コールセンターでデスクの向こう側に座り、コンピューターのモニターを見ているカスタマーサポート担当者。

コールセンターとは

コールセンターは、カスタマーサービスに欠かせない場所です。その役割と種類、優れたコールセンターを確立する方法を紹介します。

コールセンターは、電話を介してカスタマーサービスを提供する役割を担っています。また、カスタマーサービスチームが仕事をする物理的な場所、または仮想的な場所でもあります。

コールセンターと言えば、広いオフィスで、ヘッドセットを付けた多数のオペレーターがコンピューターの前に座り、企業のために電話をかけたり、問い合わせを受けたりしているというイメージがあるかもしれません。そういったコールセンターもありますが、オペレーターが会社のノートPCやスマートフォンでコールセンターソフトウェアを使い、公園や居間、ときには浜辺など、さまざまな場所で働いている場合もあります。

どのような形態であれ、コールセンターには、顧客に対して企業の印象を良くする役割があります。コールセンターは、声を通じてすべてのやり取りに温かみを与えます。Salesforceの調査では、オペレーターの83%が、顧客は以前よりも人間味のある対応を期待するようになっていると回答しています。

この記事では、コールセンターとは何か、その重要性、優れたコールセンターを確立する方法を紹介します。

コールセンターとは

コールセンターは、企業が電話による顧客との大量のやり取りを管理するために使う施設です。そこでは、カスタマーサービス、サポート、営業、テレマーケティングなど、さまざまな目的で電話を発着信します。コールセンターには、施設内で、またはリモートで勤務するオペレーターが配置され、製品やサービスに関する質問に答え、問題を解決し、情報を提供しています。

コールセンターには、業務を合理化し、効率性を高めるために、着信呼自動分配装置(ACD)(英語)新しいウィンドウで開く自動音声応答(IVR)システム(英語)新しいウィンドウで開く顧客関係管理(CRM)ソフトウェアといった高度なテクノロジーが導入されています。コールセンターは、効果的にコミュニケーションを取り、顧客体験(英語)新しいウィンドウで開くを強化する重要な役割を担っています。

ヘッドセッService Cloudのピンクのハートロゴを抱え、緑の広場に立つSalesforceマスコットのAstro。

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コンタクトセンターとコールセンターの違い

コンタクトセンターとコールセンターは、同じ意味で使われることがよくあります。どちらも顧客体験に重要な役割を担っていますが、同じものではありません。一番の違いは、コールセンターでは電話のみが使われるということです。一方、コンタクトセンターは、電話サポートのほかに、セルフサービス、チャット、SMS、メール、SNSなど、他のカスタマーサービスチャネル(英語)も用意されています。

お客様は、電話によるコミュニケーションを好むのでしょうか?——Salesforceの調査では、消費者の88%新しいウィンドウで開くが、企業とのやり取りに電話を使うと回答しています。パフォーマンスの高いサービスチームは、これを理解しており、90%が電話サポートを提供しています。また、顧客の77%は、企業に連絡すれば、すぐに誰かが対応してくれることを期待しています。特に複雑な問題では、電話はカスタマーサービスで利用されるチャネルのトップを維持(英語)新しいウィンドウで開くしています。つまり、顧客にとって電話サポートは重要なのです。

コールセンターのメリット

コールセンターは、企業にも顧客にもさまざまなメリットをもたらします。

  • カスタマーサービスの向上 – コールセンターでは、人によるサポートをすぐに受けられます。そのため、温かみある対応で、顧客の問題を速やかに解決できます。これが顧客満足度の向上につながります。
  • コスト効率 – カスタマーサービス業務を1つにまとめることで間接費を削減し、リソースを適切に配分できるため、企業にとってコスト効率の高いソリューションです。
  • 顧客関係の強化 – 効果的なサポートを迅速に提供して、強固な顧客関係を築き、維持することで、ロイヤルティと信頼を育みます。
  • 売上と収益の拡大 – コールセンターは、アップセル(英語)の提案によって売上を促進し、収益増に貢献します。
  • 24時間365日の対応 – 多くのコールセンターは24時間体制でサービスを提供し、顧客がいつでもサポートを受けられるようにしています。
  • 専門のサポート – コールセンターは専門的な技術サポートを提供して、複雑な問題を効率的に解決します。
  • 拡張性 – コールセンターは、ホリデーシーズンなど、需要に応じて業務体制を簡単に拡大、縮小できます。そのため、繁忙期でもサービスの質を落とすことなく、効果的に対応できます。
  • データの収集と分析 – コールセンターでは価値のある顧客データを収集できます。これを分析することで、トレンドの特定、サービスの改善、情報にもとづく意思決定に活用できます。
  • プロフェッショナリズム – 訓練を受けたコールセンターのスタッフは、一貫性のある熟練した対応でブランドの評価を高めます。Salesforceの無料のオンライン学習プラットフォーム、Trailheadでは、コールセンターサービスのベストプラクティスを学べるコンテンツを公開しています。

