顧客エンゲージメントとは?メリットや向上施策、満足度との違いを解説

 
最終更新日:2024.3.13

顧客に自社の製品やサービスを選び続けてもらうためには、顧客エンゲージメントを向上させることが大切です。顧客エンゲージメントを高めていけば、リピーターが増え、売上の向上にもつながるでしょう。では、どのように顧客満足度を高めていけばいいのでしょうか。

ここでは、顧客エンゲージメントと他の概念の違い、重視される理由、メリット、向上のための施策などを解説します。

顧客エンゲージメントとは製品やブランドへの愛着や親近感

顧客エンゲージメントとは、顧客が提供された製品やブランドに対して感じる愛着や親近感のことです。顧客が感じる愛着や親近感は数値化しにくく、顧客が製品・ブランドからどのような恩恵やメリットを得て、どのような点に愛着や親近感を持っているかは、測りにくいといえるでしょう。

また、愛着や親近感などといった要素は、顧客の主観に拠るため、顧客自身もはっきりと自覚していないことがほとんどです。こうした定性的かつ複雑な情報を総称して、顧客エンゲージメントと呼びます。

顧客と自社の製品やブランドとの関係性については、顧客エンゲージメントのほかに、顧客ロイヤルティや顧客満足度といった概念もあります。これらは顧客エンゲージメントとは観点が異なるため、それぞれとの違いについて解説します。

 
 

コネクテッドカスタマーの最新事情

 

カスタマーエンゲージメントの未来を形作るトレンドを明らかにするため、世界各国の一般消費者と法人顧客14,300人を対象に調査を実施しました。

  • 経済の変化によって顧客の期待と行動はどのように変化したか
  • 購買ライフサイクル全体で変化する顧客と企業とのつながり方
  • 生成AIなどの新たなテクノロジーに対する顧客の心理

顧客ロイヤルティとの違い

顧客ロイヤルティは企業や製品・サービスに対する顧客の愛着や信頼を数値化した指標です。ポジティブな感情に着目している点は、顧客エンゲージメントと似ていますが、両者は数値化の有無や分析の対象が異なります。一般的に顧客ロイヤルティは、NPS(ネット・プロモーター・スコア)を指標とします。

NPSでの調査では、製品やサービスについて、それを友人や同僚にも紹介したいと思うかどうか質問し、顧客ロイヤルティの高低を計測します。一方、顧客エンゲージメントでは、顧客が実際に起こした行動を調べることで、自社の製品やブランドに対する愛着・親密度、信頼関係を分析します。

顧客満足度との違い

顧客満足度は、製品・サービスについて、どの程度満足感を持っているかを数値化した指標です。顧客の満足感を分析する点が、愛着・親近感を重視する顧客エンゲージメントと異なります。顧客満足度を調査する目的は、製品やサービスについて、顧客の満足を得たり、顧客の不満をなくしたりすることです。一方、顧客エンゲージメントは企業の製品やブランドと顧客の関係性を良くしていくことを目標としています。

顧客エンゲージメントが重要視される3つの理由

市場環境や顧客の購買活動の変化など、企業を取り巻く環境が変化する中で、顧客に自社の製品やブランドを選んでもらうためには、顧客から愛され、良い関係を維持することが重要です。ここでは顧客エンゲージメントが重要視される3つの理由について紹介します。

<顧客エンゲージメントが重要視される理由>

  • 売上の安定
  • 顧客の購買行動の変化や知識の増加
  • 製品やサービスのコモディティ化

売上の安定

顧客エンゲージメントが重要視される理由は、顧客のLTV(顧客生涯価値)を高めて売上を安定させられるからです。企業が安定的な収益を上げるための方策のひとつとして、顧客のLTVを高めることが挙げられます。LTVは顧客が自社を利用し始めてしてから、契約を終えるまでに、企業にもたらされる利益の総額です。顧客エンゲージメントを高め、自社の製品やブランドのファンになってくれれば、継続的な購買によって、LTVの向上が期待でき、売上を安定させることができるでしょう。

