プリンスホテルは、今回の取り組みを長期にわたる取り組みととらえています。まずスタートさせたのは、Marketing Cloudを活用したメールマーケティングの高度化です。
ホテル&リゾート事業を長年続けていたため、お客さま情報は豊富に蓄積しています。ただ、事業部ごとに情報は分断されていました。宿泊者の情報も、保有しているだけで活用には至らず、あらかじめシナリオを規定し、それに従ってメールを送るプロセスも実装されていませんでした。
以前からメール配信ツールは使っていて、簡易的に開封率などを可視化することはできていました。今回、Marketing Cloudを採用したのは、Salesforceをプラットフォームとすることによるソリューションの拡張性を見据えたため。とはいえメール単体でも、HTMLメールは以前よりはるかにビジュアルが活用できるようになり、また複数のシナリオを用意して配信頻度を高めることもできました。
そして、見えてきたことがあります。同社の会員はロイヤルティが高く、開封率は高い水準を維持しており、誕生日に送る特典メールの開封率はその中でも高いスコアを得ていました。今回、送付タイミングを柔軟に設定できるようになったため、誕生日の当日にもメールを送ってみると、開封率が以前より高まったのです。
セールス&マーケティング部 マーケティング ジェネラルマネジャー 小田 誠氏は、「この結果を受け、お客さまへお誕生日特典の内容を当日に送り、施策面にも生かそうとしています」と話します。
レストラン利用の特典では、「半年間に一定回数利用してもらったお客さまに、お食事券をプレゼントする」というものがあります。そこで、“もう少し利用いただければ、特典を得られる”お客さまに対して、お知らせを送る試みもスタートさせました。そのほか、入会時のシナリオや記念日のメールなど、複数のシナリオを開発し、運用を続々と開始しています。
シナリオメールと並行して、広告の最適化にも取り組みました。Marketing Cloud Advertisingを活用し、広告アクティビティを可視化し、狙いたいお客さまの幅を狭めて広告の無駄打ちを防ぎます。さらに、Marketing Cloud Personalizationでお客さまのニーズを細かな粒度で把握することで、広告配信のPDCAサイクルを回せるような仕組みを構想しています。
小田氏は、「2021年度は、これらの施策を定着させ、次の構想を固める段階。2022年度から、DX施策を次々と実行していきます」と話しています。