株式会社協和

ビジネスの中心はSalesforceデータ連携・集約・分析が実現する複数サービス間シームレス個客体験

新たな業務基盤としてSalesforceを採用、複数クラウドの活用で「Only for You/Just in Time」の実現を目指す

「エイジングケア3.0」を提唱し、生命科学にもとづく先端テクノロジーと、良い食事や良い睡眠、良い運動を組み合わせることで、顧客の疲れない身体づくりをお手伝いしている株式会社 協和。以前はテレビCMで新規顧客を開拓していましたが、2020年にはそれを全面的に停止、顧客起点のデジタルでのサービスの提供に向けてビジネスモデルを大きく転換しています。

その最大の狙いは同社のビジョンである「御用達の経営」を徹底すること。「マス」から「個人」へと視点を移すことで、顧客一人ひとりに最適なエイジングケアを提供することを目標としています。その新たな基盤として採用されたのがSalesforceでした。まずECサイトをCommerce Cloudで刷新し、Marketing CloudやService Cloudも導入。将来はSalesforce Customer Data Cloud for Marketingの活用も視野に入れており、全ての顧客に対する「Only for You/Just in Time」の実現を目指しています。

 
 

1. 「御用達の経営」をより徹底するためデジタル化に舵を切る

より健康でよりキレイになれる夢を実現する。そのために一人ひとりのお悩みやライフスタイル、ニーズに耳を傾け、欲しいときに欲しい商品やサービスを提供する「御用達の経営」を推進しているのが、株式会社 協和です。

1960年に協和薬品株式会社として創業し、1966年に健康食品や健康飲料の販売、1985年に通販事業、2004年にコラーゲンドリンク「フラコラ500」の販売を開始。現在では「fracora」ブランドのもと、単に老化を止める「アンチエイジング」から一歩進んだ「エイジングケア3.0」を提唱し、老化を病気とみなして若返ることを目指す先端美容を提供しています。生命科学にもとづく先端テクノロジーと、良い食事や、良い睡眠、良い運動を組み合わせることで、お客様一人ひとりの免疫力向上と、疲れない身体づくりのお手伝いをしています。

同社の事業展開で注目したいのが、2020年を境にビジネスモデルを大きく転換していることです。

「以前は商品を定期販売するモデルで事業を展開しており、新規顧客開拓のために積極的にテレビCMを打っていました」と振り返るのは、情報システム部 部長 兼 最高技術責任者(CTO)兼 最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務める向田 浩文 氏。「しかし2017年8月には社長自らが、テレビCMをやめてデジタル化に舵を切るという方針転換を打ち出しました。そして2020年1月を最後に、テレビCMを全て止めることになったのです」。

この大胆な判断を下した最大の理由は、同社のビジョンである「御用達の経営」をより徹底するためだと向田氏。ビジネスのターゲットを「マス」から「個人」へと転換し、fracoraブランドのストーリーを買っていただくと共に、それぞれのお客様に最適なエイジングケアを提案しようとしています。その一環として、fracoraのストーリーを伝える「Only for You/Just in Time」のオンラインコミュニケーションを推進。また、食事・睡眠・運動と生命科学の最新知識を学べる「fracora 生命科学アカデミー」のコンテンツ配信や、運動習慣で健康寿命を延伸する「fracora 朝のエクササイズ」の開催、会員向けのオンラインサロン「fracoraプライム」の運営など幅広く手掛けています。

「この新しいビジネスモデルの軸となるのがECサイトです。以前は基幹業務を国産パッケージで動かしており、ECサイトもその中に含まれていました。そのため基幹系システムで問題が発生すると、ECサイトにも影響が出ていたのです。Only for You/Just in Timeを実現していくには、まずはECサイトを基幹系パッケージから切り出すことで、デジタル技術を活用した顧客接点の変革を着実に推進できると考えました」(向田氏)。

 
 

2. 連携の柔軟性やアジャイル開発を評価、Customer360にも深く共感

そのための基盤として選択されたのがSalesforceです。まず国産パッケージからEC機能を切り出すため、2020年6月にCommerce Cloudの導入検討に着手。同年9月には要件定義を開始し、2021年6月に最初のリリースを行っています。またこれと並行してService Cloudも導入し、そのチャット機能を新しいECサイト内で活用しています。

「新たなEC基盤としてCommerce Cloudを採用した理由は、他のSalesforce製品との連携の柔軟性や、アジャイルでの開発が可能なことを高く評価したからです」と向田氏。またお客様を多面的に理解する「Customer360」という、Salesforceが打ち出している考え方にも、深く共感していると説明します。「このECサイトも、開発着手から最初のリリースまでわずか半年で実現できました。この時当社のDXを加速する基盤として、Salesforceに”賭ける"ことにしました」。

