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中堅・中小製造業者のビジネストレンド

マスクを付けずに人と直接対話できる世界から、ソーシャルディスタンスに配慮するリモートワークの世界に変わったとき、製造業界における中堅・中小企業(SMB)は大きな影響を受けました。他業種にはないサプライチェーンの問題や、他業種同様、時間不足や資金繰りの制約が加わり、状況は悪化しています。実際、『中堅・中小企業向けトレンドレポート』第4版によると、2020年8月の時点で、中堅・中小製造業の半数以上(52%)が、過去6か月間の収益が減少したと回答しています。また、Salesforceが先日発表した『製造業界のトレンド』レポートでは、10社中9社を超える製造業者が、顧客のニーズ、生産能力、流通、物流、営業およびカスタマーサービスの能力に影響があったと回答しています。

しかし全体を見ると、パンデミックを乗り切り、将来の課題に備えて計画を立てる日々の中でも、中堅・中小製造業は約2:1の割合でビジネスの将来を楽観的に捉えています(楽観的な企業が66%、楽観的でない企業が34%)。

私たちは『中堅・中小企業向けトレンドレポート』第4版のデータを詳細に分析し、パンデミックで発生した変化に対処するために、製造業者が何を行っているのかに焦点を当てました。

トレンド1:顧客の期待が変化する中で、中堅・中小製造業は顧客とやり取りする方法を変えている。

中堅・中小企業の全業界と比較すると、製造業は、新型コロナウイルスによるパンデミックの開始以来、顧客が自社にリーチするための手段を広げ、顧客とのコミュニケーションを以前よりも大切にしていると回答した割合が高くなっています。具体的には、中堅・中小製造業の半数(50%)が、ソーシャルメディアでの露出強化などを通して顧客が自社につながることができる手段を拡張したと回答し、59%が顧客対応のコミュニケーションを以前よりも大切にしていると回答しました。中堅・中小企業全体では、この割合はそれぞれ47%と55%です。『製造業界のトレンド』レポートのデータによると、調査対象となった製造業者の94%が、パンデミックを受けてマーケティングや顧客とのコミュニケーションを変える必要があったと回答しています。また、半数は、顧客との新しいコミュニケーション方法は恒久的に変わったと回答しました。
一方で、顧客の期待は、引き続き中堅・中小製造業にとって課題となっています。10社中約9社(88%)が、顧客の期待に応えるうえでの課題として、革新的な製品やサービスの市場投入を挙げています。また、カスタマーエンゲージメントのパーソナライズが課題であると回答した企業は、約83%にものぼります。
 

中堅・中小製造業の88%が、革新的な製品やサービスの市場投入が課題であると回答

 

中堅・中小製造業の83%が、カスタマーエンゲージメントのパーソナライズが課題であると回答

トレンド2:中堅・中小製造業は将来の課題を認識しており、テクノロジーを使用して準備を整えている。

中堅・中小製造業は、今後予想される課題に備えるためにテクノロジーを活用しています。しかも、そのスピードは他業種を上回っています。

10社中約4社を超える中堅・中小製造業(41%)が、将来の危機的状況に備えて社内コミュニケーションのデジタル化を促進するテクノロジーを導入したと回答しています。中堅・中小企業全体が35%であることを考えると、製造業は他の業界よりも先を行っていることがわかります。また、『製造業界のトレンド』レポートの作成にあたってアンケートを実施したところ、製造業者の57%がプランニングプロセスのクラウド移行が非常に重要、または優先順位が高いと回答したほか、76%が正確な予測のために新しいアプローチと新しいツールの両方を求めていることがわかりました。
また、中堅・中小製造業は、将来の成長の制約要因に関する中小企業ならではの懸念も報告しています。実際、最上位の懸念事項として従業員の採用と定着を挙げた企業は43%、成長のためのテクノロジーの拡張を挙げた企業は35%にのぼり、どちらも中堅・中小企業全体におけるそれらの割合(それぞれ30%と28%)を上回っています。
 

中堅・中小製造業の43%が、将来の成長に対する最大の制約は従業員の採用と定着であると回答(中堅・中小企業全体では30%)

トレンド3:中堅・中小製造業は、顧客を理解するためにデジタルトランスフォーメーションを推進している。

中堅・中小製造業が顧客管理(CRM)システムを使用している割合は、中堅・中小企業全体と比較してやや高くなっています(64%と56%)。また、おそらくその結果として、過去6か月間にビジネステクノロジーを採用した中堅・中小製造業の割合も、中堅・中小企業全体における割合よりやや高くなっています。具体的には、使用を開始したテクノロジーとして、メールマーケティングソフトウェア(中堅・中小企業全体の22%に対し、製造業は31%)、カスタマーサービスソフトウェア(21%に対し、26%)プロジェクト/タスクコラボレーションツール(21%に対し、26%)、Eコマースソフトウェア(20%に対し、24%)、マーケティングオートメーションツール(20%に対し、26%)が挙げられており、平均よりもやや高い割合です。
CRMについては、中堅・中小製造業の半数以上(54%)が、今日までに得られたメリットとして顧客ビューの一元化を挙げています。そのほか、この業界におけるCRM導入のメリットとして挙げる企業が多かった項目は、カスタマーサービスの質/スピードの向上(53%)と営業リードの増加(47%)です。さらに、『製造業界のトレンド』レポートのデータからは、CRMが製造業に変革をもたらす要素であることが読み取れます。CRMをクラウドへ移行したことで、投資利益率が1~3倍になったと回答した企業は49%にのぼりました。
 

CRMシステムを導入している中堅・中小製造業の54%が、導入のメリットは顧客ビューの一元化であると回答

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