コールセンターの機能

続いて、コールセンターのプロセス、種類、顧客対応のヒントを見ていきましょう。

コールセンターのプロセスの流れ
ACD、IVR、CRMシステム、プレディクティブダイアラーなどのテクノロジーが着信、発信業務をサポートし、効率性と効果を向上させています。

インバウンドコール

  • 電話の着信 – 電話が着信すると、ACDシステムが受け付けます。インタラクティブなIVRテクノロジーを使って、発信者のニーズを特定します。
  • 通話の割り当て – ACDシステムが空き状況、専門知識、発信者の要望などを考慮して、通話を最適なオペレーターに割り当てます。
  • 顧客との通話 – オペレーターが通話に対応し、情報の提供や問題解決に当たります。オペレーターはCRMシステムから顧客データにアクセスし、パーソナライズされたサービスを提供します。メモが取られ、通話は顧客の許可を得たうえで録音され、自動的にテキスト化されます。
  • 問題解決とフォローアップ – オペレーターが顧客のニーズに対応し、CRMシステムにやり取りを記録して、必要であればフォローアップします。これにより、問題を確実に解決したうえで、今後の参考のために記録を残せます。

アウトバウンドコール

  1. キャンペーンの設定 – アンケート、営業、情報提供を目的に、特定の顧客をターゲットに設定して、アウトバウンドキャンペーンを作成します。
  2. ダイヤリング – オペレーターまたは自動ダイヤラーが、ターゲットである連絡先のリストに電話をかけます。
  3. 顧客とのやり取り – 電話がつながると、オペレーターが顧客とやり取りして、メッセージを伝え、情報を集め、製品やサービスを提案します。
  4. 記録とフォローアップ – オペレーターが通話の結果をCRMシステムに記録し、顧客の反応や関心に応じて、必要なフォローアップのスケジュールを設定します。

コールセンターの種類
コールセンターは、機能、体制、提供するサービスによって以下のように分類されます。

機能別

  • インバウンドコールセンターは、顧客からかかってくる電話に対応します。内容は、カスタマーサービス、サポート、問い合わせ、注文処理などが一般的です。
  • アウトバウンドコールセンターでは、アンケート、営業、テレマーケティング、債権の回収などの目的で、顧客や見込み客に電話をかけます。

インハウス型/アウトソース型

  • インハウスのコールセンターは、企業が社内で運用、管理します。多くの場合、企業の施設内にあります。
  • アウトソースのコールセンターは、外注先がコールセンター業務を請け負って運用します。こうしたサードパーティのサービスプロバイダーは、コスト効率が高いソリューションを提供し、専門知識を持っています。アウトソースのコールセンターを利用することで、企業は重要なビジネスに専念できます。

どちらのコールセンターも、オペレーターの勤務形態には、オンサイト、リモート、その両方の組み合わせがあります。

サービスの種類別

  • カスタマーサービスのコールセンターは、製品やサービスに関する問い合わせ、サポート、クレームを処理し、情報を提供します。
  • テクニカルサポートのコールセンターは、技術的な問題、トラブルシューティング、製品サポートに関する問い合わせに対処します。
  • ヘルプデスクのコールセンターは、社内の従業員や社外の顧客向けに、IT関連の問題について技術サポートとトラブルシューティングを提供します。
  • セールスやテレマーケティングのコールセンターは、製品やサービスの販促、リードや契約の獲得を目的としたアウトバウンドコールを行います。
  • 債権回収のコールセンターは、期限の過ぎた支払いを顧客に催促し、債権を回収するためにアウトバウンドコールを行います。

