人材育成はどのように進めていくべき?意義と手法を解説

投稿日:2019.10.28
企業の永続的な成長のためには、必要となる人材を育てる必要があります。どのような企業でも、新しく入ってきた従業員に対して仕事をレクチャーするということは行っているでしょう。しかし、目の前にある業務のための人材育成だけでなく、企業を発展させていくための戦略的な育成についても併せて行っていかなければいけません。
ここでは、人材育成の意義と手法についてご紹介します。

人材育成を行う必要性

企業が人材育成を行う意義は、いったいどこにあるのでしょうか。「なぜ人材育成をしなければならないのか」ということを知らなければ、適切な育成計画を立てることもできません。
まずは、人材育成の意義を認識しておきましょう。

業務効率を上げるため

人材の能力が上がれば、組織全体の業務効率も上がっていきます。
1の力を持った従業員が100人いる企業において、150の仕事をこなすためには、50人を追加で雇うという方法だけでなく、人材育成を行い、従業員が1.5の能力を発揮できるようにする方法もあるのです。

もちろん、業務効率アップは、個々の能力の向上だけで行えるものではありません。個人のスキルを上げるための人材育成だけでなく、適切な組織を作って機能させていくことで、より業務効率を上げ、組織としての力を伸ばしていくことができます。

企業の将来的なビジョンの実現のため

企業の経営ビジョンを達成するためには、そのための経営計画を立てるだけでなく、ビジョンの達成のために必要な人材を検討し、育成するという長期的な視点が不可欠です。そのため、人材育成計画は、常に経営計画を見据えた上で行う必要があります。

人材育成は人事担当、経営計画は経営陣と、双方がバラバラに動いていると、経営ビジョンにそぐわない方向に育成が行われてしまうおそれがあります。経営計画を達成するために、いつまでにどのような人材を育成しなければいけないのかを意識しましょう。

自社にとって最適な人材の育成のため

企業が主体となって人材育成を行うときは、個々人のスキルや能力をいかに伸ばすかという視点だけでなく、自社の持つ課題を解決するために、どのようなスキルを身につけてもらう必要があるのかという視点を持つ必要があります。

他社で営業としてさまざまな経験を積んできた人物であっても、扱う商材が変われば、身についた手法がかえって邪魔になってしまうこともあります。また、従業員が自己啓発を行った場合も、それが必ずしも自社の業務内容に直結するとは限りません。

自社にとって有用な人材を育成するためには、企業側が積極的に「未来を担う従業員を育てていく」認識を持つことが大切です。

人材育成の方法

人材育成の方法は多種多様で、それぞれ異なる特徴やメリットがあります。どのような目的で行うのかに合わせて選択しましょう。
また人材育成には、実際的な教育を行うもののほか、人材の成長につながる評価制度や面接制度、配置転換なども含まれます。教育を行うとともに、適切な人事制度を作って実行していくことが、人を育てることにつながります。

OJT

OJT(On-the-Job Training)は、現場で働く従業員が仕事の進め方について、実際に仕事をしながら後輩に教える手法です。現場の仕事をスピーディに教えられるため、新入社員や異動直後の従業員などに対して多くの企業で採用されています。

研修

従業員が集団で研修を受け、知識やスキルを身につけていきます。集中して講義を受けることで、体系的な学びを得ることができます。また、集団で受講することから、複数の人間が同一の内容を効率良く学べるというメリットもあります。
なお、研修の中にも、内部講師か外部講師か、社内で行うのか社外施設で行うのか、短時間なのか1日なのか宿泊なのか、単発なのか定期的に行うのかといった、さまざまな手法があります。

社外セミナー

社外で開催されているセミナーに、従業員を参加させる方法です。研修は自社が企画・実行しますが、社外セミナーは他社が企画・実行します。社内セミナーを実施するためのコスト・労力が不要で、1人からでも参加が可能です。受講人数が少なく、学習内容が一般的な知識である場合に適しています。

e-ラーニング

e-ラーニングでは、インターネットを通じて学習を行うため、研修会場に出向くことなく、離れた場所から受講ができます。インターネット上に用意された学習用の録画を視聴したり、学習プログラムを実行したりするタイプのものと、講師と生徒が同時に回線をつなぐことで、質疑応答などを行いながらリアルタイムで講義をするタイプの2種類があります。

