Agentforce Operationsプロセスエボリューションハンドブック:AIによるプロセス自動化を拡大する8つのステップ

一部のプロセスから測定可能な価値を生み出し、それぞれの成果を次の資金源とするリーダーのための実践的な運用ガイドをご紹介します。

AIプロセス自動化拡大に向けた8つのステップ

ステップ 名前 主な成果
1 戦略面でのすりあわせ 対象範囲、成功基準、ロードマップが定義されたブループリントポートフォリオ
2 組織的な受け入れ態勢とコミュニケーション 社内向けブランド、コミュニケーションプラン、イノベーションの推進役となる人材の関与
3 拡張のためのプロセス選定と価値の測定基準の設定 3〜5件の承認済みプロセスとスコアカード、フロー、定義された不実行(No-go)リスト
4 最初の成果の実証(Agentic Day 1) 本番導入済みで、ROIダッシュボード、精度目標、公開済みの成功事例が整備され、センターオブエクセレンス(CoE)が設立されている
5 ロードマップの見直しとオペレーティングモデルの再構成 将来のオペレーティングモデルを含む経営幹部の承認済みのロードマップと本番運用で得た学びによって進化したCoE
6 ロードマップの実装、拡大、効果測定 CoEの発展、拡大されたブループリント、稼働中の経営幹部向けROIダッシュボード
7 価値の認識と拡大 CFO向けの価値のスコアボード、成功事例、次のフェーズに向けて見直したロードマップ
8 エージェント型プロセスの拡大とオペレーティングモデルの進化 AIファーストの企業文化、自律的に持続するCoE、全社的なエージェント型パターン
SalesforceのAgentforce Operationsを活用したエージェント型プロセス自動化の8つのステップを示す円。

プロセス

目標:AIプロセスポートフォリオを組織の最上位のビジネス目標に結び付ける。

ブループリントの選択や、何かの構築を始める前に、次の問いへの明確な答えを得る必要があります。すなわち、次の12か月間でどのビジネス成果がAIプロセスによって変化するかです。ここで下す判断によって、対象範囲、成功基準、業務を前に進めるストーリーが決定します。

以下が、Agentforce Operationsを活用する最初の90日間のイメージです。ステップ1は、テクノロジーに関する決定を下す前にスタートします。まず、どのビジネス成果を改善したいのかについて認識を一致させます。

実行アプローチ:

  • 変革が求められる差し迫った理由を明らかにします。現状を受け入れがたい、具体的な、緊急性の高いビジネスケースを明確に表現します。リーダーが打ち出す指示には、次の4つの問いに対する答えが含まれていなければなりません。
    • なぜ今なのか。先延ばしが致命傷になる競争、規制、業務上の圧力とは何か。
    • どのようなメリットがあるのか。測定可能な指標のどのような状態を「成功」と判断するのか。
    • 過去の取り組みと異なる点は何か。これまでの変革の取り組みを妨げてきたのは何か。今回はどう違うのか。
    • どのように成果を測定し、どのように説明責任を果たすのか。この取り組みを一過性のものとして終わらせないために、どのKPIを追跡し、どのくらいの頻度でレビューし、どの経営幹部が最終的な説明責任を負うのか。
  • 取り組みをP&Lに直結させます。AIプロセスによってP&Lのどの項目に影響が及ぶのかを明確にします(たとえば、収益成長率なのか、運用費の削減なのか)。曖昧な目標からは、曖昧な成果しか生まれません。
  • 経営幹部の支援者を決め、具体的な成果目標を定義します。業務部門とIT部門のスポンサーをペアで配置し、FTEの再配置、業務サイクル時間の短縮、コスト削減について明確な数値目標を設定します。

目標:組織が変革に向けて動く準備を整え、実行を開始する前に、社内向けのストーリーを作成し、推進役となる人材を見つけ、経営陣の認識を一致させ、評価や報酬の仕組みを見直す。

組織が動き出す準備ができていないと変革は行き詰まります。ステップ2では、人的インフラを構築します。それは、ストーリー、推進役となる人材、経営陣の認識の一致です。ステップ3とステップ4で実行を開始するまでには、組織がすでに適切な方向に向かっていなければなりません。

実行アプローチ:

