株式会社ネットプロテクションズ

社会のDXを加速するためにまずは自らをDX。その両輪となっているSalesforceとSlack

Salesforceでデータを蓄積・管理、データサイエンススキルを持つ社員達が徹底的に活用することでデータドリブン型のビジネスを確立、さらに自律・分散・協調を実現するティール組織のためにSlackを活用

「つぎのアタリマエをつくる」をミッションに掲げ、日本国内の後払い決済市場をリードしている株式会社ネットプロテクションズ。売掛金回収のための仕組みをデジタル技術で作り上げることで、社会のDXに大きな貢献を果たしています。その一方で、自律・分散・協調を実現するティール組織として、オープンで透明性の高い企業カルチャーを作り上げていることも、大きな特徴となっています。

このようなビジネスと組織カルチャーを支えているのが、SalesforceとSlackです。「社会のDXを推進するには自らのDXが不可欠」という考え方にもとづき、Salesforceを基盤としてデータドリブン経営を実現。またティール組織に適した自律性の高い社員をまとめ上げるため、社内組織のコミュニティ化も積極的に推進しており、Slackはそのコミュニケーション基盤として重要な役割を果たしています。

 
 

1. 後払い決済で社会のDXを加速、ティール組織も大きな特徴

株式会社ネットプロテクションズは「つぎのアタリマエをつくる」をミッションに掲げ、日本国内の後払い決済市場をリードしている企業です。後払い決済は「BNPL(Buy Now Pay Later )」とも呼ばれており、現在は主にECで利用されている決済手段。購入者はクレジットカード情報を登録することなく商品を購入でき、支払いは商品を受け取った後に行うため、安心して商品を購入できます。その一方で加盟事業者は、BNPLサービスを活用することで売掛金の回収ができなくなるリスクを回避しながら、売上を拡大することが容易になります。このように、購買者・販売者の双方にメリットがある決済手段であることから、着実に利用者、リピーターを増やしています。

「ネットプロテクションズは国内BNPL決済サービスのパイオニアであるとともに、BtoC取引向け国内BNPL決済サービス市場において、40%以上のシェアを誇ります」と語るのは、同社で代表取締役社長を務める柴田 紳 氏。ワンショットでの後払い決済である『NP後払い』は会社創業の2年後である2002年に開始しており、2017年にはBtoC向け会員制決済『atone(アトネ)』も開始していると語ります。「またBtoB向け決済である『NP掛け払い』も2011年に開始。BtoC、BtoBの双方において、後払い決済サービスを提供しています」。

このようなサービスを積極的に展開しているのは、社会のDXを加速するためだと柴田氏。売掛金回収はどの企業にとっても重要な業務であり、回収なくして企業の存続はありえないと言えますが、これは非常に負荷のある作業でかつリスクを伴うものであり、「重要ではあるが嫌われている業務」だと指摘します。この面倒さとリスクを、デジタル技術を活用しながらネットプロテクションズが肩代わりすることで、入金管理を行っている経理担当や入金催促をしている営業担当を、業務負荷や精神的負荷から解放していきたいのだと語ります。

このようにユニークかつ社会に貢献するビジネスモデルによって、創業から20年間で急速に成長。2021年12月には東京証券取引所市場第一部(現在のプライム市場)への上場も果たし、大きな注目を集めています。また2018年に台湾オフィスを設立し、2021年には子会社化、加えて2022年にはベトナムにも子会社を設立するなど、グローバルな事業展開も進めつつあります。

その一方で、企業組織そのもののユニークさも、この会社の大きな特徴になっています。自律・分散・協調を実現するティール組織として、オープンで透明性の高い企業カルチャーを作り上げているのです。

「正社員の数は200人を超えていますが、社内に正式な役職は存在しません」と柴田氏。会社組織はコミュニティのような形で運営されており、全員が上下関係のないフラットな立場で協働し合っているのだと言います。「上場している企業の中でティール組織を本当の意味で実施しているのは、他にはないのではないかと思います」。

 
 

2. Salesforceを基盤にデータドリブン経営を実現

このような同社のビジネスと組織カルチャーを実現する上で、重要な役割を果たしているのが、Salesforceです。2009年にコンタクトセンターと営業部門でSales Cloudを導入し、自社にカスタマイズして活用を開始。2018年にはAccount Engagement(旧Pardot)を導入し、マーケティングオートメーションの運用も始めています。さらに、顧客との接点を深化するためにCustomer Communityを導入。パートナーや加盟店の契約手続きなどを効率化するため、Partner Communityによる代理店ポータル・加盟店ポータルを立ち上げています。このようにすでに13年以上にわたって、Salesforceを使い続けてきました。

