導入しようということになりました」と振り返るのは、日立ハイテクノロジーズ デジタル推進本部 ビジネスIT部 部長代理の吉田 直晃氏。2014年下期に導入検討が本格化し、翌年5月から実証実験が始まったという。その結果「十分な効果が得られる」と評価され、2016年4月に正式導入。その成果を受け、S.I.naviにおけるCommunity Cloud の導入検討が始まったのである。

Community Cloudの採用理由は、大きく2点あると伊藤氏は説明する。

第1は検索性が高く、会員が目的の情報にリーチしやすいこと。これによって利便性が高まり、会員にとっての価値も高まると考えたという。第2は、すでに導入されていたSales Cloudと連携することで、顧客情報と会員情報の紐付けが行いやすくなることだ。これによって、リード段階にある潜在顧客やS.I.navi未登録の顧客をS.I.naviへと誘導しやすくなり、既存会員に対しても商談状況に合わせた情報発信が行いやすくなる。またS.I.naviの閲覧状況をSales Cloudで共有することで、営業担当者から顧客への提案を最適化しやすくなるという効果も期待したと語る。

Community Cloudを基盤としたS.I.naviのリニューアルが完了したのは2017年8月。これに合わせてSalesforce Pardotも導入され、メールマガジン配信などで活用されている。

「S.I .navi の基盤をCommunity Cloudへと移行することで、以前は行えなかった『おすすめ記事』の提示が可能になりました」と伊藤氏。会員には登録時に「興味がある製品分野」などのアンケートに答えてもらっているが、この登録内容と地域、過去の閲覧履歴などの情報を活用し、トップページの内容をパーソナライズしているという。

新規会員の誘導も行いやすくなった。日立ハイテクノロジーズは展示会を頻繁に開催しており、その会場でS.I.naviに興味を示す人も少なくない。しかし以前はその人の名刺情報が、営業担当者のところで止まってしまうことが多かった。現在ではSales Cloudに名刺情報が入力されており、それがそのままCommunity Cloudと共有され、これをもとに勧誘メールを送ることが可能になっている。

Pardotの導入によってメール配信も効率化されている。以前はメール配信先のリストをExcelシートで作成しており、オプトアウト(メール配信停止)の管理も人が確認する必要があった。しかし現在ではすべてPardotで自動的に管理されている。以前は1回あたり5~6人時間かかっていた配信先管理を、わずか数クリックで完了できるようになったのだ。 管理が効率化された結果、コンテンツ制作により多くの時間を費やせるようになり、配信するメールの種類も増やせるようになった。以前は「分析装置」「電子顕微鏡」「医療機器」の3分野のメールマガジンを月に1回のペースで配信していたが、現在ではこれらに加えて「ダイジェスト」も配信している。またA/Bテストも行いやすくなったため、現在では毎回このテストを実施。その結果、以前は10%前後だった開封率が、現在では14~15%にまで向上しているという。

さらに、以前はS.I.navi内でしか行えなかった閲覧追跡が、外部サイトにまで拡大できるようになったことも大きなメリットだと伊藤氏は指摘する。「メールマガジンに掲載するリンクも、以前はS.I.navi内に限定しており、S.I.naviになかったコンテンツをお知らせしたい場合にはS.I.naviにコンテンツを追加するという作業もおこなっていました。しかしいまではS.I.navi内か否かにこだわることなく、会員様に役立つ情報を紹介できるようになっています」。

Sales Cloudとの連携によって、営業担当者への直接的な支援も可能になった。顧客訪問を行う際に、S.I.naviの登録情報やアクセス状況を事前に把握した上で、商談を進められるようになったのである。「電子顕微鏡や検査機器のお客様は製品選定を慎重に行うため、商談も長くなりやすいのですが、S.I.naviの会員になっている場合には効率的な情報提供を実施できることから購入までの期間が短く、金額も大きくなる傾向があります」(伊藤氏)。

Pardotを活用したリードナーチャリングの取り組みも始まっている。Pardotで3段階のステップメールを送信し、3段階目のメールにまで到達したリードに対し電話でアポイントメントを取り、営業担当者に引き渡しているのだ。これによって新規顧客開拓の効率も向上しつつある。また具体的な引合として動いていない方からも、潜在的なニーズを見つけてアプローチをし、営業へパスができるようになった。更新までの期間が長い製品を販売しているからこそ、中長期的にお客様の細かい興味に合わせた情報を案内していく必要性は高まっている。

営業が日々活用しているSales Cloudも、営業活動の効率化に大きな貢献を果たしている。日立ハイテクノロジーズ デジタル推進本部 ビジネスIT部でSales Cloudの保守・開発・運用を担当する李真一氏は「レポートやダッシュボードで情報を一元的に可視化できることは、ユーザーからも『大きな効果がある』と評価されています」と述べる。また活動内容をモバイルで入力できることや、Chatterによって商談に紐付けたコミュニケーションが行える点も、高く評価されていると指摘する。

これに加え「今後は製品を利用中のお客様の継続的なサポートを提供するサービス分野においても、Salesforceの活用範囲を拡大したいと考えています」と語るのは、2017年3月までサービスシステムの導入から運用まで携わっていた、日立ハイテクノロジーズ デジタル推進本部ビジネスIT部 主任の諏訪 勝徳氏。

「現在Salesforceを活用しているのは、科学・医用システムと産業システムの一部ですが、今後は現場の要望に合わせて適用領域を拡大していきます」と吉田氏。長期的にはマーケティングから営業、製造、サービスに至るバリューチェーン全体を、Salesforceでカバーし、ビジネスプロセスの最適化をしていきたいと考えています、と語る。「これによって情報活用がさらに円滑になり、CCC短縮などの全体最適化も推進できると期待しています」。

 
 
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