3. 社員の給与は業界トップ水準へ、広告手段の多様化で認知度も向上
2018年より、売上と粗利は毎年20%ずつ増大。前述の給与上昇ルールに従い、社員の給与も毎年10%ずつ上昇してきました。現在の営業職の給与額は、平均29歳で830万円。営業管理職は平均32歳で1,200万円程。不動産の平均年収は30歳で550万円前後と言われているので、sumarchの給与水準は極めて高いことがわかります。企業口コミサイトでも「★4.3」と、極めて高い評価を受けています。
これに伴い社員の離職率も下がりました。2015年の離職率は約3割、2020年以降の離職率は1割程度、管理職に限ればほぼゼロになっていると奥田氏は指摘します。不動産業界は独立しやすく、管理職が部下を引き連れて新会社を作るといったことも少なくありませんが、sumarchの管理職が離職しない理由は給与以外にもあると鳥居氏は説明します。
「それはSalesforceを活用したインサイドセールスによって、案件づくりを会社が仕組み化していることです。これは営業にとって『成約に集中できる』というメリットがある一方で、会社にとっても営業の再現性が高くなることで、当社だからできる環境が生まれ、結果、離職者が減る、というメリットをもたらしています」。
粗利の増大は給与の上昇だけではなく、集客や認知拡大の選択肢を広げることも可能にしました。駅やロードサイドの看板広告、テレビCMなどへの出稿を行うための、原資が確保できるようになったからです。
「インターネット以外の広告手段を活用できるようになったことで、愛知県内での認知度は一気に上昇しました。今では新卒採用のための会社説明会に参加すると、学生の7~8割は当社のことを知っています。2021年には広告制作を内製化しており、クリエイティブの改善を短期間で行えるようにすると共に、社内の職種を増やすことで社員の可能性も広げています。さらに2022年からは動画配信サイトでの発信もスタートしています」(鳥居氏)。
このような快進撃は、融資を行う銀行からも一目置かれています。sumarchでは2018年から、Salesforceに蓄積されている各種経営データや不動産在庫データを銀行に開示していますが、これを4年間継続した結果、2021年からは担保なしでの借り入れが可能になっているのです。
「Salesforceに蓄積された情報は信憑性が高いと評価されており、現在では無担保で約30億円の融資を受けられるようになっています。これは不動産業界ではなかなかないことだと思います。また在庫管理もSalesforceで行っていますが、銀行からは『ここまできちんと情報を管理しているところは他にない』と言われています」。
Salesforceを活用した仕組みづくりによって「打率3割」のヒットを確実に飛ばせるようになったsumarch。毎年2割の粗利増大、給与上昇などによる人材定着、より戦略的な広告による認知度向上、さらには無担保融資によるキャッシュフロー強化といった「正のスパイラル」によって、これからも確実な成長を遂げていくことになるでしょう。しかしその原点はあくまでも「会社の数字を見えるようにする」という、当たり前のことをシンプルにやってきた結果だと、鳥居氏は語ります。
「数字が見えれば間違いなく、社員の意識が数字をコントロールすることにいきます。実際に当社の部長は私が示した目標に対して『さらに5%上を目指します』といったことを提案してくれます。いい人たちと、前向きに、いい仕事ができる会社となり、今では事業成長が会社と人の成長にとって、とても大事なことだと感じています」。
最後に鳥居氏から、読者への次のようなメッセージもいただきました。
「数字は全ての入口であり、状況を表す事実です。どれだけコントロール可能な数字を作れるか、それをもとに会話できる文化をいかに定着させるかが重要です。これはエクセルやスプレッドシートでは到底実現できません。事業成長のために企業文化をどうしていくかに悩んでいるのであれば、まずはSalesforceを入れてコントロールすべき数値を可視化し、事業計画を因数分解して組み立てていくことです。価格以上のパフォーマンスは確実に出せるので、入れない理由はないと思います」。
※ 本事例は2023年10月時点の情報です