CRMとERPの違いとは?知っておきたいそれぞれの役割

投稿日:2020.4.6
CRMとERPは、そのコンセプトや機能の面で重複する部分があるためか、混同されることが多いようです。そのため、どちらを導入すればいいのか、迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。
しかし、CRMとERPはまったくの別物で、それぞれの特性を活かした使い方があるのです。ですから、導入にあたっては、どちらが必要なのかを見極めることが大切です。
ここでは、CRMとERPの違いと、それぞれが持つ役割について解説します。

CRMとは?

近年、数多くのビジネスツールがクラウドサービスとして提供されるようになりました。CRMとERPもそうしたツールのひとつです。これらのツールには共通する機能も多くありますが、元々は別の目的のために作られたもので、同一視することはできません。

まず、CRMとは、「Customer Relationship Management」の略であり、「顧客関係管理」とも呼ばれます。顧客に対して良好な関係を築いて維持し、満足度を高めることでLTV(顧客生涯価値)の最大化を狙うという概念であり、そのための戦略を指します。また、CRMを実現するために活用されるツールについても、CRMと呼ばれています。

ここでは、ツールとしてのCRMについてご紹介します。

CRMのコンセプト

CRMは顧客との関係を管理することを目的としています。そのため、顧客情報を一元管理するだけでなく、自社と顧客とのコミュニケーション全般の情報を蓄積し、それを基に徹底した顧客管理が行えるよう設計されています。

その性質上、顧客との関係が始まる初期の段階から、優良顧客となった後までと長い範囲をカバーします。そのため、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)、カスタマーサポートで使われるCTI(コンピューター電話統合システム)などのツールとの連携を強化したり、重複した機能を持っていたりします。

CRMの基本的な機能

CRMは、自社と顧客との関係性に関わる、あらゆる情報を蓄積・管理し、抽出・分析するための機能を持っています。個々の顧客に関する基本情報に加え、その顧客とどのようなコミュニケーションをとってきたかの記録が、時系列で管理されています。商談の進捗記録や担当営業とのメールのやりとりなども、メーラーと連携することで一元的に管理できます。

また、蓄積されたデータを分析することで、隠れた営業課題をあぶり出すこともできます。

CRMのおもな用途

CRMは、顧客との関係性を向上・改善・維持するために用いられます。しかし、ツールの機能としては、顧客情報と自社とのコミュニケーション情報を蓄積・管理することがメインであって、それだけでは単なるデータベースに過ぎません。ですから、CRM本来の働きを発揮させるためには、このデータをいかに活用するかが大切です。

データの入力そのものは機械的な作業ですが、そのデータを特定の切り口で抽出し、分析するには人の判断が不可欠です。ですから、CRMを存分に活用するには、蓄積されたデータをどのように分析し、活動に落とし込むかというスキルも必要です。

CRM導入のメリット

CRMの目的は、「顧客満足の向上によるLTVの最大化」であり、そこから逆算して考えた場合に必要になるのが「顧客情報の共有」と「営業活動のチームプレイ化」です。CRMの数々の機能は、この2つを実現するために使われるものだととらえるべきでしょう。

情報を共有することで、セールス部門にありがちな情報の属人化を防ぎ、「営業担当者◯◯さんのお客様」が「セールス部門のお客様」に変化します。個々の顧客に対してチームとして対応すれば、業務効率は上がりますしトラブルの際にも迅速・的確な対応がとれます。結果として顧客満足度を向上させ、セールス部門全体の成約率を高めることにもつながります。それを実現するためのツールが、CRMなのです。

ERPとは?

ERPとは、「Enterprise Resource Planning」の略で、日本語では「企業資源計画」と呼ばれます。

経営に必要な資源である「ヒト」「モノ」「カネ」を管理し、経営戦略にもとづいた計画を立て、効率良く配分していくことを意味し、それを実現するためのシステムもERP、あるいは「統合基幹業務システム」と呼ばれます。

CRMと同様、ここではシステムとしてのERPについてご紹介します。

ERPのコンセプト

多くの企業では、経営資源としての「ヒト」「モノ」「カネ」は、別々の部署で管理されています。従業員についての情報は人事、製品や在庫については生産管理や在庫管理、資金については財務や経理が、それぞれ個別のシステムやツールを使って管理しています。

ERPは、これらバラバラに管理されている経営資源の情報を、一元管理する環境を提供します。そうすることで企業内の資源状況を俯瞰でき、効率的な配分ができるようになるのです。

ERPの基本的な機能

ERPは、企業内で使われるさまざまな管理ツールの機能を、ほぼすべて提供できます。人事、財務、会計、在庫、販売、セールスなど、各部署で使われる管理機能を網羅しており、さらにメーカー向けに生産管理機能をモジュールとして提供している製品もあります。

経営資源に関する情報をマスターデータとして中心に置き、リアルタイムで更新しながら、すべての部署で利活用できる機能を持っているのです。

ERPのおもな用途

ERPの使い道は、一言でいえば「経営資源の最適化」です。

これまで人事や財務、会計など、各部署の個々のシステムで管理していたものを、1つのERPに統合することによって、全体を見渡した上で経営資源の再分配を行うことができます。ですから、経営陣が自社の抱える経営課題を把握し解決するためには、大きな力となるでしょう。

