画像の中に「1回のやり取りごとのコスト削減率が97%」という旨のメッセージがあり、その右側にはドル記号、棒グラフのアイコン、下向きの矢印が表示されている。
テムズバレー警察およびハンプシャー・ワイト島警察隊のロゴ

エージェント型ケース対応により、テムズバレー警察とハンプシャー・ワイト島警察は、非緊急事案対応を効率化

Agentforceが定型的な問い合わせを処理して次に取るべきアクションを提示すると共に、高リスクの事案を速やかに検出します。この結果、オペレーターは一刻を争う通話に集中できるようになりました。

数字が語る成果

97 %
対話あたりのコスト削減率
200 件以上
1日あたり自律的に処理している緊急性の低い事案数
4.6
CSAT(住民満足度)スコア 
12 週間
Agentforceの導入にかかった期間

フォローアップ対応で101番窓口がパンク

テムズバレー警察(TVP)とハンプシャー・ワイト島警察(HIOWC)は、日々地域社会を守り、犯罪の防止、治安維持、犯罪者の摘発に取り組んでいます。

住民が警察の助けを必要とする際、緊急時の通報は999番、緊急を要しない案件の相談は101番に電話することができます。両警察を合わせると、101番通報には、年間80万件以上の電話が寄せられており、その約半数は未解決の事案に関するものでした。(更にその20%は捜査中の事件の進捗確認です。)繁忙期には、平均待ち時間が24分を超えることが
ありました。この膨大な電話対応に追われ、職員はより緊急性の高い事案に集中できなくなっていました。

従来のように対応する人間を増やすことで待ち時間を4分まで短縮しようとすると、33人の新規スタッフが必要になり、年間800万ポンドのコストが発生する計算になります。TVPとHIOWCにとって、緊急性の低い電話に速やかに対応することは急務でした。

エージェント型(自律型)で24時間いつでも即時対応

問い合わせ対応を簡素化し、101番窓口の負荷を軽減するため、TVPとHIOWCはAgentforceで構築された住民向けAIエージェント「Bobbi」を導入しました。さらに、包括的なセルフサービス型住民ポータルや強化されたメッセージング機能も併せて展開しました。これらのツールを組み合わせることで、緊急性の低い通報を効率的に処理できるようになりました。Bobbiは支援を必要とする人々に対し、24時間365日いつでも、利用できる最初の窓口としても機能しています。

住民がWebサイトやポータルでチャットを開始すると、Bobbiが氏名、メールアドレス、電話番号、相談内容を収集します。住民が自然言語で回答すると、Bobbiは瞬時に専門性をもって親身に対応します。回答は読みやすいよう、350語以内にまとめられています。Bobbiが回答できない質問は、チャットが自動的にオペレーターへ転送されます。

騒音に対する苦情や駐車違反などを通報するのに、もう保留音を聞きながら電話がつながるまで待つ必要がなくなりました。一般的にこうしたトラブルは警察の管轄ではありませんが、Bobbiはその状況の法律上の位置付けを説明し、通報手続きを行うための適切なWebページに誘導することで支援します。将来的には、住民が直接チャット上で通報できるようになり、更に迅速かつシームレスな手続きを実現する予定です。

車上荒らしのようなより深刻な事件の場合、Bobbiは単なる回答にとどまらず、通報から証拠の確保、警察に期待できる対応の把握に至るまで、具体的に何をすべきかの手順をわかりやすく案内します。追加の質問があった場合にも、Bobbiは車両のセキュリティ対策を高める方法といった実践的なアドバイスを提供します。

その結果、住民は状況に自信を持って対応できるようになります。

リスクの識別とルーティング(自動転送)

Bobbiは緊急事案以外の対応を目的に設計されていますが、警察に届けられなかったかもしれない危険な状況を発掘・可視化することにも貢献しています。ある事案では、16歳の少年が両親の激しい口論をライブチャット経由でひそかに通報し、少年が999番に電話を掛けることなくオペレータが指示して現場に警察官を派遣することができました。他にも、ナイジェリアにいる女性がハンプシャーにいる元パートナーからの脅迫を通報しました。これも、ライブチャットがなかったら警察に通報すらされなかった可能性が高い出来事です。さらに、Bobbiは、女性や少女に対する暴力の潜在的な事案も1日に約2件特定し、訓練を受けたオペレーターに引き継いでいます。

Bobbiはすべての問い合わせに対応できるわけではありませんが、人間の介入が必要な事案を識別し、即座に引き継ぐように設計されています。家庭内暴力(DV)、性暴力、名誉や伝統を口実とした虐待行為や殺人といった深刻な犯罪に関するナレッジ記事を活用しながら、Bobbiは受信したメッセージを1つずつ評価して、脆弱性を示すキーワードや自然言語のシグナルを検知するように設定されています。

「Bobbiが毎日少なくとも約1件の高リスク事案を正確に特定し、適切な訓練を受けた担当者に引き継ぐ様子を目にしています」と、デジタルプロダクトマネージャーのTom Boyd氏は語っています。

Bobbiが身の危険や危害が及ぶ恐れのあるシグナルを検知すると、Bobbiは直ちにAgentforce Serviceで新しいケースを作成し、黄色の警告マークを付けて職員に通知します。そして、Web上のライブチャットを介して、訓練を受けたオペレーターに引き継ぐ旨を相談者に提案します。これにより、電話をかけることなく、999番レベルの手厚いサポートを提供することができます。

