営業力とは?ある人の特徴と強化する方法

 
2023.3.27
営業力とは、営業担当者が顧客から契約を獲得するために必要な能力を指し、人間力や知識、コミュニケーション能力、分析力、遂行力などが含まれます。営業力がある人の特徴から、営業力を強化するための方法までご紹介します。

営業力とは

営業力とは、営業担当者が顧客から契約を獲得するために必要な能力の総称です。営業力は、以下のようなさまざまな能力の組み合わせで構成されています。

  • 人間力
  • 知識
  • コミュニケーション能力
  • 分析力
  • 遂行力

営業はコミュニケーション能力が大事と言われますが、実際は、ほかにも多くの能力を必要とします。コミュニケーション能力を軸に、商材への知識や顧客に対する分析力、成し遂げるための遂行力などを総合的に組み合わせて、初めて営業力のある担当者になれるのです。もちろん、それらの土台として、人間力を磨くことも忘れてはいけません。

 
 
 
 
 
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営業力がある人の特徴とは?

営業力がある人には、いくつかの共通した特徴があります。とくに以下に挙げた5つは営業力の基礎であり、営業力の高い多くの人が持っている要素です。

1)伝わる話し方
2)スピード感のある対応
3)顧客と信頼関係を築ける
4)顧客のニーズを引き出す
5)顧客を動かすことができる

営業力を高めるには、まずこれらの要素を身に着け、基礎を固めることが大切です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1)伝わる話し方

多くの情報を口にして、メリットを説いたところで、顧客に伝わらなければ意味がありません。まずは「伝わる話し方とは何か」を理解しましょう。

伝わる話し方とは、顧客を置き去りにせず、内容を理解してもらえるように話すことです。たとえば、自社の新商品の説明をするとき、自分と相手のあいだには知識の差があります。会話のなかでその差を自然に埋め、相手を自分と同等の知識レベルまで引き上げることで、やっと本当の意味での対話ができるのです。

これを実現するには、つねに相手の目線になることが大切です。相手は何が分からないか、何を知りたいのか、どのような順番で説明するべきかなど、相手の心理を理解するように努めましょう。また、話すスピードや声のトーンなど、相手が聞き取りやすい話し方も重要です。

2)スピード感のある対応

提案や質問の回答など、スピーディーな顧客対応は、顧客に真剣さを伝えるうえで重要なポイントです。これは、顧客が商談に対して前向きであれば、成約を後押しし、顧客がまだ検討段階であれば、やる気を見せて好印象を与える効果が期待できます。

逆に対応が遅くなると、顧客は「ないがしろにされている」と感じます。せっかくの商談を台無しにする可能性もあるため、対応は可能な限り迅速に行うべきです。対応に時間がかかりそうな場合はその旨を伝え、途中経過も忘れずに報告しましょう。

3)顧客と信頼関係を築ける

顧客との信頼関係は、何物にも代えがたい財産です。顧客からの信頼を得られれば、自分への懐疑心が取り払われ、提案にも積極的に耳を傾けてもらえるなど、何をするにもプラスに働きます。さらに「〇〇さんがそう言うなら」と、成約の可否を決めるキーパーソンにもなり得ます。

信頼関係を築くには、何よりも顧客のことを本気で考えるマインドが大切です。自社の利益ばかりを優先せず、顧客のために何ができるか、そのための提案を突き詰めていくことで、初めて信頼を得られます。

4)顧客のニーズを引き出す

営業の役割はただ売るだけではありません。顧客が内包しているニーズを具体化し、引き出すことも重要な役割です。

顧客が抱えるニーズは、多くの場合で表面的な部分しか具体化されておらず、大部分は潜在的な状態です。たとえば、売り上げを増やしたいというニーズであれば、その背景には売り上げが増えないさまざまな要因があり、これらの要素を対策・解決することが真のニーズと言えます。

顧客は自身の業務もあり、潜在ニーズを理解できていないケースが多いです。潜在ニーズを引き出し、解決できれば、顧客に喜んでもらえるだけでなく、信頼関係構築にもつながるでしょう。

5)顧客を動かすことができる

契約を獲得するには、顧客に「契約」という行動を取ってもらう必要があります。一見シンプルに見えるこの「契約」ですが、じつはその裏にはさまざまな検討プロセスや、多くの障壁があります。営業担当は、これらの検討プロセスを補助し、障壁を取り払う手伝いをしなくてはいけません。

そして、いよいよ契約に近づいたら、顧客を契約に導く「クロージング」というフェーズに移ります。つまり最後の一押しをするわけですが、適切なタイミングや方法を取らないと失敗に終わる可能性もあります。以下の記事で詳しく解説していますので、クロージングの基本について一度目を通してみてください。

営業力を強化する方法

営業力は個々の能力に依存するところが大きく、属人的になりがちです。しかし、仮にエースが1人いたとしても、1人で得られる利益には限界があります。個人の力だけに頼るのではなく、そのノウハウを共有し、組織全体で営業力をアップさせる仕組みを作ることで、さらなる利益の増加が見込めます。

