第2章:部署の枠を越えたチームを結成してCDP導入を成功させる方法

 
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Martin Kihn
Salesforce Marketing Cloud戦略担当SVP
 
Chris O' Hara
Salesforce Marketing Cloudデータ&ID担当VP
 
 
 
 
 
 

長年にわたり、数多くの企業が、データを活用したマーケティング戦略に注力すると宣言してきました。その中で成功を収めたのは、プロジェクトを完遂するための人材とプロセスに投資した企業です。

いかなる場合でも、変革を進めるには組織の上位と中間に明快なリーダーシップが必要です。しかし、自社内で真のデータ管理変革を推進するために協力を仰ぐべきステークホルダーは誰でしょうか。データ変革は、優れたデータセンターの構築から始まります。

 

優れたデータセンターの構築

チームで本格的なデータ変革に着手するためには、Salesforceが「優れたデータセンター (Data Center of Excellence : DCOE)」と呼ぶものを構築する必要があります。通常、DCOEは、ビジネス、アナリティクス、IT部門などの社内チームと、変更管理のためのスマートコンサルタント、システム構築パートナー、代理店などで構成されます。こうしたアプローチを採用した企業は、プロジェクトの初期に短期間で成果が得られ、以後の取り組みに十分な資金を確保できます。

Salesforceでは、人材、プロセス、そしてテクノロジーを、企業にデータ変革をもたらす3本の柱と考えています。学校のテストのような「部分点」は存在しません。つまり、これらの1つまたは2つの条件を満たしても、3つ目が欠けていれば成功はないということです。

まず「人材」から説明しましょう。Salesforceが手がけた数千のデータソフトウェア導入事例を通じて言えるのは、成果をすばやく達成する企業は、DCOEを明示的にまたは暗黙のうちに構築し、そこでデータ戦略を包括的に策定し、組織内の主要なステークホルダーに権限を明確に割り振っているということです。

DCOEを構築するための4つの手順は以下の通りです。

  1. 適切なチームを編成する。成功を収めるためには、内部と外部のパートナーの力を結集しなければなりません。それぞれが取得したいデータのタイプや希望する活用法について意見を聞き、共通の目標についてのコンセンサスを形成します。
  2. 詳細なプロセスを確立する。各業務の責任分担を明確化し、業務受け渡しの主なタイミングを割り出し、コミュニケーションの取り方についての明確なルールを定義します。
  3. テクノロジーを導入して、人とプロセスを支援する。適切なチームとプロセスの準備が整ったら、業務の効率化をサポートするテクノロジーを導入します。
  4. 成果を上げる。最初にチームによるアプローチと、十分に考え抜いたプロセスを採用し、適切なテクノロジーを導入した企業は短期間で成果を上げることができます。

社内ステークホルダーの調整

すでにご説明したように、DCOEを成功させるためにはさまざまな部署からなる社内チームと外部パートナーとのコラボレーションが必要です。マーケティングビジネス、アナリティクス、IT/CRMチームで構成された社内ステークホルダーの考え方の調整に力を注ぎましょう。

マーケティングビジネスチーム

再初期の段階において、CDPはマーケターに合わせて設計します。CDPは全社で使用されるものですが、データの統合・調整機能はマーケターにとってとりわけ魅力的です。したがって、マーケターはCDPプロジェクトに賛同し、強力に支援してくれる(そして異議を唱える)可能性が高いと言えます。

  • ビジネス価値を向上する項目の支援に注力する。実務者であるマーケターの損益に関連する業務は年々増加しています。CDP導入を成功させるには、顧客獲得、コンバージョン、顧客維持などのマーケターのビジネス目標達成をサポートする機能が備わっている必要があります。最初に、マーケティングの成績を改善するために必要となる主な価値やデータソースを採用するのがお勧めです。マーケターの成功をサポートすることが、CDP導入を成功させる第1歩です。
  • 社内の誰もが使いやすいツールを採用する。CDPは技術者にとっても柔軟かつ有用でなければなりませんが、基本的には一般的なビジネスユーザー向けのシステムです。統合と調整は、ルールベースまたはMLベースで行えますが、直感的なものにする必要があります。同じことはセグメント化とデータ活用にもあてはまります。計画の際には、一般ユーザーにとっての使い勝手を重視してください。

アナリティクスチーム

今日のアナリティクス部門は、データの一元化に非常に積極的であり、ユーザーの意図について豊富なデータを持つメディアチームとも密接なつながりがあります。

  • アナリティクスチームの最優先事項を理解し、対応する。多くのチームが、CRM、Eコマース、実店舗から得られた構造化された豊富なデータと、急成長を続けるメディアから新たに得られた非構造データとの統合を迫られています。他の部門と同じく、アナリティクスチームも、長年さまざまなユースケースに合わせて多くの新しいテクノロジーを導入してきました。そして、自分たちの得たインサイトを経営陣や他のステークホルダーにわかりやすく伝える方法をたえず模索しています。
  • アナリストの求めるツールを提供し、柔軟性を実現する。現代のアナリストは、カスタムレポートを作成し、モデリングを実施し、さらに深い分析を行うために、全社で一元化されたデータへの柔軟なアクセスを求めています。アナリストは、データを用いて顧客体験を向上させ、顧客生涯価値や購買傾向をモデル化し、セグメントを細分化するためのインサイトを見出す役割を担っています。

IT/CRMチーム

現代のCMOがデータ戦略を推進するには、それに必要なテクノロジーツールや戦略に精通していなければなりません。理想を言えば、最高データ責任者(CDO)が、ITとCRMの両部門の機能領域を監督し、DCOEのメディアとアナリティクス部門の一員として、頼れるパートナーの役割を果たすべきです。ただし、すべての企業がそこまで大胆な変革を行っているわけではなく、両部門がITと称されているのが普通です。

  • ビジネスとアナリティクスとCRMの障壁を取り除いて連携します。多くのIT部門は、メディアチームやアナリティクスチームのビジョンが全社的なテクノロジー構造やセグメント化戦略に合致しているかどうかを監督する立場にあります。すなわち、IT部門の投資目標と、企業のテクノロジーやインフラ向けの予算との調整を行う責任を負っています。
  • IT/CRMに顧客データを適切に扱うための強力な機能を与えます。テクノロジーチームは、プロジェクトを、強力なデータガバナンス、プライバシー規則、既存のセキュリティプロトコルに沿って進めていく責任を負っています。この役割は、一般データ保護規則(GDPR)などのプライバシー法で、企業による顧客データの収集と管理が規制されている現在においては、とりわけ重要です。

これらのチームのステークホルダーを共通の目標に沿って連携させることで、データ主導による真の変革をもたらすためのフレームワークが得られます。

最終章では、CDPの購入と導入の手順を解説します。

 
 

その他のリソース

 
Trailhead
Trailheadで、プラットフォームベースの顧客データ管理スキルを強化。
Webセミナー
データ主導の流れで一変するマーケティング。その理由は?(英語)
レポート
最新のマーケティングトレンドは今後の戦略にどう影響するのでしょうか?
 
 

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