オペレーターがチャットに参加すると、サービスコンソール上で、それまでのチャット会話の完全な文字起こし、検知出されたリスクの指標、そして推奨される次のステップを確認することができます。オペレーターは、相談者に同じ説明を繰り返させることなく、迅速に対応へ移ることができます。

ナレッジ記事から実践的な支援へ

Bobbiのシステムは、信頼できるデータ基盤上で稼働しており、全ての回答がTVPとHIOWCによって承認された確実な情報に基づいています。質問に回答するために、Bobbiは、Data 360に保存され、AIが検索・理解できるように最適化された91本のナレッジ記事から情報を抽出します。これにより、あらゆる質問の意図や文脈を把握し、最も関連性の高い案内を瞬時に導き出すことができます。これらのナレッジ記事は、違法駐車やなりすまし詐欺から、ストーカー行為、被害者支援、さらには野生動物に関する犯罪に至るまで、幅広いトピックをカバーしています。

「私たちは、Bobbiを完全にコントロールできています。記事を更新したり、情報を追加または削除して、常に最新の関連情報を維持することができます。警察のシステムでこのような柔軟な適応力は珍しいです。通常、こうした情報は国が一括管理していますので」と、オペレーショナルデューティーマネージャーのLouise Castle氏は語っています。

相談者に脆弱性の兆候が見られる場合、Bobbiは共感を示す話し方に切り替え、安心感を与えながら守秘義務のある相談窓口や、家庭内暴力から守るために制定されたクレア法など、法律関連のリソースを案内します。そこから、Bobbiは待たせることなくそのまま人間のオペレータとのライブチャットへ切り替えます。

この切り替えでは、会話の完全な文字起こし、IPアドレスを含むユーザーのメタデータ、そして会話の要約がオペレーターのサービスコンソールへ直接自動送信されるため、相談者は同じ内容をくり返し話す必要がありません。

オペレーターは、手元の管理画面でさまざまな便利機能を簡単に操作できます。上級職とリアルタイムで連携したり、承認済みの定型文を使って複数のチャットを容易に並行管理したり、既読確認を追跡して相談者の反応や安全性を評価できます。また、システムに組み込まれた不正防止策や監査ルールがあるため、手続きの透明性を担保しながら重大な事案を適切に上位担当者へエスカレーションすることができます。合わせて、対応完了時の解決コードのログ記録や、チャット履歴全体の保存も簡単に行えます。

住民生活の向上、そして命を救うために

「私たちは、テクノロジーを緊急性の低い問い合わせに活用することで、人間による直接対応がもっとも求められる深刻で被害の大きい状況へ職員が集中できる環境を整えたいと考えました」と、Boyd氏は語ります。

2025年11月に12週間で構築とテストを完了したBobbiは、警察機構で世界初のAgentforceの導入事例です。1日あたり200件以上の会話を処理し、その75%を自律的に解決することで、1回のやり取りにかかるコストを97%削減しました。今後に向けてTVPとHIOWCは、900%の投資対効果(ROI)と、年間1万9,000時間に及ぶ職員の業務時間削減を見込んでいます。

地域住民に対しても、Bobbiによる即座の案内は確かな価値をもたらしています。住民満足度(CSAT)スコアは4.6、好意的なフィードバック率は93%に達し、中にはBobbi宛に手書きの感謝の手紙も届いたこともあります。

残り7%のフィードバックではBobbiのナレッジ不足が指摘されましたが、チームは新たなナレッジ記事を追加することで、わずか数分でこの問題を解決しました。

「このテクノロジーは双方に素晴らしい成果をもたらします。まさに住民が警察に期待しているレベルのサービスを実現してくれました」とCastle氏は語っています。

TVPとHIOWCがSalesforceを選んだ理由

ローコードのAgent Builderツール

Agentforce Agent Builderツールにより、TVPとHIOWCは、構想から運用開始まで速やかに進めることができ、チームは安心・安全にAIエージェントの設計、テスト、立ち上げができました。「Agentforceは非常に使いやすく、ローコードで構築できます。これまで当たり前だった複雑な開発やテストを行うことなく、自分たちの組織内で活用できています」と、警視/コンタクト管理部門の運用デリバリー担当責任者のRob Brind氏は説明します。

業界の専門知識

警察業務の経験者を含むSalesforceのチームは、TVPとHIOWCが抱えていた課題を深く理解していました。「Salesforceは現場の課題をしっかり理解した上で支援に入ってくれました。彼らは私たちが何を必要としているかを真に理解し、それが大きな成果の違いを生み出したのです。」とBoyd氏は語ります。

信頼性の高いデータガバナンス

規制が非常に厳しく、機密データを扱う環境下で業務を行う両警察にとって、信頼性とプライバシーの確保はBobbiの成功に欠かせない要素でした。Salesforceを活用することで、TVPとHIOWCは、安全性を最優先にAIエージェントを構築しました。公開インターネット情報ではなく、承認されたData 360のナレッジ記事のみから情報を抽出するように設計されているため、全てのやり取りが警察の厳重な管理のもとおいて安全に行われるようになっています。

TVPとHIOWCのロゴ

会社概要

イングランド最大級の2つの警察機構であるTVPとHIOWCは、3,800平方マイルの地域に住む400万人の人々に奉仕し、緊急事態の対応や、犯罪の捜査を行っています。