カカクコム・インシュアランス

保険代理店の業務フローの一元管理で火災保険の売上 3 倍増! 保険比較サイト運営会社のビジネスの質と速度を飛躍的に向上させる”

 

保険代理店の業務フローを一元管理!

株式会社カカクコム・インシュアランス(東京都港区)は、総合保険比較サイト『価格.com 保険』の運営、および各種保険の販売を行う企業だ。そのビジネスの特長は、後述のように、他の保険比較サイトにはない、保険選びの際に有益な“独自情報”をサイト利用者に提供する一方で、保険代理店としてオンライン・実店舗の双方で提案・契約・更新をも行う、いわば“保険のワンストップサービス”を展開していること。それを強みに『価格.com 保険』は、2005年のサービス開始以降順調に利用者数を伸ばし、現在では月間30万~40万人に利用される国内最大級の保険比較サイトとなっている。

そして、そんな同社の成長を陰で支えてきたのがSalesforceだ。同社取締役の緒方光城氏はいう。

「弊社において、今やSalesforceは、集客から契約、更新までという、保険代理店業務の一連の流れをすべて管理する中核システムとなっています」(緒方氏)

本稿では、同社がSalesforceをいかに活用し、どんな成果を挙げているかを紹介しよう。

 

 

顧客急増で情報管理の不備が明らかに

同社がSalesforceを導入したのは2008年。ただし、CRM部部長の森谷智彦氏によれば、当初の利用範囲はごく限定的で、CRM部門が管轄する、顧客への保険資料の発送業務を効率化するためだけに利用していたという。しかし、『価格.com 保険』の利用者数は年間約30%のペースで伸び続け、必然的に問合わせ件数や契約数も急増。すると、従来の顧客情報の管理手法では対処しきれなくなり、Salesforceの全社展開が検討されるようになったのだ。当時の状況について緒方氏はこう語る。

「お客様からお問合わせのお電話をいただいたとき、担当のコンサルタント(営業担当者)が商談などで外出中だと、お電話を受けた者には状況がわからず、お客様にご迷惑をお掛けしてしまったりすることがたびたびありました。また現場からも、『外出時に自分の担当のお客様からご連絡いただいた場合、別のコンサルタントでも状況を把握した上で十分な対応ができるような仕組みを整えて欲しい』という要望が数多く上がっていました。それで、何とかしてお客様情報や営業の活動履歴の共有化を図らなくてはならない、と考えるようになったのです」(緒方氏)

加えて緒方氏には、営業の活動状況を可視化することによってビジネスの質を高めたい、という年来の希望もあった。会社としては、営業担当者がどの顧客にどういう提案をして契約に至ったのかをしっかりと把握、分析して、業務改善につなげたい。ところが、そうしたプロセスは、基本的に営業担当者個人によってExcelや紙で管理されていて、周囲にはわからない。Salesforceを活用すればそうした状況を打破できるのではないか、と緒方氏は考えたのだ。

選定の最重視項目はセキュリティ

当然ながら、営業支援・顧客管理システムの選定に当たっては、Salesforce以外のサービスも候補に挙げられ、さまざまな観点から検討が重ねられた。結果、Salesforceが選ばれたわけだが、その理由は以下の4点だったという。

「まず、最重視したのがセキュリティ面。Salesforceは導入実績が非常に豊富で、政府の政策サービスでも多く採用されていますし、事実、弊社の売上の何倍ものコストをセキュリティに費やしています。

2点目はカスタマイズの容易性です。弊社はベンチャー企業なので、ビジネスの変化に合わせ、業務フローの見直しを頻繁に行います。ありもののシステムではそういう変化に対応しにくいので、Salesforceの自社でスピーディにカスタマイズできる点は魅力的でした。

3点目は計数管理の機能が非常に優れていること。従来のような単純な成約率などの分析だけでなく、業務フロー全体の統合的な分析が可能で、ビジネスの改善に活かすことができます。

そして、4点目が拡張性。Microsoftをはじめ、ベンダー各社のさまざまなツールと容易に連携できることは、将来、ビジネスが拡大したとき、メリットとして必ず活きてくるだろうと考えました」(緒方氏)

