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ビジネスのためのデータインテグリティ完全ガイド

数十億ドル規模の大企業であっても、従業員数名のスタートアップでも、健全な財政基盤を維持し、顧客のニーズに応えるには、データインテグリティを維持することが重要です。ところで、データインテグリティとは、つまり何なのでしょうか?このガイドでは、データインテグリティについて順を追って説明します。

信頼できる唯一の情報源ダッシュボードでのData Cloudプラットフォーム

新登場 Data Cloud

Data Cloudは、Salesforceとネイティブに連携する唯一のデータプラットフォームです。あらゆるシステムからデータを収集し、調整・一体化するため、顧客を深く理解し、成長を促進できます。

データインテグリティとは

簡単に言えば、データインテグリティとは、保存されている期間や形式を問わず、データの正確性、完全性、信頼性、一貫性が維持されていることを意味します。データインテグリティは企業内で、また顧客やステークホルダーとの間で信頼を築く基盤となるものです。

データインテグリティがもたらすメリットを見ていく前に、4つの重要な要素を確認しておきましょう。

  • 正確性 – データにエラーがないこと。エラーは、データベースやCRMシステムで項目やコマンドを入力するときや、システム間でデータを移行するときに発生する可能性があります。
  • 完全性 – 最適な意思決定を行い、顧客のニーズを満たすために、必要な情報がすべてデータに含まれていること。たとえば、営業システムに価格が入力されていないと、売上や顧客を永遠に失ってしまう可能性があります。
  • 信頼性 – 信頼できるデータとは、時間が経過しても安定しており、条件が同じであれば同じ結果を返すデータです。データの信頼性が低いと、調査や分析、意思決定で誤った結論を招くことがあります。
  • 一貫性 – 一貫性のあるデータは、意図的に変更・更新したりしない限り、どのシステムでも常に同じ方法で表示されます。
データとAIを接続するデータ文化ハンドブック

Gartner社は、Salesforceを顧客データプラットフォーム部門のリーダーに選出 その理由はこちら

なぜデータインテグリティが重要なのか

1998年、NASAの火星探査機マーズ・クライメイト・オービターは、軌道上を9か月にわたって周回した後、火星の大気圏に突入して燃え尽きてしまいました。製造費3億2,700万ドルの人工衛星が破壊された原因は、エンジニアチーム間の単位換算に伴う単純なミス(英語)新しいウィンドウで開くにありました。一方のチームがメートル法を、もう一方のチームはヤード・ポンド法を使っていたのです。

この失敗からわかるとおり、一貫性、正確性、完全性に欠けるデータは、時間と資金を無駄にし、組織の評判を悪化させる恐れがあります。SalesforceとTableauが企業を対象に最近実施した調査では、データに対する不信感が広がっていることがわかっています。データを信頼している意思決定者の割合は、マーケティングで45%、セールスで42%、サービスで40%にとどまっています。効果的にビジネスを進め、顧客とやり取りするために、企業がますますデータを頼りにするなか、この不信感は収益を徐々に低下させる可能性があります。

信頼性の高いクリーンなデータは、AIを活用したアプリ(英語)新しいウィンドウで開くにも欠かせません。アナリティクス、ITリーダーの86%が、AIの出力は入力するデータの質に左右されると考えています。つまり、AI活用の成否は、データの質とインテグリティの確保にかかっているのです。

92 %
信頼性の高いデータに対する需要が高まっていると考えるアナリティクスおよびIT部門のリーダーの割合

データインテグリティがもたらすメリット

データインテグリティ、つまりデータの正確性、完全性、信頼性、一貫性を確保し、維持することは、「できたほうがいい」のではなく、競争力とコンプライアンスを維持し、社内外で信頼を構築して、評判の悪化を回避するためには不可欠です。データインテグリティがもたらす3つの重要なメリットを紹介しましょう。

