パーソナライゼーションとは?チャネルやメリット、具体例などを解説

 
2023.8.17
「パーソナライズ」とは、顧客ごとに提供する情報やサービスを最適化すること。これはカスタマージャーニーやOne to Oneマーケティングが重視される昨今において、顧客体験を向上させるために重要な考え方です。昨今、マーケティングの手法はすべての人に対して同じ訴求を行うものから個別具体的なものへと移っています。この記事では「パーソナライズ」の意味やメリット、具体例などを解説します。

パーソナライゼーションは情報提供やサポートの顧客ごとの最適化

パーソナライゼーションは、情報提供やサポートを顧客ごとに最適化することです。具体的には、企業が個人から収集した好みや購買傾向などを分析し、製品の紹介情報やサポートなどにアレンジを加えて提供することを指します。

たとえば、ECサイトにおけるレコメンド(おすすめ)機能や、ニュースサイトで興味のある記事を表示させる機能などが、パーソナライゼーションの一例です。顧客に対して、より興味を持ってもらえそうな情報やサポートを提供することで、自社の製品・サービスを利用してもらえる可能性が高まります。

パーソナライゼーションが求められる理由

パーソナライゼーションが求められるようになった理由は、多様化した顧客が、自身に最適化された体験を求めていることです。たとえば、音楽ストリーミングサービスでは、再生履歴にもとづいて自動的にユーザーの好みに合う曲を収集・選別してプレイリストを作成する機能があり、多くの人が好んで利用しています。

Salesforceが作成したレポート「コネクテッドカスタマーの最新事情」によれば、顧客の66%が企業に自身のニーズや希望を理解してほしいと期待しています。この需要に応え、顧客それぞれに最適化されたサービスを提供することは、顧客に「自分は尊重されている」と感じさせ、顧客満足度を高める効果があるのです。

パーソナライゼーションの対象チャネル

パーソナライゼーションは、多様化した顧客に対応し、顧客ごとの特性に合わせたコミュニケーションが必要となるため、実施は難しいと感じられるかもしれません。しかし実際には、企業と顧客との情報のやりとりが発生するチャネルさえあれば、多くの場合で実施可能です。パーソナライゼーションが可能なチャネルには以下のようなものがあります。

<パーソナライゼーションが可能なチャネル>

  • Webサイト
  • メール
  • オンライン広告
  • モバイルアプリ
  • Webアプリ
  • オンラインチャット
  • コールセンター

それぞれのチャネルで、情報やサポートの提供形態は異なりますが、「顧客の興味」や「顧客との関連性・必要性」などを軸に、コミュニケーションを調整すれば、パーソナライゼーションは可能です。顧客がどのような情報やサポートを望むかを考え、パーソナライゼーションに取り組みましょう。

パーソナライゼーションに活用される情報

パーソナライゼーションは、これまでの顧客とのやりとりや、インターネット上で収集された情報などを基に実施します。これらの情報を踏まえることで、顧客の属性や特徴、ニーズに合わせたコミュニケーションが可能となるのです。パーソナライゼーションに活用できるおもな情報には、以下のようなものがあります。

<顧客とのやりとりから得られる情報>

  • B2B向け企業情報(業界、企業、収益、従業員数、テクノロジースタックなど)
  • 購買担当者のペルソナ
  • 購買担当者のステータス(既存顧客か見込み客かなど)
  • 前回の訪問、コールセンターとのやりとりからの経過時間
  • 顧客生涯価値(LTV)

<インターネット上で収集できる情報>

  • 位置情報
  • アクセス時間帯
  • ブラウザやデバイスの種類
  • サイト訪問回数、ログイン回数、閲覧ページまたは画面数
  • サイトに滞在した時間
  • メール開封率・開封数
  • プッシュ通知の消去数またはクリックスルー数

実際にパーソナライゼーションを実施するときには、これらの中から必要な情報を抜き出して活用します。どのような切り口や着眼点でパーソナライゼーションを行うかによって、適切な情報をピックアップしましょう。

パーソナライゼーションのメリット

パーソナライゼーションを進めるには、多様なチャネルと情報を活用する必要がありますが、パーソナライゼーションがうまく進められれば、企業にとっても多くのメリットがあります。ここでは4つのメリットを紹介します。

マーケティングの効率化

パーソナライゼーションのメリットは、マーケティングを効率化できる点です。パーソナライゼーションを実施できれば、顧客の好みやニーズに合わせた効率的な提案が可能となります。さらに、MAなどのツールを導入すれば、コミュニケーションの自動化も可能です。顧客ごとにアレンジされたコミュニケーションが、コンバージョンの向上や実際の購入につながり、マーケティングを効率化させるでしょう。

顧客満足度向上

顧客満足度を向上させられる点も、パーソナライゼーションのメリットです。顧客の購買行動やニーズが多様化しているため、自社が魅力的な製品やサービスを提供していたとしても、対応が画一的なものでは顧客の満足を得られない可能性があります。顧客ごとに最適化したコミュニケーションを図ることで、顧客は企業から大切に扱われていると感じ、製品やサービス、さらには自社そのものへの満足度が高まるでしょう。

