MA(マーケティングオートメーション)とは?基本・ツールでできることをわかりやすく解説

更新日:2022.6.30
DX(デジタルトランスフォーメーション)がビジネスの現場で盛んに提唱されるようになった叫ばれる昨今、マーケティング分野もデジタル化が欠かせなくなっています。とくに営業活動を自動化するMA(マーケティングオートメーション)は、効率化と業績アップが同時に見込め、取り組みたい企業は多いのではないでしょうか。

しかし、MAはさまざまなことができる反面、使いこなすには正しい知識が必要になります。そこでこの記事では、MAについて、ツールでできることや基本的な機能などを、導入事例を交えて解説します。

MA(マーケティングオートメーション)とは?

MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動の自動化を意味する概念、またはそのためのツールを指す言葉です。

MAを活用することで、リード(見込み客)獲得から商談に至るまでの効率化や、営業活動の客観的評価などが可能になります。さらに、蓄積したデータに基づいたPDCAサイクルの構築にもつなげられます。

従来のマーケティング・営業活動は、データ分析やスコアリングなど、多くのマンパワーを必要としていました。MAを導入することで、これらの活動を人手に頼らず自動化できます。

これまでリソースを割いていた部分を効率化し、より有望なリードを営業部門に渡せるようになれば、成約率の向上も期待できます。

つまりMAとは、分析や評価、施策などを自動化することで、シナリオ作成やリードの精査など、本当に注力したい部分にリソースを割けるようになる環境を作るためのツールと言えます。

動画で見るマーケティングオートメーションとは?

マーケティングインサイト担当者が語るMAのホントとウソ

MAツールでできること

MAツールのもっとも大きな特徴は、各リードの情報やカスタマージャーニーを個別に管理できることです。人の手で顧客を管理する場合、分析やスコアリングには相当の時間がかかるうえに、個別営業にも限界があります。しかし、MAツールを使えば、これらの自動化・効率化が可能となり、より多くのリードにカスタマイズされた営業をかけられます。

MAツールでできることの例

  • 分析を自動化して、より多くの商談をより短時間で実施
  • 見込み客それぞれのカスタマージャーニーを視覚的に管理
  • 興味関心が高いWebページ閲覧者にのみ、特別なオファーをポップアップで表示
  • 見込み客の興味関心に合ったパーソナライズド・メールを送信

しかも、これらの例はMAツールによってほぼ自動化・可視化されています。担当者は、各施策の実行を判断する部分に注力できます。

 
 
 
 
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MAツールにはどんな機能があるの?

MAの機能は、ツールの種類やB2B・B2Cの違いで多少異なりますが、ベースはほぼ同じです。ここでは、おもな機能をいくつか解説します。

リード管理

リード管理とは、いろいろなコンタクトポイントで得たリード(見込み顧客)の情報を管理する機能です。企業名や氏名、役職などはもちろんのこと、流入のルートや行動履歴など、さまざまな情報を管理します。

スコアリング

スコアリングは、管理しているリードの行動、たとえばメールの開封率や自社サイトへの訪問回数などをベースに、スコアを加点していく機能です。
スコアの高いリードほど自社に興味がある、つまり「商談・成約に至る確度が高い」ということになります。

キャンペーン管理

リードをより強力に商談へと導くためには、タイミングの良いマーケティング施策が必要です。そのプランニングを支援するのがキャンペーン管理機能です。リードの属性や行動履歴に合わせ、いつ、どのような施策が効果的かを選択していきます。

One to One メール配信

One to Oneメール配信とは、顧客ひとりひとりに合わせて、最適にカスタマイズしたメールを送る営業手法です。ステップメールの内容をカスタマイズしたり、カスタマージャーニーのリアクションに応じて最適なタイミング・内容でメールを作成したりと、個別に具体的なメールを配信することで成約率アップが期待できます。

One to One メールを作るには、前段階として見込み客のピックアップや分析などが必要になります。これを人力で行うには多くの労力が必要ですが、MAツールを使えば、ピックアップや分析の自動化、メールテンプレートの活用などにより、省エネルギーで実施できます。

コンテンツ管理

リードの流入経路は、メールやソーシャルメディア、LP(ランディングページ)などさまざまなフォーマットにわたっています。MAツールでは、これらのコンテンツをまとめて管理可能です。コンテンツ制作および、管理の労力を大きくカットしてくれます。

新規コンテンツデータの作成はもちろん、既存コンテンツのリンクや画像の更新作業もでき、複数のフォーマットをまたいで同時に更新することも可能です。

分析レポート

MAツールには、分析・実行したプロセスデータを保存する機能も備えています。蓄積された膨大なデータを、分析レポートとして出力できます。

代表的なレポートの例は、見込み客ごとの行動分析や、実施した施策のスコアリングなどがあります。仮にこれらの入力や分析、レポート作成を人力でまかなおうとすると、膨大な労力が必要になります。分析レポート機能は、自動でデータを収集できるデジタルツールならではの長所と言えます。

