Salesforceの活用により、保険業務の入口から出口に至るライフサイクル全体での効率化、業務品質の向上を支える仕組みは整いました。蓄積されたデータをいかに活用し、還元するか。そして必要十分な情報の“鮮度” や“質” を高め、有機的な情報共有をどう実現できるか、今後取り組むべき重要なテーマです。AI技術であるSalesforce Einsteinの可能性に私たちは期待を寄せています”

チューリッヒ生命 情報システム本部 開発部 部長 金子 稔功 氏
 

1996年8月に保険事業を中心とした金融サービスをグローバルに展開するスイスの金融グループ、チューリッヒ・インシュランス・グループの生命保険部門の日本支店として設立されたチューリッヒ生命。医療保険やがん保険を中心とした「革新的な保障性」商品の展開により、日本市場の個人保険分野で急成長を遂げていることで知られる。同社は、2012年に就任した太田健自CEO直轄プロジェクトとして、2013年より「企業変革プロジェクト」をスタートさせた。本プロジェクトは、100日単位で組織変革を目指す「100日計画」、業務効率化を追求した「リエンジプロジェクト」の2段構えで構成されている。

「100日計画が始動した当初、新契約申込件数は低迷、保有契約数も右肩下がりの状況でした。お客さまのニーズにあった新商品も提供できておらず、販売チャネルも限定的。まさに成長が鈍化、停滞していました」とチューリッヒ生命の金子稔功氏は明かす。

そこで同社では、まずはお客さまへ提供する価値の向上を第一とし、2013年1月から2015年9月までの「100日間」という期間に、「革新的保障商品プレミアムシリーズ」の開発、「利便性が高く、お客さまの選択権をいかせるマルチチャネル体制」の構築、「高品質なサービスの提供、チューリッヒクオリティ(Z.Q.)」の発展という、3つの柱による施策の展開を目指した。

あわせて、事業成長にともなう顧客接点の拡大と業務負荷の大幅な増加が予想されることを見据え、続く2016年1月から2017年4月の期間で、「お客さまサービスの充実」「生産性・効率性の向上」「持続可能性」という、こちらも3つのテーマを柱とする施策「リエンジプロジェクト」を展開していくという計画を立てた。

 

こうした2段構えによるプロジェクトの展開を目指すことにしたものの、100日間という、企業においては比較的短期間での目標達成を目指すには、ただ闇雲に取り組みを推進すれば効果が得られるというものではない。「目指すべき成長の方向性として、生命保険業務のバリューチェーンを顧客価値向上に最適化しながら進めていく必要があると考えました」と金子氏は言う。そこでチューリッヒ生命では、保険会社として目指すべき成長の方向性を「顧客価値の向上」「生産性向上・効率化」「質の向上」に定め、それらカテゴリごとに改善効果が見込める対応策を洗い出した。

こうして顧客価値向上を目指し洗い出された施策を展開していくうえで重要となるのが、それを支える顧客管理システムだった。そこで同社が選択したのが、Salesforceの導入を中核にシステム環境を整備していくというアプローチだった。

「Salesforceの成熟度の高さは世界中のさまざまなユーザーの事例によっても実証されていました。あわせて当社のプロジェクトでは、自前で統合データベースを中心とした顧客セントリックな保険業務アプリケーションを開発していく必要もあり、堅牢かつ柔軟なPaaS基盤という観点でもSalesforceには大きな魅力がありました」と金子氏は採用理由を説明する。

チューリッヒ生命におけるSalesforceの具体的な適用領域としては、まず保険申込にかかわるプロセスにCommunity Cloudを活用。インターネット経由のお客さま向けサービスとして保険料の見積もりや保険申し込みを可能としたWeb Directチャネルを確立。モバイルにも対応した資料請求、オンライン見積といった機能を提供している。また、募集代理店向けサービスとして、設計・申込機能に加え、契約内容照会や未収失効連携といった各種照会機能を搭載した専用ポータルを稼働させた。Salesforceを利用した顧客や代理店・募集人とのタッチポイントを拡大し「利便性が高く、お客さまの選択権を活かせるマルチチャネル体制」を実現したことで、同社の新契約数、保有契約数は大きく増大。新契約年換算保険料は、プロジェクト開始前と比較して17倍という驚異的な成果を挙げた。

