エコシステムのコラボレーションを目指す
製造業者のためのハンドブック
変化に対応し、デジタル化戦略を加速しましょう。
今、デジタル最適化を行うべき理由
この数十年間は、最良の製品を作り上げて提供することが、競争市場における製造業の活動の中心でした。 今日、新型コロナウイルスは、製造業の働き方から、パートナーや顧客とのビジネスモデルに至るまで、あらゆることに変化をもたらしました。これにより、すべてのビジネスプロセスの「昔ながらの」働き方から、新たなデジタルファーストの世界への変革が求められる「デジタルの必須課題」が避けられないものとなっています。ネクストノーマルでは、同僚やパートナー、顧客と場所を選ばず連携できることが求められます。対面でのやり取りに依存し続け、オフィスで従業員がレガシーシステムに付きっきりになっている製造業者は、パートナーや顧客との関連性を失いかねません。
SalesforceがForrester Consultingに委託した、100人の製造業のリーダーを対象とした最近の調査で明らかになった優先事項のトップ3:
1.エンゲージメントの強化
2.優れた顧客体験の提供
3.一元的な視点による顧客の把握
先見の明がある製造業者は、デジタル化の定義、開発、急速な加速により、エコシステムを理解し、真摯に取り組み、信頼を獲得するという、市場においてもっとも重要な差別化要因で他社を凌駕できます。こうした企業は、パートナーや顧客を第一に考えます。 Salesforceのビジネスは、製品中心の世界から、パートナーや顧客の需要がビジネスの中心になる世界へと徐々に進化し、構築されてきたものです。このハンドブックでは、パートナーや顧客をイノベーションサイクルの中心に据えることによって、製造業者のデジタル化戦略の加速を支援することに焦点を当てています。解説されている手順に従うことで、ビジネスの俊敏性、反応性、可視性、デジタルコラボレーション、実践的なインサイトのための基礎を構築できます。
第1章:企業内での変化に対応
会社を進化させ、エコシステムのコラボレーションを促進
変化に対応することは、製造業の職場において特に困難です。「デジタル化」と聞いたときに、何年もの時間を費やしたERPの導入の記憶がよみがえるでしょう。 パートナーや顧客が中心のビジョンへの移行には、業務の手順だけでなく、会社の全従業員のデジタル化への考え方も変革する必要があります。 まずは意識改革です。CEOのほとんどは、2つの手法で変革を行います。1つ目は、既存のビジネスを手直しして、コスト削減と生産性向上を達成する手法です。2つ目は、フリーなキャッシュを活用してパートナーや顧客の価値を生み出す手法です。これは脱却の意識とも呼ばれます。
パートナーや顧客をビジネスの中心に据えるにはどうすればよいか?
読者にお勧めしたいのは、第3の手法、すなわち「ビジネスの手直し」から「会社の進化によるエコシステムのコラボレーション促進」という考え方にシフトする手法です。
やってみる:継続的な改善を導入する
おそらく、あなたの会社でも新型コロナウイルスの影響で生じた新しいニーズに追いつくために、果敢な取り組みを進めていることでしょう。しかし、変革イニシアチブには費用と時間がかかりそうであるという懸念から、チームは大きな変化にまだ抵抗があるかもしれません。 しかし実際は、非常に小さなプロジェクトへの改善でさえも、大きな影響をもたらします。デジタル化は、現在、数か月後、そして将来と、ベストプラクティスを継続していくことに他なりません。改善を始めるには、経営陣との次のような会話から始めましょう。
- コラボレーションやインサイトの共有を通じた、パートナーや顧客のジャーニーの理想像についてのビジョンがあるか?
- そのビジョンを制度化できるか?できないとしたら、それはなぜか?組織全体およびエコシステム全体で、誰がすでにこれを実施しているか?
- 社外で、誰がこれを成功させているか?そこから学べることはあるか?
- そのビジョンを定着させるには、顧客やパートナーに高く評価される必要がある。これを利用してどのように成長を促進できるか?
では、進化を始めるには、どうすればよいでしょうか?これには、次のような4つの柱があります。
- ビジネスプロセスを刷新する
- エコシステムを中心に考える
- 俊敏性とスケーラビリティを備えたソリューションを活用する
- 察知と対応で危機対応力を身に付ける
次の項目:第2章:ビジネスプロセスを刷新する
あらゆるやり取りが体験になります。次のような指標を考慮しましょう。
- 需要と消費にもとづいてリアルタイムで下された計画の意思決定により、恩恵を受けることができる(例:リードタイムの15~25%の短縮)
- かつてチャネルや収益のパフォーマンスに注目していた営業担当者が、チャネルとエンドの顧客満足度指標を活用できるようになる
- 優れた営業および業務プロセスにより、カスタマーサービスが2~5%改善する