テムズバレー警察とハンプシャー・ワイト島警察、必要な時に寄り添う被害者支援を実現
包括的なセルフサービス型ポータルの導入により、住民は自身の事案の進捗状況を確認したり、担当の警察官と直接メッセージをやり取りできるようになりました。同時に、コンタクトセンターへの問い合わせ件数の減少にも貢献しています。
包括的なセルフサービス型ポータルの導入により、住民は自身の事案の進捗状況を確認したり、担当の警察官と直接メッセージをやり取りできるようになりました。同時に、コンタクトセンターへの問い合わせ件数の減少にも貢献しています。
テムズバレー警察(TVP)とハンプシャー・ワイト島警察隊(HIOWC)は、500万人の住民の安全を守り、治安を維持する、イングランドの地域警察です。両警察には毎年130万件の電話が寄せられますが、そのうち約40万件は、緊急を要しない進捗の問い合わせでした。
被害者、特に深刻で重大な事件の被害者にとっては、やり取り自体が負担が大きく、心の傷をより深めてしまうおそれがありました。
「あなたが被害を届け出た事件について、その進捗を知りたい場面を想像してみてください。電話に出た見知らぬ担当者に、自分の身に何が起きたのかをまた一から説明しなければなりません。それが再びトラウマとなってしまうことがあるのです。」と、デジタルプロダクトマネージャーのTom Boyd氏は語ります。
TVPとHIOWCは、事件の届出から解決に至るまでの被害者とのコミュニケーションの改善に着手しました。デジタルでの問い合わせ対応を効率化し、緊急通報がいつでも繋がる状態を保持しながら、被害者により手厚い対応を提供することを目指したのです。
被害者の体験を根本から見直し、住民サービス向上させるため、TVPとHIOWCはSalesforceプロフェッショナルサービスと提携しました。そして、住民自身で確認や問い合わせができる、安全な住民向けポータルサイトを構築しました。
住民は、進捗状況の確認や担当者に尋ねるために非緊急時の通報(101番)へ電話をかける必要がなくなりました。住民向けポータルサイトにログインするだけで、捜査状況や最新情報の確認、担当警察官(OIC)とのやり取り、AIエージェント「Bobbi」への相談まで、全てオンラインで完結できます。ポータルでは、捜査が一定の段階に達するたび、メールやSMSで自動的に最新状況が届くため、被害者は常に状況を把握できます。
たとえば、自転車の盗難届を出した場合、被害者は捜査状況をいつでも確認でき、質問があれば担当警察官へ直接メッセージを送ることができます。その後、自転車を発見した担当警察官が鑑識・証拠集めを完了してポータル上のステータスを更新すると、被害者へ「自転車が発見されたという情報」と「受け取り場所」が自動で通知されます。
住民向けポータルサイトは、Salesforceのオープンで相互に繋がるエコシステム上に構築されており、全体を一つに繋ぎ合わせる役割を担っているのがMuleSoftです。
「MuleSoftのおかげで、あらゆるデータを集めて必要なシステムに瞬時に届ける仕組みを作ることができました。裏側の複雑なデータ処理はすべてMuleSoftがやってくれます」と、コンタクト管理部門で業務運用担当責任者を務めるRob Brind氏は語っています。
ポータルはバックグラウンドで警察の基幹システムと連携しているため、部署を横断してもデータは常に最新の状態に同期されます。MuleSoftは、事件関連のデータの変更が生じたことを自動で検知します。そして、警察官が日々使用している次のような既存システムへ、データを共有・連携させています。
データの変更が検知されると、更新された情報はMuleSoftを経由してAgentforce Serviceへ送られ、ポータル画面上に反映されます。
全体をつなぐ基盤となっているのがAgentforce Public Sectorです。ポータルを支える構造的な土台として機能し、デジタルサービスの提供を可能にしています。住民がアクセスするポータル画面(フロントエンド)ではAgentforce Experienceを採用し、警察官が業務をこなす裏側(バックエンド)ではAgentforce Serviceが連動し、住民市民と警察のやり取りがスムーズに行えるようにしています。
開発開始からわずか15週間で導入されたこのポータルは、英国の警察機構として初の取り組みとなりました。運用開始以来、すでに31人分の業務に相当する成果を上げ、140万ポンド(約2.7億円)のコスト削減を達成。同時に、コンタクトセンターへの問い合わせ件数は10%減少しました。
ポータルは、警察官の担当事件の管理効率化にも貢献しています。Salesforce内にあらかじめ用意された122種類の定型文を活用することで、捜査の進捗に応じた案内を、より早く簡単に送信できるようになりました。それ以上に重要なのが、被害者側が体感する変化です。セルフサービス機能、多様な連絡手段、自動配信によるタイムリーな進捗通知により、TVPとHIOWCの顧客満足度(CSAT)スコアは15%向上しました。
「住民向けポータルサイトのおかげで、被害者自身が主体的に情報を確認できるようになりました。過去の出来事を何度も説明する精神的負担(トラウマの再発)がなくなり、解決までのやり取りがストレスなく行えるようになっています」とBoyd氏は語ります。
現場の電話対応オペレーターもその効果を実感しています。「電話の問い合わせが減り、目に見える成果が出ています。オペレータの負担が軽減され、本当に対応を必要としている住民の電話に、よりじっくりと向き合えるようになりました」と、オペレーショナルデューティーマネージャーのLouise Castle氏は語っています。
Salesforceチームには警察業務の経験者が在籍しており、TVPとHIOWCが直面していた課題を深く理解していました。「Salesforceはまず、現場の問題を理解することから始めてくれました。私たちのニーズを正しく汲み取ってくれたことが、大きな成果に繋がりました」とBoyd氏は語ります。
MuleSoftがTVPとHIOWCのバックオフィスシステムを繋いでデータを整理・統合することで、ポータルサイトや各種サービスが正確で信頼できる情報にもとづいて機能するようにしています。「MuleSoftのおかげで、先進的なシステム構成(アーキテクチャ)を構築できました。今では、その基盤を活用しながら、将来にわたって拡張・発展できる確固たる基盤が整っています」とBrind氏は語っています。
Salesforce Trust Layerを採用したことで、TVPとHIOWCは、非常に機密性の高い犯罪データや被害者情報を徹底的に保護しながら、安全なポータルサイトを立ち上げることができました。プライバシー管理とアクセス制限に関する安全対策が組み込まれているため、被害者が事案の進捗を確認したり、警察官とやり取りしたりする際も、機密情報は常に保護されています。
Agentforceは緊急を要しない通報の一時対応を行い、リスクの高い事案を自動で検知します。これにより住民は必要なときに支援を受けることができ、オペレーターは緊急性の高い事案に集中できます。
両警察機構がどのようにAgentforceと統合ポータルを活用して住民への素早い対応、進捗共有、そして、犯罪を容易に通報できる体制を整えたのか、取り組みをご覧ください。
イングランド最大級の2つの警察機構であるTVPとHIOWCは、3,800平方マイルの地域に住む400万人の人々に奉仕をし、緊急事態の対応や、犯罪の捜査を行っています。