企業の将来を左右するカスタマーエンゲージメントの基礎知識

投稿日:2020.07.28
企業の成長を支える安定した売上を維持する指標として、顧客との関係性を示す「カスタマーエンゲージメント(顧客エンゲージメント)」の重要性が高まっています。
ここでは、カスタマーエンゲージメントの概略とカスタマーエンゲージメントを向上させるポイントについて解説します。

カスタマーエンゲージメントとは

エンゲージメントという言葉は、そもそも「契約・約束」を意味します。また、より感情に根ざした「愛情」「親密さ」という意味合いで用いられる場合もあります。
つまり、カスタマーエンゲージメントとは、「顧客が企業やブランドに対して感じる親密さ」ということになります。

カスタマーロイヤリティとは何が違う?

顧客の企業やブランドに対する親密さを表す言葉として「カスタマーロイヤリティ(顧客ロイヤリティ)」があります。似たような概念に思えますが、カスタマーロイヤリティとカスタマーエンゲージメントとはどう違うのでしょうか。一言でいってしまえば、「その程度を推し量る指標」、つまり「物差しが違う」ということになります。一般的にカスタマーロイヤリティは、「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」を指標とします。これは、ある製品やサービスについて、それを友人や同僚にも紹介したいと思うかどうかという質問から導き出します。つまり、「友人にもすすめたい!」という感情がベースになります。
一方、カスタマーエンゲージメントでは、顧客が実際に起こした行動を分析することで、企業やブランド、製品、サービスに対する親密度を測定します。

カスタマーエンゲージメントが重要な理由

ひと世代前の時代であれば、高品質の物を安価で提供すれば、売上は自然と伸びていったでしょう。しかし、多くの競合製品やサービスが林立し、他社との差別化が難しくなると、品質と価格以外にも「顧客から選ばれる要素」が必要になります。ましてや、インターネット環境の整備とモバイルデバイスの普及により、情報収集から購買までの行動の多くがデジタル環境で行われている現在、デジタルでの体験に対する顧客の期待値は高まるばかりです。
こうした背景から、企業やブランドがいかに顧客から愛され、良い関係を維持できるかということが重要になり、カスタマーエンゲージメントの必要性が高まってきたのです。

育成されたリピーターがビジネスを安定させる

企業が安定的な収益を上げるための方策のひとつとして、LTV(顧客生涯価値)を高めることが挙げられます。顧客が自社製品や自社ブランドのファンになってくれれば、継続的な購買が期待でき、LTVの向上につながり、将来的にビジネスを安定させることができます。
しかし、熱心なファンが自然発生するまで、待っているわけにもいきません。そうしたファン層は、企業側が育成していく必要があります。そこで必要なのは、顧客とのあらゆる接点で、顧客が望んでいる対応や求めているサービスを提供することです。顧客にとって提供されたものは「心地良く快適な体験」であり、大きな満足感となって、自社と自社ブランドへの好感度を高めることにつながっていきます。

顧客を満足させられない企業はどうなる?

企業がカスタマーエンゲージメントを過小評価していたり、十分な満足感を与えられなかったりしたらどうなるのでしょうか?その先には、顧客の離脱が待っています。
セールスフォース・ドットコムが2019年4月に行った調査結果によれば、73%の顧客が「特別な体験を一度経験すると、他社への期待も高くなる」と答えています。

「A社ではこういう対応をしてくれたのに、B社ではできないと言われた」。このような体験によって、B社からA社へと顧客が移動していくことは、容易に想像できます。価格や品質だけではなく、どのような顧客体験を提供するか。それによって、顧客にどれほど満足感を与えられるか。それは、企業と顧客との関係を考える上で、とても重要な要素となっています。
顧客に十分な満足を与えられない企業にとっては、きびしい時代になるかもしれません。

カスタマーエンゲージメントを高めるためには?

