2. 「一問一答型」から「複数提示型」への移行で解決率が大幅に向上
WILLERがまず実現したのは、顧客がフリーワード(自然言語)で質問を入力すると、その質問に対してAIが「一問一答型」で回答するチャットボットでした。またAIが答えを提示した後、「解決しましたか?」という質問をAIが行い、それに対して「はい/いいえ」で顧客が答える仕組みも組み込まれています。
「AIによる最後の質問は、チャットボットによる解決率を計測するために行っています」と言うのは、WILLER カスタマーサービスグループでスーパーバイザーを務める森 修平 氏。この質問に顧客が「はい」と答えた割合を、解決率にしているのだと説明します。「しかし一問一答型では解決率がなかなか向上しませんでした。チャットボット導入当初に30%程度だった解決率は、パーソナライズを進めていくことで36%まで向上しましたが、これが限界だったのです」。
この問題を解決するため、WILLERは回答の方法を大きく変更することにします。質問入力後に関連しそうな選択肢を提示し、そこから該当するものを選んでもらった上で回答を行うという、「複数提示型」へと移行していったのです。
「これによって解決率は急速に向上していきました。36%だった解決率が、現在では50%になっています。また解決率の他に、フリーワードに対して最初の選択肢を示すことができた割合を示す『回答率』、チャットが最後まで行われて『解決しましたか?』にまで到達した割合を示す『正答率』も計測していますが、回答率は99%、正答率も8割弱になっています」(森氏)。
これらのKPIをシステム側の視点から見れば、回答率は顧客が入力したフリーワードでの質問をAIが解釈できた割合であり、正答率はその質問をAIが理解した上でService Cloudから適切な情報を選択できた割合だと言えます。これらが十分に高いことは、解決率向上の重要な要素です。しかし、解決率は常に、正答率よりも低くなります。「解決した」と感じるか否かは、質問者の主観や質問の仕方にも影響されるからです。
「たとえば、台風が多い時期には運休確認の質問が多くなりますが、この場合はお客様が求める答えが明確なので、解決率はかなり高くなります。その一方で、商品内容に関する問合せは、顧客がどのような情報を求めているのかが曖昧なことが多く、解決率も低くなりがちです」(森氏)。
チャットボットで解決に至らなかった場合(「解決できましたか?」に対して「いいえ」が選択された場合)には、有人チャット対応か電話対応の選択肢が示され、オペレーターによる対応へと進みます。この時点でカスタマーセンターのオペレーターには、Service Cloudの画面上にこれまでのやり取りが表示され、AIからシームレスに引き継がれるようになっています。