どこで働いていても全社員がつながっているという安心感とスピード感。弊社にとって Salesforce は、全社員の知恵を結集して課題を解決するためのツールになっているのです”

Mipox株式会社 代表取締役社長 渡邉 淳 氏
 

Mipox 株式会社(東京都立川市)は、1 世紀近い歴史を持つ老舗企業だ。1925 年(大正 14 年)、ドイツ製顔料・箔の輸入商社としてスタートした同社は、1970 年代に磁気記録媒体の精密研磨の分野へ進出。以後、研鑽と実績を積み重ね、2001 年には東京証券取引所(JASDAQ)へ上場、電子部品向けの研磨フィルム市場において世界トップの地位を確固たるものにした。

同社のビジネスには大きな特徴がある。それは、半導体のフィルム方式エッジ研磨市場の占有率 100% など、ニッチな領域で極めて高いシェアを保持し、業界内でブランドを確立していること。そうした基盤があったからこそ、同社は 2005 年に売上高 110 億円、営業利益 13 億円の企業へと成長を遂げることができたのだ。ところが――。

同年をピークとして、同社の業績は次第に低迷。4 年後の 2009 年には売上高が 30 億、営業利益がマイナス 13 億円にまで落ち込んだ。そんな“最悪のタイミング”で経営を引き継いだのが、現代表取締役社長の渡邉淳氏だ。不振の原因を必死に探った末、渡邉氏は、それまで同社の成長を支えてきた“武器”が、現状では逆にビジネスの阻害要因となっていることに気づいた。
「60 日以上接触していないお客様が 300 社近くあるなど、お客様とのコンタクト回数が非常に少ないのは、高いシェアを持ち、業界内でよく知られた存在であるというおごりがあるから。それが、お客様から呼ばれて初めて訪問するという受け身の営業姿勢につながっていたのです。

社員には経験豊富なベテランが揃い、かつ優れた製品や技術もある。にもかかわらず、社内に“情報共有”という文化がなく、ノウハウや知識がすべて担当者の頭の中にしかないため、営業活動の再現性が低かったり、営業以外の部門が自社のお客様のことをよく知らなかったりする。また、部門・拠点間の交流がなく、横展開しようにも、どの部門の誰と話をすればいいのかすらわからない。結局、過去の成功は単なる“偶然”に過ぎなかったわけです」(渡邉氏)

そうした“偶然”を“必然”に変える仕組みを作らなければならない。そう悟った渡邉氏は、その実現手段として Salesforce の導入を決意したのだ。

 

行動可視化により営業会議・報告書を全廃

営業の行動・意識改革で成約数が 3 年で 3 倍以上に

同社が Salesforce を利用してどのように改革を推し進めたかを見ていこう。まずは最大の課題のひとつである情報共有に関してだ。渡邉氏は全社員に向けて、「すべての情報は会社の資産であり、発信してこそ価値がある」という経営メッセージを表明し、部門を問わずすべてのデータを Sales Cloud に入力するよう指示を徹底する。その結果、たとえば営業部門における ToDo の入力数は、Salesforce 導入初年度下期 1590 件だったが、1 年半後に 8384 件、3 年後には 1 万 4218 件にまで増え、営業の行動が完全に可視化された。

それによって最初に現れた変化は、半日がかりの営業会議や、週報・月報の作成が完全に不要になったこと。代わりに始めたのが、2 週間に 1 回の立ったままのミーティングだ。
「その約 1 時間半で、全案件の進捗状況を Sales Cloud 上で確認し、上司が具体的にアドバイスしたり、各人の仕事量を調整したりします。状況が手に取るようにわかるので、進捗が思わしくなく、可能性の低い案件については、上司が思い切って“ロスト”と判断するなどの対応ができるようになり、営業活動が大幅に効率化されました」(渡邉氏)

また、長期間コンタクトを取っていない顧客がいる場合、担当者には Sales Cloud からアラートが飛ぶ。受け身だった営業姿勢は一変し、60 日間接触なしの顧客数は、最初の 2 か月間で 280 件から3件に激減した。

そうした業務改善の成果は、営業にとって重要な指標にも顕著に現れた。導入初年度下期、135 件だった商談数は 3 年後に 531 件、成約数は 43 件から 132 件まで一気に 3 倍以上に伸びたのである。

経営判断や稟議決裁が高速化
稟議決裁平均日数わずか 0.4 日!

同時に同社では、情報の開放と共有化をさらに加速させるべく、メールを段階的に廃止し、社内 SNS Chatter でのコミュニケーションへと切り替えた。

結果、情報共有の即時性と効率は飛躍的に向上する。海外を含む全拠点の社員が、業務の進捗やマーケット情報、アイデアなどをさまざまな言語でChatterに投稿するようになり、“生きた情報”がそれを必要とする社員に部門や拠点の垣根を越えて届くようになった。当然、社員・部門・拠点間のコミュニケーションは活発化。開発担当者の Chatter への何気ない投稿がきっかけとなり、わずか 1 か月で新製品のリリースに至ったこともあったほどだ。

Sales Cloud での日常的・長期的な情報共有と、Chatter によるリアルタイムなコミュニケーションは、経営判断や稟議決裁の高速化にも大いに貢献している。Sales Cloud にはすべてのデータが集約されているため、稟議決裁の際に必要となる活動履歴を過去に遡って把握するのはきわめて容易だ。しかも、関係者への“根回し”は事前に Chatter で完了しているため、決裁権者は判断に時間を要することなく、かつ出張先でもモバイルで即座に決裁できる。それによって同社は、稟議決裁の平均日数わずか 0.4 日という驚異的な数字を実現したのだ。

営業利益が 13 億円の赤字から 5 億円の黒字に回復
Salesforce が“筋肉質”な収益構造を実現

その後、Salesforce の活用範囲は各部門で拡大。一例として技術部門では、すべてのデータを Sales Cloud に入力して開発の期日や進捗状況などを管理し、営業・製造部門と連携しながら開発精度の向上や作業時間の短縮といった改善につなげている。

さらに 2015 年からは、Sales Cloud と連携できるマーケティングオートメーションツール Pardot や、データ分析ツール Wave Analytics の活用にも取り組んでいる。Web 訪問者の属性や動向を分析してリードを育成したり、月別・用途別・顧客別の売上を可視化して経営判断の材料として利用したりするなど、IT の力で生産性を最大限まで高めるのが狙いだ。

Salesforce のフル活用によって、見事な復活を遂げた同社。渡邉氏の社長就任時、30 億円と低迷してた売上高は、その後右肩上がりとなり、2016 年には 45 億円まで回復。それだけを見ればゆるやかな復調ぶりだが、驚くべきは営業利益の推移だ。導入前の 2007 年と比べると、2016 年現在、売上高は依然として半分程度の水準であるにもかかわらず、営業利益は 2007 年の 5 億円を若干上回っているのである。
「Salesforce があったからこそ、そういう“筋肉質”な収益構造を実現できた。『スマホの中に“会社”がある。Salesforce のない時代の働き方が想像できません』。これは、社内で“Salesforce世代”と呼ばれている、Salesforce 導入後に入社したある社員の言葉です。どこで働いていても全社員がつながっているという安心感とスピード感。弊社にとって Salesforce は、全社員の知恵を結集して課題を解決するためのツールになっているのです」(渡邉氏)

そんな同社の歴史の“次の 1 世紀”は、Salesforce とともに刻まれていくに違いない。

 
 
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