顧客の購買行動の変化や知識の増加

顧客の購買行動の変化や知識の増加も、顧客エンゲージメントが重要視される理由のひとつです。インターネットの普及により、顧客は企業からの情報提供を待たず、自身で情報を得て知識を増やし、製品やサービスを比較検討した上で、意思決定をすることが可能となりました。このような環境下で、顧客に自社を選んでもらうためには、自社の製品・サービスへ愛着や親近感を持ってもらうことが必要なため、顧客エンゲージメントが重要なのです。

製品やサービスのコモディティ化

製品やサービスのコモディティ化が進んでいる点も、顧客エンゲージメントが重要視される理由といえるでしょう。製品やサービスの独自性が薄れた状態をコモディティ化と呼びます。コモディティ化が進んでしまった業界・商品では、他社との差別化が難しくなり、きびしい価格競争が発生するため、企業の収益を押し下げてしまいます。顧客エンゲージメントを高められれば、顧客と双方向のコミュニケーションも可能となり、顧客に継続的に購入してもらうことが可能となるでしょう。

顧客エンゲージメント向上の3つのメリット

企業は顧客エンゲージメントの向上に取り組むことで、多くのメリットが得られます。ここでは、3つのメリットについて解説します。

<顧客エンゲージメント向上のメリット>

  • 継続利用につながる
  • 新規顧客が増える
  • 製品やサービスの改善につながる

継続利用につながる

顧客エンゲージメント向上のメリットは、顧客の継続利用につながる点です。顧客エンゲージメントが高い顧客は自社の製品やブランドに愛着や親近感を感じ、信頼関係が構築されています。そのため、リピート率も高く、自社の製品やサービスを中長期的に購入し続けてくれるでしょう。顧客エンゲージメントの高い顧客の継続利用は、企業の売上安定に大きく貢献してくれます。

新規顧客が増える

顧客エンゲージメントの高い顧客を通じて新規顧客が増える点も、顧客エンゲージメント向上のメリットのひとつです。顧客エンゲージメントの高い顧客からは、周囲へ自社の製品やブランドについて、紹介や好意的な情報の発信などが期待できます。企業からの情報発信のみならず、SNSや口コミサイトなどでの評判を重視する消費者も多いため、顧客エンゲージメントの高い顧客からの発信は、新規顧客開拓につながります。

製品やサービスの改善につながる

製品やサービスの改善につながる点も、顧客エンゲージメント向上のメリットといえるでしょう。顧客エンゲージメントの高い顧客は、製品やサービスに不満があっても、すぐに他社に移行してしまうのではなく、自社に改善の要望や不満をフィードバックしてくれます。顧客エンゲージメントの高い顧客からの指摘を受け止め、開発に取り入れることで、製品やサービスの成長につなげることが可能です。

顧客エンゲージメント向上の4つの施策

企業は顧客エンゲージメントの向上に取り組むことで、多くのメリットを得られます。顧客エンゲージメントを向上させるためには、さまざまな施策を組み合わせて取り組むことが必要です。ここでは4つの施策について解説します。

<顧客エンゲージメント向上の施策>

  • 自社の現状把握
  • パーソナライズの実施
  • 複数チャネルへの対応
  • 一貫した対応の実現

自社の現状把握

顧客エンゲージメントを向上させるには、自社の現状把握が必要です。解約率やリピート率などの指標を活用して、自社と顧客の関係の状況を把握しましょう。

解約率は一定期間内に解約した顧客の割合です。サブスクリプション型のサービスの場合に、顧客エンゲージメントを測るのに有効な指標のひとつとなります。リピート率は一度購入した顧客が、どの程度リピートしているかを示す指標です。一般的にリピート率が高ければ、顧客は満足していると考えられるので、顧客エンゲージメントも高いと推測できます。