  • 推進役となる人材を早期に見つけ、関与させます。組織に対し、動き出す準備をさせる人材を見つけます。ステップ1からステップ3までの間に、こうしたイノベーションの推進役を巻き込み、その活動を可視化し、変革のストーリーを牽引させます。
  • 今できることから始める。この変革を「新たな能力」の観点で位置づけます。従業員に今何ができるかを示します。AIエージェントに大量の繰り返し業務を任せられるため、従業員は複雑な問題解決や関係管理、戦略的な意思決定に専念できます。業務を前に進めるのが、人間の判断であり、コンテキストであり、説明責任であることは変わりません。
  • 役割の進化を具体的にする:実行者からアーキテクトへ。
    • データ入力からデータキュレーターへ:AIエージェントに供給されるグラウンディングされたデータが正確であり、信頼できることを保証するのは人間です。
    • 人間が介在することの重要性:どのエージェント型プロセスも、もっとも重要なステップは人間による確認と承認です。人間は、ワークフローの最高品質責任者(CQO)になります。
  • 評価や報酬の仕組みとキャリアパスを見直す。変革を、明確な個人の成長に直結させます。すなわち、
    • 『認定エージェント型プロセスデザイナー』コースのような、社内トレーニングおよび認証プログラムを立ち上げます。これらの資格を、従業員の社内外での市場価値を高める名誉の印にします。
    • パフォーマンスレビューを見直します。新しいエージェント型ユースケースを見いだしてオンボーディングを行った人や、新しいオペレーティングモデルを作成した人に報酬を与えます。
    • 組織図に新しく登場した役割を社内に浸透させます。例:AIオーケストレーター、エージェンティックガバナンスリード、認知ワークフローアナリスト

目標:AIエージェントを活用することで実際に測定可能な価値が生まれるプロセスを特定し、その後に続くすべての基盤を構築する。

考えられるすべてのプロセスを選定しようとしているのではありません。ここで見つけるべきは、取り組む価値があるほど難易度が高く、確実に成功を収められるほど現実的であり、全社展開できるほど強力な支援体制が得られるプロセスです。目標は測定可能なビジネス価値を生み出す実際の本番導入であり、POC(概念実証)ではありません。このステップに進んだプロセスの候補の中には最終的に選ばれないものがあります。むしろ、それが本来の姿です。

実行アプローチ:

  • ブループリントポートフォリオを選定します。Agentforce Operationsの実証されたブループリントに対応付けられる、優先度の高いビジネスプロセスを4〜5件特定し、ポートフォリオにして、対象範囲を定義します。各プロセスは実際の課題に対処するものであり、入出力が予測可能で、複雑な連携なしで導入可能でなければなりません。あらかじめ、対象範囲の境界、成功基準、除外基準を定義します。
  • ロードマップの概要を作成し、スループットを最大化します。価値創出までの時間と労力に対する効果を基準にして、高水準の実行シーケンスを作成します。高い頻度で一貫して実行するプロセスを対象にします。
  • 対象範囲、ベースライン、価値測定の方法を定義します。対象範囲に含めるものと含めないものを文書化します。コミットされたプロセスに限定して、現行のパフォーマンス指標を収集します。損益目標と選定したプロセスを結び付ける指標、測定方法、バリューマップを確立します。
  • ポートフォリオ全体にわたって価値を実証します。それぞれのブループリント候補について、体系的なディスカバリとデモンストレーションを実施します。ポートフォリオアプローチにより、Agentic Day 1の最有力候補を明らかにし、今後のフェーズに向けた優先順位付きのパイプラインを作成します。
  • 基盤となるセンターオブエクセレンス(CoE)を立ち上げます。Agentic Day 1を目前に控え、CoEが最初の本番導入開始と同時に機能するよう、CoEの役割、ガバナンス、受付プロセス、業務リズムを定義します。

目標:最初の本番環境への導入で即時かつ測定可能な効果を生み出すことで、組織の信頼を獲得する。

Agentic Day 1はロードマップの基盤です。ここで導入したプロセス、記録した成果、そして獲得した信頼が、その後に続くすべてに対する投資と推進力につながります。30〜60日という期間は、特定の条件が満たされていることを前提としています。具体的には、対象プロセスに適合する事前構築済みのAFOまたはパートナーのブループリントが存在すること、システム連携の範囲が限定的であること、そしてソースシステムとのネイティブコネクターが利用可能であることです。ほとんどの企業で、すべての候補がこの3つの条件を満たすわけではありません。それは想定内です。ステップ3のポートフォリオアプローチを使用して、これらの条件が揃う候補を見つけてください。条件が揃わない場合は、最初の導入期間を長めに設定し、ギャップをステップ5で検証します。

実行アプローチ:

