株式会社NTTドコモ

資料作成年間3,600時間削減、承認の抜け漏れ防止
プロセスを“設計し、つなぎ、動かす”自動化改革

Salesforceで承認プロセスを標準化、MuleSoftで業務全体をオーケストレーション

NTTドコモは、Salesforce Platform とMuleSoft フローオーケストレーションを併用することで、タスク処理や承認プロセスなど複数のフローやサービスを連携化し、業務プロセス全体を自動化するだけでなく最適化することで、業務の効率化やサービス品質の向上、タスクの抜け漏れ防止などを実現しています。

NTTドコモについて

コンシューマ通信事業・スマートライフ事業・法人事業の3領域でビジネスを展開。2021年10月発表の中期戦略では、主力であるコンシューマ通信事業の中期的な利益維持と成長軌道への転換を打ち出す一方、スマートライフ事業・法人事業を成長領域と位置づけ、2025年度にはグループ収益の過半を創出するとの目標を掲げています。

NTTドコモの挑戦

NTTドコモは、激化する競争環境に対応するため、サービスデザイン部を主体としてサービスプラットフォーム構造改革を推進。ネットワークインフラの基盤刷新をきっかけに、業務プロセスの可視化・効率化にも着手。顧客に今まで以上の高品質なサービスを提供すべく取り組んでいます。

同社では長年、サービス・作業品質の維持・向上を多くの人手によって支えてきました。典型例として、商用システムの工事の部内レビューの際には、工事の内容や進捗について1件ごとに手作業で個別資料を作成し、部内の各階層で個別にチェックを重ねていました。

そのため、誰がいつ承認した、という組織横断的な承認記録を一元管理する点や、プロジェクト全体の進捗状況をリアルタイムに把握する点において、さらなる効率化が求められていました。また、資料のフォーマットが承認プロセスごとに異なり、プロセスのつなぎ目で手作業による調整が必要となる場面も見受けられ、業務全体の標準化と一層の効率化が重要なテーマとして認識されていました。

SalesforceがNTTドコモをどのようにサポートしているか

ビジネスプロセスの一元化・可視化と情報共有・資料作成などの業務プロセスの一元管理により効率化を実現。リアルタイム分析と戦略立案にもとづきサービス品質を改善

外部開発パートナーも含め1,000名超が多数のチームに分かれて活動しているサービスデザイン部では、商用システムを改修する際、工事を実施するまでの承認プロセスをSalesforceで作成したワークフローで管理しています。
従来、承認の細かな作業は、チームごとのやり方で個別に行われていました。そのため、自チーム外から承認プロセスの進捗などを把握する手段は、当事者に直接尋ねるという、コミュニケーションコストのかかる方法以外にありませんでした。
承認プロセスのすべてをSalesforceで一元管理するようになった現在では、作業がどこまで進んでいるか、いつまでになにをすべきか、という情報に誰でも簡単にアクセスできます。レビューに必要な情報はSalesforceの画面で網羅されているため、以前のようなレビューのための資料を作成する必要はなくなりました。
また、承認プロセスの各フェーズに要した時間や、実際の工事におけるチームごとの作業の成功率など、今までわからなかった、もしくはまとめるのに手間のかかったデータが可視化された結果、リアルタイムな分析と戦略立案によってピンポイントの改善策をすばやく打ち出し、迅速なサービス・作業品質の向上につなげられるようになりました。

MuleSoftを活用したビジネスプロセスに関する各種データの統合管理により、タスクの抜け漏れ防止や作業品質・効率向上を実現

サービスデザイン部の承認プロセスでは、工事に関する設計の内容など、既存のドキュメント・チケット管理ツール内のデータを利用します。ただ、せっかく管理ツール内にデータがまとまっているのに、それをSalesforceに手動で転記するのでは、今回の導入によって作業が1つ増えたことになり、プロジェクトの趣旨からすると本末転倒です。
そこでサービスデザイン部では、MuleSoftを活用して社内の各種システムとSalesforceを連携させ、管理ツール内のデータがSalesforceに自動で反映されるようにしています。また、作業の担当者が情報を記載し、Salesforceの画面内のボタンを押すと、Slackで自動的にマネージャー宛てにレビュー依頼が通知されるようにしています。
これまではSlackに直接資料を貼りつけて関係者に確認を促したり、ミーティングを開いて承認を依頼したりしていましたが、今はSalesforceの画面だけでコミュニケーションを完結できるようになりました。そのようなビジネスプロセスの自動化とデータを含めた統合により、手作業の削減や処理時間の短縮だけでなく、タスクの抜け漏れ防止や作業品質・効率の向上を実現しているのです。

