「CTA」を目指す過程で得られる知識や出会いは財産。結果に関係なく価値がある

株式会社SUGo
ディレクター
古関 倫子


インタビュー対象資格


 

認定テクニカルアーキテクト(CTA)

 

 

認定アドミニストレーター
認定上級アドミニストレーター
認定 Sales Cloud コンサルタント
認定 Service Cloud コンサルタント
認定 Experience Cloud コンサルタント
認定 Field Service コンサルタント
認定 Platform アプリケーションビルダー
認定 Platform デベロッパー
認定 Development Lifecycle and Deployment アーキテクト
認定 Integration アーキテクト
認定 Identity and Access Management アーキテクト
認定 Data アーキテクト
認定 Sharing and Visibility アーキテクト
認定アプリケーションアーキテクト
認定システムアーキテクト

 

勉強を重ねてより良いものをお客様に提供したいという思いからIT業界へ

– これまでどのようなキャリアを歩まれてきましたか?

東京理科大学で数学を学び、新卒で証券会社に入社しました。最初は営業に配属されたのですが、仕事をするうちに、勉強を重ねて少しずつ積み上げたものを使える仕事のほうがあっていると考えるようになり、IT業界を中心に転職活動を行いました。一番早く内定をくださった会社にお世話になったのですが、そこで初めてSalesforceに触りました。大学時代にプログラミングなどを学んだわけではなく、初めはIT用語も分からない状況だったのですが、理科大の友人が半数以上IT業界に就職していたこともあり、IT業界への転職に違和感はなかったです。この会社には1年半勤めたのですが、その後、25歳でアクセンチュアに転職し、ここ数年はシニアマネージャーとして提案から保守まで、役割はPM (Project Management) / プリセールス/ SME (Subject Matter Expert)、そのほかにSalesforce界隈の若手・女性活躍リードや、複数の小規模組織のリードなど、様々な仕事を任せていただきました。

現在は、株式会社SUGoでディレクターという立場で、システム開発のPMやコンサル、人事総務、採用、プリセールスなど幅広い仕事をさせていただいています。

女性の活躍を後押ししたい。女性初のCTAを目指す

– CTAを目指した理由について教えてください。

29歳の時にアクセンチュアでマネージャーになったのですが、その頃Salesforce部門の責任者の方に、「日本ではまだ女性のCTA合格者が出ていない。受けてみないか?」と声をかけていただきました。海外では女性合格者が出ているのに、日本ではまだ出ておらず、「私が1番に取ろう」と思いました。また、当時周囲に優秀な女性部下が何人もいて、そのメンバーにポジティブな影響を与えたいという気持ちもありました。

– 「女性活躍リード」の仕事もされたということですが、女性の活躍に使命感のようなものもあるのでしょうか。

当時私のチームには、資格を10個以上持っていて、デリバリーもきちんとできる優秀な女性メンバーが自分の部下に何人もいたのですが、彼女たちの活躍を後押ししたり、スキル向上のサポートをしたいと思うようになりました。二十代後半ぐらいからでしょうか、割と使命感みたいなものも感じながら、そういう活動にも取り組んでいます。ただ、私だけがやっているわけではなく、そういう方がたくさんいて、一緒に進めていたという感じですね。

暗記が大の苦手。業務も忙しく、思うようにまとまった勉強時間を確保できず

– CTA取得までにかかった時間はどれくらいですか?

Salesforce経験8年程度、前提資格の復習から始めて数年かかりました。累計学習時間にすると1,000時間以上かかったように思います。内訳としては、経験豊富なCTAの方々から、模擬レビューボード* を合計20回以上もやっていただきました。また、CTAの受験に際して前提条件となる資格を取得していたのですが、資格を取ってから時間がたっていたこともあり、その復習を行ったり、模擬レビューボードでいただいたフィードバックに対する復習をメインに実施しました。

私はかなり時間がかかった方だと思うのですが、スムーズに合格できなかった背景は、
①腹落ちしないと覚えられないことと、②まとまった時間が取れなかったことです。
元々暗記量の多い科目が嫌いで、学生時代は数学以外の科目が苦手でしたし、前職でもTOEICの点数が取れず昇進も約2年遅れるほどでした。なのでCTAの勉強も表面上の暗記ができず、どういう背景でこうなったのかを理解しないと頭に入らないので、背景の調査にかなりの時間を要しました。

加えて、勉強開始当初はすでに自分のチームに数十人のメンバーがいる状態で、複数の案件PMをしていたので、思うようにまとまった勉強時間の確保ができず、せっかく覚えたことを忘れてしまって何度もやり直しました。スムーズに受かる方は、やはり業務調整や休暇を取るなど時間確保ができているように見受けられました。

– 効果的だと感じた勉強方法はありますか?

模擬レビューボードを何度も受けることが効果的です。
試験内容としては、180分でA4サイズ10ページ程度の仮想シナリオを読んでソリューションを構築して資料化し、45分でプレゼン、60分でジャッジ(CTA審査員)からQAを受けるという3部構成の試験ですが、「ジャッジからQAを受ける」ところについては自己のみで対策できません。
模擬レビューボードまで来られる方は、基本的に管理職以上で普段の業務はレビューする側であることが多く、最初は圧倒的な技術力や経験を有するシニアなジャッジから大量に指摘を受けて辛い場面もあると思いますが、あまりにも試験範囲が広すぎて独学で進めるのはまず無理なので、何度も模擬レビューボードを受けてコツを掴むことが重要だと思います。