自己啓発

自己啓発は、従業員自身が学習を行うものです。
自己啓発用の書籍の購入補助制度や、資格取得支援(資格試験費用の負担、資格取得者への手当の支給など)を行うことで、従業員の自己啓発をサポートすることができます。 従業員自身の「学習したい」というポジティブな気持ちを後押しすることで、成長意欲を育てていくことができるでしょう。

メンター制度

メンター制度は、おもに新入社員に対して、先輩の「メンター」をつけるものです。上司は部下に対して仕事面でのサポートを行いますが、メンターは仕事という枠を超え、社会人として働いていく上での幅広い相談にのったり、社会人生活のサポートを行ったりします。 新入社員の不安感をぬぐい、会社に馴染みやすくするとともに、メンターの先輩としての意識を育てるためにも役立ちます。

人事評価

適切な人事評価制度を作り、それを従業員に周知することは、人材育成のために必ずしなければいけないことです。
成長があっても、それが評価されないのであれば、従業員の意欲は低下してしまいます。また、評価を行わなければ、人材育成が計画どおり行えているかを知ることができません。

目標管理

従業員に目標を立てさせ、それを実現させていくことで、成長を促すことができます。短期、中期、長期と期間を区切って目標を立てさせ、達成を目指します。
目標管理を行う上司は、目標設定が適切かどうかチェックするとともに、目標の実現のためのサポートを行っていきます。

1on1

1on1とは、上司と部下が1対1で短時間の面談を定期的に行うことです。部下の課題や困っていることをすばやくキャッチし、サポートすることができるというメリットがあります。

ジョブローテーション

ジョブローテーションは、従業員を1つの部署に長く配置し続けるのではなく、定期的に配置転換を行う制度です。多くの部署を経験することで、従業員は仕事をより多面的な視点で見られるようになります。また、従業員の適性を知る上でも役立ちます。

権限委譲

権限委譲は、上司の持つ権限の一部を部下に委譲することです。部下にワンランク上の仕事を任せることで成長を促せるとともに、やりがいや仕事への責任感を高めることもできます。

人材育成の進め方

人材育成は、次に挙げる10項目のステップによって進めていきます。 適切な育成計画を立てるためにも、自社の進め方が適切かどうか、改めて考えてみましょう。

1. 現状を把握する

育成を行うためには、まず、現状を把握しなければいけません。
現状の把握とは、企業内でどこの部署がどれだけの仕事をこなしているのかということです。作業効率の良し悪しや、業務を進める上での課題についても、併せて確認する必要があります。

2. 将来のビジョンを見据えた人員構成と必要スキルを考える

自社の将来的なビジョンを見据え、そのために適切な人員構成と必要になるスキルがどのようなものかを検討します。
人材育成について検討するときは、人事戦略と経営戦略のすり合わせを行った上で、どのように進めるべきかを考える必要があります。

人材育成は、毎年同じ内容を繰り返していればいいというものではありません。時代や企業のビジョンに即した人材を育成していくための人材育成計画を、立案・実行していきましょう。

3. スキルマップを作成する

スキルマップとは、「誰がどのようなスキルを身につけていくべきか」という目安になるもので、多くの場合は表形式で作ります。

自社のさまざまな業務において必要になるスキルについて、「語学力」「OA操作」「顧客対応」などジャンル別に項目を作成し、「英語のメールを理解できる」「英語で返信メールが書ける」「英語で電話対応ができる」など、レベルごとにスキル目安を設定して、具体的に作成します。 スキルマップを作ることで、人材育成の道筋を可視化することができます。

4. 人材育成計画を立てる

具体的な人材育成計画を立てます。いつ、どのような方法で、誰に対して育成を行うのかを検討しましょう。企業全体の経営方針や一年を通しての事業計画なども考えた上で、従業員に負担がかかりすぎない計画を立てる必要があります。

5. 人材育成のための制度を整える

人材育成計画を立てた後は、いきなり実行するのではなく、そのために必要な制度を整える必要があります。 たとえば、自己啓発に対して補助を出すのであれば、申請から補助までをどのように行うのか、予算はいくらにするのか、どこから費用を捻出するのかといったことを決めなければいけません。

