トゥルースピリット タバコカンパニー
“Salesforce&iPadの同時導入で営業活動が激変! 得意先回りを徹底効率化し、“訪問漏れゼロ”を達成!”
トゥルースピリット タバコカンパニー
「Excel管理ではもうお手上げ……」
株式会社トゥルースピリット タバコカンパニーは、ネイティブアメリカンのロゴマークで知られる米国のタバコブランド「ナチュラル アメリカン スピリット」の輸入・販売を手がける企業だ。同社の扱うタバコの特長は、化学薬品を使用しない「100%無添加」の製品で、タバコ本来の味と香りを楽しめること。その長所を前面に押し出した差別化戦略により、「ナチュラル アメリカン スピリット」は、昨今の禁煙ブームの中でも国内で愛好者の裾野を広げ、1996年の日本上陸以来、毎年二桁成長を続ける稀有なブランドとなっている。
国内でブランドを確立し、売上高では大手の製品に及ばないものの、業界内における独自のポジションを獲得した同社。しかしながら、代表取締役社長の東智徳氏には大きな悩みがあった。
「07年の設立当初から、弊社では、各営業担当者の売上や活動量など、営業に関するさまざまなデータを収集していました。ですが、それらのデータの管理はすべて、ビジネスアナリシスマネージャーの横尾正実がひとりでExcelを使って行っていたんです。もし、彼がケガでもして長期間会社を休むようなことがあれば、営業の進捗やお客様の状況がまったく把握できなくなってしまう、という不安がありました。
また、彼の管理はExcelによるものとしては“神業レベル”でしたが、それでも、膨大なデータを集計してExcelで処理し、レポートとしてまとめるのは月1回が限度。月末にならなければ、実際にどんな営業活動が行われているのか、まるでわからなかったんです」(東氏)
データの管理を一任されていた当の横尾氏も、Excelベースのシステムに限界を感じていたようだ。
「タバコ取扱店は全国約25万店。担当者1人が営業をかけられる店数は決まっていますから、ターゲットを絞って訪問しなくてはならない。営業担当者の数が10人ぐらいならExcelで管理できても、30人、50人になってくるともうお手上げでした」(横尾氏)
不安を解消した担当者の対応
営業管理システムがあまりに属人的であること。日々の営業活動をタイムリーに把握できないこと。それら2つの課題を解決すべく、東氏は新システムの導入を決意する。そして、いくつかの製品の中から選んだのがSalesforceだった。
「最初は『クラウドって何?』という状態で、弊社のやりたいことをうまく実現できるのか不安でした。でも、セールスフォース・ドットコムの営業の方の対応がすごくよかったんです。コスト面を含めて、どういう形態で利用するのが弊社にとって一番メリットがあるかをユーザー視点で真剣に考えてくれて、必ずしもセールスフォース・ドットコムの得にならなくても、弊社のためになることならきっちりと提案してくれました。
Salesforceを選んだもうひとつの理由は、システムの柔軟性が高いこと。導入の第一の目的は、営業担当者の日々の活動を助けることだったので、彼らの業務に合わせて容易にカスタマイズできる点を重視しました」(東氏)
一方、横尾氏は、慣れ親しんだExcelでの管理をやめ、新システムを導入することに抵抗を感じていたが、試用期間を通じてSalesforceへの信頼を徐々に強めていったという。
「まずは、本稼働の前に3カ月テストしてみたんです。弊社の要望に合うよう、セールスフォース・ドットコムの担当の方が支援してくれた結果、従来とほぼ変わらない感覚で使えると確認できて、これなら行けるだろうと思いました」(横尾氏)
得意先回りを徹底効率化!
2012年2月、同社はSalesforceの本格展開を開始。同時に、営業担当者全員にiPadを支給し、外出中でもSalesforceにアクセスできる態勢を整えた。
「営業担当者が出先から使えなければ意味がないので、Salesforceを導入するなら、iPadの利用が前提になると考えていました。以前はノートパソコンを使っていたのですが、通信の安定性や速度、携帯性などの面で問題があったんです。iPadの登場によって、そうした問題が解消されたことが、Salesforceの導入を後押したのは間違いありません」(東氏)
では、同社の営業担当者は、Salesforceをどのように利用しているのだろうか。セールスオペレーションマネージャーの西田武司氏が、営業活動におけるSalesforceの活用法を実演してくれた。
営業担当者はまず、全国25万店のタバコ販売店を各種項目でソートし、翌日訪問する得意先を登録してリストを作成する。ソートの項目は、エリアや販売実績、納入銘柄、最終活動日などさまざまで、会社の営業戦略や各人の判断に沿って自由に設定できる。
訪問予定の得意先の登録が完了すると、効率的な訪問ルートが自動設定される。各得意先の訪問順は、単なる移動効率だけでなく、事前のリサーチによって把握した、得意先側の決定権者が店頭にいる時間帯なども考慮して決定される。そのため、「訪問したのに決定権者が不在だった」という営業にありがちな無駄をカットできるようになった。
「各得意先の売上や納入銘柄、前回の活動内容などをひと目で確認できるようになったことも、営業担当者にとっては大きな変化です。訪問前にそうした情報を頭に入れ、取るべき対応をイメージした上で訪問できますからね」(西田氏)
訪問漏れゼロ、タイムリーな指導が可能に
一方の管理者側は、各営業担当者の日報や活動量などを随時チェック。導入以前は月末にならなければわからなかった営業の進捗状況を、いつでも確認できるようになったわけだ。
「例えば、私の部下の担当エリアで絞り込み、最終活動日でソートすると、何カ月も訪問していない得意先や、売上の下がっている得意先などを確認できます。訪問漏れが完全になくなり、より具体的で、タイムリーな指導やアドバイスができるようになりました。
それどころか、今、誰がどの得意先を訪問しているかをリアルタイムに把握し、即座に指示を出すことすら可能になりました。管理者にとっては本当にありがたいですね」(西田氏)
さらに、本社側では、新店舗のオープン情報を収集して得意先リストにどんどん追加しているため、以前のように、営業担当者が新店舗に気づかずに通り過ぎてしまうことはほとんどなくなった。
「そうした情報の収集と登録は、従来は営業担当者自身が行わなければなりませんでしたが、Salesforceなら本社側で行うことができる。そのように現場の負担を軽減できるのも、Salesforceの優れた点のひとつですね」(横尾氏)
「Excel管理の時代は終わった」
得意先をきちんとカバーできることは、売上にも大きなインパクトが出ていると話す東氏。SalesforceとiPadの同時導入が、二桁成長のひとつの要因になっている実感があるという。
「弊社では、現場の営業担当者の支援のためにSalesforceを導入しましたが、今後は、所長クラスの活動の管理や、勤怠管理なども行っていきたいと考えています」(東氏)
Salesforceの導入を成功させる上で大切なのは、トップが強い意志を示しながらも、ユーザー目線を忘れないこと。冒頭でそう語った東氏は、Salesforceの導入から2年が経過した今、改めてシステム入れ替えの決断は間違っていなかったと感じているという。
「カスタマーデータは、企業にとって極めて重要な意味を持つものです。それをExcelで管理する時代はもう終わったと思いますね」(東氏)