パーソナライズの実施

顧客ごとにカスタマイズして情報提供やサポートを実施するパーソナライズも、顧客エンゲージメント向上のための施策のひとつです。一般的に顧客は、企業が自身を特別な存在として扱ってくれることを望みます。企業が個々の顧客の要望やニーズを丁寧にくみ取り、それに沿った対応をとれば、顧客の愛着や親近感につながるでしょう。反対に、顧客が自分のことを理解してもらえないと感じてしまったら、企業との信頼関係は弱まってしまいます。企業は顧客情報を基に、顧客理解を進めた上で、顧客の行動パターンに合わせてコミュニケーションを進めると良いでしょう。
 
 

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複数チャネルへの対応

複数チャネルへの対応も、顧客エンゲージメント向上のための施策のひとつといえるでしょう。顧客が情報収集やコミュニケーションのために使うチャネルは、従来の実店舗や電話に加え、ウェブサイトやメール、SNS、チャット、メッセージ、アプリケーションなど多様化しています。顧客が望むチャネルで、自社とやり取りできるよう、体制を整備することが重要です。複数チャネルに対応することで、顧客との信頼関係の構築が容易となり、顧客エンゲージメントも向上します。

一貫した対応の実現

部門横断での一貫した対応も、顧客エンゲージメント向上に役立ちます。さまざまな部門でのこれまでの顧客とのやり取りを踏まえた上で、顧客からの問い合わせや要望に対応することができれば、顧客の愛着や親近感は高まります。顧客の情報やこれまでのやり取りを管理するCRMなどといったツールの導入も有効です。自社内で一貫した対応が可能となるよう、体制を整備しましょう。

顧客エンゲージメント向上のための2つのポイント

企業はさまざまな施策を組み合わせて実施していくことで、顧客エンゲージメントを向上させることが可能です。しかし、施策を実施するにあたっては、注意すべきポイントがあります。ここでは、2つのポイントを解説します。

<顧客エンゲージメント向上のためのポイント>

  • 適切な手法で適切なメッセージを送る
  • シナリオを十分に練り上げる

適切な手法で適切なメッセージを送る

顧客エンゲージメントを向上させるためには、適切な手法で適切なメッセージを送ることがポイントです。顧客の状況に合わせて、顧客の好むチャネルを通じて、適切なタイミングでメッセージを送ることで、顧客との信頼関係を構築していきます。たとえば、オンラインサービスを使い始めた顧客に対して、数日ごとに便利な使い方を送信したり、オンラインショップでカートに商品を入れたまま放置されている場合に、注意喚起とともに時間限定の割引クーポンを送信したりするといった手法があります。顧客ごとに手作業で対応するには限界があるため、企業のマーケティング活動を自動化するMAなどのツールの導入を検討すると良いでしょう。

シナリオを十分に練り上げる

シナリオを十分に練り上げることも、顧客エンゲージメント向上のためのポイントです。シナリオを作成するため、顧客が購買までにどのような過程を経るか、カスタマージャーニーマップにまとめると良いでしょう。作成したカスタマージャーニーマップに基づいて、企業と顧客との接点を分析し、それぞれの接点にマッチしたコミュニケーションを含んだ形でシナリオを構築できれば、顧客エンゲージメントの向上に役立ちます。また、それぞれの接点で行われるコミュニケーションについては、結果計測や評価も重要です。少しずつ改善を重ね、シナリオを練り上げていきましょう。

ツールを活用して顧客エンゲージメントを高めよう

顧客エンゲージメントの向上は企業の売上の安定や拡大に貢献します。顧客エンゲージメントの向上は簡単ではありませんが、ツールを活用し、さまざまな施策を実施することで、効果的な取り組みが可能です。

Salesforceでは顧客エンゲージメントの向上に貢献するソリューションを提供しています。顧客の求めるタイミング・チャネルで顧客とつながることができ、一人ひとりに合わせたパーソナライゼーション施策が可能な Marketing Cloudや、顧客とのつながりを重視し、いつでも、どこでも、どんな状況でもサービスを提供することで顧客のニーズに対応するService Cloudを、ぜひご検討ください。

 
 

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