見込み顧客の掘り起こし

見込み顧客の掘り起こしが可能な点も、パーソナライゼーションのメリットのひとつです。パーソナライゼーションを実施した場合、従来のマスマーケティングのような画一的な手法ではなく、見込み顧客の関心や要望に沿った情報が提供されます。そのため、画一的なマーケティング手法よりも、見込み顧客が顧客化する可能性が高まります。さらに、これまでの履歴などを基に情報を提供するため、提案をきっかけに、見込み顧客自身が気づいていなかった潜在的なニーズに応えられる可能性もあるでしょう。

パーソナライゼーションとカスタマイズの違い

パーソナライゼーションとカスタマイゼーションは最適化を行う主体が異なります。両者は、情報やサービスを最適化する点では同じですが、パーソナライゼーションは、企業側が最適化を行って顧客に情報やサポートを提供します。一方、カスタマイゼーションは、顧客が自分で製品やサービスを最適化する行為です。ここでは顧客へのメール配信とオンラインショッピングを例に、パーソナライゼーションとカスタマイズの違いを解説します。

■パーソナライゼーションとカスタマイズの違い

顧客へのメール配信の場合

顧客へのメール配信の場合も、配信内容を企業が調整するのがパーソナライゼーションで、顧客側での設定はカスタマイズに該当します。たとえば、運営企業がユーザーの関心に応じた広告を表示したり、ユーザーのメルマガ開封頻度に合わせて送信回数を調整したりすることがパーソナライゼーションです。一方、ユーザーがメルマガの受信頻度や受け取る内容を設定するのはカスタマイズです。メールを通じて、企業側から顧客に合わせるのがパーソナライゼーション、顧客側から使い勝手を変更するのがカスタマイゼーションといえるでしょう。

オンラインショッピングの場合

ECサイトでのオンラインショッピングのように、多くの情報が提供される場も、情報を取捨選択する主体によって、パーソナライゼーションかカスタマイズかが変わります。たとえば、パーソナライゼーションには、顧客のニーズに合った商品を表示するレコメンド機能や、購入履歴・閲覧履歴に関連するキャンペーン情報の送付などが挙げられます。

一方、ユーザーによる表示商品のフィルタリングや興味のある商品のリストアップはカスタマイズです。パーソナライゼーションとカスタマイズの相乗効果によって、顧客の情報が充実することで、より最適化したコミュニケーションが可能となるでしょう。

業種・業態別のパーソナライゼーション具体例

パーソナライゼーションを進めて顧客体験を向上させるには、企業側が顧客に提供する情報やサポートを調整する必要があります。ここからは、さまざまな業種や業態において、パーソナライゼーション施策を行った場合の具体例を、顧客に表示される画面とともに紹介します。

B2Bテック企業のABMの例

B2Bテック企業では、訪問者ごとに異なるページが表示されるようWebサイトをアレンジしています。これは、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)という、営業対象を組織(アカウント)単位で考える営業手法の一環です。

B2Cの靴小売店のパーソナライゼーションの例

B2Cの靴小売店は、過去にナースシューズに興味を示した人に対してのみ、ナースシューズを表示するパーソナライゼーションを行っています。ニーズがあると考えられる人にのみ情報を提示することで、情報提供の最適化を図っています。

金融サービスサイトのパーソナライゼーションの例

金融サービスのWebサイトでは、訪れた顧客が興味を持つコンテンツを表示するようにパーソナライゼーションを行っています。この手法は、訪問者のサイトエンゲージから興味や好みを推測して行います。

メールを活用したパーソナライゼーションの例

ある小売業者では、ECサイトを利用してカートに商品が残っている状態の顧客に対して、商品のリマインドメールと合わせて関連商品の情報を送付しています。リマインドという顧客接点を活用した例です。

SaaSアプリケーションのパーソナライゼーションの例

SaaSアプリケーションを提供する企業では、ユーザーに役立ちそうなヒントをリアルタイムで表示するパーソナライゼーションを行っています。ユーザーアクションに応じて、必要と考えられるメッセージが表示されます。

小売店のパーソナライゼーションドレコメンドの例

こちらの小売店のサイトでは、訪問者の購入履歴から好みの色やブランド、スタイルなどを収集し、商品検索時に関連性が高そうな商品をハイライト表示しています。これもレコメンド機能の1つです。

パーソナライゼーションを導入して良質な顧客体験を

パーソナライゼーションには、提供する情報を最適化することで、マーケティングの効率化や顧客満足度向上などのメリットをもたらします。従来の画一的なマスマーケティングから、顧客ごとのニーズに応えるコミュニケーションが重要視されるようになっており、企業にとってパーソナライゼーションは顧客との良好な関係を築く重要な手段といえるでしょう。

Salesforceではパーソナライゼーションに貢献するソリューションを提供しています。施策の自動化による工数削減や、AIの分析による費用対効果の向上などが可能なMarketing Cloudを、ぜひご検討ください。

また、Salesforceではパーソナライゼーションについて解説したコンテンツもご用意しています。ぜひ、以下のページもご覧ください。

 
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