株式会社ウィルゲート

Tableauを見れば数字がわかります。業務の動きを手に取るように把握できるので、予測を立てやすくなりました”

株式会社ウィルゲート 専務取締役 COO 共同創業者 吉岡 諒 氏
 

2倍、3倍の成長を目指すために

ウィルゲートは、渋谷に本社を置くコンサルティング企業だ。2006 年の創業で、SEOコンサルティングを中心に成長。現在はデジタルマーケティング全般を支援するコンサルティングやM&A仲介など、幅広いエリアをカバーする企業として存在感を増している。
同社がSalesforceを初めて採用したのは、創業間もない2007 年のこと。案件管理の仕組みとしての採用だった。受注後のプロセスをSales Cloudで管理するところからスタートし、スタッフが個別に管理するスプレッドシートから脱却。請求漏れを防ぎ、月次決算の短期化に役立った。その後は、Salesforceの適用範囲を拡大。勤怠管理システムとの連携やワークフローの整備など、徐々にSalesforceで管理するデータは増えていった。
専務取締役 COO 共同創業者 吉岡 諒氏は、「導入から2015 年ごろまでは適用範囲拡大と改善、定着化の繰り返しでした。ビジネスは毎年110~120%成長していて、Salesforceと共に会社が育ったことになります。とはいえ、まだまだ不完全でした。受注前案件をすべて入力できていたわけではなく、入力できていても内容に漏れが多いものもありました」と話す。
そんなころ、現在取締役としてマーケティング部門の責任者を務める藤原 賢太氏が入社する。1か月をかけて社内を観察すると、若い企業ならではの勢いはあるものの、Salesforceに蓄積されたデータを含め、粗い部分が多いことが気になった。
藤原氏は、「渋谷のベンチャーなのですから、120%で満足していてはだめでしょう」と話す。「では、2 倍、3 倍を目指すために何をやればよいのか。社員の1 人ひとりが正しいことに、正しく時間を使う文化を創り出す仕組みを作ろうという提案をしました」。
 

現状の可視化で経営スピードを加速

そのためには、現状を正確に把握しなければならない。たとえば、案件情報は失注分を含めて可視化することで、自社の強みと弱みが見えてくる。失注は営業担当者の成績にはならないが、その事実は経営判断の材料になる。日々の活動をすべてシステムに登録し、それらを可視化することで経営スピードは加速する。
そのために、同社はTableauを採用。コンペはせず、指名での契約だった。なぜなら、藤原氏が前職で多くのダッシュボードを扱った経験があり、Tableauが現状に最適だと判断したためだ。藤原氏は、「Tableauならエンジニアが居なくてもダッシュボードを作れますし、スモールスタートに最適なライセンス体系があることも把握していました。現状に最適なソリューションだと説明し、全員の了解を得ました」と話す。
こうしてマーケティングチーム内にデータ戦略チームが立ち上がり、藤原氏はそのトップに就いた。現場にはデータ入力を徹底してもらい、データ戦略チームが社外の専門家と連携しながら経営分析に使えるダッシュボードを作っていく。現場で動いたのは、入社2 年目の若手。過去に美容師だった経験も持つ。営業部門で美容業界に強い担当者として認められていたが、自ら手を挙げてデータ戦略チームに加わった。
スタート時点で、Tableauの知識は全くなかった。しかし、現場と積極的にコミュニケーションを取り、配属されて3か月目には最初のダッシュボードを構築。データの重要性を現場に理解してもらうだけでなく、現場経験を生かして少しでも使いやすいようにするなど、データドリブンに意思決定する文化の醸成に大きな役割を果たした。さらに、要望要求書のテンプレート化など、チーム内プロセスの整備も並行して行った。
藤原氏は、「彼女は、数字に強い、高いコミュニケーション能力がある、前向き、という3 点を兼ね備えた人材でした。いまは産休中なのですが、当時は22歳。その年に最年少で全社員MVPを取ったのですが、だれもが認める活躍をしてくれました」と話す。
営業活動の可視化で、得意分野と不得意分野が見えてきた。吉岡氏は、「不得意分野には注力しないという意思決定を下しました。営業は掛け算で、受注確率、単価、LTVなどを掛け合わせて考えると、得意な案件に集中することで、営業活動の効率は10 倍ほど変わってきます」と話す。「この方針にして良かったことは、成功の振り返りをする時間が増えたことです。受注できて良かった、で終わるのではなく、その成功モデルに再現性を持たせられるようになりました」。中間分野に引き続き取り組んで得意分野に変えるための戦略策定や、営業担当者別の得意分野を明らかにして案件を最適な担当者に割り当てる施策も実行中だ。
とはいえ若い企業らしく、「得意分野しかやってはならない」と決めてはいない。吉岡氏も藤原氏も、「気持ちが最も大切。やりたかったら、やるでしょう」と笑う。「破壊的なイノベーションは、遊びから生まれます。ですから、仕事時間の10%程度は“面白そう”だと思ったことに使うべきです。期待値どおりの成果は残りの90%で出せるように私たちが考えます」。

