アポ率とマッチング率が向上、アドバイザー1人あたりの案件数も増加
次に行われた主要施策が、譲渡を希望する企業と譲受候補企業のマッチングへのAI導入です。
「以前は週次のマッチング会議を経て、アドバイザーが各自の知見をもとにして、譲受候補企業候補先をノミネートリスト化していました」と小林氏。Salesforce上での検索も可能でしたが、1条件あたりの検索に1~2分かかっており、5万社以上登録されている譲受候補企業から最適な買い手を見つけるには、かなりの時間がかかっていたと振り返ります。
この問題を解決するために活用されているのが、Revenue Intelligenceです。テンプレートの活用によって、検索方法も標準化していると栁瀬氏は語ります。さらに、Revenue Intelligenceに含まれるEinstein Discoveryが過去の成約データを元に、譲受候補先推奨リストを自動的に作成する仕組みも実現。この推奨リストはSalesforceで作成された「候補先打診管理画面」に表示されるようになっています。
「客観性の高い推奨先とアドバイザーの知見を組み合わせることで、より精度の高いマッチングを短時間で行えるようになりました。AIで代替できる作業はAIに頼り、アドバイザーはその他の様々な重要な業務に時間を割き、より集中できるようになっています」(栁瀬氏)。
これと並行して、アドバイザーの負担を軽減する施策として、Salesforceとメール/カレンダーの連携も行われています。Salesforceに活動履歴や活動予定を登録すると自動的にスケジューラーに反映され、逆にカレンダーに予定を入力した場合にはSalesforceに反映されるようにしたのです。
そして第3の主要施策がデータ分析です。ここでもRevenue Intelligenceを活用することで、各アドバイザーの活動状況や成果を可視化。優秀なアドバイザーの活動を抽出することで「どのような活動がより成約に直結するのか」といったナレッジが蓄積されつつあります。「これらのツールの可能性は無限大です」と栁瀬氏。今後はエリアごとの詳細な分析も可能にすると共に、より幅広いデータをアドバイザー自身が分析・活用できるようにしたいと述べています。
「Salesforceの活用を深めることでアポ率とマッチング率が向上、1人あたりの案件数も着実に増えています」と小林氏。M&Aは成約までに時間がかかるため、すぐその成果が得られるわけではありませんが、2025年9月期には240件のM&Aを成立させる計画を立てています。
ここで重要なのが、単に「Salesforceを使う」ことではなく、「徹底的に使い倒す」ことだと指摘。今後もSales Cloud UEの各種機能を「使い倒す」ことで、アドバイザーの生産性をさらに高めていきたいと語ります。
「当社の成約件数は業界でもトップクラスですが、年間6万社と言われる黒字廃業の解消にはまったく追いつけていません。これからもAIとアドバイザーの分業や、データドリブン戦略を推進することで、当社が考える『正しいM&A』の数を増やしていきたいと考えています」(小林氏)