KPIとは?KGIとの違いや設定の方法、メリットを解説

 
2023.5.18

企業経営を維持・発展させるための事業目標や経営目標を達成するには、部門ごと、さらには個人ごとに課せられた目標数値を確実に積み上げていく必要があります。目標達成できる月とできない月の差が激しかったり、目標未達の状態が続いたりする場合、目標そのものに加えてプロセスを見直すと良いでしょう。

ここでは、目標に至るまでのさまざまなプロセスを管理する指標である「KPI」について、設定するメリットや設定方法などを解説します。

目標の達成度合いを示すKPI

KPI(Key Performance Indicator)は、日本語では「重要業績評価指標」などと呼ばれ、組織が目標を達成するための業績評価の指標として使われます。目標達成までのさまざまなプロセスにおける達成度を示す数字で、このまま進んだ場合、最終的な目標を達成できるか否かを判断する基準となるものです。各プロセスのKPIが未達の場合は、ボトルネックを見つけて改善を図り、再度目標達成を目指す必要があります。

一例として、自宅から隣町のスーパーまで歩いて行く場合、単純に距離をKPIに設定します。「この交差点でちょうど半分だ」という具合です。では、東京から富士登山に出掛けるときはどうでしょうか。この場合、自宅から富士山頂までの距離をKPIにすると、登山道の入り口に着いたあたりで「9割方達成」となってしまいます。実際には登り始めてからがたいへんなはずで、これは適切ではありません。そのため、ここでは運動量をKPIに設定するのが適当でしょう。

このように、KPIは状況に応じて適切な数値を設定することが非常に大切です。ゴールへの道しるべとして最適な指標を探しましょう。

KGI・KFSとは何が違う?

KPIと混同されがちな言葉に、「KGI」と「KFS」があります。それぞれ目標達成のため重要な概念ですが、KPIとは別の役割があります。KGIとKFSについて解説します。

KGI:重要目標達成指標

KGIは「Key Goal Indicator」の略で、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれます。

簡単にいえば、「達成するべき具体的目標」です。「売上前年比140%」や「売上30億円」など、具体的に数値化された目標値を指します。

この目標を目指して進めている日々の業務が、目標値に対してどれほど達成できているかを表す指標がKPIということになります。つまり、KGIは目指すべきゴールであり、KPIはそこまでの道のりを示すマイルストーンのような存在というわけです。

KFS:重要成功要因

KFSは「Key Factor for Success 」の略で、目標を達成するために必要な条件を示すものです。日本語では「重要成功要因」と呼ばれます。似た意味を持つものとして「CSF(Critical Success Factor)」もあります。どちらも、KGIやKPIを達成するために必要となる要素を示すので、「目標達成のための前提条件」を表すものととらえればいいでしょう。

たとえば、自社の技術力やブランド力などが挙げられますが、市場の状況によって最適な指標を絞り込むことが重要とされます。

OKRとは何が違う?

もうひとつ似た概念で、理解しておきたいのが「OKR」です。OKR(Objectives and Key Results)は、目標を管理する手法を表します。特徴は、目標「O」と主要な結果「KR」を合わせて管理することです。部署や個人の方向性とタスクを明確にし、期間を決めてパフォーマンスを評価します。

目標までの道筋を示す指標であることはKPIと似ていますが、100%の達成が求められるKPIに対して、OKRは成長を促すために現実的には達成が難しい目標を設定する場合もある点が大きく異なります。

KPIを設定するメリットは?

ここからはKPIを設定するメリットを紹介します。以下のようなメリットをきちんと理解することで、日々の業務が目標に対して適切なのか、あるいは改善が必要なのかが見えてきます。さらには、どこをどのように改善するかという点も考察することができます。

目標達成までのプロセスが見える

目標達成までのプロセスを可視化できることは、KPI設定のメリットのひとつです。適切なKPIを設定できれば、到達したい最終目標までのプロセスが明確になります。つまり、目的地までの道のりのうち、今がどの地点なのかを把握できるということです。組織が最終的に目指すKGIを達成するには、各部門がそれぞれのKPIをクリアしていかなくてはなりません。

たとえ、営業部門がKPIを達成しても、サポートやアフターケアの部門がKPIを達成できなければ、せっかくつかんだ顧客が離脱してしまいます。各部門で設定されたKPIを定期的にチェックし、日々の業務が計画通りに進捗していることを確認しましょう。

起こすべきアクションが明確になる

KPIが設定できると、達成度が可視化されて必要なアクションが明確になるメリットもあります。
たとえば、商談の成約数をKPIとした場合、その数値が低ければ商談プロセス全体を見直さなくてはなりません。また、受注期間をKPIにしている場合は、期間短縮のために何ができるかが検討できます。問い合わせや見積依頼への迅速な対応、業務効率の向上など、取り組むべきことは数多くあるでしょう。

適切なKPIを設定することで、「改善のために何をすべきか」というアクションが明らかになるのです。

公平な評価基準ができる

公平な評価基準が生まれることも、KPIを設定するメリットです。KPIがないと、組織内での業務評価が主観的・感覚的なものとなり、評価される側が納得できなくなってしまう可能性があります。目標を達成できなかった方に対する今後の行動指針も示しにくいでしょう。一方で、適切なKPIが設定されていれば、目標の達成度が数値で可視化されるため、数値を基に公平な評価をすることができます。

セールス部門で使われる代表的なKPI

KPIは組織や部門によって、また、最終的な目標によってもさまざまな設定が必要となります。ここでは例として、セールス部門でよく使われるKPIを紹介します。

営業機会数

営業機会数は、簡単にいえば「訪問件数」です。ただし、あくまでも成約を目指したものですので、手あたり次第の飛び込み営業とは区別すべきです。同じ飛び込み営業でも、自社製品の特性を知り、ニーズをくみとった上で相手先を絞り込んでの営業活動であれば、この営業機会数に含めていいでしょう。営業活動における分母となる数値です。

