ツネイシカムテックス株式会社

Salesforceを使って廃棄物の管理プロセスを効率化することに成功

廃棄物の引き合い・見積り・契約、搬入、保管、処理までの情報管理を 人と紙と印鑑の“超アナログ”からSalesforceを中心とするデジタルへ。
1,100時間の工数削減とデジタル文化の醸成に成功。

 

ツネイシカムテックス株式会社(以下、ツネイシカムテックス)は、福山工場の廃棄物情報管理をSalesforceでデジタル化しました。廃棄物情報を引き合いから契約、受入、保管、処理までの全プロセスを可視化。大幅な業務効率化を成し遂げています。

背景となる情報

ツネイシカムテックスは広島県福山市を拠点に、廃棄物の収集運搬、中間処理、リサイクル、最終処分までをワンストップで提供しています。科学技術の進歩に伴い変化し続ける廃棄物に対応するため技術開発にも取り組み、サーキュラーエコノミーを支える重要な役割を担っています。
また、アナログで行ってきた業務をデジタル化するため、Salesforceを中心としたDX化を積極的に推進しています。中でもQRコードを活用した廃棄物個体管理システムは、受入から処理に至る各工程において、“何が、どこにあり、いつ処理されたのか”といったステータス管理を可能にし、業界から注目されています。システムの開発において、パートナーとなった株式会社ウフル(以下、ウフル)の知見も生かされています。

導入の意義

「Salesforceに情報を集約し、活用する」を目標に、DX推進という言葉のない時代からアナログ業務の脱却に踏み切り、システムの構築と蓄積したデータの活用を推進。人と紙で動かしていたプロセスをシステム化することに成功しました。営業や現場担当者へのヒアリングを重ね、長い時間をかけて“みんなで作った”システムが誕生したことになります。

導入の効果

  • Salesforceの活用は、営業部門による案件管理からスタートしました。当初は案件ごとの廃棄物情報を登録するのみで、顧客情報管理としての側面は不十分でした。また、廃棄物処理の可否判定業務は、紙に出力して判定に回すスタイルでした。Salesforceの利用範囲を拡大することで案件に顧客情報や可否判定が紐づき一元管理、さらに完全ペーパーレス化されました。

  • 多種多様な廃棄物を混合処理する工程では、反応により発熱を起こしやすいものがあります。万が一、発熱などのトラブルが発生した場合は、どのロットのどの個体に問題があったのかを早急に知る必要があり、原因特定のための個体管理は必須です。その対策として、個体ごとにQRコードのシールを貼り管理するシステムを導入。受入から処理まで廃棄物を個別に追跡できるようになりました。

  • QRコードの読み取りには、スマートフォン型のハンディターミナルを採用。ウフルは、現場担当者にとって使いやすいアプリと、そのアプリが読み取った情報をSalesforceに連携する仕組みを開発しました。ウフルは、RFIDなど他のソリューションも検討した中で、最もコストが安く現場の負担の少ないやり方として、QRコードを提案。プロジェクトを成功に導きました。

  • 紙と印鑑による受入承認プロセスでは、可否判定の回答までに1週間以上かかるのが当たり前でしたが、Salesforceの承認ルート機能導入により、1週間以内に95%以上回答できるようになりました。さらに、案件管理と廃棄物情報の一元管理により、見積書の自動作成機能を搭載し、80%以上の案件が1週間以内に見積書を提示できるようになりました

  • ウフルのサポートを受け、Lightning Experience 環境への移行も完了しました。大型アップデートに伴い、従来の高度な案件/廃棄物情報管理に加え、営業活動支援の機能も利用し顧客情報管理を進めました。顧客とつながるシステムとして、Experience Cloudも導入。セルフサービス化で顧客との情報連携が迅速に行えるようになり、社内では情報入力にかかる負担削減にもつながりました。

事例のまとめ

  • 現場のやることは増えたが、価値の高い情報を得られる
    QRコード読み取りによる廃棄物の個体管理は、現場の業務を増やすことになりましたが、何度も重ねたヒアリングや改善プロセスによって理解を得ることができました。現場で必要な情報のレポートを作る人が出てくるなど、現場主導の情報活用が進んだことなども追い風になりました。現場での活用定着も今回のプロジェクトの成果のひとつです。

  • ビジネス規模が倍増してもバックオフィスの工数は変わらない
    導入前と比較すると、北関東から九州までをカバーする営業担当者の数はほぼ倍増。案件登録数も2倍程度になりました。しかし、営業活動をサポートするバックオフィス人員はほぼ変化なし。それでも工数削減により、余裕をもって対応ができています。Salesforceベースのシステムの導入の成果を試算したところ、年間1,100時間の工数削減に寄与しているという結果が出ています。

  • 搬入車両管理システムも運用開始
    以前、場内への誘導係は搬入車両の情報を手書きメモで確認して搬入順を確定、無線で受入担当者に連絡していました。デジタル化により、誘導係はタブレットで車両情報の確認や搬入順の登録ができるようになり、その情報は受入担当者のハンディターミナルにも共有されます。これにより受付から搬入指示までスムーズな連携が可能になりました。

  • 埼玉、常石工場にも展開へ
    ツネイシカムテックスでは、工場によって取り扱う廃棄物の種類や処理方法も異なり、プロセスや管理すべき情報も違います。そのため、単純な横展開はできませんが、福山工場の仕組みをベースに各工場で必要な要件を構築し、最適なシステムに改良しています。すでに開発はほぼ完了しており、現場へのトレーニングなどを経て本格運用を開始する予定です。

  • 同業界を対象とする導入支援を本格化
    ツネイシカムテックスとウフルは、今回のプロジェクトで得られた知見を広く同業界へと展開すべく、産業廃棄物処理の効率化を支援する廃棄物情報管理プラットフォームの提供を共同で行っています。ウフルは、QRコードによる廃棄物個体管理、見積書の自動作成、承認プロセスのデジタル化など、業務のDX化につながるトータルな支援を提供しています。

 

“廃棄物業界は、まだアナログなイメージを持たれがちです。そのイメージを払拭し、業界全体を盛り上げるために、今回のプロジェクトの成果を同業者へ展開していきたいです。”

辻田 寛子氏

ツネイシカムテックス株式会社
環境事業部受入課(兼)グループ新規事業室
 
 

1100時間

年間の工数削減

 

95%以上

1週間以内の受入可否判定の回答

※ 本事例は2024年8月時点の情報です
 

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