株式会社ネクプロ

チーム間の「情報の壁」を取り払うため、他社問合せ管理ツールからService Cloudへと移行

サポート・営業・カスタマーサクセスが一体感を持って顧客対応できる体制を確立、システムコストを半減できたことも大きな成果

自社開発のウェビナー・動画配信プラットフォームである「ネクプロ」を提供すると共に、それをマーケティングの成功につなげるための各種支援も行っている株式会社ネクプロ。コロナ禍で問合せが一気に100倍になったことを受け、他社の問合せ管理ツールを導入することになりましたが、これがサポートチームと営業チームの間に「情報の壁」を生み出す結果となっていました。

この問題を解決するため、すでに社内で活用されていたSales Cloudとのシームレスな連携が可能なService Cloudへの移行を実施。これによって「情報の壁」が取り払われ、スピーディな情報共有が実現されました。またカスタマーサクセスチームとの情報連携も円滑になり、チャーン防止にも大きな効果を発揮。さらに、各種ツールをSalesforceへと一元化したことで、システムコストを半減させることにも成功しています。

 
 

1. 別々のツールによってできてしまった、サポートと営業との間の「情報の壁」

2005年に設立され、ウェビナー・動画マーケティング領域での事業を展開する株式会社ネクプロ(以下、ネクプロ)。自社開発のウェビナー・動画配信プラットフォームである「ネクプロ」の提供や、その活用で再現性の高い受注を生むためのコンサルティングサービス、ライブ配信などのイベントプロフェッショナルサービス、ウェビナーに特化した集客代行サービスなど、多岐にわたる取り組みによって、数多くの企業のウェビナー・動画マーケティングを成功に導いています。

「ウェビナーはコロナ禍で大きな注目を集めるようになりましたが、当社はそれ以前からウェビナーの可能性に着目し、マーケティングに特化したサービスを展開してきました」と説明するのは、ネクプロ 営業部で部長を務める糸谷英三 氏。ウェビナー配信を単発で行うのではなく、それを継続的な施策につなげられることが、ネクプロの大きな特徴なのだと語ります。

もちろんその価値を最大限に生かしてもらうには、顧客からの問合せに迅速かつ適切に対応しなければなりません。そしてその問合せ管理も、適切な形で実施することが求められます。

「以前はビジネス規模が小さかったこともあり、メールで問合せを受け、その管理を手作業で行っていました」と語るのは、ネクプロ 営業部の遠藤 拓巳 氏。しかしコロナ禍で問合せが一気に100倍になり、これではとても追いつかない、という状況になっていったと言います。「そのため、すでに導入していたSalesforce(Sales Cloud)との連携を前提に、別の会社の問合せ管理ツールを導入することになりました」。

しかしこの製品はSalesforceとの連携がある程度はできるものの、連携のキーとなる「会社情報」が完全一致していない場合には連携がうまくいかず、データによっては連携できないケースがあったと指摘。そのため過去の問合せ内容を確認するには、Salesforceとは別にこのツールへのログインが必要だったと言います。また営業チームはこの問合せ管理ツールにアクセスできなかったため、顧客からの問合せの中で営業チームと共有すべき内容があった場合には、サポートチームからSlackやミーティングで情報を準備してから共有する必要があったと振り返ります。

「その結果、サポートチームと営業チームとの間に『情報の壁』ができてしまいました。サポートチームと営業チームとの連携をスムーズにするため、この壁をどう解消していくかが、重要な課題になっていたのです」。

 
 
 
 

2. Service Cloudへの移行が可能にした、チーム間のシームレスな連携

そのために導入されたのが、Service Cloudです。2022年10月にSalesforceから紹介・説明を受け、既存の問合せ管理ツールからの移行を検討。その後わずか1か月で導入を決定しています。採用決定理由について、遠藤氏は次のように説明します。

「決め手になったのはSalesforceとの連携がシームレスに行えることですが、他にも柔軟性が高くカスタマイズが容易なこと、データ集計やレポート作成も簡単に行えることも評価しました。実際にデモを見せてもらったところ、画面構成が見やすく、そのレイアウトも自由に変更できたのです。また外部サービスとの連携が容易なことも、採用を後押ししました。例えば、問合せに対応したときに、その内容をSlackで通知するといったことも、簡単に行えるのです」。

