目標管理のフレームワーク、OKRのメリットと進め方は?

投稿日:2020.4.1
目標を設定し、そこに到達するプロセスを管理する手法は、これまでにも登場してきました。そんな中で、GoogleやIntelが実践し効果を上げている手法として注目されているのが「OKR」です。
ここでは、OKRの概要と導入のポイント、注意点などについて解説します。

OKRとは?

OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、日本語では「目標と成果指標」と呼ばれます。
組織として達成すべき目標を掲げ、全従業員がそこに近づく努力を傾け、実際にどこまで近づけたのかを成果として数値化する、目標達成のためのフレームワークです。達成が難しいレベルの目標を設定することで、そこに至るために組織内でのコミュニケーションを活発にし、個々のモチベーションを向上させて業務効率を高める狙いもあります。
この考え方そのものは目新しいものではありませんが、GoogleやIntelで導入され、その実効性が話題となったことから注目を集めました。国内外の多くの企業でOKRは導入され、その数は年々増えているといわれます。

企業の目標を個人の目標に落とし込む

OKRではまず、目指すべき目標(Objectives)を設定します。次に、この目標を達成するためにクリアするべき成果指標(Key Results)を3つほど設定します。
たとえば、「売上◯◯万円」が目標ならば、そこに至るための成果指標として「顧客単価を△△万円アップ」「新規ユーザーを□□%増加」などの数値を指標として設定しておくのです。
そして、OKRの特徴的な構造として、会社のOKRの下位に部門のOKRを置き、さらにその下に個人のOKRを配置します。つまり、企業の目標と部門の目標、さらに個人の目標までがひとつの延長線上に置かれることになります。
こうすることで、従業員ひとりひとりが会社のビジョンを理解しやすくなり、また自分に何が求められているかが明確になって、従業員全員が足並みをそろえてひとつの目標を達成するために集中することができます。

MBOやKPIとはどう違うのか?

目標に対して指標を設定し、評価するという手法には、MBO(目標管理制度)やKPI(主要業績評価指標)といった方法もありますが、これらとOKRはさまざまな点で違いがあります。

MBOでは、定量的な指標だけでなく、組織への帰属意識といった定性的な要素も扱います。また、MBOは人事評価制度として使われることが多く、人材管理という性質が強い手法です。 KPIは、目標達成のための数値指標という点では、OKRと変わりません。しかし、達成率100%が前提であるKPIとは異なり、OKRでは通常、より高いレベルに目標値を設定します。ちなみにGoogleでは、「目標の難度を上げてゴールを設定したほうが、達成に向けた従業員のエンゲージメントが高まる」という研究結果を踏まえ、目標を70%達成できたら成功となる数値指標を設定しているそうです。

OKRのメリットとは?

OKRは目標達成管理システムとしての機能はもちろん、派生的なメリットも備えています。そのいくつかをご紹介しましょう。

目標設定が容易になる

OKRでは、目標(O)と成果指標(KR)がワンセットになっていて、さらに組織・各部門・個人が上下に連なる、階層構造をとっています。そのため、組織の成果指標が、その下の部門が達成するべき目標となり、その成果指標が個人の目標につながっていきます。ですから、各部門も個人も目標設定が容易となり、ぶれを抑えることができます。
組織全体から部門へ、さらに個人へと目標設定を引き下ろしていき、それぞれが自分の目標達成のために努力することで、組織全体が目標達成へと動いていきます。全社的なプロジェクトなど、大規模な業務を多人数で回していくような場合に、OKRは特に有用でしょう。

会社と個人の意思統一ができる

OKRでは、会社の目標と個人の目標・成果指標が一直線上に並んでいます。ですから、個人から見ると、会社のビジョンを理解できるだけでなく、そのビジョンを実現するために自分の仕事がどのように貢献しているかを知ることができます。これは、業務に対するモチベーションの向上につながりますし、さらに、成果を出すための業務効率化の助けにもなります。
会社と個人が同じ方向を向くことで意思の統一を図ることができ、組織全体の業務効率を高めることにもつながっていくのです。

個人のミッションが明確になる

企業が成長し続けていくためには、限りあるリソースをいかに有効活用するかがポイントです。そのためには、「やるべきことをやる」だけでなく、「やるべきでないことはやらない」という明確な切り分けが必要です。
OKRは、そうした判断の拠り所としても機能します。部門でも個人でも、何らかのアイデアや提案が生まれた際には、OKRに照らしてみるのです。そうすれば、目標達成につながるかどうか、成果指標を高めるかどうかが明らかになり、そのアイデアや提案に着手するかどうかを判断できます。

メンバー間のコミュニケーションが活発になる

OKRはKPIとは異なり、より高いハードルを設定します。そのハードルをクリアするためには、個人の潜在能力を引き出すことはもちろん、部門全体がチームとなって機能し、メンバー全員が連携しつつ、総力を結集する必要があり、コミュニケーションの活性化が起こります。
これは、ひとつの部門内部だけで起こることではありません。各部門のOKRが全社で共有され、情報がオープンにされていれば、どの部署の誰がどんな仕事で会社の目標達成に貢献しているかがわかります。そこをベースとした従業員間のコミュニケーションやコラボレーションを促進する作用を、OKRは持っているのです。

OKRはどう進めれば良いか?

