KDDI株式会社
本格的なパーソナライズで、もっと身近に。新MA基盤を稼働。
サービスをまたいだ施策を実現するために、SalesforceでMA基盤を一元化。
AIの活用でCTR3倍
KDDI株式会社(以下、KDDI)は、新たなMA基盤にSalesforce Marketing CloudおよびData Cloudを採用。Data Cloudで一元的に蓄積する顧客データを軸に、大量の施策を打ち、結果を分析するプロセスを高速に回せるようになりました。
背景となる情報
KDDIは、My au、au PAY、My UQ mobileなど、数十種類のスマートフォンアプリ(以下、サービス)を運用しています。これまでは、サービス別にMA基盤を稼働させるスタイルで運用していたため、サービス横断型の施策を打てないなどの問題がありました。そこで、Salesforce Marketing CloudおよびData Cloudを採用して「新MA基盤」を構築し、1つのMA基盤上ですべてのサービスを動かす方向へと転換。重要な施策から順次移行し、現時点で同時実行施策数を200から600と3倍にするなど、多くの成果を得ることができました。ジオフェンスの活用やAIを利用したパーソナライズなど、新たな展開も実行段階に入っており、顧客体験向上に向けた取り組みをさらに加速させています。
導入の意義
導入の効果
以前もMA基盤として使えるツールを導入していましたが、サービス別に別MA基盤を立てるようなイメージで運用してきたため、サービス横断型の施策を打つことが困難でした。一方、名寄せされたデータはあったため、それをData Cloudに移行。施策実行部分をSalesforce Marketing Cloudに切り替え、4つのサービスを新MA基盤上で動かせるようになりました。
2023年3月の稼働から約1年で、4つのサービスの運用を開始しています。以前はIaaSでレガシー連携していたこともあり、配信数に制限がありましたが、新MA基盤の導入により、同時実行施策数は200から600へと3倍になり、将来的にはさらに倍の1200を目指しています。また、人気のスマホ機種発売のキャンペーンにおいて、以前よりも大規模にメッセージを送ることができ、CT数1.5倍の成果に結びつきました。
新MA基盤で運用しているサービス間では、サービス横断型の施策も実施できるようになりました。サービス横断型の施策を検討する際には、シナリオの設定を1ヵ所で行い、機能を集約させることで各サービスを担当する部署の独立性を生かしながら、全体最適と個別最適をどちらも可能にする運用を実現しました。
ターゲティングの方針策定にあたり、移行期の混乱を抑えるために前MA基盤とほぼ同じロジックでセグメントを切れるように調整しました。Data Cloud上に共通で利用するセグメントを設定し、たとえばMy auで使ったセグメントを他サービスでもそのまま利用できるなど、オペレーションコストを50%削減することができました。今後は、Data CloudとSnowflakeを連携させ、自社以外のデータを使った配信などへも展開する予定です。
実行施策数が増えたことで、これまでできていなかったお客さまとの距離間を縮めてエンゲージメントを構築するお知らせや施策のターゲティングの細分化ができるようになりました。例えば、au PAYの利用でポイント還元を行うキャンペーンでは、au PAY未利用者の参加率は過去の同様のキャンペーンの3.4倍にアップ。au PAY利用者を増やすという全社目標にもつながる大きな成果を得ました。このキャンペーンでは、すでにau PAYを利用したことのある人のエントリーも1.6倍になっています。
事例のまとめ
CoE(Center Of Excellence)を設けてサービス横断施策を加速
これまでは、サービス別に部署があるイメージで、サービスの成果を最大化する施策については各部でノウハウを蓄積していました。一貫性のあるマルチチャネルコミュニケーションを実践するためにCoEを設置したことで、各部のノウハウの全体共有が加速。顧客体験という視点に立ってCoEが主導し、各部が協力して複数のサービス横断型施策を実行に移せるようになりました。AI活用を本格化
Salesforceを採用した理由の1つにAIの活用があります。現在、AIを活用し、Who(だれが)、What(何を)、When(いつ)という切り口で配信時間とアプローチの最適化に向けたテストを実施中。AIの活用によってCTR3倍の差があるという傾向が見えてきています。この結果をセグメント作成に活用し、顧客に不要な施策が届かないようにできます。今後はWhere(どのサービスで)の最適化にもチャレンジしていく予定です。顧客を「あたためる」アプローチでより親しまれやすく
実行施策数が増えたことで、キャンペーンを「実施のお知らせ」から「事前の告知」へと変更しました。前述のチャージキャンペーンは、興味のありそうな層を絞り込んで事前に告知し、キャンペーン前にチャージしておいてもらうなどの顧客行動につなげました。また、サービスと関係の深いコンテンツをよく見ている方をアプリダウンロードに誘導する施策では、アプリのダウンロード数を2倍に引き上げることに成功しています。
“これからは、今まで以上に顧客理解の解像度を高め、きめ細かくコンテンツを出し分けることで、3000万人のお客さま一人一人に寄り添っていけるようにしたいと考えています。すべては顧客のため。”
八木沢 大樹 氏
DXデザイン部 副部長
50%
複数接点横断キャンペーンのコスト削減
3倍
AI活用によるアプリプッシュ通知のCTR