SFA/CRMとの連携

SFA(セールス・フォース・オートメーション/営業支援システム)とCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント/顧客関係管理)は、それぞれ営業活動の管理・支援、顧客情報の活用といった目的を持ちますが、MAツールとは別個に運用されているケースがほとんどです。

しかし、MA・SFA・CRMはいずれも最終目的が共通しているため、お互いの情報を共有することで、さらなる効率化や精度上昇が期待できます。

例えば、MAツールから獲得したリード情報を、SFAで決定する商談内容に反映したり、MAツールに蓄積された顧客データから、CRMで顧客分析を行ったりといった使い方が考えられます。

MAは情報の集計や整理、抽出、解析など、膨大なデータから一瞬で結果を出すことを得意としています。ただし、ここまでで紹介した機能はすべてのMAツールに搭載されているわけではありません。ツールによって搭載されている機能には違いがあるので、導入前には必ず確認しておきましょう。

MAの必要性とメリット・デメリット

MAの必要性が叫ばれるようになった背景には、顧客が情報を入手する方法が変化していることが大きく関係しています。かつて、市場や商品の情報はベンダーが大部分を握っていましたが、現在ではインターネットの普及により、ベンダーを通さずに情報収集が可能になっています。

こうした環境の変化から、積極的にリードを引き込むべくマーケティング機能を強化しようという流れになり、そこからMAという発想とMAツールが生まれました。

民間の市場調査会社によると、DMP/MA市場規模※は年々増加し、2026年には8,655億円に到達するとの予測も打ち出されています。

※出所:(株)矢野経済研究所「DMP/MA市場に関する調査(2021年)」2021年11月10日発表
注:市場規模には、パブリックDMP、プライベートDMP/CDP、MAを含む。

MAのメリットと効果

MAの特筆すべきメリットは、「見込み客管理の効率化」や「One to Oneマーケティングの実現」にあります。企業は日々多くの顧客と接し、データを得ていますが、残念ながらそれらを適切に蓄積・活用できている企業は多くありません。しかし、MAツールなら効率的にデータを蓄積・分析でき、それに基づいたOne to Oneマーケティングも可能となります。

また、施策実施の効率化をサポートする機能も多数備わり、本来なら多くのリソースが必要なOne to Oneマーケティングの実施も省エネルギーで可能になります。顧客に合わせた、具体的かつきめ細やかな対応を実現します。

MAのデメリットと課題

いいことづくしに見えるMAにも、デメリットはあります。例えば、基礎となるシナリオは人の手で作る必要があり、運用できる人材の確保も必須条件となります。これらを実現するには、部署単位でMAの知識が必要となるため、それなりのコスト・リソースも必要となってきます。

とはいえ、MAツールを使いこなすために得た知識やノウハウは、すべて会社の財産となります。核となる社員が育てば、企業内研修も可能になるでしょう。MAに必要なコスト・リソースを考え、企業にとって無理のない計画でMA導入を検討してください。

 
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B2BとB2C、それぞれのMA活用

多くの機能を持ち、マーケティングのいろいろなプロセスで活躍するMAですが、B2BとB2Cでは、その活用領域が異なります。

B2B領域におけるMAの活用領域は、新規リードの獲得やスコアリング、ナーチャリングなど、営業部門に渡すまでがメインとなりますが、一方のB2C領域では顧客が個人単位であり、個人がすべての決定権を有するため、ほぼすべてのフェーズでMAが活用されます。

ただ、B2BとB2CでMAの本質的な使い方に違いはなく、リードの特性やニーズに合わせた施策で相手の興味を惹くという点で共通しています。MAツールを継続して活用すれば、顧客との継続的な関係構築にも役立ちます。

B2BとB2CにおけるMAの活用事例

ではここで、MAの活用事例を、B2BとB2Cそれぞれご紹介します。現在、自社が抱えている課題や問題と照らし合わせ、ぜひ参考にしてください。

B2B事例1 見込み顧客、問い合わせからの訪問件数がともに10倍以上に増加

 
事例企業:株式会社マックヒルズ
事業内容:広告企画・制作・実施、SP企画

SFAの導入で社内情報は共有できていたものの、それだけでは将来的に頭打ちになってしまうという危機感があった株式会社マックヒルズ。それを避けるには、新規リードの獲得・育成が必要と判断し、2015年にMAツール「Pardot」を導入しました。

顧客ごとにカスタマイズしたメール配信、ウェブ上でのリードの行動把握とそれに基づいたタイミングの良い営業活動などで、マーケティングの自動化と効率化を進め、その結果、見込み顧客数は一気に10倍以上に増加しました。