顧客とのやり取りと問題の解決

オペレーターが最大限の成果を上げるためのヒントを紹介します。

  • 第一印象を大切にする – 電話をかけてくる顧客の感情はさまざまです。普通の顧客には気分が明るくなるような口調で、怒っている顧客であれば冷静さを取り戻してもらうような口調で接します。
  • まず話を聞く – オペレーターはすぐに解決策を提示できるかもしれませんが、顧客は問題や質問を抱えています。解決に進む前に、まず顧客の話を聞き、情報をすべて集めます。詳細がわかれば、問題の原因が予想と違っていたということもあるかもしれません。
  • 共感する – 電話の良い点は、人に話を聞いてもらえるということです。顧客の感情と問題を受けとめ、つながりと信頼を築きます。
  • 解決策に集中する – 抽象的な話に深く入り込みすぎずに、会話の方向を問題の解決に向けます。
  • 顧客のトーンに合わせる – 人はつながりを感じることで、詳しい話をしてくれるようになります。礼儀をわきまえながら、顧客の口調に合わせます。言うまでもありませんが、怒りや怒鳴り声にはこのルールは当てはまりません。しかし、「ご迷惑をおかけしました」と伝えれば、顧客の感情を和らげることができます。
  • 製品知識を深める – 上司に頼ったり、他の担当者に引き継いだりせずに顧客の問題を解決できれば、時間を節約でき、顧客満足度も高くなります。製品やサービスを実際に使ってみるか、それが不可能であれば、社内の専門家から話を聞くことで知識を深めます。

コールセンターの効果を測定するには

カスタマーサービス全般の成功を測るには、さまざまな指標が考えられますが、コールセンターのオペレーターには特有の成功指標があります。

コールセンターの重要業績評価指標(KPI)

  • 初回解決率(FCR) – 顧客がコールセンターに最初にかけた電話で問題が解決された割合を測定します。FCRが高いほど、対応が優れていることになります。
  • 平均処理時間(AHT)– チームまたはオペレーターが電話で顧客の問題を解決するまでにかかった時間を測定します。簡単な問題のインバウンドコールの場合は、AHTが少ないほうが理想的です。しかし、複雑な問題のインバウンドコール、またはアウトバウンドコールでは、AHTが長いとクロスセルやアップセルに時間をかけられることを意味します。
  • 離脱率/通話離脱率(CAR) – オペレーターと通話する前に、顧客が電話を切った数を測定します。この数字が高い場合、自動応答に問題があるか、待ち時間が長すぎることを示唆しています。
  • 転送率 – オペレーターが他のオペレーターに引き継ぐことなく、対処できた通話の数を測定します。これが高いほど、スキルがあり効率がよいとみなされます。
  • 会話後の時間 – オペレーターが通話後にメモをまとめ、作業を完了させるのにかかった時間を測定します。

コールセンターのパフォーマンスの評価指標

  • 顧客満足度(CSAT) – オペレーターと通話した後の、顧客の全体的な満足度を測定します。CSATは通常、通話後のアンケートによって測定します。
  • ネットプロモータースコア(NPS) – 主に、知人や友人にブランドをすすめる可能性として、顧客のロイヤルティを測定します。NPSもアンケートで測定します。

コールセンターの継続的な改善戦略

カスタマーサービスは、さまざまな方法で問題点を見つけ、改善できます。その方法をいくつか紹介します。

  • 通話のレビュー – 録音を聞くか、センチメントの自動分析(英語)を利用します。結果をオペレーターと共有して、別のアプローチを試すタイミングを決めます。
  • 従業員エンゲージメント – 指標のスコアが低い場合、コールセンターの燃え尽き症候群や、個人的な問題、世界的事件などの外部要因が影響しているかもしれません。オペレーターと直接話し合い、解決策を一緒に探せば、オペレーターは「話を聞いてもらえた」と感じ、意欲や仕事の満足度の向上につなげることができます。分散型チームやハイブリッドチームには、従業員エンゲージメントソフトウェアを使って、この取り組みを拡張できます。
  • カスタマーサービスの自動化 – 通話後のメモのまとめなどの手作業が多かったり、情報の検索に時間がかかっていたりすると、優れたカスタマーサービスの提供に集中できなくなります。カスタマーサービスの自動化ソフトウェアを導入して、データを一元化し、セルフサービス機能を向上させ、オペレーターの雑務を減らしましょう。
  • ランキング – 有給休暇の追加といったインセンティブを提供して、楽しめるような競争を促進すると、オペレーターのパフォーマンス向上につながります。パフォーマンス優秀者を表彰するほか、チーム全体の目標も評価すると、特に効果的です。
  • データ分析 – 顧客との通話中に起こることすべてが、オペレーターの責任であるとは限りません。コールセンターのアナリティクスを詳しく調べ、テクノロジーやプロセスに改善の余地がないか確認しましょう。こうした改善により、コールセンター業務と顧客体験が向上します。
『カスタマーサービス最新事情』レポートのタイトルスライドを掲げているSalesforceマスコットのEinstein。

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パフォーマンスの高いサービスチームは、データとAIを活用して、優れた顧客体験を提供しながら、収益拡大とコスト削減を実現しています。詳しくはSalesforceの『第6版カスタマーサービス最新事情』をご覧ください。