「Salesforceがなければ当社のビジネスは成立しません」と語るのは、ネットプロテクションズで執行役員を務める秋山 瞬 氏。マーケティング、アライアンス、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサービスなど、同社のビジネスを支えるバリューチェーンのほとんどで、Salesforceが活用されているのだと説明します。

「例えば営業活動では、バリューチェーンそれぞれの数字を検証しながらPDCAを回す、ということを全員がやっています。データを全員で分析し、リストマネジメントを行うことで、顧客リストに対する様々なアプローチを進めているのです。また案件が進み始めたら、その進捗もずっとSalesforceで管理し続け、そこで生まれたデータも分析の対象になります。」(秋山氏)。

 
 
 
 
実際に営業現場では、日々のデータを元に判断をして時間の使い方を最適化していると言うのは、BtoCセールスグループ 兼 アライアンス&パートナーセールスグループでシニア・アカウントエグゼクティブを務める加藤 美紗子 氏。勘、気合、根性によるレガシースタイルな営業活動は、同社ではほとんどないと述べています。
 
 
 
 

「もちろん気合や根性が重要なケースもあるのかもしれませんが、当社ではデータを使わないのは仕事ではない、という考え方が浸透しています。特に若い社員の間で、この傾向が強いと感じています」(加藤氏)。

このような意識が浸透している背景には、人材教育も大きな貢献を果たしています。ネットプロテクションズでは社内にデータサイエンスのチームを立ち上げており、ここ4~5年は新卒の新入社員全員に、約2か月のデータサイエンス研修を受講させています。その結果、若手社員は文系・理系に関わらず、ほぼ全員がSQLを書けるほどと言います。

このような社内のDXに加えて、パートナーとのシームレスな連携によって、顧客向けのDXの幅を広げていく、という活動も積極的に推進しています。その1つとして挙げられるのが、NP掛け払いとSalesforceとの連携です。

 
 
 
 
このように言うのは、ビジネスディベロップメントグループ 兼 アライアンス&パートナーセールスグループでアライアンス責任者を務める小山 佑太 氏。取引情報を一元管理することで部署間の連携もスムーズ化でき、企業のDXをさらに促進できると語ります。

3. 自律性の高い社員をまとめるためSlackで全社員が情報を共有

これらの業務活動は前述のように、ティール組織によって遂行されています。「自律性の高い組織を作り上げるには、まず自走したがるメンバーを集めることが重要」だと柴田氏。しかしこれだけでは十分ではないとも指摘します。「自走したがるメンバーは、そのままでは動きがバラバラになりやすいという問題があります。このような社員をチームにしていくには、同じ目標と判断基準を持たなければなりません。そのために特に重要なのが、情報やデータをオープンな形で共有することです」。

そのためネットプロテクションズでは、社長が持っている経営情報と同じものを全社員が共有する、ということを徹底しているだと柴田氏は説明します。そしてそのための基盤となっているのが、Slackなのだと言います。

「実際にSlackは日常的に使い倒しています」と秋山氏。経営情報の共有だけではなく、日々のコミュニケーションもSlackでオープンな形で行われています。「会議の際も、議事録はその場で作成され、すぐにSlackにあげられます。そのため会議に参加していない社員も、その経過を横から覗くことができます」。

もちろん前述のSalesforceも、社員全員での情報共有に大きな貢献を果たしています。Salesforceによってすべてのデータとプロセスが可視化されており、そこにアクセスすることで全員が状況を把握できるようになっているのです。

「個々人が自律的に動くと活動が分断化されがちになりますが、その中心にデータがあってそれを活用する文化があれば、みんながそこに集まってきます。データを共有することで一緒に前進しやすくなり、仕事やチームの当事者であるという意識も高まるのです。」(柴田氏)。

 
 
 
 
Salesforceによってデータドリブン経営を徹底すると同時に、Slackでの社内のコミュニティづくりも積極的に推進する。ネットプロテクションズのDXと自律的な組織は、この2つの車輪によって支えられていると言えそうです。この組織から今後、社会を変えるどのような「アタリマエ」が生まれてくるのか。これからも目が離せません。
 
 
※ 本事例は2022年5月時点の情報です
 

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