下記の図は「能力構造の氷山モデル」と呼ばれる、仕事の能力を構造的に説明する考え方です。このモデルは、他者から見える「行動」は、いわゆる氷山の一角にすぎず、その背景には知識や態度、スキルなど多くの要素が隠れていることを表しています。

ここで優先するべきなのは、他者から見えやすい「行動」を変えることです。行動は、変化が目に見えやすいため結果につながりやすく、また、ほかの要素よりもコントロールしやすいです。

では、このモデルを組織全体の営業力強化に活かすには、どうすればいいのでしょうか。ここでは、具体的な4つの方法を紹介します。

1)営業プロセスの可視化

最初に取り組みたいのは、営業力の高いメンバーの営業プロセスを可視化し、ノウハウとして蓄積することです。どのような理論によって成果につながっているのかが明確になれば、ほかの営業担当との共有が可能になります。

まずは可視化しやすい「行動」からスタートするのがおすすめ。その後、知識や態度、スキルといった部分も徐々にノウハウを蓄積していき、総合的な強化を狙いましょう。

2)情報共有や案件管理・分析

顧客やリードから得た情報は、案件獲得の強力な武器になります。そのためにも案件管理を徹底し、過去の営業活動を振り返って分析する仕組みを構築しましょう。情報から顧客ニーズが把握できれば、信頼関係構築にも役立ちます。

3)システムによる業務効率化

業務効率化は、本当に注力したい業務へリソースを集中するために欠かせないポイントです。資料作成や分析などに時間を取られると、営業本来の仕事である顧客への丁寧な対応ができなくなり、信頼関係構築につなげることも難しくなります。

この問題を解決するには、業務をシステム化して効率を上げたり、データを統合してスムーズに案件を引継げるようにしたりする施策が必要です。自社に合った効率化の方法を選び、リソースを生み出す仕組み作りをしましょう。

4)組織の営業力強化に有効なSFA

案件管理やノウハウの共有、営業プロセスの統一などに取り入れたいのが、SFA(営業支援システム)です。SFAとは、営業活動の効率化を目的としたツールで、スケジュールの共有や顧客情報の一元管理、情報の共有といった機能を搭載しています。

つねに最新のデータにアクセスできるため、情報共有のスピードが早くなり、営業活動もスムーズになります。さらに、蓄積されたデータの分析も可能で、新たなチャンス獲得にも効果が期待できます。

 
 
 
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営業力を上げた成功事例

ほかの企業では、組織の営業力をどのように上げているのでしょうか? 2つの取り組み事例で、成功した仕組みを見てみましょう。今回は、フィナンシャルサービスを取り扱う会社と建設工事会社の例を紹介します。

新人の立ち上がりを迅速化する営業育成の仕組みを確立

 
会社名:株式会社ROBOT PAYMENT
事業内容:フィナンシャルサービス

ROBOT PAYMENTは、決済代行サービスと請求管理、クラウドサービスの提供をおもな事業とする会社です。同社では、新人営業担当者を迅速に育成する仕組み作りに取り組みました。

この取り組みをするまえは、新人営業が初受注するまでに6カ月もの期間を要していました。その背景には、営業プロセスやマニュアルの整備不足がありました。また、営業組織全体の生産性向上も求められていたと言います。

そこで同社が取り組んだのは、オンラインで学習環境を構築できるmyTrailheadの導入です。達成度を測るためのテストやバッジを作成し、スキルの可視化を実施。さらに、情報共有システムQuipも併用し、Quip上で業務マニュアル類を整備することで、集約と共有を容易にしました。

その結果、新人営業の立ち上がりを3カ月まで短縮することに成功しました。さらに、オンライン環境の利用により、対面教育ができない状況下でも、育成を進められる環境を実現しました。また、myTrailheadの学習量と営業成績が比例することも分かり、環境構築の効果が如実に表れました。

売上20%アップ!顧客・案件・行動履歴の共有で業務を大幅に効率化

 
会社名:明和工業株式会社
事業内容:法面工事

明和工業株式会社は、法面工事を専門とする建設会社です。同社では、案件数の減少を解消するために、SFCツール・Salesforceを使った営業強化に取り組みました。

同社は福井県を中心に多くの公共工事・民間工事を受注してきましたが、バブル後の公共工事の落ち込みなどにより、一時は経営危機に直面しました。その原因が顧客・案件情報の管理体制にあると考え、2016年にSalesforceを導入。顧客・案件情報を一元管理し、あわせて業務改革にも取り組むことで、営業成績のV字回復に成功しました。

導入3年後には売上20%アップを実現し、さらには残業時間が約20%削減されるなど、目覚ましい成果をあげています。

営業力というと、一見、個人の力を高めることのように思われがちですが、組織全体で考えれば、本当に重要なのは組織の仕組みだと気が付きます。もちろん、エース営業の能力は代えがたいものがあります。だからこそ、その能力を組織にフィードバックし、組織全体の営業力強化に活かす必要があるのです。

また、SFCの活用した効率化も、欠かせないポイントです。何事に取り組むにも効率化は重要なだけに、理想的な営業をする環境作りの第一歩として取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

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