最適なコールセンターソフトウェアを選ぶには

コールセンターは、オペレーターが手動で配線をつなぎ替えて通話を転送していた、構内交換機(PBX)の時代から大きく進化してきました。今日のコールセンターでは、電話の発着信の手段、ルーティングシステム、やり取りの録音方法などが、基本的なテクノロジーに支えてられています。こうした機能によって、オペレーターは雑務から解放され、多くの問い合わせに対応し、優れたサービスを提供できます。管理者はデータをすばやく収集して分析し、業務を改善できます。顧客は長々と待たされることなく、迅速に積極的な対応を受けられます。

コールセンターで使われている主なハードウェアとソフトウェア

コールセンターを設置するには、円滑な業務と効果的なコミュニケーションを実現するハードウェアとソフトウェアの両方が必要です。一般的には、以下を使います。

  • 電話 – アナログ、デジタル、クラウドベースのいずれかの電話機とソフトウェアが必要です。
  • コンピューター – コンピューターは、コールセンターの中核となるソフトウェアを実行し、場合によっては通話自体も処理します。
  • ヘッドセット – リモートでもオンサイトでも、最適なサービスを提供するには、オペレーターと顧客の双方が音声を明瞭に聞き取れなければなりません。誰でも、特に不満のある顧客は、何度も同じことを言わされるのを嫌がります。高品質のヘッドセットを用意しましょう。
  • CRM – 顧客関係管理ソフトウェアでは、通話の結果とケースのステータスをトラッキングできます。Service Cloud Voiceなどのテクノロジーは、CRMとコールセンターソフトウェアをネイティブに連携します。
  • セルフサービス – CRMのセルフサービス機能により、顧客は自身で問題を解決できます。オペレーターは、電話に対応する前に詳細な情報を入手できます。
  • ナレッジベース – ヘルプ記事、FAQ、トラブルシューティングガイド、その他のリソースを1か所に集めれば、オペレーターは情報をすばやく見つけられます。Salesforceの統合ナレッジは、サードパーティシステム内のリソースを含め、すべてのリソースを1つのプラットフォームに整理します。
  • AI – 新しい機械学習ツールを既存のコールセンターソフトウェアに組み込むことで、質問の回答の提示や通話内容の要約といった作業に役立ちます。

コールセンターにSalesforce Service Cloud Voiceが最適な理由

コールセンターについて詳しく見たところで、次は最適なソリューションの選択に進みましょう。Service Cloud Voiceは、音声での会話をカスタマーサービスのワークフローに組み込んで、カスタマーサポートチームの能力を強化します。

Service Cloud Voiceの主な機能と特長を見てみましょう。

  • 音声通話とCRMの統合 – Service Cloud Voiceを使えば、オペレーターはSalesforceプラットフォーム内で電話を発着信できます。この統合で、すべての通話がCRMに記録され、トラッキング可能になるため、顧客とのやり取りを包括的に把握できます。
  • リアルタイムのテキスト化 – 通話の音声がリアルタイムでテキスト化されるため、オペレーターが会話の内容を文字で確認できます。通話中の顧客のニーズを理解し、適切に応答できるようになります。
  • AIを活用したインサイト – Service Cloud Voiceは、SalesforceのEinstein AIを使って、オペレーターにリアルタイムのコーチングとネクストベストアクションを提供します。オペレーターはAIのアドバイスを参考にして、会話を効果的に進め、パーソナライズされた顧客体験を提供できます。
  • 自動的なデータ収集 – Service Cloud Voiceは、音声会話から自動的にデータを取得するので、手動で入力する必要がなくなります。これにより、時間を節約できるだけではなく、CRM内のデータの正確性と完全性が向上します。
  • 背景情報の確認 – オペレーターは、顧客の履歴とすべてのチャネルでのやり取りを即座に確認できます。この情報にもとづいて一貫性のあるサポートを提供し、顧客満足度を向上させることができます。
  • 通話後の分析 – Service Cloud Voiceでは、通話後にアナリティクスとインサイトを提供します。これを利用して、通話の質、オペレーターのパフォーマンス、顧客満足度を評価できます。このデータは、継続的なトレーニングとサービス戦略の改善に役立ちます。
  • カスタマイズ可能なワークフロー – Service Cloud Voiceのワークフローは、特有のビジネスプロセスやカスタマーサービスの戦略に合わせてカスタマイズ可能で、業務のニーズを確実にサポートできます。

Service Cloud Voiceなら、音声によるやり取りをカスタマーサービスやCRMのプロセスと緊密に統合し、業務効率、データ管理、顧客体験を向上できます。

卓越したカスタマーサービスの提供をサポートし、ニーズに応じて規模を拡張するために必要な機能を見極めて、最適なコールセンターソフトウェアを選んでください。