  • 最有力のブループリント候補が自然に浮かび上がるようにします。ポートフォリオの3~5件の候補を並行して進めます。最有力候補となるのは、次の3つの条件を満たすものです。まず、30~60日の期間内に収められること、次にシンプルな(SAPクラスではない)システム連携を利用していること、そして進行中の他のブループリントへの依存が限定的であることです。これらの基準を満たさない候補が出てくるのは、プロセスが意図どおりに機能していることを意味します。どのブループリントもこれらの基準を満たさない場合は、無理に進めるのではなく、期間を延長します。
  • 早期成功事例を明確に定義します。早期成功事例とは、30~60日以内に本番環境で稼働し、文書化されたベースラインに対して測定可能な成果を生み出し、経営幹部の支援者に対して明確に説明できるブループリントのことです。その実現には、事前構築済みのブループリント、既知のAPI、未解決の依存関係を持たない対象範囲設定済みのワークフローが必要です。これらのいずれかが欠けている場合は、導入期間を延長します。
  • 準備状況を確認し、本番稼働に移行します。経営幹部による支援が継続的に行われていること、変更管理に関するコミュニケーションが進行中であること、そしてチームが必要なものを備えていることを確認します。本番環境に移行します。ビジネスプロダクトオーナー、ITリード、そして主要なステークホルダーの間で毎日、情報共有ミーティングを実施します。事業成果に直結する指標の改善(削減された時間、削減されたコスト、増加したスループット)を示す標準化された価値評価スコアカードを作成します。
  • 実際の成果を通じて信頼を獲得します。最初の数件のワークフローについては、必ず人によるレビューと承認を実施します。ユースケースに応じた品質基準を定義します(例:重要度の高いワークフローでは95%以上の精度)。開始から15~30日以内に、社内で成功事例を共有します。次のフェーズのシステム連携と受け入れ体制を整える作業は、Day 1の導入完了を待たず、Day 1の作業と並行して開始します。

目標:プラットフォームで実際に何ができるのかを明確に把握し、あらゆるレイヤーにわたる責任の所在を定義し、現実に即したロードマップを作成する。

ステップ4では、概念の有効性を実証しました。ステップ5では、全体像に向き合います。すなわち、プラットフォームの実際の機能と限界、サポートモデル、そして拡張に向けたオペレーティングモデルの転換です。このステップでよくある失敗は、責任の所在、システム連携、サポート体制に関する未解決の課題を残したままロードマップを策定してしまうことです。そうした課題は事前に解決しておく必要があります。

実行アプローチ:

  • Agentic Day 1からインサイトを抽出します。教訓を得るためのワークショップを実施し、うまくいったこと、うまくいかなかったこと、そして想定外だったことを明らかにします。そこでわかったことをもとに、プロセス選定基準を見直し、デリバリーワークストリームを定義します。さらに、実際の見込み成果を責任の所在に対応付けた、優先順位付きの9~12か月の変革ロードマップを策定します。
  • CoEモデルを検証し、発展させます。ステップ3で構築したCoE体制は、初期の本番運用経験にもとづくものでした。ステップ5では、次のように仮定を根拠に置き換えます。
    • 実際の運用に照らしてCoEを評価します。Day 1の運用で何が問題となり、何が遅延の要因となったのか、定められた受付手順は遵守されたか、ガバナンスが維持されたのかを確認します。
    • Day 1で明らかになったことにもとづいて役割を見直します。最初の組織設計における仮定ではなく、本番運用の実際の経験にもとづき、役割定義、責任範囲、エスカレーション経路を見直します。
    • 中央集約型から分散型への移行計画を作成します。CoEはステップ3で中央集約型の構築組織として立ち上げられました。ステップ5では、CoEを、大規模な構築を担う組織ではなく、大規模な統制を担う組織へと進化させるための設計を開始します。
  • プラットフォームの実態を評価します。Agentforce Operationsの機能、既知の制約、システム連携の境界、データ品質のしきい値について、実態に即した現状評価を行います。チームがこれまで埋めてきたギャップを文書化し、拡張に伴ってより複雑なマルチステップのオーケストレーションが必要となる領域を特定します。導入に成功するたびに、それが次のフェーズへの投資を引き出す根拠となります。
  • 3層のサポートモデルを定義します。責任の所在を曖昧なままの状態で拡張を始めないでください。
    • プラットフォーム層:Agentforce Operationsが、アップグレード、リリース、そしてプラットフォームの中核的な安定性を担います。
    • システム連携層:エンタープライズシステム(例:SAP、Snowflake)との接続性を担います。この責任を社内IT部門かシステムインテグレーターのどちらが負うのかを定義します。
    • ブループリント・ワークフロー層:エージェント型ワークフローの継続的な最適化、モニタリング、問題解決をどのチームが担うのかを明確にします。
  • 対象範囲全体を可視化します。ロードマップには、ブループリント開発だけでなく、提供範囲全体を反映する必要があります。AIエージェント、システム連携、プラットフォームのセットアップ、テスト、変更管理のすべてに、人員配置とタイムラインが必要です。ブループリントの提供だけを考慮したロードマップでは、必要なリソースの見積もりを誤り、タイムラインの遅延を招きます。

