カスタマージャーニーとは?カスタマージャーニーマップの作り方

投稿日:2021.11.26
カスタマージャーニーは、精度の高いマーケティング施策のためには不可欠な考え方です。また、カスタマージャーニーを可視化したカスタマージャーニーマップは、施策立案の羅針盤となります。
ここでは、カスタマージャーニーから得られるメリットや、カスタマージャーニーマップの作り方について解説します。

カスタマージャーニーとは、消費者がたどる一連の体験

カスタマージャーニーは、直訳すると「顧客の旅路」となり、消費者がたどる一連の体験を旅にたとえたものです。
ある商品やサービスを知り、購入するまで、さらには利用して廃棄するまでのあいだに、消費者はさまざまな体験をします。また、多くの製品・サービスを見て、新たな発見をしたり、良し悪しを評価したり、自分に必要かそうでないかを判断したりします。それらの経験の結果として、消費者は「試用」「購入」「利用」「廃棄」などの行動を起こすわけです。

なぜカスタマージャーニーが重要なのか?

消費者がある製品やサービスを知り、購入するまでには、かなり複雑なルートをたどります。まず、その製品・サービスを広告や口コミなどで知り、ウェブサイトで詳細を確かめ、実際に使っている人のレビューや評価をチェック。そして、自分に必要かどうかを競合の製品・サービスとともに検討し、納得できたところで購入に至ります。
製品・サービスを購入してもらうためには、このルート上の至る所で、消費者に納得してもらわなくてはなりません。

さらに、購入した後は不具合なく使うことができ、期待どおりの性能と耐久性を発揮することが必要です。その結果、顧客が商品に満足してくれれば、「次もこれを買おう」「このブランドの製品を使おう」ということになります。
単に製品・サービスを売るだけでなく、顧客に愛着を持ってもらい、自社と自社ブランドのファンになってもらう。それには、顧客体験のマネジメントが不可欠であり、そのためにカスタマージャーニーが重要になるのです。

カスタマージャーニーは可視化しておくことが大切

何らかの製品・サービスの情報を得たいと思ったら、昔なら店舗に出向くしかありませんでした。しかし、現在はネット検索でいくらでも情報を集められます。また、SNSや口コミサイトで使用者の評価や感想を聞くことができますし、わからないことがあれば質問も可能です。競合他社の製品・サービスと比べ、どちらがいいか迷っているなら、複数のアイテムを並べた比較サイトも参考になります。
このように、同じ商品を購入したとしても、消費者が購入に至るまでにたどるルートは違ってきます。そのため、多種多様な消費者の購入体験を適切にマネジメントするためには、彼らの旅路を可視化したカスタマージャーニーマップが必要不可欠になるのです。

カスタマージャーニーを作成するメリット

カスタマージャーニーの作成は、時間のかかる地道な作業です。しかも、「一度作ったら、それでOK」というものではありません。常にブラッシュアップしていく必要があり、手間も時間もかかります。
しかし、カスタマージャーニーを作り、マップに落とし込み、分析していくことで、さまざまな気づきや成果を得ることもできます。

顧客理解が深まる

カスタマージャーニーがもたらす最大のメリットは、顧客に対する理解が深まることです。
自社製品・サービスを購入してくれる多くの顧客が、それぞれどのような体験と思考、判断を繰り返して購入に至ったのかを正確に知ることは、簡単ではありません。たとえば、「寝心地の良い、上質なマットレス」を購入した顧客たちには、それぞれに購入の理由があったはずです。家事と子育てで毎日が忙しい主婦の場合、「せめて寝るときくらいはゆったりしたい」と考えたかもしれません。スポーツ選手やアスリートなら、「体の疲労を、短時間で回復したい」と考えたでしょう。あるいは、「一日中、横になっていても苦にならないから」という理由で購入したお年寄りもいるかもしれません。
カスタマージャーニーは、顧客の行動を時間軸に沿って構築し、それぞれの「旅路」を描き出します。それにより、顧客が何を考え、どのように判断したのかを、深く理解できるようになるのです。

顧客目線で施策を立案できる

顧客を理解できると、その立場に寄り添って考えることができます。つまり、売り手ではなく、買い手の側に立った発想ができるのです。これは、マーケティング施策の企画立案において、とても重要なことです。
顧客の行動やその背景にある理由を理解できず、売り手の事情だけで施策を企画しても、効果が期待できないのは当然でしょう。しかし、カスタマージャーニーに沿い、その途上の要所ごとに、顧客が何を考え、何を求めているのかを理解できれば、ニーズに合った施策を作ることができます。

