三生医薬株式会社

現在は既存のお客様からのリピート発注が9割程度を占めていますが、今後は提案型営業を拡大したいと考えています。Salesforceはそのための情報基盤としても、重要な役割を果たすはずです”

国内健食事業部 執行役員 国内健食事業部長 伊藤 勇作 氏
 

営業活動内容の標準化や
予実管理の精度向上が重要課題に

1993年に創業し、静岡県富士市の環境に恵まれた工場において、健康食品(サプリメント)や医薬品などの受託製造事業を営む三生医薬株式会社。国内の健康食品受託製造市場は堅調に推移しており、これと共に同社も成長を続けている。また健康食品や医薬品等に関するユーザーニーズの多様化や高度化、グローバル展開などにも積極的に対応。「製剤技術力と最高品質を武器にグローバル展開し、人類の健康に寄与するサービスプロバイダ」への飛躍を目指し、事業基盤の強化やビジネス拡大の取り組みを加速している。
「当社は現在サプリメント製造受託でNo.2のポジションにありますが、2020年にはNo.1になることを目指しています」と語るのは、三生医薬 執行役員 国内健食事業部長の伊藤 勇作氏。顧客ニーズや市場に関する情報を積極的に集め、新たなニーズに対応することで、市場を拡大していきたいという。「そのために営業部門の人員も増やしています。しかしその結果、経験の浅い営業担当者が増えてしまい、営業活動の内容にバラツキが生じるという悩みを抱えることになりました」。
その一方で、営業の予実管理をしっかりと行い、そのデータを生産管理に活かしていくことも不可欠だと指摘。サプリメントの製造受託は一粒いくらの取引を積み上げていくビジネスであり、細かい数字をきちんと把握することが損益に直結するからだと説明する。
しかし現在はこのようなデータ集計・分析作業を人手で行っているため、膨大な時間がかかっていると、三生医薬 マーケティング本部 マーケティング部 部長の鎌田 友寛氏は語る。「現在当社のお客様は1,000社を超えており、取扱商品数も2,000種類以上あります。それらの受注に関するデータは極めて膨大で、その集計は専属スタッフが月間100時間以上かけて行っています。しかし月単位での集計では予実管理の誤差が大きくなりやすく、現在もプラスマイナス10%程度の誤差が生じています」。
業界No.1を目指してジャンプアップしていくには、このような問題を解決しなければならないと伊藤氏。同社はさらなる成長のため、新工場の建設や生産管理システムの入れ替えなどを行っているが、営業支援システムの導入も重要な課題の1つだと認識されていたのである。
 

2つの理由からSalesforceの採用を決定

この課題の解決に向け、本格的な検討を開始したのは2017年1月。ここで営業支援システムの候補の1つとなったのが、Salesforceだった。「Salesforceは豊富な実績があり、当社にもSalesforceを使った経験を持つ社員が数名いました。これなら大きな効果を発揮するはずだと確信したのです」。
その後セールスフォース・ドットコムによる提案の機会を設け、これによって確信はさらに強くなったという。そして翌月に、Salesforceの採用を決定するのである。
Salesforceの採用理由は大きく2点ある。第1は、大規模なカスタマイズを行うことなく、受託製造ビジネスにも対応できる点だ。受託製造では、顧客に提案を行ってから正式な見積を出すまでに少量試作や量産試作を行う必要があり、その後も安定性試験を実施することが求められる。Salesforceならこのようなプロセスを、案件管理に追加するのが容易なのである。
第2はEinstein Analyticsによって、膨大なデータの集計・分析を自動化できることだ。営業担当者の活動履歴や案件管理のデータを蓄積し、それらをタイムリーに活用できるようになれば、顧客ニーズを先取りした案件創出も可能になると期待された。
2017年11月にはSalesforceの導入に向けた開発作業に着手。営業活動のステージングを明確化し、その内容を案件管理の項目として組み込むと共に、活動履歴を可視化するためのダッシュボード作成を進めていった。そして2018年5月にSales CloudとEinstein Analyticsを同時に導入し、それらの活用を開始するのである。
ここでまず行われたのが、営業担当者の活動履歴の管理である。「活動履歴の入力を徹底してもらうため、Salesforceの導入効果や使い方を説明する社内研修を行うと共に、Salesforceの利用に積極的な営業担当者に対しては、その活用を積極的に支援しました」と語るのは、三生医薬 マーケティング本部 マーケティング部 セールスオペレーション課 課長の中川 幸代氏。またこのような先行ユーザーの事例を、各営業部門のマネージャーに画面を見せながら紹介する、という取り組みも行ったという。これによってSalesforceの浸透率は短期間で上昇。
「まだ導入から半年も経っていませんが、すでに活動履歴に関するデータ入力率は8割を超えています」。