OKRの設定手順は、いたってシンプルです。しかし、各手順が意味するところをきちんと理解した上で進めていかないと、思うような成果を得ることはできません。
OKRを導入する際の設定手順について、順を追って説明していきましょう。

目標を設定する

何においても、目標(O)は高めに設定します。
いつもどおりの作業をこなして実現できる目標に意味はありません。OKRの場合、「ストレッチゴール」と呼ばれる、達成可能と考えられる値よりもさらに高い目標を設定することが多々あります。高い目標は組織や個人のパフォーマンスをより高めるという研究結果がありますから、これは理にかなったことです。

「かなりきつい目標値で、ただがんばるだけでは難しい。どうすれば達成できるだろう?」 そうした発想を引き出せるレベルに目標を設定するのが肝要です。
ただし、あまりに目標が高すぎて「実現不可能だ」と感じられてしまうと、あきらめが先に立ち、パフォーマンスが一気に下がってしまいますから要注意です。

成果指標を設定する

次に、目標を達成するためのガイドとなる成果指標(KR)を設定します。
当初の目標が高い分、ここでの成果数値も高めの設定となります。KPIなどとは異なり、達成率が60~70%前後になるレベルに設定します。同時に、この数値をいつまでに達成するのかも設定しておきます。
成果指標は通常複数設定しますが、あまり数が多いとパフォーマンスが分散してしまいますから、3つ程度にとどめておくのがいいでしょう。

OKRの設定を公開する

OKRを設定したら、それを全従業員が共有できるよう公開しておきましょう。こうすることで、会社の目標とその実現のために誰がどんな目標を持って動いているのか、明確になります。
さらに、個々の従業員にとって自分の業務が会社にどのように貢献しているのかがはっきりし、従業員同士の連携を高めることに役立ちます。

進捗を定期的に確認する

高い目標を掲げるOKRでは、従業員間の連絡・連携が目標達成に向けての大きな力となります。ですから、成果指標を常にチェックし、個人間だけでなく、各部署をまたいでのコミュニケーションを密にし、進捗を確認するようにします。
部内での遅れやもれはメンバー間のサポートで解決し、必要ならば他部署との調整も行います。

成果を測定する

期日が来たところで成果指標を集計し、その平均値を算出して目標の達成度とします。それが70%前後であれば十分な成果とみなし、検証を踏まえて次期のOKRを設定します。
このサイクルを繰り返すことで、業務効率とともに成果を高めていきます。

OKRにおいて注意すべきポイント

OKRの概念はシンプルで、いたって簡単なものです。しかし、導入・運用にあたっては、注意するべきポイントもいくつかあります。そうした点についてもご説明します。

目標設定は妥当か、説明は十分か

OKRでは一般的に、高めの目標設定がなされます。しかし、そのことについて、関係者に十分な説明がなされていないと、モチベーションの低下を招きます。
また、目標に対する成果は、一定期間で区切って評価しますが、このサイクルはあまり長くないほうがいいでしょう。四半期程度のスパンに区切り、評価結果を速やかに現場にフィードバックできる環境を整えておきましょう。

報酬に連動させるのは危険

組織に属する個人への評価指標としてMBOがありますが、OKRはそれとはまったく性質が異なります。目標に向けて成果指標を設け、その達成度を数値で評価しますが、それは個人の能力評価のためのものではありません。高い目標を達成するために何をするのかを明確にし、そのための業務に集中させ、周囲との連携を図りつつ、より高いパフォーマンスを引き出すためのものです。
ですからOKRは、その結果を人事評価には用いないことが基本です。それをやってしまうと目標設定が甘くなったり、正確な分析ができなくなったりと、OKR本来の目的から外れてしまう結果につながるからです。

経営陣・管理職の関与は必須

OKRに限らず、新たなワークフローや評価システムを導入し定着させることは、決して簡単ではありません。なぜそれが必要なのか、導入によって何がどう変わるのかということを、関係者全員が理解し納得する必要があるからです。そしてそのためには、会社の経営陣と現場を管理するマネージャーが積極的に関与することが不可欠です。

人は本能的に変化を恐れます。新たな概念、新たな方法論、新たな環境へ移行することで得られるものよりも、それによって何かを失うのではないかという心配が先に立ちます。そのため、変化に対して消極的になりがちです。
ですから、OKRの導入についても、それがどのような結果を生んでくれるのかを経営陣が熱心に説き、本気で導入・運用にあたらなければ、現場のスタッフはついてきてくれません。反対に、経営陣や管理職がOKRを理解し、その有用性に気づくことが、導入・運用を成功させる第一歩になるのです。

個人のモチベーションを組織の目標達成につなげる

OKRの概念はとてもシンプルで、それでいて多くのメリットを生み出すことができます。このフレームワークに慣れ、効果を実感できるまでには、多少の時間が必要かもしれません。
しかし、個人のモチベーションを向上させ、それを組織の目標達成に収束できるという点では、とても有効な目標達成管理手段といえるでしょう。
 

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