Salesforceの事例は理想の姿、その実現を目指し採用を決定
この問題の解決に向け最初に取り組んだのが、マーケティングの強化でした。2021年12月に、他社のMAツールが導入されています。そこに至るまでの背景について、渡邊氏は次のように説明します。
「実は10年ほど前にホームページを再構築し、会員登録制で当社商品のCADデータをダウンロードできるようにしました。その後にコロナ禍がきたこともあり、こちらから営業をしなくともお声がけいただける機会が増えていました。このようなホームページから流入したリードを売上につなげるため、まずはMAツールでシナリオベースのナーチャリングを行い、商談につながりそうなリードをリスト化して、営業担当者に提供することにしたのです」。
この取り組みによって「見込み客数」などのマーケティングKPIは一気に向上。これを梃子に「マーケティングから営業を変える」ことを目指したものの、結果的には思うような成果が出せなかったと言います。営業担当者に提供したリストはなかなか使われず、最終的な業績には変化が見られなかったのです。
ここで清水氏はMAツールも含め、情報基盤全体をSalesforceへと移行することを決断したのです
「この頃に知り合いの社長からSalesforceが紹介されたことをきっかけに、陣屋様などレガシーな産業における改革事例なども勉強させてもらったのですが、まさに当社が実現したい理想の姿だと感じました。これまでの当社の営業は、人と人との関係性だけで成り立っていました。これも重要ではありますが、それ以上に大切なのは必要な情報を必要なところに届ける仕組みを作り、それによってお客様の状況やニーズに応じた柔軟な対応を、全社で実施できる体制を確立することです。営業担当者が属人的に御用聞きを行う営業スタイルからの脱却を、業界全体に先んじて実現しようと考えたのです」。
Salesforceの導入を決めたのは2022年10月。Sales CloudとAccount Engagementが同時に導入されています。その後すぐにAccount Engagementの活用を開始し、10月の展示会で入手した名刺のメールアドレスに「お礼メール」を配信。その数は1か月で600通以上に上りました。その後、既存のMAツールから顧客情報をSalesforceへと移し、自社商品に関係する「お役立ち情報」や「課題解決情報」を盛り込んだメールマガジンの配信をスタート。このような取り組みによって、問合せ件数は以前の5~10倍になったと言います。
2023年5月には、愛知県・三重県を対象に地域に特化したシナリオベースのメール配信にも着手。新規流入したリードに対してまず「お礼メール」を送付し、その1週間後に「県の工事情報」や「イビコン商品の施工事例」などのメールマガジンを配信、これに対して反応があったリード情報をこの地域の営業担当者に渡しています。その後、2023年3月からSales Cloudの活用も本格的に始まっています。
「Account Engagementはシナリオが作りやすく、Salesforceの用語を理解すれば5分程度でシナリオを作成できます」と語るのは、シナリオとメールコンテンツの制作を担当する、イビコン カスタマーサクセス部 セールスサポート課 デジタルマーティング グループ長 兼 DX事業部 グループ長の倉橋 静香 氏です。「配信するメールはHTMLで作成しており、Account Engagementのフォームも組み込んでいます。そのためお客様の反応もすぐにわかります」。