活動履歴とChatterの連動が営業活動の底上げに大きく貢献

Sales Cloudに入力された活動履歴の情報は、そのままChatterに自動反映され、マネージャーに伝えられるようになっている。これによってマネージャーと営業担当者とのコミュニケーションは、これまで以上にタイムリーかつきめ細かいものになっている。
「このような迅速な情報共有によって、活動内容に問題がある場合でもすぐに発見でき、素早くコーチングを行えるようになりました」と鎌田氏。実際に営業担当者への対面コーチングの頻度は、以前よりも増えているという。「営業担当者もマネージャーへの問いかけを気軽に行えるようになっています。また適切な活動を行っている営業担当者をChatterで褒めるマネージャーも増えています」。
他の営業部門の活動内容や、営業活動を通じて得られた顧客ニーズなどの情報も共有されている。このようなコミュニケーションや情報共有によって、以前は営業担当者間でバラツキのあった活動内容も、標準化されつつあるという。
現在は第2フェーズとして、案件管理の定着に向けた取り組みを展開。2019年には活動履歴と同様の定着率を実現することが目指されている。案件管理で期待されているのは、製品リニューアルのタイミングを見つけ出し、それを顧客にタイムリーに提案できるようになることだ。
「サプリメント(商品)のプロダクトライフサイクルは平均約3年です。そのタイミングを見越してお客様に次の商品の提案ができれば、お客様のビジネスにも大きな貢献を果たせるはずです。案件管理を徹底することでパイプラインを可視化すれば、そのタイミングも見つけやすくなると考えています」(伊藤氏)。

今後はEinsteinの活用で予実管理の精度向上やWin-Loss分析も実現

2019年にはEinstein Analyticsの活用も、さらに進化していく計画だ。現在進められている活動履歴や案件管理の定着は、そのためのデータ蓄積に欠かせない段階なのだと、三生医薬 マーケティング本部 マーケティング部 マーケットインテリジェンス課 課長の村松 千穂氏は説明する。
「蓄積されたデータをEinstein Analyticsで分析できるようになれば、予実管理の精度をさらに高めることができます。また過去のWin-Loss分析や将来予測も可能になるでしょう。2019年の中頃までには、Sales Cloudに蓄積されたデータをEinsteinで分析できる体制を確立したいと考えています。また基幹システムとのデータ連携や、過去10年間のデータを取り込む、といったことも進めていく計画です」。
これらに加え、新規開拓をし、リードを生み出すためのマーケティングオートメーションも検討されている。
「これから高齢者が更に増え、健康寿命の延伸が社会課題となる中でサプリメント市場はさらに拡大していくでしょう」と伊藤氏。また日本だけではなくアジア地域でもニーズは高まっており、安全・安心なメイドインジャパンのブランドは、大きな競争力を発揮するはずだという。「またサプリメント製造で使われている当社のカプセル技術は、健康食品以外の様々な用途で活用可能です。現在は既存のお客様からのリピート発注が9割程度を占めていますが、今後はこちらからお客様にアプローチする提案型営業も拡大し、その割合を3割程度にまで増やしていきたいと考えています」。
もちろんそのためには、顧客や市場にどのようなニーズが存在するのかを、的確に把握する必要がある。Salesforceはそれらの情報を蓄積・共有する基盤として、今後重要な役割を果たすと期待されているのだ。
※ 本事例は2019年2月時点の情報です
 
 

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