インバウンドマーケティングとは?メリット・プロセス・事例を解説

 
2024.2.29

顧客を増加させ、売上を向上させるためには、効率的なマーケティングや営業活動が重要です。インターネットの普及で、企業からの情報発信が容易になったこともあり、インバウンドマーケティングを検討している企業も多いのではないでしょうか。

ここでは、従来の営業活動やコンテンツマーケティングとの違い、重要視される理由、メリット・デメリットのほか、実施時のポイントなどを解説します。

インバウンドマーケティングは「顧客を自社に引きつけるマーケティング」

インバウンドマーケティングは、コンテンツなどで、顧客を自社に引きつけるマーケティング手法です。

インバウンドマーケティングを行うには、まず、見込み顧客にとって有益な情報をコンテンツ化して、企業の公式サイトやホワイトペーパー、動画、オウンドメディアなどさまざまな場所に、多様な形態で用意します。その上で、SNSなどでの告知やSEO対策を実施して、見込み顧客にアピールしていきます。

興味を持った見込み顧客にそれらのコンテンツにふれてもらい、自社の製品やサービスへの興味や関心を高めてもらうことで、単純に成約を目指すだけでなく、関心を高めることができます。

「インバウンドマーケティング」と「従来の営業活動」の違い

インバウンドマーケティングが従来の営業活動と異なる点は、見込み顧客からの反応を待つということです。インバウンドマーケティングが「プル型」のスタイルとも呼ばれるのに対して、従来の営業スタイルは、そのほとんどが「プッシュ型」と呼ばれるスタイルで、企業が注力している製品を、見込み顧客に売り込んでいく、アウトバウンド型の手法だといえます。

インターネットが普及した現在では、製品やサービスの情報を簡単に得ることができるため、プッシュ型は、対応に時間がかかる点が目立ってしまい、敬遠されるようになってきたのです。

「インバウンドマーケティング」と「コンテンツマーケティング」の違い

インバウンドマーケティングとコンテンツマーケティングは、対象とする施策の範囲が異なります。インバウンドマーケティングの手法のひとつがコンテンツマーケティングだといえるでしょう。

インバウンドマーケティングは、コンテンツの提供などさまざまな手段を講じて、顧客や見込み顧客と交流を持ち、製品やサービスへの関心を持ってもらうことを重視しています。一方、コンテンツマーケティングは、コンテンツの提供を手段として、認知の拡大や見込み顧客の育成などを目指す手法です。

「インバウンドマーケティング」と「アウトバウンドマーケティング」の違い

インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングでは、企業とユーザーの関係性が異なります。インバウンドマーケティングはユーザーが関心のあるコンテンツを発信し、ユーザーに見つけてもらうプル型です。

一方でアウトバウンドマーケティングは、ダイレクトメールやテレアポ、展示会などで情報をユーザーに発信するプッシュ型です。コストをかけることによって、短期的な成果を出しやすかったり、不特定多数にアプローチできたりします。

インバウンドマーケティングが重視される理由

インバウンドマーケティングが重視される理由は、顧客の購買行動の変化です。インターネットの普及により、顧客や見込み顧客はかんたんに製品やサービスの情報を手に入れることが可能となりました。たとえば、BtoCの商材の場合、見込み顧客は何か欲しい商品があれば、まずはインターネットで検索するでしょう。製品の詳細やその評判を口コミサイトなどで調べ、類似商品と比較することも可能です。

顧客・見込み顧客の変化は、BtoBの商材の場合も同様です。BtoBでは、購入価格が高額になる傾向があり、企業内での検討や稟議も必要となります。従来はプッシュ型の営業で提案された製品の中から候補を絞って、検討を進めるプロセスでしたが、現在では、顧客・見込み顧客みずからがインターネットで購入する候補について詳細に調べ、企業側から購入先に連絡することが可能となりました。

商材を問わず、顧客や見込み顧客にとって、営業活動から情報を得る必要がなくなったことで、顧客行動が変化しているため、インバウンドマーケティングの必要性が高まっているのです。

インバウンドマーケティングの施策を行うメリット

インターネットの普及により、企業はインバウンドマーケティングに取り組む必要性が増しました。インバウンドマーケティングを行えば、多くのメリットが得られます。ここでは2つのメリットを紹介します。

<インバウンドマーケティングの施策を行うメリット>

  • 顧客満足度の向上
  • 低コストで行える

顧客満足度の向上

インバウンドマーケティングのメリットとして、自社の製品やサービスに対する顧客満足度の向上が挙げられます。

インバウンドマーケティングでは、顧客は提供された情報を自分のペースで分析し、製品やサービスを検討することが可能です。そのため、顧客は自身が納得するまで時間をかけることができ、満足度の向上につながります。

