情報武装による個々の社員の能力向上こそが最重要のテーマ
Salesforceの導入により京セラでは、営業担当者が客先へと商談に出向いた際にやりとりした内容や、顧客から入手した情報をすべてSalesforce上に入力。これまで各担当者の手元にしか残らなかった情報が、広く他のプロダクトラインを含む営業組織全体で共有できるかたちが整いました。
「その結果、まず部門間のハードルが一気に下がりました。情報が見えることで、特に最近では若手メンバーを中心に、共通のお客様に対して部門をまたがって共同提案するといった動きが実際に現れ始めています」と土器手氏はその成果のほどを紹介します。
またSalesforceは、2つめの職制・世代の壁の打破についても有効な手立てを提供しています。上司は、顧客にかかわる情報や日々の活動内容を踏まえて部下との会話に臨めるため、営業上の次なる一手やプロセスの進め方などについてより的確で濃密なアドバイスができるようになっています。さらに、このように上司の持つ熟練のノウハウが、確実に若い営業担当者へと受け継がれるのと同時に、商談のステージを数字として捉え、次に何をするべきかという、営業プロセスの変革にも有意義なインパクトをもたらすものとなっているといいます。
「ちなみに、この上下関係の壁を取り払うという観点では、例えば社長自らが、社内SNSなどを通じて、プライベートなトピックスなどの柔らかい内容も含めた情報発信を行うといった活動も行っています。そうしたことも社内の雰囲気、ひいては企業文化、組織風土を変える力となっています」と土器手氏は語ります。
そして3つめの製販の壁については、特に緊急を要するクレーム情報の共有で取り払われようとしています。最前線にいる営業から切迫感を持って品質保証部門、製造サイドにクレームを共有できる環境をSalesforce上に整えた結果、迅速でタイムリーな顧客対応ができるようになったといいます。
そのほかにも資材部門では、Salesforce上でサプライヤーの拠点を地図上にマッピング。台風の発生時にその経路からサプライヤーが被災する可能性など、部品調達に及ぼす影響をいち早く把握できるような仕組みも実現しています。これにより、状況に応じて代替品の調達の手配を行ったり、生産を適切にコントロールしたりといった施策をプロアクティブに講じることが可能になるなど、BCP対策の局面でも役立てていく対応も進められています。
こうしたSalesforceの活用を含めたDXの推進に関し、土器手氏が期待を寄せているのが、デジタル化が業務プロセスの改善や新たなビジネス価値の創造に貢献していくことはもちろん、それ以上にまず若手を中心とする個々の社員がデジタルを活用した情報武装によって、営業力や人間力など、その持てる力を高めていくことだといいます。
「営業にかぎらず当社社員全体が、京セラに所属して働くことで、そうした能力を向上させ、自社のビジネスはもちろん、お客様、さらには社会に対して、より大きな貢献を果たしていける未来を目指していく。それこそが当社のスタンスであり、Salesforceはまさに、それに向けた取り組みにおいて欠かすことのできない“武器”であると考えています」と土器手氏は強調します。