挑戦するだけですごいこと。うまくいかなくても気にすることは何もない

– 大変な中でモチベーションをどのように保ったのか教えてください。

どんなに忙しい時でも続けることが大事なので、モチベーションを保つことはとても重要です。まず、モチベーションを落とさないためには、

  • 私の失敗や成功について、10年後覚えている人はほぼいないので人の目を気にしない
  • しっかり勉強を積み重ねることができれば、いずれ自然に合格すると考える
  • 少しでも進めば良いので、やる気がない時は5分の暗記チェックで勉強をやめる
  • 諦めることが頭をよぎった際には、客観的に見てどちらが自分や周りにとってポジティブかを考える

ようにしていました。

また、モチベーションを上げるためには、

  • 感動する動画を観たり曲を聴いたり、仕事で頑張っている周りの人を思い浮かべて、「自分だけが大変ではない」と考える
  • 合格した姿を思い浮かべる
  • 悔しかったことを思い出してバネにする
  • 応援してくれている人やお世話になっている人を思い浮かべる

ことを意識しました。

これには理由があります。実は、途中で諦めてしまう方も結構いらっしゃるんです。時間が取れなかったり、プレゼンテーションなどの独特な試験スタイルに抵抗があったり。
CTAって落ちるたびにみんなにばれるんですよ。特に私の場合、会社からお金を出してもらっていたので定期的に状況を聞かれますし、まあばれますよね。周りの人はもちろん、私が落ちたことに対して何とも思っていないですし、挑戦しているだけですごいと言ってくれて、本当にそれが心からの正直な言葉だと思うんですけど、やはり本人としてはネガティブなことですから気が滅入ることがあります。
辛いのは私だけじゃない、みんな頑張ってるんだということが分かると気持ちが楽になりました。努力している姿って人には見えないじゃないですか。CTAホルダーやCTAに挑戦されている方は、当然ものすごい努力をしてますけど、そんなのは周りの人には見えないから自分だけこんなに頭が悪くて、何回も落ちたりするのかな、とか。人よりも努力しなきゃいけないのかなとか、やはり思ってしまうことがありました。でも、頑張っている人を見るとみんな頑張っているんだなと勇気をもらえます。

独特な試験形式への対応に苦労するも、ジャッジの一言で気持ちが楽に

– CTAの試験は選択式で解答できる他の試験と全く異なりますが、対応するのは大変でしたか?

CTAのレビューボードでは、かなり熟練のジャッジの方から自分の提案に対して様々な質問や指摘を受けるのですが、人によってはそれが圧迫面接のように感じたり、プライドを引き裂かれたような気持ちになることもあると思います。言い方とかはすごく優しいんですけど、質問を受ける箇所って結局自分が答えられないところや苦手な分野で具体的な回答ができていなかったりするので、結果追い詰められたような気分になってしまうんです。

でも、CTAを目指している方に伝えたいのですが、こういったことを恥ずかしいと思っちゃったり、周りの目を気にして辞めた方もいらっしゃると思うのですが、それは気にする必要はないということです。
質問を受けて責められているように感じることもあるかもしれませんが、実はあるジャッジの方に言われました。質問するのは落とそうとしているからではなくて、スコアを上げようとして聞いてくれているのだそうです。私はそれを聞いてイメージを変えることができました。
意図としては受験者を落としたいのではなく、単純に回答を理解するためだったり、加点要素を増やすためなので、質問を受けても委縮する必要はない、ということです。

CTAを目指す過程で得る知識や出会いは本当に貴重

– CTA取得の準備を進める中で、それらが実務に役立った場面はありましたか?

実務に直結していますので、かなり役立ちます。
例えばプリセールスや提案をしている際に、RFP (提案依頼書) に対して前提を置いてTOBEを描き、見積もりを出すことがあると思うのですが、CTA試験でまさに同じことをするので、仕事の速度が圧倒的に早くなりました。
また、一定規模のある案件でPMやSMEをやる際に、早い段階でリスクや課題の特定ができるようになったと感じています。なので、迷っている方はぜひCTAの勉強を始めて欲しいですね。

– CTA合格は長くて大変な道のりですが、他の方にもお勧めしたいと思いますか?

はい、コンサル・エンジニアの方は目指した方が得ですので奨励します。
目指す過程で卓越したスキル・経験を有するシニアな技術者や向上心の高い方と出会えたり、業務に直結するような知識を得ることができますので、やればやるほどお客さんに質の良いものが提供できるようになりますし、プロジェクト管理という観点でも早い段階でリスクに気づけるようになります。

CTAを目指す過程で得る知識や出会いは本当に貴重です。ちょっと勉強するだけでも考え方とか進め方が格段に効率的になるし、ジャッジの方々も本当にすごい人たちで刺激を受けます。また、同じタイミングで受験されていた方とも情報交換したり、取得後もちょくちょく連絡を取ったりして良い関係を築かせていただいています。

– 今後どのようなキャリアを目指されているのか教えてください。

このCTA受験を通して本当に色々な方にお世話になりました。また貴重な経験をさせていただきました。今後は還元する立場になりたく、社内外限らず後続のIT人材の育成やアセット作り、若い方のモチベーション向上、活躍推進などにも力を入れていきたいと考えています。
*模擬レビューボード:実際のCTA試験を模した練習のこと。CTA保持者にジャッジ役として参加してもらい、プレゼンテーションと質疑応答 (QA) を行った後、フィードバックを受ける。他の受験候補者にオブザーバーとして参加してもらい、意見交換を行うこともある。
*本記事は、2025年4月時点の情報です。

認定資格について

Salesforce 認定資格は、Salesforce製品を使用する各担当者の役割に必要なスキルを保持していることを証明するグローバル共通資格です。

資格保持者は、各分野に於いて即戦力であることを証明できます。

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