コールセンター・サポートセンター業務において、問い合わせ対応処理時間の増加は、多くの企業を悩ませている問題の1つです。要因は何なのでしょうか。
近年、問い合わせの方法は電話に加え、メールやソーシャルネットワークサービス(SNS)経由など、多岐にわたるようになりました。電話以外の選択肢はますます増えていくとされ、企業はメールやWebフォーム、SNSといったあらゆるチャネルに対応し顧客とつながることで、顧客の要求を適切な手段・タイミングでつかめるようになってきています。これをビジネスに活かそうとするオムニチャネル戦略は、消費者向け(BtoC)のコールセンター、サポートセンターだけではなく、いまや企業向け(BtoB)でも、競争力強化のために取り入れられるようになりました。製造業においても、コモディティ化を避け「モノ」だけでなく「コト」づくりで勝負するために、オムニチャネルを駆使したカスタマーサポートに注目が集まっています。ところが、オムニチャネル実現のためにシステムを追加導入した結果、複数システムの混在環境がオペレーター業務を一層煩雑にし、問い合わせ対応処理時間が増えているという無視できない問題が存在しています。

複数のチャネルに対応することは、チャネルを横断して一貫性を保つ困難さが伴います。同一人物であっても、常に決まった経路から問い合わせをするわけではありません。メールで問い合わせた顧客が、次は電話で問い合わせてくることもあるでしょう。問い合わせが来た場合には、過去の問い合わせ履歴(コールログ)を見ながら対応しますが、複数システムが混在している場合には複数システムを使い分けるとともに、問い合わせ履歴情報をどこかで統合する必要がでてきます。

特にクレーム対応においては、過去の問い合わせ内容が把握できていない場合、同じような質問を繰り返すこととなり、余計に不満を高めることになりかねません。逆に、クレーム対応をすばやく、そして全社的に対応すれば、その顧客のロイヤルティーを高めることもできます。顧客がどのような手段でコンタクトをとっても、企業側はそれを把握し、1つの企業として一貫性のある対応をすることで、「モノ」に加えて「コト」を提供できるのです。

複雑化したオペレーションを簡単かつ迅速に対応するために、テクノロジーの力を借りることができます。オムニチャネルを限られた人的リソースで実現するためには、問い合わせや保守サポート履歴など、顧客に関するあらゆるデータや情報を一元管理し、スムーズなオペレーションを実現するコールセンター、サポートセンター向けのソリューションが欠かせません。それらの要件を満たし、製造業をはじめとする多くの企業で利用されているコールセンター、サポートセンター向けソリューションが、セールスフォース・ドットコムのService Cloudです。

Service Cloudでは顧客の基本情報、取引状況、契約内容、問い合わせ履歴、保守サポート履歴など、電話のログだけではなくメールやWeb、SNS経由のログも一元管理されるため、誰が問い合わせを受けても状況を知り尽くした専任担当者と同じような対応が可能です。顧客情報の一元管理により、関係部署との情報共有も簡単にでき、迅速な対応と解決を支援します。保守サポートにかかわる緊急の依頼があった場合などには、すぐに保守サポート要員のスケジュールを確認してアサインするだけでなく、顧客の近くにいるサービス担当者を手配してすぐに対応にあたることができます。Service Cloudでは、コールセンターやサポートセンター業務に必要なさまざまな機能を備えているため、カスタマイズをしなくともすぐに業務に活用できます。

中規模の製造業ではコールセンターやサポートセンターを持たずに、問い合わせや依頼、クレームは営業部門や保守サポート部門など現場で受ける企業も少なくありません。
このケースは、属人化による「顧客情報のブラックボックス化」といった危険をはらんでいます。万が一、担当者が退職した場合、顧客からの問い合わせやクレーム内容は残っていたとしても、対応や解決のための活動履歴が残っておらず、再発した場合に適切な対応ができない可能性があります。また、問い合わせ履歴管理に使われることもある表計算ソフトは、元来履歴管理のためのソフトウェアではないため、管理が煩雑になるとともに情報活用・共有がうまくいかないケースが見受けられます。
問い合わせやクレーム時の顧客への最適な対応は、顧客との円滑な取引を実現し長期的な売上拡大に大きく寄与します。よって営業部など現場で問い合わせを受ける場合でも、サービス部門向けの専用ツールを利用することは、顧客満足度の向上を通して売上を維持・拡大させる、前向きで、必要不可欠な投資となります。

