アップセル・クロスセルとは?概念と顧客単価を上げる方法を解説

 
2023.3.16
アップセル・クロスセルとは、どちらも顧客単価を高めるための営業手法で、アップセルは「より上位の商品を購入してもらうこと」、クロスセルは「別の商品を一緒に購入してもらうこと」を指します。概要から施策、アップセル・クロスセルを成功させるポイントまでご紹介します。

アップセル・クロスセルとは?

アップセル・クロスセルとは、どちらも顧客単価を高めることを目的とした営業手法です。アップセルは、より高価格なものへの乗り換えを、クロスセルは、販売するメイン製品と関連した商品・サービスの購入をうながすことで、顧客への売上増を目指します。

これに対してダウンセルとは、現在、顧客に提供や提案をしている製品・サービスよりも、より機能や品質が劣る安価なものを勧める営業手法です。単価を下げることで、購入の見送りや契約の解除を検討している顧客に再考をうながし、失注や解約を防ぐことを目的としています。

 
 
 
 
 
コミュニティマーケティングで機能の紹介やアップセルの機会を創出
「コミュニティ戦略室」という専門組織の新設。専門組織によって戦略的なコミュニティー運営を実施することで、コミュニティーの投稿を営業やカスタマーサクセスの担当者に通知する仕組みを構築しています。

アップセルとは?

アップセルとは、現在、顧客に提供している製品・サービスよりも、より高機能で高価格なものへと乗り換えをうながす営業手法です。
 

代表的なやり方として、以下の3種類があります。

  • 上位機能やプランの提案
  • まとめ買いの提案
  • 定期コースの提案

もっともわかりやすいのが、「上位機能やプランの提案」です。たとえば、社内で使うパソコンを、より高機能な製品にアップグレードするよう勧めることは、まさしくアップセルに該当するでしょう。

「まとめ買いの提案」は、たとえばビジネスツールにおける「利用ユーザー(or アカウント)数」などが該当します。便利さや効果を実感した顧客に、「利用ユーザー(or アカウント)数を増やす」提案をするのは、サブスクリプション型サービスにおけるアップセルになります。

「定期コースの提案」は、たとえば「ミールキット」の販売において、単発で購入を続ける顧客に、定期での購入をうながすような事例が該当します。

アップセルの施策

アップセルの代表的な施策には、以下のようなものがあります。

  • 無料トライアル
  • キャンペーンで値引き
  • ボリュームディスカウント
  • まとめ買いで送料無料

「無料トライアル」と「キャンペーンで値引き」は、どちらも高額の上位機能やプランを導入しやすくするものです。サブスクリプションサービスの「アップグレードは、いまだけ契約から3か月間無料」などは、わかりやすい例でしょう。

「ボリュームディスカウント」と「まとめ買いで送料無料」は、スケールメリットによるコスト削減ともマッチする施策です。「50名以上の契約で10%ディスカウント」などが、これに該当します。

クロスセルとは?

クロスセルとは、顧客に提供する製品・サービスと併せて、関連製品も提案する手法です。
 
図の例のように、タブレットを購入した、または購入を検討している顧客に、キーボードの購入も勧めることが該当します。キーボードを購入すれば、ノートパソコン感覚でスムーズにタイピングができるため、セットにすることで製品単体よりも高い効果を得られる商品・サービスがあるときに活用できます。

クロスセルの施策

クロスセルの代表的な施策には、以下のようなものがあります。

  • 飲食店のドリンクセット
  • 医療保険のオプション
  • スマホ本体にケースやカバーの購入を提案
  • ECサイトでの「関連商品」「レコメンド」

「飲食店のドリンクセット」は、たとえば「100円プラスでドリンク1杯がつけられる」など、日常的に体験する機会も多いのではないでしょうか。「医療保険のオプション」や「スマホ本体にケースやカバーの購入を提案」は、上述したサービス・製品単体よりも高い効果を得られるものをセットで売る施策です。

ECサイトにおける、「関連商品の表示」や「レコメンド機能」もクロスセルの施策の1つです。購入品との関連性が高い商品を表示することで、クロスセルにつながるように顧客をうながします。

アップセル・クロスセルのメリット

アップセル・クロスセルのメリットは、ただ顧客単価を高めて売り上げを増やすだけでなく、営業コストの削減や顧客生涯価値(LTV)の向上にも貢献します。それぞれに使いどころは異なりますが、うまく使えば自社の収益向上に大きく貢献できます。ここからは、アップセル・クロスセルの大きなメリット2つを見ていきましょう。