2022年12月には移行に向けた準備に着手。Slackや自社サービスの管理画面上へのService Cloudのチャットの設置、サービスページやメールフォームからの情報動線の埋め込み、画面構成の調整などを行い、2023年1月に活用を開始しています。これだけ短期間で利用開始できたのは、Salesforceに詳しい人材が社内にいたことが大きな理由だと遠藤氏。これに加えてSalesforceのサポートが問合せに迅速に回答してくれたことも、重要なポイントだったと言います。

「Service Cloudへ移行したことで、営業チームとの連携が行いやすくなりました」と言うのは、ネクプロ サポートチームの加藤 瑠威 氏。以前は問合せツールに登録された内容をコピーし、それをSlackにペーストした上で、営業担当者へのメンションをつけて投稿する必要がありましたが、今ではこの工数が不要になったと言います。「さらに、Slackで飛ばした情報がきちんと共有されたのか、相手からの返事を確認する必要があり、これも含めると10~20分かかっていました。Service Cloudなら問合せ内容を登録すればすぐにSales Cloudにも反映されるため、この確認作業も必要ありません」。

また会社への問合せがサポートチームではなく、営業担当者へ届くケースもあります。そういった場合も社内でスムーズな確認ができるため、過去の問合せを取りこぼすことなく、適切な対応を行いやすくなったと言います。

自社製品の管理画面上にService Cloudのデジタルエンゲージメントを設置したことで、営業やカスタマーサクセスチームのメンバーは顧客からの問合せに対するやり取りを、リアルタイムで確認することが可能です。またチャットで行われたやり取り内容は、そのままService Cloudに残されるため、きちんと回答できているかどうかの判断を、後から行うことも容易になったと糸谷氏は言います。「エスカレーションがあった際も、過去のチャット内容をチェックすることで、問題を効率的に解決できるようになりました」。

 
 
 
 

3. 複数チームが一体感を持って顧客に対応、コスト削減も大きな成果

その一方で、チャーン防止などを担うカスタマーサクセス担当者にも、大きなメリットをもたらしています。

その具体的な内容について「問合せに対するやり取りがどのように行われたのか、Sales Cloudの画面でも見ることができるため、お客様の温度感が伝わりやすくなりました」と遠藤氏。お客様の不満がどの程度のものなのかが把握しやすくなり、チャーン防止の取り組みが行いやすくなったと言います。また既存顧客から別の部署やグループ会社が紹介されることも少なくありませんが、過去のやり取りを迅速に把握できるため、こうした機会のキャッチアップもスピーディに行うことが出来ます。

さらに管理者視点から「以前はサポートチームに閉じていた情報が、営業チームやカスタマーサクセスチームとも共有されたことで、これらのチームが一体感を持ってお客様に対応する体制を作ることができました」と言うのは、ネクプロ 営業部でマネージャーを務める長尾 風花 氏です。その一方で、問合せ対応ツールも含めてSalesforceに一本化したことで、コスト削減につながったことも、大きな成果だと指摘します。「トータルコストは以前に比べて、半分以下になりました」。

ネクプロは自社製品を活用し動画マニュアルの提供も行っていますが、2023年11月にはこれとSalesforceとの連携も実現。顧客がどの動画を見ているのかも把握できるようにしています。

「動画マニュアルの制作はサポートチームが担当しており、問合せの多い内容を中心にマニュアル化していますが、それらをお客様がどのように利用しているのかを知ることで、マニュアルの内容を改善していくためのループを回しやすくなるはずです。すでに動画は200本くらいあるのですが、今後は目的の動画にたどりやすくするため、利用状況を見ながらこれらを整理していくことも検討しています。また、どのお客様がどの動画を見たのかという情報を、カスタマーサクセスが活用するという使い方も考えています」(長尾氏)。

今後は見積・請求・売上管理まで、Salesforceに統合していくことを検討していると糸谷氏。「最終的にはお客様に関する情報をすべてSalesforceに集約し、全社でシームレスに活用できる基盤を作り上げたいと考えています」。

 
 
 
Salesforceへの一本化によるコスト削減割合
 
 
 
 
※ 本事例は2023年12月時点の情報です
 

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