セールスフォース・ドットコムのService Cloudは、クラウドサービス (SaaS) のため、導入のためのシステム構築が不要で、かつ利用者分だけ課金されるわかりやすい料金体系となっています。これはコールセンターやサポートセンターを持たない中規模の製造業でも導入が進んでいる理由の1つです。
活動履歴を含めたすべての顧客情報を簡単に低コストで一元管理できるService Cloudは、コールセンターやサポートセンターだけでなく、保守サポートを行うサービス部門を持つ製造業に、大きな恩恵をもたらすでしょう。

保守サービスにおいて、インシデント発生時の対応は顧客満足度を左右するため非常に重要な業務になります。迅速な解決のためには、顧客の連絡内容からインシデントの状況を分析し、適切な部品の調達と最適なスキルの作業担当者をアサインしなければなりません。このように適切なアサインを行うディスパッチ業務は、保守サービスを長年経験しさまざまなインシデントを解決してきたベテランの保守サービス社員が行うことが多いのですが、この知見が共有されていないため、ベテラン社員に依存しているのが現実です。もし、この知見がデジタル化できれば、ベテラン社員の不在時でもインシデント発生時に適切な作業者を割り当てることができます。Service Cloudは、この手配業務を効率化するField Service Lightning(フィールドサービスライトニング)というソリューションを提供しています。Field Service Lightningでは保守サービス担当者の技能レベルや空きスケジュールなどが登録されており、複雑なサービス案件には、上級技能レベルの現場スタッフに割り当て、簡単なサービス案件は経験の浅いスタッフに自動的に割り当てるといったことが可能です。スケジュールの手配が自動化されるため、手配担当者はサービス運用の監視業務に集中できるようになり、状況に応じたリソース調整が可能になります。たとえば、1 件目の作業に予想以上に時間がかかった場合、次の案件を別の適切な現場スタッフに割り当てて、作業の遅れを防ぐことができたり、渋滞に巻き込まれた場合でも、近くにいる別のスタッフに作業を回したりすることができます。IoTと連携しセンサーデータからインシデントの予兆を把握し迅速に作業者を手配、故障を未然に防ぐことも可能です。適切なインシデント対応は顧客満足度の維持や向上には欠かせないためField Service Lightningがもたらす効果は大きなものといえるでしょう。

「モノ」から「コト」へのシフトが叫ばれるいま、サポートセンタービジネスはコストセンターではなく、プロフィットセンターとしての役割を果たせるようになりました。産業用プリンターメーカー最大手であるサトーホールディングス株式会社(東京都目黒区)は、Service CloudとIoTを活用して、受け身だったサポートセンタービジネスを攻めのサポートへと転換しています。
同社は、次の20年を見据えて、IoT活用を成長戦略の柱として位置づけました。IoT 導入を即断した経営陣の強力な後押しを受け、全社を挙げて IoT で顧客価値向上を図る方法が模索されたのです。
その結果生み出されたのが、クラウドを利用して顧客の現場のプリンターの状況を24時間見守るリモートメンテナンスサービス「SATO Online Services(SOS)」です。これは、顧客のプリンターの状態情報を機器内部のセンサーで収集して、カスタマーエンジニアが Salesforceで常時モニタリングし、安定稼働を実現するというもの。あたかも顧客の現場に “バーチャルカスタマーエンジニア” が常駐しているかのような、効率的できめ細かなサポートを可能にしました。
SOSは、故障の兆候を事前に察知してメンテナンスするといった “攻めのサポート”を実現し、故障による生産ライン停止回数が激減。同時に、顧客訪問時間は一気に3分の1にまで減り、自社のカスタマーエンジニアのワークスタイルまでも一変させました。同社は、SOS 対応プリンターの市場占有率が順調に上がれば、5年後には現在の半分の人員でサポート業務をまかなえるようになると試算もしています。クラウドベースの仕組みは、海外の顧客への展開も容易にし、SOSは同社のグローバル戦略の一部を担うまでになりました。
サービス主導型への変革は、製品と複数年の保守サービスを一括提供できるようになっただけでなく、顧客の買い替えのタイミングを把握した上でのタイムリーな営業が可能になり、従来型のビジネスモデルを大きく変えました。同社 執行役員 最高マーケティング責任者(CMO)の小玉昌央氏(2015年当時)は「2015 年 8 月に初めてリリースした SOS 対応プリンターの今年度の国内における目標販売台数は、前年度のほぼ 2 倍の 1 万台ですが、無謀な数字だとは思っていません。それにふさわしい製品とサービスを準備できたと考えています」と、確かな手ごたえを説明します。

保守サポートなどのサービス部門を、売上に貢献するプロフィットセンターへ脱皮させるのは、「モノ」自体がコモディティ化する現在において、避けては通れない事業運営の課題です。セールスフォース・ドットコムService Cloudは、攻めのサービスビジネスのための機能を備え、日本の製造業復活の強力な武器となるソリューションです。

 
 
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