カスタマーエンゲージメントを高めるためには、数多くある接点において、企業が顧客とつながり、時間や回数を重ねて良好な関係を築いていくことです。
では、具体的には何をどうすれば良いのでしょうか?それを知るには、まず顧客が企業とのコミュニケーションにおいて、何を求めているかを知ることです。

<顧客が企業に期待すること>

  • 顧客は企業に対して、自分のニーズを事前に知っておいてほしいと思っている
  • 顧客は、時と場所に応じたチャネルやデバイスを使いたいと思っている
  • 顧客は企業に対して、自分について同じ情報を部門間で共有していてほしいと思っている

こうした期待がなぜ生まれるのか、それに対して企業はどう応えればいいのか考えてみましょう。

パーソナライズを行い、安心感を高める

先程ご紹介したセールスフォース・ドットコムによる調査によると、73%の顧客は企業に対して、自分のニーズや希望を理解してほしいと思っています。この要望に応えるためには、まず顧客ごとのパーソナライズを行うことです。
企業が顧客個々の要望やニーズをくみ取り、それに沿った対応をとれば、それは信頼感・安心感につながるでしょう。反対に、顧客が「自分のことをわかっていない」と感じてしまったら、お互いのつながりは弱まってしまいます。
ですから、企業はまず詳細な顧客情報を基に、顧客を1人の人格として理解することです。その上で、顧客の行動パターンに合わせてコミュニケーションの方法を変えていくなどの施策が必要になります。

複数のチャネルを使い分け、顧客を逃がさない

情報収集やコミュニケーションのために使うチャネルは、ウェブサイト、メール、SNS、チャット、メッセージ、アプリケーションなど、かなり多様化しています。デスクトップPCをじっくり使うこともあれば、モバイルで手早く済ますということもあるでしょう。昔ながらの方法である電話や、実店舗での対面を好む場合もあるはずです。時と場所、状況によって、顧客が使うチャネルは変化します。
こうしたオムニチャネルにどこまで対応できるのか。それは、どれだけの顧客をつなぎとめておけるかという点に大きく影響するでしょう。

共通した対応で自社の信頼を高める

同調査では、78%の顧客は、部署を越えて一貫したやりとりが行われることを期待しています。さらに、64%の顧客は、過去のやりとりも知った上での対応をしてほしいと考えています。
たとえば、コールセンターに電話を入れて、最初に名前と電話番号を伝えたら、購入履歴や問い合わせ履歴がすぐに呼び出され、その内容を踏まえたやりとりができる。そうした、スムーズなコミュニケーションを望んでいるのです。複数の部署をたらい回しにされ、電話口のスタッフが代わる度に「お名前をどうぞ」から繰り返させられる…。こうした対応は、まさに致命的といえるでしょう。

カスタマーエンゲージメント向上施策のポイント

では、カスタマーエンゲージメントの向上を図る上で、どのような点に注意すべきでしょうか?ここでは、2つのポイントを解説します。

適切な手法で適切なメッセージを送る

たとえば、オンラインショップで、カートに商品を入れたまま放置されている場合、注意喚起とともに時間限定の割引クーポンを送信する。オンラインサービスを使い始めた顧客に対して、数日ごとに使い方のコツやちょっとしたTIPSを送信する。
顧客の状況に合わせて、適したメッセージを適したタイミングで、さらに顧客の好むチャネルで送ることは、顧客の好感度を高め、カスタマーエンゲージメントを向上させることにつながります。ただし、あまり頻繁になると「うるさい」と感じられることにもなりますから、さじ加減は重要です。

シナリオを十分に練り上げる

適切なメッセージと適切なタイミングを見極めるには、カスタマージャーニーマップを作り上げ、企業と顧客との接点を洗い出すことです。双方の接点は意外なほど多く、それぞれ状況が異なります。できるだけ多くの接点を挙げ、それぞれにマッチしたコミュニケーションを含むシナリオを構築できれば、カスタマーエンゲージメントの向上に大いに役立つでしょう。
もちろん、それぞれの接点で行われるコミュニケーションは、その結果を計測・評価し、フィードバックすることはいうまでもありません。こうして、シナリオを少しずつ練り上げていくのです。

エンゲージメントの向上が企業の将来を左右する

顧客が企業やブランドに求めるものは、製品のクオリティや価格だけにとどまりません。良質な体験が得られるなら、少々コストが高くても良いと顧客は考えています。
多くの業界において、カスタマーエンゲージメントの向上は大きな課題となりつつあります。個々の顧客のニーズをくみ取り、その要望に応えるコミュニケーションを実現することが、企業やブランドの存続と成長を左右するといえるのです。

 

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