効率良く収益を上げられる

新規の顧客を開拓して商品・サービスを販売するのに対し、アップセル・クロスセルは、既存の顧客に追加で売り込む営業手法です。これまでの取引を通じた信頼関係もあり、マーケティングや営業活動のコストは、新規顧客の獲得に比べて圧倒的に少なく済むため、効率よく収益を上げられるのです。

LTV(顧客生涯価値)の向上

顧客生涯価値(LTV)とは、企業が顧客から得られる売上の総額のことです。営業の現場では、契約数や新規顧客数と並んで、この指標を重視する傾向が強まっています。

アップセル・クロスセルは、この顧客生涯価値の向上に役立つ営業手法です。とくにサブスクリプション型サービスでは、利用ユーザー(or アカウント)の増加やオプション機能の追加などで月額課金額が増えれば、解約されない限りそれがずっと続くので、LTVの向上に大きく貢献します。

アップセル・クロスセルを成功させるには?

ここまで、アップセル・クロスセルがもたらす自社へのメリットを解説しましたが、自社の都合だけを押し付けても、アップグレードや関連商品の売り込みは成功しないでしょう。ここからは、アップセル・クロスセルを成功させるための5つのポイントをご紹介します。

1)顧客ロイヤリティを意識する

顧客ロイヤリティとは、顧客が商品やサービス、ひいては自社に信頼や愛着を抱いていることを指します。これが低いと「アップグレードしよう」と考えることはないので、顧客ロイヤリティの高さは、とくにアップセルにとって重要な指標となります。

顧客ロイヤリティを測る指標の1つが「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」です。これは、顧客に「製品を他人に勧めたいか」と質問して0~10の11段階で回答してもらい、9か10を付けた顧客を「推奨者」と分類する分析方法です。この推奨者にアップセル・クロスセルを提案することで、効率的な営業の成果を期待できます。

2)カスタマーサクセスの導入

カスタマーサクセス(Customer Success)とは、製品やサービスを通じて顧客の成功を支援する概念です。アップセルやクロスセルにより、顧客へ新たな出費を求めるには、その製品やサービスを用いて顧客側に利益をもたらすための能動的な働きかけ、すなわちカスタマーサクセスへの取り組みが必要になります。

3)顧客のニーズを正確に理解する

アップセル・クロスセルを提案するにあたり、その製品やサービスが顧客のニーズを満たすかどうかもきちんと精査しましょう。導入済みの製品・サービスの活用状況や、顧客が抱える問題を分析することで顧客のニーズを読み取り、それに応えるプロダクトの提案が可能となります。

4)タイミングを推し量る

アップセル・クロスセルの提案は、タイミングも重要です。たとえば「市況が変化した」「顧客側の事業拡大により、新たなニーズが生まれた」「顧客の課題を解決できる新製品を発売した」など、状況が大きく変わったときがチャンスです。顧客のニーズと併せてタイミングをしっかり推し量り、アップセル・クロスセルにつなげていきましょう。

5)顧客をより深く知る

ここまでに解説した顧客ロイヤリティにせよ、カスタマーサクセス、ニーズ、タイミングのいずれも、顧客のことを知らなければ実現できません。アップセル・クロスセルを成功させる背景には、「顧客をより深く知る」努力があるのです。

とはいえ、人力でそれをすべて賄うのは、膨大な労力が必要です。そこでCRM(顧客関係管理ツール)やSFA(営業支援ツール)を活用し、顧客の情報を蓄積させたうえで、日ごろから分析しておくことが大事になります。

 
 
 
 
 
売上アップの鍵は
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4ステップ
消費者の購買行動の目的はモノを「買う」から、お金を払ってジョブを「達成」し、自らを進歩させることに変化。カスタマーサクセスを実行するフィールドサービス部門で、顧客から有益なフィードバックを引き出すことや、新たな提案を行うなど、会社の顔として様々なタスクをこなせるようにするためのソリューションとして、Field Service Lightningをご紹介致します。

双方が満足のいくアップセル、クロスセルを目指そう

より効率良く売上を高めていく上で、アップセルやクロスセルはとても有効な方法です。ただし、闇雲に提案しても逆効果となります。

今回、ご紹介したポイントに留意しながらタイミングを計り、最適なアップセル、クロスセルの提案を行ってください。そして、自社も顧客も満足のいく結果を生み出しましょう。

 

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