また、インバウンドマーケティングでは、顧客が納得した上で問い合わせるといったように、顧客が自分のペースで動けるため、顧客満足度向上につながります。従来の営業手法は企業から顧客に売り込む形でしたが、インバウンドマーケティングは、顧客からの反応を「待つ」スタイルの手法です。そのため、顧客のペースに合わせた営業活動を実現でき、顧客満足度向上に貢献します。

低コストで行える

従来のマーケティングと比較して、低コストで行える点も、インバウンドマーケティングのメリットです。従来のマーケティング手法では、テレビや雑誌などへの広告によって、莫大な広告費が発生するケースもありました。一方、インバウンドマーケティングでは、必要なコンテンツを制作したら、あとは顧客や見込み顧客を誘導するだけです。もちろん、SEO対策やネット広告などを併用することになりますが、従来の手法よりは、低コストですむでしょう。また、作成したコンテンツを中長期的に活用できる点も、コストの削減に貢献します。

インバウンドマーケティングの施策を行うデメリット

インバウンドマーケティングの主なデメリットは、成果が出るまで時間がかかる点です。コンテンツを制作・発信してもすぐに顧客を集客できるわけではありません。ある程度のコンテンツを発信したタイミングで成果が急に出始めることがあるため、継続して施策を打つことが大切です。

インバウンドマーケティングのプロセス

インバウンドマーケティングは企業にとってメリットの多い手法です。実際に、インバウンドマーケティングを実施する際は、全体のプロセスを4つに分けて進めると良いでしょう。ここでは4つのプロセスについて解説します。

<インバウンドマーケティングのプロセス>

  1. ターゲットの引きつけ(ATTRACT)
  2. ターゲットを見込み顧客へと育成する(CONVERT)
  3. 商談化・成約(CLOSE)
  4. 顧客に満足してもらう(DELIGHT)

1.ターゲットの引きつけ(ATTRACT)

インバウンドマーケティングの最初のプロセスは、魅力的なコンテンツでターゲットを引きつけることです。顧客や見込み顧客が何を求め、どのような情報を探しているのかを意識し、それに合わせたコンテンツを作ることが重要です。自社の宣伝が過剰にならないように留意し、有益な情報として認識してもらうことで、ターゲットとの関係性を構築していきます。魅力的なコンテンツができたら、SNSでの周知を図るなど、そのコンテンツがターゲットの目にふれるための施策を打っていきます。

2.ターゲットを見込み顧客へと育成する(CONVERT)

従来のマーケティングと比較して、低コストで行える点も、インバウンドマーケティングのメリットです。従来のマーケティング手法では、テレビや雑誌などへの広告によって、莫大な広告費が発生するケースもありました。一方、インバウンドマーケティングでは、必要なコンテンツを制作したら、あとは顧客や見込み顧客を誘導するだけです。もちろん、SEO対策やネット広告などを併用することになりますが、従来の手法よりは、低コストですむでしょう。また、作成したコンテンツを中長期的に活用できる点も、コストの削減に貢献します。
 
 

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3.商談化・成約(CLOSE)

ターゲットから育成された見込み顧客に対して、次のプロセスで商談化・成約を目指します。見込み顧客の検討や意思決定を尊重しつつ商談を進めますが、育成が不十分な状態では、契約がうまく進まないこともあります。ターゲットと丁寧にコミュニケーションを重ねつつ、適切なタイミングでの商談化・成約を目指しましょう。

4.顧客に満足してもらう(DELIGHT)

最後のプロセスは、顧客に自社の製品やサービスに満足してもらうことです。インバウンドマーケティングは成約で終わりではありません。サポートの充実などで、顧客を満足させ、製品やサービスに好印象を持ち続けてもらうことが大切です。顧客の満足度が高ければ、クロスセルやアップセルにつながる可能性も高まります。また、自社のファンとなってくれた顧客が周囲に紹介してくれ、新たな顧客やリードの獲得にもつながるでしょう。

インバウンドマーケティングを行う際のポイント

インバウンドマーケティングを行う際、以下の4つのポイントをおさえることで、効果を高められます。

<インバウンドマーケティングを行う際のポイント>

  • 自社の製品やサービスを知ってもらう
  • 自社の製品やサービスの理解を深める
  • 他社と比較・選択してもらう
  • ファンになってもらう

自社の製品やサービスを知ってもらう

ターゲットを引きつけるプロセスでのコンテンツ作成のポイントは、自社の製品やサービスを多くの人に知ってもらうことです。製品やサービスごとに、ターゲット層のペルソナを作り、どのようなテーマや課題に対し、関心があるかを考えた上でコンテンツを作ります。記事広告やプレスリリース、SNSを活用して広範囲に発信するとともに、自社のブログなどのコンテンツで中長期的な効果を狙うのも有効でしょう。

