株式会社リコー

業務手順を標準機能に近づけることでグローバルスタンダードと最新技術を採り入れやすくし、長期的な生産性の向上につなげたいと考えました”

リコージャパン株式会社 マーケティング本部
CXセンター首都圏・関東第一コンタクト部 マルチComグループリーダー 木内 聡氏
 

問合せ情報の積極活用を目指し、
“顧客軸”のコンタクトセンターへと改革

世界水準の顧客対応を目指し
「服に体を合わせる」決断

幅広いユーザーからの支持を得て、数々の顧客満足度調査でトップクラスの評価※を更新中のリコーグループ。近年では、複合機などのハードウエアを中心としたメーカーから、ICTインフラやクラウドサービスも提供する「デジタルサービスの会社」への変革を経営戦略に掲げています。
「例えば『クラウドで保存していたファイルを複合機から印刷できない』といったトラブルの原因特定には、私たちがご提供したソリューション全体の把握が欠かせません。しかし数年前までは、コンタクトセンターで電話を受けるオペレーターが、製品・サービス別に構築された管理画面を操作していたため即答が難しく、結果としてカスタマーエンジニアの現地派遣をお待ちいただくケースも少なくありませんでした」と、橋本 賢一氏(リコージャパン株式会社 マーケティング本部 CXセンター センター長)は振り返ります。
こうした点を踏まえて同社は「“顧客軸”でのサービスの実現」、さらに「お客様の状況を理解し、付加価値を提案できるセンターへの転換」を図る改革に2018年末から着手。そのために必要な顧客情報の一元化と、横断的な一括検索の実現にあたっては、自社業務に最適化されている既存のCRMシステムへの改修ではなく、クラウドサービスで標準機能を提供するSalesforceへの全面移行を決めました。
使い慣れた仕組みを手放し、いわば「服に体を合わせる」手法を選んだ理由について、木内 聡氏(リコージャパン株式会社 マーケティング本部 CXセンター首都圏・関東第一コンタクト部 マルチComグループリーダー)は「個別最適化されていた部分が多かった業務手順を標準機能に近づけることで、コンタクトセンター運営のグローバルスタンダードと最新技術を採り入れやすくし、長期的な生産性の向上につなげたいと考えました」と説明します。
 

開発段階から現場が参画
妥協のない習熟で移行期をクリア

2019年5月から本格化したService Cloudへの移行プロセスでは、合計47業務を担うコンタクトセンターの責任者・担当者を交えた30人弱のプロジェクトチームを結成。移行時の懸念点として挙がった102項目中、専用のアドオン開発は6項目にとどめ、大半にあたる86項目は標準機能に即して運用を見直したほか、一部は作業内容を変更・廃止して解決しました。
プロジェクトチームでは、開発途上のService Cloudの操作画面をメンバーが共有しながら実装プロセスを進めました。金澤 通氏(株式会社リコー デジタル戦略部 基盤開発統括センター コーポレート基盤開発センター 第1改革推進室 顧客接点グループ)によると「毎週火曜日のミーティングで出た要望を週内に反映し、改善後の感想を次週尋ねる」という素早いサイクルが繰り返されたといいます。
これにより、実稼働と同じ条件下で検証が進んだことから、テストに要する時間が大幅に短縮。導入決定から1年半後の2020年12月末、年間約360万件の電話を受け付ける全国11拠点で、Service Cloudの実稼働を一斉にスタートさせました。
リリース直後は応対内容の記録といった「後処理」にやや手間取ったものの、後処理時間の平均はそこから1カ月を待たずに従来水準まで回復。2021年2月にはリリース前の3割減を記録するセンターが現れたほか、応答率でも同月には「100%」の達成が相次ぐなど、センターの過半数でリリース前を上回りました。
急速に進んだ応対品質の改善について、橋本氏は「慣れるまで仕方ないと妥協するのではなく、リリース前からService Cloudに習熟してきた現場の努力」が大きかったと分析します。

生産性を高めたコンタクトセンターで
提案型応対を推進

ユーザーに提供中の製品・サービスをService Cloudの画面上で一元管理できる“顧客軸”の確立により、既存業務の精度とスピードが高まったことに伴って、コンタクトセンターの価値を高める新たな役割の強化も進められています。その代表例が、修理依頼を受け付けて手配するといった“受け身”の対応にとどまらず、オペレーターが顧客への積極的な働きかけも行う「提案型応対」の推進です。
感染症対策用途で発熱者検知ソリューションを紹介するなどのリードジェネレーション活動では、2020年4月からの半年間で1,200件の見込み客を獲得。顧客の特性などに応じた、いっそうきめ細かい提案の計画も進められています。
加えて、顧客満足度に直結する迅速なトラブル対応に向けては、コンタクトセンターで応答率向上やエスカーションの低減を図るだけでなく「お電話いただく前に自己解決できる割合を増やしていくことも大切」(木内氏)ととらえ、Service Cloudの拡張性を生かしたAI、チャットボット、RPAなどとの連携強化も構想されています。
コンタクトセンターに新たな価値をもたらした今回のService Cloud導入と、それに先立って実施した業務の再設計(BPR)について、大野 芳明氏(株式会社リコー デジタル戦略部 基盤開発統括センターコーポレート基盤開発センター 第1改革推進室 室長)は「SaaS導入の大規模プロジェクトとして、次につながる成功体験を得ることができました」と評価します。
ニューノーマル時代において、顧客企業が新しい働き方へシフトしていく中、橋本氏は「コンタクトセンターに蓄積されていくデータを生かすことで、お客様に寄り添いながら、さらなる付加価値の提供につなげていけたら」と展望を描きます。
※ 本事例は2021年8月時点の情報です
 

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