新契約申込件数・保有契約数は大幅に増加できた一方で、新契約の申込査定や契約の保全、コールセンター領域における業務処理件数も大幅に増加したため、生産性と効率性を向上させる施策が必要となった。特に旧来の業務オペレーションでは紙ベースの処理や、非定型的で属人的なマニュアル作業などが効率性の低下に拍車をかけていたのである。

そこで、次のテーマは生産性・効率性の向上だった。リーン手法(ムダ・ムラ・ムリの排除)に則り抜本的な業務の見直しを行い、廃止するべきもの、外部移管するべきもの、システム化するべき業務を特定した。システム化に当たっては共通化・標準化、可視化、自動化といった設計思想を徹底した。具体的にはそれぞれ以下のように改善している。

共通化・標準化:複数パターンに派生化していた帳票レイアウトの見直しを図り標準化を進めることで、帳票数を半減させた。 可視化:曖昧な表現により属人化していた業務ロジックなどをルールエンジンに搭載することで可視化を図った。 自動化:ルールエンジンと連携したイメージワークフローをSalesforce上に構築し、不備対応のTo Do化・帳票の自動生成・成立や承認処理までを自動化した。

その結果、新契約査定業務の60%が自動化され、お客さまの申込から契約成立までの所要日数TAT(Turn AroundTime)は66%も短縮化された。また、保全業務においては85%の業務範囲を可視化自動化対象としたことで、業務工数を60%削減させることに成功した。

 「たとえば、契約の維持管理に当たる保全業務なら、お客さまからの解約や料金の支払い方法を変更したいという申し出があると、オペレーターが受け付けてシステムに登録を行うと、必要書類一式の準備から発業務を行う業者へのデータ送付までが自動化されており、保全担当者が介在することなくお客さまに書類が送付されることになります」とチューリッヒ生命の宮本康志氏は一例をあげて紹介する。

徹底した業務プロセスの見直しと自動化によって「生産性・効率性」が上がり「持続可能性」も達成。次に取り組むべきことが「お客さまサービスの充実」であり、これはコールセンターの顧客対応品質の向上を意味している。

チューリッヒ生命では、顧客情報を中心とした統合データベースの構築および新たなCRM システム基盤としてSalesforceのService Cloudを選択。組織内部において顧客の保険ライフサイクルに関わるあらゆる情報、たとえば応対履歴や請求受付内容、実送付物のイメージや既契約情報など、部門を超えて共有することが可能な基盤を実装した。また、コールセンターのオペレーターが顧客対応後に行うエントリー機能を、簡単かつ確実に入力きるように構築したことで、ACW(後処理時間)を1件あたり1分以上短縮。受電後の処理が軽減され、オペレーターは電話対応という本来の業務に注力できるようになった。その成果は、保有契約数の増加にともなって顧客からの入電数が速に増加する状況にありながら、同社が常に90%以上の受電率を維持し続けていることにも表れている。結果としてCPH(1時間あたりの応対数)が改善されていくことで、顧客対応の品質を向上、「お客さまサービスの充実」も向上させているのである。

今後チューリッヒ生命では、SalesCloudとの連携を促進させ、顧客と直接接点を持つ募集人、そして同社の営業担当やコールオペレーター間の情報連携を強固にすることで、スピードとサービスの質の向上を目指している。また、ロボティクスや人工知能Einsteinといった最新技術を積極的に活用し、多様化していく顧客接点の中で、サービスの充実とさらなる向上、そして業務の効率化を推進していく方針だ。

 

 
日本, ビジネスサービス, Sales Cloud, Pardot
日本, B2B, 製造, Sales Cloud
Sales Cloud, 日本, B2C, 500名-5000名
Salesforce 製品、価格、実装方法、その他何でも、ご不明な点があればお尋ねください。高度な訓練を受けた弊社の担当者がいつでもお待ちしております。
ご不明な点はお問い合わせください。 0120-733-257