また、問い合わせを受けての訪問顧客数も、それまで年間20件前後だったものが2016年に185件、2017年には214件と、10倍以上増加しています。

B2B事例2 ナーチャリングの強化でウェブ集客数は3.3倍、商談数は4.4倍に

 
事例企業:株式会社atsumel
事業内容:ウェブマーケティング、集客コンサルティング、インターネットメディア事業

株式会社atsumelはまず、紙やExcelでバラバラに管理されていた情報をSFAで一元管理し、広告宣伝をウェブ広告に一本化しました。

問い合わせは爆発的に増えましたが、なかなか商談に結び付かなかったため、社内にインサイドセールス部門を設け、MAツール「Pardot」でリードナーチャリングを強化。問い合わせのあったリードをSFAに入力し、Pardotでウェブ上の行動を追跡するようにしました。

興味や関心を把握したら、それに適したコンテンツをシナリオに沿って配信、アポが取れたら営業担当に振る。このような一連の細かい作業の自動化と効果測定により、広告宣伝費を3年間で約半分にまで削減しながら、ウェブ経由の集客は3.3倍、商談数は4.4倍に増加しました。

B2C事例1 カスタマージャーニーに沿ったきめ細かいコミュニケーションを実現

 
事例企業:オイシックス・ラ・大地株式会社
事業内容:有機野菜など、安全性に配慮した食品・食材の通信販売

オイシックス・ラ・大地株式会社は、以前から「食に関わるカスタマージャーニー」を基に、ユーザーとのコミュニケーション戦略を立ててきました。

しかし、ユーザーとのチャネルはメールやLINE、SNSなど多岐にわたり、状況やユーザーのニーズに応じた対応が必要になるように。そうした柔軟さを求めて、それまで使っていたMAツールから「Marketing Cloud」に乗り換えました。

注文前のプッシュ通知のタイミングを細かく設定したり、ユーザーごとに使用するチャネルを変えたり、蓄積されたログの分析によって、より良いコミュニケーションを実現できています。

また、「不要な食材が入っていた」「同じメールが何度も届く」等のネガティブ体験をかなり排除でき、解約率の抑制にも貢献しています。

MAのスムーズな導入のために

活用の仕方次第で大きな力を発揮するMAですが、導入にあたって押さえておきたい3つのポイントがあります。次に紹介する3点に注意しておけば、導入がよりスムーズになるでしょう。

「やりたいこと」を明確にしておく

まず大切なのは、「MAを使って何をしたいのか?」を考えることです。もちろん、行き着くところは売上の向上ですが、B2BかB2Cかという違いによって、プロセスは大きく異なります。

まずは「顧客に対して何をするべきか」を洗い出し、現状の自社と顧客との関係性を整理してみましょう。すると、「すでにできていること」と「しなくてはならないが、できていないこと」がハッキリしてくるはずです。

達成までの全体像を把握しておく

やりたいことを明確にしたら、「しなくてはならないが、できていないこと」をどのように達成するかという、実現可能なレベルでの全体像を描きます。このときに役立つのが、「ザ・モデル」の概念です。

これはもともとセールスフォース・ドットコム社内で、提唱され使われていた営業プロセスのモデルで、案件の全体像ともいえるものです。セールスフォース・ドットコム出身の福田康隆氏による著書『ザ・モデル』で紹介されたことで、広く知られるようになりました。

前述の「できていないこと」をこのモデルの中に落とし込むと、どこがボトルネックになっているかがわかります。ひとつのプロセスの出口が次のプロセスの入り口になっていますから、どこを改善すれば最終的な数値が上がるかが見えてきます。

こうして、全体像を把握し、どこにどのように手を入れるのか、何のためにそれをするのかを明確にして、そのためにMAをどう活用するのかを考えてみましょう。

まずはスモールスタートで始める

MAを導入するとき、どれくらいの規模で始めるか。これは、企業の規模もさることながら、業種によってかなり事情が異なります。デジタル化があまり進んでいない業種では、現場のスタッフのリテラシーの問題もあるでしょう。新たなツールを導入することに対する、心理的な拒絶感も働くかもしれません。

MAは導入すれば効果が上がるというものではありません。戦略立案、ワークフローの構築、魅力的なコンテンツの作成やシナリオの設定など、運用上必要な作業は数多くありますし、そうした作業があってこそMAの効果が高まるのです。

そうしたことを考えると、まずはスモールスタートを切るのが安全です。少人数で使ってみて、何ができるか、どこまでできるかを確認してみる。そして、結果を評価してから、さらに拡大すべきかどうかを検討する。そうしたステップを踏んでいくといいでしょう。

MAは活用してこそ結果を生む!

MAは、SFAやCRM等のデジタルツールと同様、十分に活用すればとても大きな力を発揮してくれます。
しかし、ツールはあくまでも道具にすぎません。それを使いこなすのは現場の人間です。 MAに何ができるか、何ができないのかをきちんと理解し、マーケティング戦略、営業戦略に役立ててください。
 

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