自社の製品やサービスの理解を深める

ターゲットを見込み顧客へと育成するプロセスでは、製品やサービスを深く理解してもらうことがポイントとなります。この段階では、課題解決のために情報収集をしているターゲットが対象です。コンテンツの提供で、疑問に答えるとともに、抱えている課題を、自社の製品やサービスがどのように解決できるかイメージしてもらえるとよいでしょう。

また、ターゲットによって必要な情報はさまざまなので、想定される情報を細かいトピックに切り分け、自社ブログなどに記事として記載したり、ホワイトペーパーを用意したりするのも有効です。さらに、セミナーやウェビナーなどを実施できれば、見込み顧客の疑問や課題に、対面で応えることができ、信頼感の醸成につながります。

他社と比較・選択してもらう

商談化して成約へと向かうプロセスでは、他社と比較し、自社を選択してもらうことがポイントです。多くの場合、この段階の見込み顧客はすでに購買は決めているものの、どの製品・サービスにするかは検討中という状態です。自社を選んでもらうために、コンテンツを通じて、差別化できる点をアピールしましょう。さらに、自社の製品やサービスを使って、課題解決に成功するイメージを感じてもらえるコンテンツが必要となります。

そのためには、デモやトライアルを用意し、実際に操作してもらうことも有効です。そして、実際に使ってみた上での疑問や質問、不安に応えられるよう、導入事例や「よくある質問」などのコンテンツも必要となります。

ファンになってもらう

成約した顧客に対しては、自社の製品やサービスのファンとなってくれるようなコンテンツを用意することがポイントです。製品やサービスを購入・契約してもらっても、満足を得られなければ、顧客が離れてしまう可能性があります。インバウンドマーケティングでは、成約後も、定着化やリピートのためのコンテンツを提供します。顧客向けサイトを用意して、顧客限定で情報を発信したり、顧客同士のコミュニティを作ってユーザー間の情報交換の場を作ったりすれば、定着率の向上にもつながるでしょう。

インバウンドマーケティングに必要なMAツールとは?

MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動において発生する業務を自動化できるツールです。新規顧客の獲得や、見込み顧客の育成に必要な施策を効率化できます。顧客の購買意欲にあわせて、適切なタイミングで施策を打てます。
 
 

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本資料では、SalesforceのMA・Account Engagement をご利用いただいているお客様からのリアルなお話を以下の4ステップにわけて解説しています。MAツールの導入を検討している方は参考にしてみてください。

  • ステップ1:導入検討から製品選択、社内の説得まで
  • ステップ2:人員/リソース、運用の始め方、実際の活用方法
  • ステップ3:活用で重視していること、効果、お気に入りの機能
  • ステップ4:さらにやってみたい「あんなこと」「こんなこと」

インバウンドマーケティングを導入した企業の成功事例

インバウンドマーケティングを導入して成功した企業事例を2つ紹介します。

<インバウンドマーケティングを導入した企業の成功事例>

  • freee株式会社
  • 株式会社土屋鞄製造所

インバウンドマーケティングの導入を検討している方は、参考にしてみてください。

freee株式会社

クラウド会計ソフトを提供しているfreeeは、オウンドメディアの「経営ハッカー」を運営しています。

経営ハッカーでは、中小企業や個人事業主の方に対して、会計や会社設立、経理などに関するコンテンツを発信しています。テキストだけでなく図解を用いて、複雑な情報をわかりやすく提供している点が特長です。

参考:経営ハッカー|freee株式会社

株式会社土屋鞄製造所

レザーブランドである土屋鞄製作所は、SNSとWebサイトを運用してコンテンツを発信して集客しています。

Facebookアカウントでは、テキストだけでなく画像・動画を使って自社商品を魅力的に発信している点が特長です。キャンペーンの告知や、鞄制作の裏側のストーリー、お役立ち情報のコンテンツも投稿しています。

参考:Facebook|株式会社土屋鞄製造所

インバウンドマーケティングを成功させるには?

インバウンドマーケティングは、従来の手法とは異なるスタイルで、企業に多くのメリットをもたらします。従来の手法と組み合わせ、効果的に運用することが重要です。Salesforceではインバウンドマーケティングについて解説したコンテンツもご用意しています。ぜひ、以下の資料もご覧ください。
 
 

はじめる前に読んでおきたい
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本資料では、MAツールの導入前に知っておくべき以下の5つのポイントについて解説しています。MAツールの導入を検討している担当者は参考にしてみてください。

  • Point1. MAが必要になった背景
  • Point2. マーケティング施策の考え方
  • Point3. MAのキホン
  • Point4. MA活用例
  • Point5. Pardotを選択すべき理由
 

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