東日本旅客鉄道株式会社

グループ全体として
一人ひとりの顧客に向き合い
横断的なサービス利用増加を目指す

年間10以上のシナリオを作成し、ブラッシュアップを継続
利用サービス数やご利用額の増加に貢献

東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)は、JRE POINT会員へのグループの多様なサービスのご提案を目指し、Salesforce Marketing Cloud(以下、Marketing Cloud)を利用しています。伴走パートナーの力を借りながら、シナリオのブラッシュアップを社内で実施。常時10~15本のシナリオを運用し、自社ECサイトや駅ビル・エキナカ等での来店・販売促進プロモーションなど、さまざまな場面で成果を挙げることができました。
 
 

1. 顧客一人ひとりに合わせた内容のメールを、最適なタイミングで送る

JR東日本は、東北、関東、甲信越および静岡県東部をカバーする鉄道会社。鉄道に加え、グループとして、駅ビルやオフィス、駅に併設するコンビニエンスストア、ホテル、飲食、クレジットカード、スポーツクラブなど多様なビジネスを展開しています。

数多くのB2Cビジネスは、かつてはそれぞれが独自のポイントプログラムを運営していました。会員規模の大きなものは、各駅ビル独自のポイントサービス、Suica電子マネーの利用で、貯まるSuicaポイント、クレジットカード「ビューカード」の会員向けポイントのビューサンクスポイントの3つです。2016年以降にこれらを段階的に共通化し、グループ横断で一人ひとりの会員とのコミュニケーションを強化する取り組みを開始しました。こうして生まれたのが現在のJRE POINTです。

JRE POINTを通して、たとえば、定期券をお持ちの会員の駅ビルやエキナカでのお買いもの動向など、グループ内の移動と購買データを統合して把握できるようになりました。ただ、それをうまく使って、会員にとって最適な内容やタイミングでメールを送り、アプローチする手段はありませんでした。

当時もメール配信システムはありましたが、配信対象者抽出には別システムを使っていて、抽出だけでもかなりの手間がかかっていました。また、会員ごとに内容を変えることが困難だったため、一斉に同じ内容のメールを送っていました。2019年、そうした状況を改善し、会員一人ひとりに合わせた内容のメールを、最適なタイミングで送るメールマーケティングシステムとして、Marketing Cloudの採用を決めました。

採用にあたっては、機能の豊富さとユーザーインタフェースのわかりやすさを評価。さらに、Salesforceのエコシステムも決め手の一つでした。マーケティング本部 戦略・プラットフォーム部門 データマーケティングユニット 松本真理氏は、「担当者はほとんどが文系で、すべてを内製化することは難しかったという背景があります。運用の際に、信頼できるパートナーに伴走してもらう必要があり、Salesforceならその点でも安心だと感じました」と話しています。

 
 

2. キャンペーンのエントリー率が向上、売上が大幅増

導入に合わせて、まずは会員にどのようにJRE POINTサービスを活用いただきたいのかを定義。JR東日本グループの様々なサービスを幅広くご利用いただきたいと考え、会員に合ったサービスを紹介するシナリオを作り、プロモーション活動を展開することとしました。

例えばより多くの会員にモバイルSuicaをご利用いただくために、貯まっているJRE POINTをSuicaカードにチャージしてくれた会員に対し、モバイルSuicaならスマホのみでチャージが可能であることを伝えるプロモーションメールを送信するシナリオを実施しました。

稼働後にシナリオは増え、ブラッシュアップも続けています。現在は、定例のものと単発のものを合わせて、常時10~15本のシナリオを運用しており、年間約10本は新規のシナリオを設定しています。

マーケティング本部 戦略・プラットフォーム部門 データマーケティングユニット 吉永歩美氏は、「キャンペーンのエントリーや来店・購買促進に、メールマーケティングは高い効果があります」と話します。例えば、ポイント加盟店の駅ビルで横断的に毎月実施している施策として、エントリー後一定額以上購入いただいた方にポイントをプレゼントするキャンペーンを実施しています。Marketing Cloudの採用後エントリー率は約1ポイント向上、キャンペーンの売上増に繋がっています。

「会員クラスタを抽出して個別にメールを送れるようになった成果です。運用を続ける中で、例えば同年代女性でも働いている層はキャンペーン期間中の平日朝、主婦層は土曜日にメールを送ると反応が良いことがわかってきました」(吉永氏)

こうした知見は、メール配信による行動をTableauで可視化・分析することによってチーム内に蓄積されています。

 
 
 
 

3. JRE POINTアプリを使ったプロモーションも展開したい

吉永氏は、「伴走パートナーに協力いただき、ジャーニービルダーの初期設定やメールコンテンツのテンプレート化をして担当者レベルでも使いやすい仕様とすることで、その後の更新や配信タイミングの変更など運用の内製化を進めています」と話します。

松本氏は、「Marketing Cloudの実装部分をパートナーに任せることで、私たちはシナリオの構想などの仕事に集中できます。週に1度定例ミーティングがあり、その中でシナリオの効果を確認できるので日々活用の進歩を感じていますが、まだ使いこなせていない機能は多く、今後活用していきたいと思います。特にAIのEinsteinは、まだ使っていないので一度使ってみたい機能です」と話しています。

JRE POINTアプリを使ったプロモーションにも取り組む予定です。すでに、Marketing Cloudからのプッシュ通知を可能にするSDKをアプリに組み込んでおり、キャンペーンにエントリーした顧客へのメールが未開封の場合のアプリでのリマインドなどを行っています。現在は、どのタイミングで、どのような内容の通知を送れば、顧客に対して有益な情報を提供できるのか、マルチチャネル戦略を含めて考えを巡らせている最中です。

JRE POINTは、当社グループユーザーにとって日常的に貯めやすく、ご利用いただいていれば有効期限は自動で延長されます。今後はステージごとの特典をお楽しみいただける「JRE POINTステージ」も開始しますので、一人ひとりの会員に鉄道やバスだけでなく、駅ビルやエキナカでのお買いもの、Suica決済等当社グループの様々なサービスのご利用を通してJRE POINTの魅力を感じていただけるよう、Marketing Cloudを軸に展開するパーソナライズ施策をさらに強化していきます。

 
 
 
 
 
imagecut
※ 本事例は2022年11月時点の情報です
 

その他のリソース

 

顧客事例

地域社会 × デジタルで「世界にたった一つの旅」をほほえみへ

eBook

アニメで学ぶカスタマージャーニー

レポート

『マーケティング最新事情』レポート(第8版)

 
 

最新情報と斬新なアイデアを
メールでお届けします