施策の目的が明確になる

消費者は、それぞれのカスタマージャーニーに沿って体験を繰り返し、購入に至って顧客になります。そして、「どの段階にある消費者の、どんな課題を解決するのか」が、各種マーケティング施策の目的です。

自分自身のニーズに気づいた消費者に、それを解決する情報を提供するのか。競合製品・サービスと比較検討している消費者に、自社製品・サービスの優位性をアピールするのか。あるいは、廃棄・再購入の段階にある顧客に、改良版の新型モデルをプッシュするのか。
このような施策の目標が明確になれば、施策の内容も絞り込めますし、その効果を測るKPIも、おのずと決まっていくでしょう。

ブランド価値の向上につながる

顧客を理解して、カスタマージャーニーに沿ってマーケティング施策を企画することは、顧客がたどる旅路の中のいくつもの接点で、上質な体験を提供することにつながります。
上質な顧客体験を提供すれば、顧客満足度や顧客ロイヤリティの向上につながり、自社と自社商品・サービスのブランド価値向上に大きく貢献します。顧客ファーストで発想することが、自社の価値を高めてくれるというわけです。

カスタマージャーニーマップの作り方

顧客体験を目に見える形に落とし込んだカスタマージャーニーマップは、マーケティング活動における羅針盤ともいえる存在です。ここからは、カスタマージャーニーマップの作り方について解説していきます。

1. ペルソナを作る

最初に、自社製品・サービスの標準的顧客モデルであるペルソナを作ります。既存の製品・サービスであれば顧客データをセグメント化し、中心となるグループの顧客情報を抽出します。そこから顧客の属性、性格、嗜好、行動の傾向などを、ペルソナを落とし込むためのシートにまとめます。
同時に、カスタマージャーニーマップの目的地も決めておく必要があります。問い合わせか購入か、また購入でも新規購入なのかリピート購入なのか。目指すべきゴールによって、マーケティング施策の内容や収集する情報が違ってきますから、この段階で明確に決めておきましょう。

2. カスタマージャーニーマップのフレームを設定する

続いて、カスタマージャーニーマップの基となる、フレームを設定します。カスタマージャーニーマップのフレームには実に多くの種類があり、ネットでもさまざまな形のものが公開・配布されています。それらの中から、自社に合ったものを選べばいいでしょう。
ただ、最初からあまりに複雑で細かいフレームを使ってしまうと、カスタマージャーニーマップづくりそのものが難航してしまいます。まずはシンプルなフレームを使い、不備や不足を感じるようなら項目を増やしていくようにすると、無理がありません。
 

カスタマージャーニーマップのフレームの例

  商品を認知 興味・関心 比較・検討 購入
タッチポイント        
思考・感情        
行動        

 

よく使われるのは、上記のように横軸に購買までのプロセスを入れ、縦軸にタッチポイントやその時点での顧客の思考、行動などを設定するフレームです。
なお、それぞれの列と行は、必要に応じて追加したり差し替えたりすることになります。たとえば、「比較・検討」は「競合との比較」「グレード、プランを検討」「価格を検討」などと細かく設定することができますし、購入後のプロセスとして「製品の利用」「評価」などの項目を追加することも可能です。縦軸の「思考・感情」は、ネガティブなものとポジティブなものに分けることもできます。

3. 顧客の情報を集める

フレームが設定できたら、次は情報収集です。顧客がカスタマージャーニーマップ内のどの場所で、どのように考え、感じ、その結果としてどんな行動を起こしているのか、客観的な情報を収集します。
ここでは、アンケート調査や問い合わせ内容からの抽出、カスタマーサポートでの対応履歴、ウェブサイトへのアクセス分析などから得られた情報が活用できます。定量データ・定性データの両面から、客観的な情報を収集してください。もしも情報量が十分でなかったら、新たにインタビューを行ったり市場調査を実施したりして、情報を集めていきます。

4. フレームにマッピングする

集めた情報を、フレーム内の対応する枠にマッピングしていきます。情報で空欄を埋めていくわけですが、この作業は1人で行うよりも、数人が集まってグループワークとして進めるのがいいでしょう。
1人で作業していると、思考や判断基準が独りよがりになりがちです。ひとつの情報に対しても評価が固定されがちで、「別の見方」がしにくくなります。ですから、社内の各部署から、それぞれに違う視点を持つメンバーに参加してもらい、それぞれの立場から情報を評価していくのが効果的です。