承認プロセスにおけるAIエージェントを利用した事前レビューなど、Salesforceによる取り組みで見えてきたAI活用の未来

サービスデザイン部は2025年度の取り組みとして、全社員が実業務でAIを使いこなして効果を生み出す、という目標を掲げています。サービスデザイン部では、Salesforceによる今回の取り組みを通じて、その方針に沿う今後の展開が見えてきました。
すでに具体化しつつあるのが、Agentforceの活用による承認プロセスのさらなる効率化です。自然言語で簡単に指示を出せるAgentforceなら、これまでのようなSalesforceの推進チームによる支援がなくても、社員が独力でAIエージェントを使えるようになります。それを承認プロセスで利用することで、たとえば新規の工事案件に対して、Salesforceに蓄積されている膨大なナレッジをもとに、過去の工事におけるトラブルの内容や対応のノウハウ、注意点などを事前に指摘してもらえるようになります。そのように、従来は人間の持つ知識やスキルだけに頼っていた部分を、Salesforceと連携されたAIに補助・代行させることで、作業品質の向上や工数の削減を狙えるわけです。

“承認プロセスの各フェーズにかかった時間や、工事におけるチームごとの作業の成功率などが可視化されたことで、リアルタイムな分析と戦略立案によってピンポイントの改善策をすばやく打ち、サービス・作業品質の向上につなげられる手応えを感じています”

川﨑 聖也 氏

株式会社NTTドコモ サービスデザイン部 デザイン企画 グランドデザイン担当 担当課長

他社にはないSalesforceの価値

プラットフォームとプロセスが変わっても、それらを使いこなせるよう人が変わらなければ意味がないとの判断から、NTTドコモはシステムの内製化を決断。ノーコード・ローコードで開発コストをかけず、誰にでもワークフローなどを作成・運用できるSalesforce Platformを採用しました。他社製品と比較したとき、特定の領域に特化せずに幅広い業務に適用できる汎用性の高さがあることに加え、MuleSoft Anypoint Platform および MuleSoft フローオーケストレーションと組み合わせることで既存の社内システムやフロー群を容易に連携・一元管理できるようになること、コミュニケーションツールとして日常利用しているSlackと親和性が高いことなどが、Salesforce選定の決め手になりました。さらに、検討段階でセールスフォース・ジャパンの作成したデモによって、Salesforceを採用すれば業務をこのように変えられる、という具体的な未来を思い描けたことが、最後のひと押しとなりました。

SalesforceとMuleSoftの導入から間もない現時点でも、生み出された効果は多岐にわたります。まず、業務効率化という観点では、各プロセスが横断的に連携・可視化できるようになったことで、たとえばレビューの際、多いときでレビューの説明のためだけに5種類程度作成していた資料が不要となり、作業時間の削減効果は年間3,600時間に達すると推計されています。また、担当内で複数チームの情報を統合・管理する工数も減り、推計で年間200時間の削減効果が出ています。Salesforceの利用に関する部内アンケートで「事務局としての作業が減った分、本来業務への稼働に時間を割けるようになった」という回答があったように、効率化によって浮いた時間は、顧客に新たな価値を提供する業務のための貴重なリソースとなっています。一方、承認プロセスにおけるタスクの抜け漏れに関しても、導入後は減少し、以前のような発生は見られなくなったと実感しています。部内アンケートでも、「進捗状態が見えるため確認タスク漏れがなくなった」「工事情報が一元管理されているので情報を参照するまでの時間が短縮された」などの回答が多く寄せられています。

定性的な効果として特筆すべきは、業務改革に対する社員のモチベーションが組織全体で高まったことです。Salesforce活用のイメージがまだ湧きにくかったプロジェクト開始当初、業務改革に関する社員からの意見や要望は多くありませんでした。ところが、2025年4月にSalesforceが本格稼働し、社員が新たな承認プロセスの有用性を実感したことで潮目が変わり、Salesforceを活用して他の業務も改善したい、との声が部内から上がるようになったのです。

年間3,600時間

資料作成の削減時間

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