シオノギヘルスケア株式会社

コロナ禍でも滞りなくプロジェクトを遂行。新規顧客獲得、関係強化を目指し “つながるためのECサイト”を構築”

 

“売るためのEC”から
“つながるためのEC”へ

新規事業開始を契機として
顧客接点の強化・連携の必要性を痛感

シオノギヘルスケア株式会社(大阪府大阪市)は、シオノギグループの一員として、一般用医薬品や医薬部外品など、セルフケア領域の製品の開発・製造・販売を担う企業だ。塩野義製薬株式会社の一事業部を独立させる形で2016 年に設立された同社は、2019 年1 月、新たに健康食品事業を開始した。これは、宝ホールディングス株式会社のグループ企業から承継したもので、「すべての人にやさしく、正しくセルフケアを」というシオノギヘルスケアの経営ビジョンの実現に欠かせない事業となっている。
同社は、そうした積極的なビジネス展開によって、売上高を独立時の2 倍とするなど、目覚ましい成長を遂げた。ただ、その過程で大きな課題も見えてきた。同社のビジネスモデルは、一見するとBtoCだが、実際には主に卸・小売店を通じて製品を提供しており、消費者との直接的な接点をほとんど持たなかった。また、健康食品事業についても、高年齢層向けの製品を主力としてきたことから、顧客接点は電話による通信販売が主となっていた。代表取締役社長の吉本悟氏は次のように分析する。
「単にモノを提供し、お客様と間接的なつながりがあるだけのビジネスモデルでは、競合がひしめく業界で埋没してしまう。今後は、お客様と直接的なコミュニケーションを図る中で、情報や体験などの付加価値を提供し、企業として信頼を得て関係を強化することが重要になると感じていました」(吉本氏)
同様の問題意識は、経営戦略部ダイレクトマーケティンググループ長の山﨑敦子氏も共有していた
「お客様とは“点”だけでつながり、チャネルの連動性がない状態でした。それではお客様それぞれのフェーズに合わせたメッセージ発信やサービス提供ができません。特にECサイトは影響力の大きなチャネルなので、健康食品事業の拡大を機に、新規顧客獲得と関係強化が可能な場にしなければならない。使いやすいのはもちろん、セルフケアを楽しく経験できる“すべての人にやさしいECサイト”を実現したいと考えました」(山﨑氏)
 

“売るためのEC”から脱却し
“つながるためのEC”実現を目指す

そうしたECサイトを実現するソリューションとして、同社はCommerce CloudとMarketing Cloudを選択した。その理由について吉本氏はこう語る。
「もともとSales Cloudを導入し、営業支援だけでなく、社内コミュニケーションや意思決定基盤として利用していて、それと親和性が高いという理由は確かにありました。ただ、選定の一番のポイントは、Salesforceなら常に最先端にアップデートされ、弊社のビジネスの方向性に合うプラットフォームを提供し続けてくれるだろう、という期待感です。世の中の劇的な変化に合わせたビジネス展開が求められる今、プラットフォームもその変化についていけるものでなければならない。クラウドでそれを可能にしているのがSalesforceの最大の強みだと感じ、導入を決めました」(吉本氏)
導入後、同社がECサイト刷新プロジェクトの第1フェーズで目指したのは、“売るためのEC”という従来の考え方から脱却し、新規顧客の獲得とつながりの強化を主眼とするメディアECを構築することだ、と山﨑氏はいう。
「『ECにおける“やさしさ”とはなにか?』をさまざまな角度から突き詰めていきました。そして、たとえばコンテンツについては、『読み物』『体験』というカテゴリを作って、デザインやタイトル、文面を工夫したり、動画でわかりやすく伝えたりすることで、見たときに和んでいただけるような、心と体にやさしいものを目指しました。また、SNSと連動させるなどして、お客様にさまざまな体験を楽しんでいただけるコンテンツ作りにも挑戦しました。
同時に、使いやすさという意味での“やさしさ”にも徹底的にこだわりました。Commerce Cloudは、標準機能でコンテンツのページを載せられるなど、非常に柔軟性があります。そのメリットを活かして、操作性が高く、検索などのレスポンスの早いECサイトを作ることができました」(山﨑氏)
2020 年12 月、コロナ禍にあっても要件策定から約6か月で新ECサイトのローンチまでこぎつけた同社。現在進行中の第2フェーズでは、MarketingCloudと連携させ、顧客の購買・閲覧状況に沿った商品・コンテンツをレコメンドする機能を実装するなどして、つながりを強化するメディアECとしての完成度をさらに高めていく計画だ。

購入の前段階での正しい情報提供こそが
顧客からの信頼を生み、関係を強化する

“売るためのEC”から“つながるためのEC”へ。その取り組みを通じて、同社における“顧客”という概念の受け止め方は大きく変わった、と吉本氏はいう。
「今まで“お客様とのつながり”を判断する基準は『購入者数』『購入金額』だけでした。しかし今後はそうではなくなる。情報のあふれる現代において、お客様が独力で健康作りに必要な情報を正しく取捨選択するのは難しい。購入の前段階として、正しい情報を提供することの重要性が非常に高まっているわけです。そして、その役割を担うことで初めて、会社としての価値を感じていただき、購入1 回限りではない関係を築ける。要するに、お客様との接触の回数と深さが重要なのです。今回構築したECサイトは、まさしくその方向性に合っており、今後のブレークスルーにつながると期待しています」(吉本氏)
2019 年に始まったこのプロジェクトは、顧客関係強化の面で先進的だっただけでなく、結果としてコロナ対応の面でも先見性のあるものとなった。
「今回のプロジェクトの目的は、お客様が自らの健康を守っていくため、情報を正しく選択できる仕組みを提供することです。ただ、それはあくまで5~10年先の世界を見据えて始めたものでした。ところがコロナ禍によって、そういう仕組みを強く必要とする時代が、たった2~3か月の間に来てしまった。先手を打って動くことの意義を強く感じました。また、セールスフォース・ドットコムのサポートを受けながら、プロジェクトをコロナ禍とタイムラグなしに進められて本当によかったと思っています」(吉本氏)

日報システムをわずか3日で構築
コロナ禍でさらに高まるSalesforceの価値

同社がコロナ禍でもプロジェクトを粛々と進められたのは、設立当初からSalesforceをビジネス基盤とし、ノウハウを蓄積していたからでもある。
「医療に携わる企業として普段からBCP(事業継続計画)を策定していますから、1 日で社員の大半をテレワークに切り替えることができました。コミュニケーション面の懸念はありましたが、Salesforceのプラットフォーム上で、全社員分の日報が私まで届く仕組みをわずか3日で構築できたので、実際にはコミュニケーションに困ることは一切なく、むしろ意思決定が早くなったと感じています。現在では、当社のさまざまな取り組みを通して、Salesforceの強みである拡張性の高さがグループ会社に伝わっており、ノウハウも活用されています」(吉本氏)
吉本氏によると、同社におけるSalesforce各種製品の活用範囲は、今後さらに拡大していく見通しだ。
「現状サードパーティの製品を使っているコールセンターの販売管理システムをService Cloudに置き換える予定です。そのほかにも、ECサイトやSNSなど、さまざまなチャネルから得られるすべてのデータをSalesforceに集約して連携させ、さらにEinsteinAnalyticsのAIを活用することで、人間の目では気づけない新たな形のビジネスを生み出し、お客様に提案していきたいと考えています」(吉本氏)
※ 本事例は2020年12月時点の情報です
 

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