被害者が犯罪行為を通報し、捜査の進捗を確認できるセルフサービスポータルを開設
2つの警察機構は、Salesforceプロフェッショナルサービスと提携し、公共機関向けソリューション(PSS:Service CloudとExperience Cloudを含む)を活用して市民向けセルフサービスポータルを構築しました。わずか15週間の導入期間で、英国初の取り組みとなりました。このモデルは、今後同様の施策を検討している他警察機構にも参考事例として注目されています。さらに、Marketing Cloudを通じて、被害者には捜査の進捗状況に応じたトリガーベースのEメールやSMSが配信され、常に最新情報を届けられる仕組みになっています。
MuleSoftは、既存の警察システムと連携し、データの変化を検知する役割を果たしています。検知されたデータは安全に処理されたあと、ポータルやMarketing Cloudに提供されます。その結果、関連性の高いパーソナライズされた情報を、タイムリーに被害者に共有できるようにしています。被害者の、満足度が向上したというフィードバックが早くも届いています。
捜査の進捗をデジタルで確認できるようにして、コンタクトセンターの通話件数が10%減少
犯罪が報告されると、被害者はポータルに登録し、捜査の最新情報にアクセスしたり、担当警察官と直接やり取りしたり、事件の進行状況を追跡することができます。すでに6,000人の被害者がポータルに登録しており、平均して4回以上ポータルを訪れて進捗確認しています。この結果、電話での問合せが減り、コンタクトセンターのオペレーターの生産性が高まっています。TVPとHIOWCではFTE換算で31人分に相当する140万ポンド(約2.7億円)を削減して効率化を実現。オペレーターは緊急通報への対応により集中できるようになりました。
パーソナライズされた最新情報とナレッジ記事の提案により、被害者支援を一元化
警察と市民の間に信頼を築くには、透明性も重要な要素です。ポータルでは、捜査の進行状況をひと目で把握できます。新たな進展がある度にSMSやメールで被害者に通知されます。また、被害者と担当警察官がポータル上で直接やり取りできるため、被害者はサポートされているという実感を得られます。
警察では、300を超えるナレッジ記事とともに、被害者が利用可能なサポートサービスに関する情報も公開しています。また、ポータルは、捜査の状況に応じて最も適切なアドバイスや情報へと被害者を案内できるように設計されています。
被害者をあらゆるステップで支えるカスタムコミュニケーションジャーニーを構築
以前は、犯罪を受け付けたことを知らせるだけの標準メールテンプレートしかなく、個別のやり取りを行う余裕はありませんでした。今では、Marketing Cloudを活用した「デジタル被害者ジャーニー」を作成し、動的コンテンツを用いて次に取るべきステップや利用可能な支援など、より関連性の高い情報を届けられるようになっています。
これらのジャーニーは、Mulesoftを介して通報管理システムとMarketing Cloudを連携させることで、犯罪が報告された時点で即時に開始できます。犯罪受理番号の確認通知、ポータル登録リンク、捜査のあるタイミングでのアップデートなど、120を超えるトリガーベースのメッセージがSMSやメールで送信されます。被害者には、自身のデータがどのように捜査当局や各支援サービスと共有されるか、メール通知を希望しない場合の停止方法、フィードバック用アンケートの案内に関する情報も提供されます。
マルチチャネルでの対応により、市民と警察のやり取りをモダナイズ
セルフサービスポータルは、市民が公共サービスに求める関わり方の変化を反映したものです。TVPとHIOWCは、このポータルを通じてソーシャルプラットフォームとの連携や、マルチチャネル戦略の強化を実現しています。オンラインやセルフサービスに対応しつつ、人との対話を望む人には電話窓口を、と多様なニーズに寄り添っています。ポータルの開発では職員の意見が反映されており、既存システムの中にに統合することで、新たなテクノロジーを習得する手間を省いています。さらに、コンタクトセンターの経験豊富なオペレーターは、より個別な(多くの場合、より複雑な)案件に多くの時間を割くことができます。このような取り組みは、市民との信頼関係を深めて、警察が先進的で、デジタルで、親しみやすく柔軟性のある存在であることを印象付ける鍵になります。