1. 意思決定の改善と生産性の向上

どの業界であっても、信頼性の高いクリーンなデータは欠かせません。たとえば医療業界では、患者や治療プランに関する意思決定、新しい治療方法の開発には研究データや診療データが大きく関与します。金融機関は、財務予測、リスク管理、コンプライアンス、さらには企業としての評判も、正確で信頼できるデータに頼っています。また、NASAのミッション成功と宇宙機や宇宙飛行士の安全は、データの精度と正確性があってこそ確保できます。

時間と労力を惜しまずにデータの信頼性向上に努めれば、競合優位性を確立できます。たとえばキッチン・インテリア用品を販売するWilliams-Sonoma社(英語)は、オンライン取引などの顧客データを何年にもわたって収集して、Data Cloudで保管し、整理しています。空気清浄機の購入履歴にもとづいて、テーブル型空気清浄機を購入する可能性がある顧客を特定すると、Marketing Cloudがパーソナライズされたメールを動的に送信します。

信頼性のあるデータには、従業員の生産性を高めるというメリットもあります。Gartnerによると、質の高いデータは生産性を20%も向上(英語)新しいウィンドウで開くさせることがわかっています。ITチームが、会議前の毎回のデータクリーニング(英語)新しいウィンドウで開くから解放され、イノベーションに専念できるとしたら、あるいは、アナリティクスチームがインサイトを発見し、予測するための時間を確保できるとしたら、どうなるでしょうか。

質の高い信頼できるデータは、企業全体にメリットをもたらします。

コンピューターの前に座ってサポート担当者とチャットしている笑顔の女性。

Data Cloudの機能と学習パス

Data CloudはSalesforceおよび他の外部データソース全体でデータを整理して統合します。Data Cloudの機能と、それを活用するための学習パスをご案内します。

2. AI出力の信頼性

データの正確性と信頼性は、これまでもデータにもとづく意思決定と効果的なビジネスの遂行に不可欠でしたが、AIと生成AIが急速に進歩しているいま、質の高いデータの必要性はさらに高まっています。Salesforceの調査では、アナリティクス、ITリーダーのほぼ9割が、AIの発展によりデータ管理が優先課題になっていると答えています。しかし、78%が、既存のデータではビジネスの重要目標を達成することが難しいと回答しています。

信頼できるデータなしにAIや生成AIを導入するのは、ガソリン車に軽油を入れるようなものです。エンジンはかかるものの、走り出した途端に停止してしまうでしょう。AIアプリに質の低いデータを使うと、チャットボットがサービスチームに信頼できないアドバイスを提供し、マーケティングでは誤った製品を提案し、経営陣には不正確な売上予測を提示するはめになってしまいます。

ゼネラル・ミルズ社は、良質な顧客データとAIを活用して、精度の高いマーケティングメールと広告を展開しています。食品業界大手である同社は、Data CloudAIで顧客の行動データと購入データを分析して、商品を提案し、メールの送信時刻を最適化しています。同社のサイトの既知ユーザーは前年比で170%増加し、顧客エンゲージメントは3倍に、「今すぐ購入」のクリック数は40%増加しています。

3. リスクの軽減とコンプライアンス

ビジネスリーダーには、顧客の情報とデータを守る責任があります。社会保障番号、金融記録、患者データといった個人時報(PII)を保持しているか否かにかかわらず、データの保護と維持は義務であり、また、多くは一般データ保護規則(GDPR)(英語)新しいウィンドウで開くなどの規制要件の対象になっています。コンプライアンス違反のコストは、莫大な金額になりかねません。昨年、Facebookを運営するMetaは、欧州域内のユーザーの個人データを、保護を怠った状態で米国に転送したため、12億ユーロの罰金を科せられました。

揺るぎない信頼を確立 – 企業全体でデータインテグリティを維持

質の低いデータは、チーム全体の効率を低下させ、企業に損失をもたらします。データインテグリティを確保してこそ、データにもとづく迅速な意思決定、AIアプリの活用、法規制の順守、評判の維持が可能になります。