しかし最初にリリースしたECサイトは、要件定義が十分ではなかったこともあり、満足のいく仕上がりではなかったとも言及。この問題を解決するため、改修を進めた結果、最初のリリースから半年後の2021年12月に第2段のリリースを実施、現在は第3段のリリースに向けてユーザーインターフェイスの改善を進めています。

「新しいECサイトは、お客様がより楽しく快適にお買い物できるものにしたいと考えています」と語るのは、この改修を担当している、デジタルコンタクトセンター チーム長の山﨑 ちか 氏。Salesforceのパーソナライズ機能を徹底的に活用することで、Only for youの対応を実現していくと述べています。

また、ECサイトに組み込まれたService Cloudのチャット機能については、以下のようにコメントしています。

「以前はお問い合わせの90%は電話でしたが、チャットの利便性をお客様にプロモーションした結果、現在ではチャットの利用率が40%に達しています。ただし私たちが目指しているのは、電話を減らすことではなく、あくまでもお客様の二度手間や不便さを解消することです。お客様の多くはWebを起点に、チャットやメール、電話など、複数のチャネルを使いこなしています。デジタルチャネルでも温かみのある顧客対応を心がけると共に、最後は直接人と話をしたいというお客様を、大切にしていきたいのです」。

現在進められているECサイトの改修は、2023年8月に完了する予定。これに伴い、決済手段の多様化や、不正ログインの防止、商品ごとのメールパーミッション取得なども実現される計画になっています。

 
 
 
 

3. ECサイト運営を20%効率化、コンタクトセンターの人員も大幅に削減

それではSalesforceでECサイトを刷新したことで、どのようなメリットが得られているのでしょうか。向田氏は次のように説明します。

「以前は商品情報や商品棚の更新時にHTMLのコーディングが必要でしたが、Commerce Cloudでこれが不要になり、ECサイト運用の業務効率が20%向上しました。またチャットの組み込みや、アジャイル開発による継続的なUI/UXの改善で、電話によるお問合せも激減しています。当社ではコンタクトセンターの運用を外部の事業者に委託していますが、以前は180人で運用してもらっていたものが、現在では100名へと減少。いま進めているさまざまな業務のデジタル化施策によって、最終的には30名にまで減らせる見込みです」。

Salesforceによって刷新されたのは、ECサイトだけではありません。2022年2月にはMarketing Cloudを導入し、メールマガジンの配信や顧客セグメントに合わせたシナリオを内製で実装。LINEやSMSへのメッセージ投稿も実現しています。その裏側ではAI機能も活用されています。

デジタルチャネルの変革と並行して、ビジネス面での変革も進行しています。その1つが、2022年9月に始まった新しい定額制サービスです。これは最先端の生命科学の技術によるエイジングケアアイテムを、自由に組み合わせて月々の定額料金で利用できるというもの。これによって「自分にとってベストなアイテム」を、簡単に見つけ出せるようにしているのです。また会員向けのオンラインサロン「fracoraプライム」の内容も、2023年3月に拡充されることになっています。

このようなビジネス変革を支えるため、基幹系システムも、2023年3月には大幅に刷新される予定です。現在はまだチャット機能しか使われていないService Cloudを、顧客情報管理の軸にすることが計画されています。

「Service Cloudの活用を本格化することで、ECサイトを起点としたお客様体験のパーソナライズを、一気通貫で実現できるようになります。将来は顧客情報管理をSalesforce Data CloudのCDPに集約することも視野に入れています。これによって、今はまだ実現できていないリアルタイムでのパーソナライズも、可能になると期待しています」(向田氏)。

この2年間の取り組みで、収益構造は大きく変化したと向田氏。テレビCMをやめたことで一時的に売上は減ったものの、広告費が不要になったことで、利益率が劇的に改善しました。そしてその後は、デジタルチャネル経由での新規顧客が増えたことで、売上も着実に増大。デジタル化へと大胆に舵を切った社長の決断は、会社のあり方を大きく進化させました。

「新たなお客様が増えたことで、顧客構成も大きく変化しました。最終的に目指すのは、長年お付き合いしてきたお客様はもちろんのこと、新規のお客様に対しても、一人ひとりに最適な御用達を実現することです。そのための基盤としてSalesforceのCustomer360を、全面的に活用したいと考えています」。

 
 
 
 
※ 本事例は2023年1月時点の情報です
 

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