目標:実証済みのワークフローを規律あるアプローチで拡張し、「そのコストを上回る価値を生み出しているか」という基準で意思決定を行う。

ステップ6は、プログラムが複利的に成長するか、それとも行き詰まるかの分岐点です。拡張に成功するチームは、常に価値創出を判断基準にし、実際の支援を得ながらビルダーコミュニティを構築します。そして、ガバナンスとコンプライアンスについては、後付けの検討事項ではなく、設計段階から組み込むべき構造上の要素として扱います。

実行アプローチ:

  • 価値創出を常に判断基準にし、その答えは変化していくものと考えます。どの段階においても、「これは何を生み出し、それによって次に何が可能になるのか」という当初の問いに立ち返ります。完全な指標ではなく、方向性を示す指標が得られると考えます。導入を重ねるたびに、次の投資に関する議論に向けた数値の精度は高まっていきます。
  • ロードマップを実行し、拡張します。承認された変革ロードマップを、定義済みのマイルストーン、明確な責任分担、定期的なステージゲートレビューにもとづいて、計画されたフェーズごとに実行します。成功したブループリントの設計とベストプラクティスを、部門、業務機能、地域をまたいで横展開します。
  • 早い段階からガバナンスを徹底します。着実に進めることが、早期の成果につながります。エージェント型環境では、技術的負債は急速に蓄積します。ガバナンスモデルとCoEの役割は、ステップ4と5で定義され、実運用を通じて検証されています。ステップ6では、そのモデルを大規模に実行に移します。受付手順を一貫して運用し、チームが定められた運営リズムを遵守するよう徹底します。そして、明らかになったガバナンス上の不備は、バックログ項目として先送りするのではなく、ただちに是正します。ガバナンスを後から組み込むことは、最初から徹底するよりも常に高くつきます。
  • コンプライアンスを最初から組み込みます。サイバーセキュリティ要件、監査証跡、規制上の義務(SOXなど)は、後付けの検討事項ではなく、設計段階から組み込むべき要素です。個々の新しいブループリントサイクルを開始する際には、コンプライアンス、セキュリティ、監査のステークホルダーを関与させます。
  • CoEとビルダーコミュニティを構築します。ガバナンス、イネーブルメント、利用拡大のための組織機能を強化しながら、CoEを発展させます。検証済みコンポーネントの実際に使えるライブラリ、体系化されたオンボーディング、相談会、明確なスキルガイダンスを通じて、ビルダーを実務面で支援します。さらに、社内コミュニケーションチャネル、エンドユーザーグループ、そして経営幹部のビジネスレビューでの価値報告を通じて、利用拡大を推進します。
  • 効果を測定し、継続的に最適化します。リアルタイムのROIダッシュボードを導入し、ステップ3とステップ4で定義したベースラインに照らし、AIエージェントの精度、利用状況、ビジネス効果を追跡します。ダッシュボードに示される運用状況の重要な指標を確認し、何がうまく機能しているのか、何を改善する必要があるのか、そして次の機会がどこにあるのかを把握します。

目標:実証された成果をもとに、継続的な投資を引き出す。

ステップ7は、これまでの取り組みが次の段階を推進する根拠となる段階です。これまでのステップで得られた成果も、それを明確に伝え、ビジネスケースと結び付け、ロードマップの次のフェーズを推進する根拠として使用できて初めて、その価値を発揮します。

実行アプローチ:

