株式会社 Z 会

Marketing Cloud で会員獲得プロセスを最適化。前年比 154%の成果を得る。

詳細な FAQ サイトの開設など、さまざまな改革を実施。
顧客の声を聞く体制を整え、より顧客に寄り添った運営を目指す。

株式会社 Z 会(以下、Z 会)は、通信教育の大手企業です。考える力を育む学習コンテンツと詳細な解説、そして丁寧な添削指導に定評があり、会員の難関大学合格実績は白眉。強力なブランド力を強みとしながら、幼児から高校までの幅広い年齢層に対応し、大学生・社会人向けの教育などにも進出しています。その同社は、2018 年ごろからデジタルを活用したさまざまな業務改革に取り組んでいます。Salesforce を使った取り組みにも力を注いでおり、新規入会者の獲得やお客様センター(コールセンター)の業務改革は、Salesforce を中心に進められています。今回は、同社の取り組みの一部として、すでに実績を上げている2 つのトピックと、今後の展望について紹介します。
 
 

1. 資料請求からのジャーニー定義で、前年比 154%の新規入会を記録

Z 会は、複数のチャネルで会員を獲得しています。中でも、自社の Web サイトを通した会員獲得は年とともにその重要性を増してきました。
しかしながら、資料請求から資料の郵送、メール配信、そして個別顧客とのコミュニケーションに至るプロセスは、硬直化してしまっていました。これは、基幹システムをベースにアクションを起こしていたためです。たとえば、メール配信のタイミングは「資料請求直後のサンキューメールを配信する」、その後は「決まった日にそれまでの当該資料請求者にメールを一斉配信する」などとなっており、個別に対応するためには人が対応するか、多大なコストをかけて基幹システムを改修する必要があったのです。これは、現実的な解決策ではありませんでした。
そこで同社は、Marketing Cloud を採用し、カスタマージャーニーに基づいて個別にアクションできるプロセスを作り上げました。
Web による会員獲得プロセスは、広告から始まります。広告を見て興味を持った潜在顧客が、Z 会の Web サイトを訪問し、そこから資料請求を行う流れになります。Marketing Cloud では、その後のプロセスを整理しました。基幹システムと情報は共有しますが、資料請求してくれた顧客情報は、一旦 Marketing Cloud 側で統合します。その上で、適切なタイミングで、適切な内容のメールを顧客に送付できるようにしたのです。
中高事業本部 マーケティング部 高校マーケティング課 課⻑ 柳 恵里子氏は、「以前に一⻫配信していたときにも、入会に結びつくメール配信のタイミングは把握はしていました。ただ、実際に個別対応を行うとなるとリソースは足りず、コスト面でも厳しかったのです」と話します。「Marketing Cloud で自動化したことで、最適なタイミングで個別にアクションできるようになりました」。
実際に、取り組みを始めて 1 年後の 2019 年には、Marketing Cloudの施策経由の入会は前年比 226%となりました。その後もジャーニーは増やしており、学年別/コース(タブレット/テキスト)別/志望大学別など、さまざまな切り口でメール配信をできるようになっています。
ジャーニーは、入会後も続きます。「会員の皆様に、追加受講を提案するなどアップセル施策も考えられますが、それより“しっかり続けて成果を出してもらう”ことを意識しています。きちんと学習してくれているかどうかを確認できるようなコミュニケーションを作っていくことが理想です」(同氏)。
 
 
 
 
常にジャーニーをブラッシュアップすることで、着々と Web 経由の入会者は増えています。2021 年度は、コロナ禍で通信教育需要が高まったという背景があるとはいえ、前年比 154%を達成。ジャーニーのシナリオを増やすと共に、新たにLINE を使ったナーチャリングを強化するなど、マルチチャネル化も加速しています。
 
前年比154%の新規入会
 
 

2. FAQ の充実でお客様センターの負担を軽減

Z 会のお客様センターには、会員からさまざまな問い合わせが寄せられます。入会前の細かな質問に答えるだけでなく、入会後の手続きなど業務は多岐にわたり、幼小/中高と担当を分けてそれぞれ数十席でオペレーターが対応しています。呼量には繁閑期があり、新学期の前後になる 12 月〜4 月が繁忙期になる傾向があります。最繁忙期には通常よりも大幅にお問い合わせが増加しますが、それをあふれさせないために、デジタルでの対応を強化する施策に乗り出しました。
Service Cloud が、最適解でした。ナレッジ機能を使って FAQ を蓄積し、それを公開することで、階層型の FAQ ページを Web サイトに設置することができます。
幼小事業本部 マーケティング部 お客様センター 課⻑ 宇都出 直紀氏は、「それまでのFAQ は、一問一答形式で単純な質問とその答えを並べていただけでした。Service Cloudの活用で、お客様センターにお電話いただかなくても、サイトを辿っていくと解決にたどりつける FAQ サイトを目指しました」と話します。
コンテンツ作りは大変でしたが、お客様センターでチームを作り、メンバーが協力してより良いものを作り上げていく体制を整えました。よくある問い合わせと案内のやり方をツリー構造に落とし込み、ナレッジに格納。それをサイトに公開することで、階層型の FAQ サイトが出来上がりました。
公開後、コール数が目立って減った訳ではありません。しかし、「ここまでは FAQ で調べたけれど、その後について教えてほしい」というコールが目に見えて増えてきました。その結果をさらに FAQ に反映させることで、FAQ サイトは日々、より充実したものへと成⻑していくという好循環を生み出しています。
 
 
 
 

3. より顧客の声を聞く体制へと移行したい

Z 会では今後、お客様センターを通して会員の声を吸い上げる体制づくりを進めていきたい考えです。以前のオペレーターマニュアルは、手続きが中心。あらかじめ決められたテンプレートがあり、それを踏み外さないように会話を進めがちな傾向がありました。
宇都出氏は、「実際には、会員様から期待や改善してほしい点などを聞いているケースはあるのです。しかし、そのお客様の声を商品企画に活かすことが十分にできていないというジレンマがありました。今後は、この部分に Salesforce をうまく当てはめ、“会員様の声を聞こう、そして残していこう”という対応フローを整えたいと考えています」と話します。
それによって通話時間が延びてしまいそうですが、「会話を早く終わらせようとすると顧客体験を損ないますから、以前からそのような対応はしていません。限られた時間で何を聞くか、という命題を整理し、スタートさせることにしました」(同氏)。この取り組みは 2022 年に開始したばかりですが、既存サービスの改善のみならず、新たな企画に結びつくような貴重な意見を、お客様の声から見出すことを期待しています。
Salesforce を中心に据えたデジタル改革は、さらに加速します。同社はグループ内で塾を運営しているほか、他法人の運営する塾や学校向けのサービスもあり、それらの先生に向けた情報提供などもデジタルを駆使して最適化していきたい考えもあります。
これらの改革を成し遂げ、Z 会は Salesforce を中心に「顧客をもっと深く知る」ことを目指したいと考えています。現在、顧客の契約情報は、基幹系システムで管理しているため、このデータをマーケターが柔軟に活用することには限界がありました。しかしながら、Salesforce で顧客応対履歴を一元管理できるようになり、新たな展望を描けるようになりました。
柳氏は、「たとえば、学習履歴も Salesforce で把握できれば、会員個人の全体像を集約することができ、より具体的なお客様の姿が浮かび上がり、個人に応じた学習アドバイス等もしやすくなるはずです。幼小から中高、社会人教育まで幅広くラインアップしていますし、お客様のお子さまへと世代を超えて関係づくりをしていくことができるかもしれません」と話してくれました。
 
 
※ 本事例は2022年6月時点の情報です
 

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