また、人材育成計画の結果を評価するための制度の構築も必要です。正しい評価ができなければ、人材育成計画を進める上でも支障がありますし、従業員のモチベーションも上がりません。

6. 育成を行う

ここまでのステップをクリアして、初めて実際の育成を行うことになります。 人材育成には、短期間で終わるものも長期的に行っていくものもありますが、どちらの場合も「何を目的として研修を行うのか」を、企業側と従業員側の双方が理解した上で実行に移します。

7. 現場で実践する

研修などで学んだことを現場で実践します。研修は、知識やスキルの学びの場です。それを、従業員自身の力にするためには、実際に使ってみる必要があります。「自分自身でやってみる」という経験は、大きく従業員を成長させます。

また、学びを現場に定着させることも大切です。せっかく新しいスキルを学んでも、現場が従来のやり方に固執してスキルを発揮する機会がなければ、学んだ知識はどんどん抜け落ちてしまいます。これでは、研修を行う意味がありません。

8. 評価を行う

行った人材育成の結果を評価します。これは、個々人のスキルの成長度合いを測るだけでなく、人材育成計画が適切に立てられているかどうかを判断する基準にもなるものです。もし、期待どおりの結果が出ていないのであれば、その原因を探る必要があるでしょう。

原因は、個人の適性にある可能性もあれば、そもそもの育成手法にある場合もあります。人材育成の結果を総合的に分析することで、次の課題が見えてきます。

9. 評価を基に人材配置を検討する

人材育成の結果を基に、従業員が最も能力を発揮できる配置を検討します。より適性の高い仕事を任せることで、従業員の能力を引き出しやすくなります。また、従業員の希望に合致した配置転換を行うことでモチベーションが高まれば、より意欲的に仕事ができるようになるでしょう。

適切な評価をすることは、従来の人材配置やチーム構成を改めて見直し、改善していくために役立ちます。過去にとらわれることなく、誰をどこに配置するのが企業にとっての最適解なのかを考え、実行することが大切です。

10. さらなる成長のための育成を行う

人材の育成は、従業員を雇用する限り続くものですし、企業の経営戦略も、企業が存続する限り常に更新されていきます。

人材育成には、段階ごとの小さなゴールがたくさんあります。しかし、企業としての最終的なゴールはありません。人材育成計画やスキルマップを定期的に見直し、常に上を見据えた育成を行っていくことが企業成長につながります。

人材育成を効果的に行うために

最後に、人材育成をより効果的に行うために意識しておきたいポイントを、まとめてご紹介します。

人材育成の目的とスキルマップを共有する

従業員に、人材育成の意義を理解させることができなければ、意欲を持って学習に取り組むことはできません。
スキルマップを共有して成長の道筋を可視化するとともに、何のためにそのスキルが必要なのかを理解させることで、人材育成の効果を高めることができます。

みずから考えさせる制度を作る

従業員自身に目標設定をさせることや、課題を見つけさせることも大切です。「やらされている」という意識を払拭し、当事者意識を持たせることができます。
従業員の希望に合った配置転換、自己啓発に対する補助制度、自分よりも上のランクの研修への希望参加制度の導入など、従業員が自分から成長したい気持ちを持てるようにする制度を導入していきましょう。

成長へのモチベーションを高めるようにする

評価制度を明確にする

従業員の成長に対する評価の基準が曖昧では、モチベーションは上がりません。どのように評価されるのか明確な基準を作ることで、評価者による評価のぶれも防ぐことができます。

従業員の負担を軽減する

従業員に研修やセミナーを受けさせることは、従業員に対して時間的な負担を強いることでもあります。また、自己啓発には費用もかかってしまいます。
このような従業員の負担をできるだけ軽減することで、従業員からの反感を防ぎ、無理のない育成を行えるようになります。

管理職に対しては管理に対する評価を行う

評価が必要なのは、一般の職員だけではありません。部下を持つ上司であっても、評価が必要です。 管理職に対しては、どの程度適切な管理が行えているかという観点で評価を行い、成長を実感できるようにしなければいけません。

常に人材育成計画を見直し、時代に即した育成を行っていくことが大切

経営戦略が時代とともに変化していくのと同様に、人材の在り方も変わっていきます。
自社に最適な人材を育成し、経営ビジョンを実現していくために、人材育成の在り方を常に考え、ブラッシュアップしていきましょう。
 

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