こうした方法をとる場合、全員がカスタマージャーニーマップ全体を見渡せるよう、フレームをホワイトボードや大きな紙に書き出しておくといいでしょう。収集した情報はひとつひとつ付箋に書き込み、それをボード上の空欄に貼りつけていくのです。
こうして皆で意見を出し合い、付箋の位置を動かしながらマップを作り上げていけば、作業の時間が実りのあるものになるはずです。

5. 「旅」のルートをつなぎ合わせる

マッピングを終えたら、それぞれの欄に貼り込まれた情報を時系列でつなぎ合わせ、顧客がたどる旅のルートをひとつながりのストーリーとして描いていきます。
この段階では、顧客の立場で思考や感情をくみ取り、その結果としてどのような判断を下したのか、仮説を立てながらストーリーを構成していくことが大切です。そのためにも、複数のメンバーが意見を出し合いながら進めるといいでしょう。また、感情の抑揚や感覚の強弱をフェイスマークで表現したり、状況を説明する簡単なイラストを入れたりすると、視覚的に理解しやすく、見ていて楽しいものになります。
ここまでの作業を終えたら、改めて全体を見直します。すべての欄が埋まり、情報の移動や修正の必要がなければ、カスタマージャーニーマップの完成です。

カスタマージャーニーマップを作成する際の注意点

カスタマージャーニーマップを作る際、注意すべき点がいくつかあります。これから紹介するポイントを押さえておかないと、せっかく作ったカスタマージャーニーマップが的外れなものになりかねません。そうなると、期待していた成果を上げることができませんから注意しましょう。

希望や願望、思い込みを排除する

カスタマージャーニーマップの作成にあたっては、希望的観測や自社に都合の良い解釈、思い込みや願望など、恣意的な判断はすべて排除することが重要です。
情報収集の段階では、収集によって表れた結果を重視することが必須ですし、カスタマージャーニーマップに落とし込んでストーリーを構築していく段階でも、事実にもとづいた判断が欠かせません。仮説を立てることは必要ですが、その仮説が事実を反映しているかどうか、十分な検討が必要です。もしも、明確な判断がつかない場合には、追加の情報収集を行うか、ほかの仮説も考えられることをマップ内に付記しておくといいでしょう。

ラフに作り、洗練させていく

カスタマージャーニーマップは、一度で完成させようとしないことも大切なポイントのひとつです。最初から精密に作り込んでしまうと、細部にずれが生じてしまった場合、修正がたいへんになります。それよりも、最初はラフなレベルで作っておき、少しずつブラッシュアップさせていくことが重要です。
カスタマージャーニーマップは、情報という事実を基に、仮説を組み立てて作り上げるものです。しかし、情報量が増えてくると、立てた仮説が間違いだった、あるいは修正が必要だと判明することもあります。また、これまでとはまったく異なる情報が増えてきて、カスタマージャーニーマップの項目の変更や追加を迫られたりもするでしょう。
そうした場合にも、柔軟に対応できる余白を、最初から用意しておくのです。そうすれば、情報の蓄積に応じて、カスタマージャーニーマップはその精密さを増していくはずです。

定期的な更新を欠かさない

カスタマージャーニーマップを洗練させるためには、定期的な更新作業は不可欠です。では、どれくらいの頻度で更新すべきなのでしょうか。これは、顧客の購買行動の変化の頻度によりますので、一概にはいえません。たとえば、情報がある程度増えたタイミングで、あるいは大規模なマーケティング施策を打つ前にという具合に、更新の時期を決めておくといいでしょう。「半期に1度」「毎年◯月」などと、時期を決めておくのもひとつの手です。
放置したままのカスタマージャーニーマップでは、タイムリーな顧客行動をキャッチすることはできません。定期的な更新を欠かさず、常に鮮度を保ってください。

カスタマージャーニーは施策の精度に直結する

カスタマージャーニーを考えることは、顧客を理解し、顧客の立場に立ったマーケティング活動を行うことにつながります。カスタマージャーニーはMAのシナリオにも反映できますし、カスタマージャーニーマップの精度が高まれば、各種施策の精度も高まるでしょう。
消費者がたどるカスタマージャーニーは、ますます複雑になります。ですから、最初から完璧なカスタマージャーニーマップの完成を目指すのではなく、修正を重ねて洗練されたものに育てていってください。

 

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