  • 拡張に向けたビジネスケースを構築します。推進力が失われる前に、これまでの結果を集約し、継続的な投資に向けて経営幹部に提示可能な明確なケースを作成します。コスト削減(運用費(OpEx)の削減、サードパーティライセンス)、プロセスパフォーマンス(サイクルタイム、納期遵守率)、FTEの再配置(AIエージェントが吸収した業務量)、収益への影響(スループット、リードへの応答、可用性)の観点から、その効果を定量化します。
  • 標準化された価値評価スコアカードで成果を報告します。ステップ6のダッシュボードから得られる運用データを、CFOが利用できるスコアカードへと変換します。ステップ1とステップ3で設定したベースラインに対する実績を示しながら、定められた頻度(週に1度または月に1度)で経営幹部に報告します。違いは、対象とアクションです。ステップ6のダッシュボードは業務を進めるためのものであり、ステップ7のスコアカードは投資判断を促すためのものです。
  • 個人の利用と企業の利用のガイドラインを定義します。AIエージェントのすべての活動に同じレベルのガバナンスが必要なわけではありません。CoEは、個人の生産性向上を目的としたユースケース(個人のタスク自動化)とエンタープライズワークスペースの導入(部門横断プロセス、顧客対応ワークフロー、データを扱う自動化)の境界線を定義します。独自に進められるものか、CoEのレビューが必要なものかをチームが判断できるよう、その境界を明確に定義します。
  • フィードバックループを定着させます。ステップ6では最適化のループを実行します。ステップ7では、それを正式な仕組みとして定着させます。ダッシュボードから明らかになった教訓を取り込み、オペレーティングモデルに反映するとともに、次の期間に向けた新たなKPI目標を設定します。その結果を、明確な責任分担とタイムラインとともにロードマップに直接反映させます。

目標:ガバナンスとセキュリティ上のギャップを解消し、拡張に移行する準備を整えたうえで、中央集約型の実行から分散型のイノベーションに移行する。

どのフェーズであっても、開始前に基盤がエンタープライズレベルの使用に耐えうる状態にある必要があります。拡張後に問題が見つかると、拡張前よりもその対応がはるかに難しくなります。ステップ8は、3つのフェーズに分けて進められます。

フェーズ1:パートナー主導による立ち上げ

  • 目的:価値創出までのスピードと技術基盤。
  • モデル:企業は戦略パートナーを活用して、Agentforce Operationsの最初のブループリントの設計、構築、導入を進めます。社内チームは、直接参加、シャドーイング、パートナーとの共同作業を通じて能力を習得します。
  • 重点領域:従来型のプロセスを、構造化されたエージェント型ワークフローへと変革することです。パートナーは、アーキテクチャの骨組みとシステム連携の専門知識を提供します。
  • 成果:価値測定フレームワークの有効性を実証する、影響度の高いユースケースが2~3件、迅速に導入されます。

フェーズ2:CoEがビルダーを担う段階

  • 目的:複雑な作業ではパートナーの専門性を活用しつつ、知識を組織に定着させ、外部への依存を減らします。
  • モデル:CoEが主導的な役割を担います。CoEは、社内のプロンプトエンジニア、インテグレーションアーキテクト、プロセスアナリストを採用し、ビルダーとしての役割を担わせます。戦略パートナーは共同ビルダーとしてCoEに組み込まれ、複雑なシステム連携、高度なブループリントアーキテクチャの設計、さらに社内チームがまだ主体的に担う体制を備えていない、高度な技術を伴う実装を支援します。
  • 重点領域:成功パスを複数の部門に拡張することです。社内チームが業務プロセスの知識と運用上の責任を担い、パートナーが技術的な専門性を提供します。両者が協力しながら、企業全体に導入するための、再利用可能なAIエージェントのコンポーネント、アクション、フロー、テンプレートのライブラリをCoEのもとで構築します。
  • 成果:社内の専門知識とパートナーの能力を組み合わせたCoEにより、ビジネスユニットでのAIエージェント活用を進めるための標準化された再現可能な方法論が確立されます。

フェーズ3:ビジネスユニットが自らイノベーションを推進する段階

  • 目的:大規模な利用拡大、ビジネスユニットによる自律的なイノベーション。
  • モデル:ビジネスユニットが、自らのプロセスのAIエージェント化を主導し、CoEが提供するツールや実証済みのパターンを活用して、自ら構築を進めます。パートナーの役割は、共同ビルダーから、複雑かつ重要度の高い実装や部門横断のシステム連携を担う専門的な支援者に移ります。
  • CoEの役割転換:中央のCoEは、構築から統制へと役割を転換します。CoEは次の領域に重点を置きます。
    • ガードレールとセキュリティ:すべての自律型エージェントに、企業のセキュリティ要件、項目レベルのアクセス制御、Safe Harbor基準の遵守を徹底させます。
    • ベストプラクティス:何を成功とみなすかについて、全社共通のハンドブックを整備します。
    • モニタリングと最適化:すべてのビジネスユニットで運用されているAIエージェント群の健全性とパフォーマンスを監視します。
  • 成果:AIファーストの企業文化。ビジネスユニットがイノベーションを主導し、パートナーが困難で複雑な業務を遂行します。そしてCoEが、ビジネスで稼働するすべてのAIプロセスのセキュリティ、ガバナンス、ROIを確保します。