独自コンテンツで他社サイトとの差別化に成功

2011年、Salesforceを本格稼働させた同社。その取り組みについて、森谷氏は次のように解説する。

「保険比較サイトに掲載されている情報というのは、基本的に商品に関するものや、公益財団法人生命保険文化センターの調査結果のような公開データばかりです。そのため、独自性を打ち出して他社サイトと差別化するのが難しく、現場からは、『価格.com 保険』ならではのコンテンツを載せたい、という声が上がっていました。

そこで取り組んだのが、Salesforceを使ってお客様の属性ごとの購買行動を分析し、その結果をサイトにフィードバックする仕組みの構築です。例えば、首都圏在住の30代男性が、どんな価格帯の保険にどんな特約をつけて加入しているか、といったデータを収集して、コンテンツやレコメンドなどの形でサイトに反映できるようにしたのです。そのような、お客様にとって保険選びの指標となるオリジナル情報を素早く、どんどん掲載していくことで、サイトの質は格段に向上しましたね。実際、お客様からも、『価格.com 保険』が一番選びやすかった、というお言葉をよくいただくようになり、成約率もアップしています」(森谷氏)

また、保険という商材は、生活環境が変わったときに見直しのニーズが発生しやすいものだ。そこで同社は、サイトおよび実店舗の顧客情報をSalesforceで一元管理することによって、結婚や出産、自宅・車の購入など、顧客ごとのライフタイムバリューに合わせたメールマガジンを配信するなど、最適なタイミングでの顧客への提案やアフターフォローが可能な仕組みを整備した。

 

3年間で火災保険の売上3倍増!

緒方氏によれば、そうした業務改善の結果、成約率および成約に至った商品の単価は上昇し、全社展開を始めた2011年以降の3年間で、火災保険の売上がなんと3倍に増加。加えて、データの入力作業の効率化や、情報共有に関する業務のスリム化により、年間約3000万円の経費を削減できたという。

一方、現場においても、従来は体感的にしかわからなかった各営業担当者の活動が可視化されたことにより、仕事の質・量ともに大きな変化が起きていた。CRM部の石塚大輔氏はいう。

「Salesforceのレポート機能やダッシュボード機能によって、管理側は、数字に基づいて部下を的確にサポートできるようになり、一方の現場側も、活動量を意識して能動的に動けるようになりました。

また、情報の共有化によって、お客様からのお問合わせに対し、誰でも素早く、同水準の対応ができるようになったり、契約書の作成や送付などに要する日数が3日から1日に短縮されたりしたのも大きいですね。お客様へのアンケートでも、そうしたレスポンスの速さを評価していただくことが多くなりました。

加えて、以前はお客様からのお問合わせに対応するので精一杯だったのが、こちらから積極的に営業をかける“攻めの時間”を確保できるようになったのも大きな変化です」(石塚氏)

 

Salesforceは“現場とのコミュニケーションツール”

「集客・契約・更新」、すなわち保険代理店の業務フローの“入り口から出口まで”を一元管理することにより、当初の目標を次々に達成していった同社。今後は、一連の業務の循環スピードをさらに速めてサイトのいっそうの充実を図りつつ、Salesforceのデータを経営判断の材料として活用していく予定だという。そんな意気込みを語る緒方氏に、Salesforce定着化のコツを尋ねてみた。

「得てして経営側は、Salesforceを使ってこんなことを実現したい、という意識を前面に押し出していまいがちです。しかし、それだと現場は、管理されるのは嫌だし入力も面倒、と抵抗を感じてしまう。だから、むしろSalesforceは、現場の意見を吸い上げるためのコミュニケーションツールなのだ、というぐらいに考えて、社員の自主性に任せて使ってもらったほうがうまく定着するのではないでしょうか。

それから、Salesforceに限っては、実際に使ってみると意外とおもしろいので、あんなこともこんなこともできる、というメリットを現場に体感してもらう工夫も大切ですね」(緒方氏)

 
※ 本事例は2014年10月時点の情報です
 
 

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