ERP導入のメリット

ERPは、社内の経営資源すべての情報を一元管理していますから、生産状況や損益のバランスなど、欲しい情報をリアルタイムで知ることができます。ですから、経営上重要な数値をいくつか選び、ダッシュボードにまとめておけば、経営者は常に自社の正確な状況を知ることができ、日々の経営判断にスピーディに活かすことができます。

また、現場のスタッフにとっては、部門の壁を越えて必要な情報にアクセスすることで、業務の効率化とスピードアップを図ることができます。たとえば、セールスが顧客から急ぎの注文を受けた際、すぐに生産・在庫管理情報をチェックして必要数を確保し、納期を報告するという、すばやい動きが可能になります。

CRMとERPの導入・活用によって何が変わるのか

CRMもERPも、その大きな目的は経営課題を解決することにあります。しかし、元々コンセプトの異なるツールですから、導入によって「できること」にも違いがあります。

CRMは顧客関連の営業課題を解決する

CRMは、自社と顧客との関係性にフォーカスした、いわば「外向きのツール」です。

機能の上ではマーケティングを扱うMAや、営業支援を行うSFAと重複する部分があり、またこれらのツールとの連携によってさらに活用範囲を広げることができますが、いずれの場合も顧客の存在を抜きに語れません。

マーケティングにセールス、さらにアフターセールスの領域まで、顧客とのあらゆる接点におけるコミュニケーションを管理し、顧客満足度を上げるための方策を実施するために用いるのがCRMです。

ですから、CRMを十分に活用すれば、顧客に関連するあらゆる課題や問題をあぶり出すことができます。見込み顧客を案件化し、商談中の失注をできるだけ減らし、成約率を高めてリピート率を上げる。このような、顧客ありきの営業課題の数々を、CRMで改善・解決することができるのです。

ERPは部署を越えた経営課題を解決する

CRMに対して、ERPは「内向きのツール」です。

ERPは企業の経営資源を管理するツールですから、基本的に顧客は登場しません。ERPの中にはCRMの機能を備えたものもあるため、まったく登場しないわけではありませんが、ERP本来の役割は経営資源の一元管理です。

自社が持っている人材、資金、製品の質と量、さらにそれらがどこにどのように配分され、使われているのかが明確になります。すると、余剰資金が活用されないまま寝かされていたり、人員配置に偏りがあったりという不適切なバランス配分を可視化することができます。

そうしたアンバランスを、部署を越えて最適化し、経営資源の最適化を図ることで経営課題を解決していくのがERPです。

ERPを導入すると、経営資源に関わるあらゆる情報は1か所にまとめられ、各部署が必要に応じてそのデータを参照・引用することになります。また、企業全体の情報が、1つのデータベースに統合されることで、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを活用し、より精密なデータ分析を行い、経営に活かすことも可能です。

CRMとERP、どちらを導入すべき?

CRMとERPは、機能的に重なるところも多いため、どちらを導入すべきか迷ってしまう企業は多いようです。ですが、他の多くのビジネスツールと同じく、CRMもERPも「何のために導入するのか」「それによってどんな課題を解決したいのか」を明確にしておくことが重要です。その目的が明確であれば、どちらを選ぶべきかは自然と決まります。

セールスにフォーカスしたCRM

セールスは、利益を生み出す最前線です。そして、顧客満足度を高めることが、最終的に利益の増大に結びつきます。

見込み顧客が案件化しない。商談が途中で失注に終わってしまう。リピーターが育たない。これらはすべて、顧客が自社の提案や製品、サービスに満足できなかった結果ですから、顧客満足度を高めれば、これまで失っていた案件をすくい上げ、LTVをより高めることができます。

ですから、セールス活動に課題があり、売上をより伸ばす必要があるのなら、CRMの導入が適しています。MAやSFAと連携し、顧客との関係が始まる初期の段階から活用すれば、さらに効果的でしょう。

社内の最適化と広範な分析にはERP

社内の複数部門で管理されている情報を整理し、全体を最適化したい場合にはERPが適しています。

たとえていえば、家庭で家計簿をつけるようなものです。何にいくら使っているのかを可視化すれば、収入と支出のバランスも明確になります。それによってお金の使い方を変え、無駄遣いを減らして貯蓄に回すという調整ができます。つまり、「ヒト」「モノ」「カネ」の経営資源を、最適なバランスで再配分することができるのです。

また、ERPには自社の企業活動に関する、あらゆる情報が蓄積されていますから、幅広い領域での分析ができ、経営状態の正確な把握や経営判断に活かすことができます。

自社に必要なものを見極めた上で導入を

企業が抱えている課題はさまざまです。その解決のために各種ITツールを導入するなら、まず目的を明確にし、その目的に合ったツールを使うことです。

CRMもERPも、現代の企業活動において大きな効果を発揮します。今の自社にとって必要なものはどちらなのか見極めてから導入し、存分に活用してください。

 

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