見込み客の成約率

見込み客の成約率は、「コンバージョン率」「CVR」などとも呼ばれる数値です。営業機会数に対する成約件数の割合で、この数値を高めていくことが業務効率の向上につながります。見込み客の確度が低かったり、相手のニーズを的確にくみとれていなかったりすると、なかなか成約に至らず、見込み客の成約率が低くなってしまいます。

営業案件数

営業案件数は、個々のメンバーが担当している案件の数です。扱う商材の性質や営業方針によって、件数と営業活動の内容のバランスをとりましょう。高額商品であれば、件数を少なめにして、きめ細かな営業活動を行うほうがいいでしょうし、利幅の小さな商材ならばとにかく数をこなすという場合もあります。ただし、案件数が少ないからといって1人あたりのKPIを増やしすぎると、業務負荷が増えて営業活動に支障をきたします。定期的にチェックして調整し、適切な値を設定しましょう。

顧客単価

顧客単価は売上に直結する数値であり、業務の成果を測るKPIとしてよく用いられます。商材のラインナップが広い場合や各種オプションが豊富にそろっている場合は、顧客側の課題やニーズに沿った提案を行うことで顧客単価の向上につなげることができます。

受注期間

営業開始から成約までの日数をKPIにすると、時間軸で営業業務を見直すことができます。営業活動は、こちらの思いどおりに事が運ぶとは限りません。しかし、無駄に時間をかければ見込み顧客の決断が鈍ったり、競合に奪われたりする可能性が高くなります。受注期間を短縮することで、こうしたリスクを防ぎ、期間あたりの売上向上を目指しましょう。

KPIの設定方法

さまざまな指標が使えるKPIですが、設定する際にはいくつかの注意が必要な点もあります。これから紹介する設定方法を踏まえておけば、設定したKPIをより効果的に活用することができるでしょう。

KGIを設定する

ゴール地点を設定しなければ、その道のりを検討することはできません。そこでKPIの前に、まずはKGIを設定します。指標として用いるものなので、明確な数値を目標に置きます。さらに数値設定に加え、達成期日などの時間軸の目標も盛り込み、具体的かつ現実的な目標を定めましょう。その上で、現状から目標に到達するためには何が必要かを検討し、そこに至るための業務プランを構築します。

KFSを絞り込む

続いて、目標達成のための前提となるKFSを絞り込み、注力すべきポイントを設定します。KFSは、組織の戦略や方針を基に決めるのが基本ですが、業務上の課題や問題、弱点の改善をKFSにする場合もあります。いずれの場合も目標達成のために重要な要因を適切に分析し特定することが重要です。

「SMART」を意識してKPIを設定する

KFSを絞り込んだら、具体的な数値としてKPIを設定します。KPIとして設定する数値は、KGIなどとの関連が深く、優先順位が高いものに絞り込むべきです。複数のKPIがあると、どの数値を優先すべきかがわからず、混乱して業務効率が落ちる可能性が高くなります。

ここでは「明確性」「計量性」「達成可能性」「関連性」「適時性」を表す英単語の頭文字をつなげた「SMART」を意識してください。SMARTに照らして、すべての条件を満たす指標をKPIとして設定しましょう。

<SMARTとは>

  • 明確性(Specific):人によって解釈が変わることはないか
  • 計量性(Measurable):数値として測定可能か
  • 達成可能性(Achievable):実現可能な数値か
  • 関連性(Relevant):KGIや上位のKPIとの密接な関連はあるか
  • 適時性(Time-bound):達成期限は設定されているか

KPIを管理する際のポイント

KPIは一度設定したら終わりではありません。常に検証し、必要であれば手直しすることも必要です。また、KPIの推移や、施策による変化などを追跡するためには、適したツールを活用することも効果的です。最後に、KPIを管理する際の2つのポイントをご紹介します。

定期的な検証を行う

定期的な検証はKPI管理のポイントのひとつです。設定したKPIそのものが不適切だと、KGIの達成やメンバーの評価に支障が出てしまいます。そのため、現在のKPIが適切なのかという、定期的な検証が欠かせません。市場や競合といった外的要因の変化に加え、自社の事業方針の転換などの

内環境の変化により、これまで使用してきたKPIの有効性が変わることがあります。
有効性が薄れたKPIを使い続けることは、チームを間違った方向へと進めることにもつながってしまいます。KPIの効果を最大限活かすために、時としてKPIの変更も必要です。

ツールを有効活用する

ツールの有効活用もKPI管理のポイントです。KPIを業務に活かすためには、営業支援ツールのSFAや顧客管理システムのCRM、マーケティングオートメーションツールのMAなどを使うのもおすすめです。適切なツールの活用でPDCAを正確に回しましょう。

いずれのツールもデータの蓄積が可能です。膨大な情報からさまざまな切り口でデータを抽出することができるため、KPIを達成しているかどうかがリアルタイムでわかります。さらに、達成できていない場合には、どこに原因があるかといった分析が可能です。ツールの導入はPDCAを着実に、かつスピーディに回していくための大きな力となります。

ツールを活用したKPIの適切な設定・管理で目標達成を目指そう

KPIは企業のさまざまな業務に適用できる考え方です。ただし、目標に対して適切でない値や、目標からずれた値を設定してしまうと正しく機能しません。正しい数値の設定や、迅速な分析・検証にはツールが有効です。ツールはセールス部門の業務改革にもつながるため、積極的な導入をおすすめします。

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