コンサルタントの稼働時間を精緻に可視化

藤原氏は、コンサルタントが「本来やるべきでない仕事」をしている時間が意外に多いのではないかということにも気づいていた。それをあぶり出すために、コンサルタントの業務を125プロセスに分解。すべてを言語化し、コンサルタントが「自分のしている仕事の意味」を理解しながら仕事を進められるようにした。その上で業務内容を時系列でスプレッドシートに入力してもらい、その情報を吸い上げてTableauで可視化する仕組みを整えた。
「これは現場のための仕組みではなく経営層のための仕組みです。スプレッドシートならコンサルタントの負荷は最小限ですし、入力へのハードルが低くなります。初期には、入力することを意識づけしてもらうために、全員に1か月間専属アシスタントをつけるなどして定着させることができました」(藤原氏)
こうして、同社の経営層はほぼリアルタイムに現場の稼働状況を把握できるようになった。ダッシュボード上では、規定された125プロセス内の業務が青で示され、そうでない業務は赤で表示される。重要なのは、コンサルタントを監視して社内を縛ることが目的でないということだ。「赤の多いコンサルタントは、問題の発生しているプロジェクトを担当している可能性が高い」ことは可視化できる。しかし、それだけで該当するコンサルタントの能力に問題があると判断するわけではない。
顧客間の公平性も保てる。各業務はSalesforceに登録されているプロジェクトにひも付けて入力されるため、プロジェクトごとの稼働状況が把握できるのだ。頂いている報酬に対して稼働が相対的に少ないプロジェクトや、手間がかかりすぎているプロジェクトは一目瞭然になる。それらを迅速に把握できるようになったことで、早期に問題に対処できるようになった。
そして、経営層にとって最も重要な指標も迅速に得られるようになった。それが、コンサルタントのかけた時間あたりの売上金額だ。同社は4 万円を目標値に置いており、この仕組みを稼働させてからその水準より少し高めの値を維持できるようになった。藤原氏は、「リモート会議が増え、移動時間を削減できていることから、もう少し目標値を下げてアクティビティを増やし、顧客満足度をさらに高められないかと議論しています」と話す。すべてを可視化できたことで、経営判断による調整も可能になるのだ。
これらの改革の成功を受けて、2018年7月にマーケティング部門が立ち上がった。藤原氏は、「1,000%のROIを目指すと宣言したのですが、400%で十分だと(笑)。そこで、コストを増やすことにしました」と話す。人員の積極的な採用を含めて投資し、データドリブンなマーケティングを推進。いまでは、営業コストなどを除いたマーケティング部門単独で318%、全体への貢献で428%のROIを記録している。
吉岡氏は、「Tableauを見れば数字がわかります。業務の動きを手に取るように把握できるので、予測を立てやすくなりました。これからもSalesforceとTableauを中心に、データに基づく意思決定サイクルをさらに高速化していきます」と話してくれた。
※ 本事例は2021年1月時点の情報です
 

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