セールスイネーブルメントとは?概念とツール・事例まで解説

 
2023.2.24
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、営業組織が継続的な成果を上げていくため、人材の育成・改善に向けた取り組みです。本記事ではセールスイネーブルメントの意味や定義、役に立つツールを解説します。具体的な成功事例も取り上げますので、参考にご覧ください。

セールスイネーブルメントとは

セールスイネーブルメント(Sales Enablement)は、営業組織が継続的に成果を上げていくために行われる、人材の育成・改善に向けた取り組みです。

イネーブルメント(Enablement)とは、enable(~ができるようにする)という意味を持ちますが、セールス・イネーブルメントにぴったり当てはまる日本語訳が存在しません。

『セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』著者で、イネーブルメント分野の日本での第一人者と言われる山下 貴宏氏はこの言葉を以下のように定義しています。

成果を輩出し続ける人材育成の仕組み

かつて、営業組織の強化は担当任せでした。最終的には一人ひとりの営業社員の経験と勘次第だったという企業は少なくありません。

セールス・イネーブルメントがもたらすのは、そうした一部の優秀な営業担当の能力に依存せず、数字に裏付けられたデータに基づく営業組織の底上げです。

セールスイネーブルメントの全体像をざっくりと理解したい方はぜひ山下氏監修のもと作成された下記eBookをご覧ください。

 
 
 
 
 
いまから始めるSales Enablement
セールス・イネーブルメント構築の5つのステップ
イネーブルメント分野の日本での第一人者である山下貴宏氏が監修したeBookです。

セールスイネーブルメントの効果・メリット

セールスイネーブルメントの役割と効果、メリットには以下のようなものが挙げられます。

  • 営業力向上
  • 人材育成を仕組み化できる
  • 学ぶ文化が社内に醸成される

セールスイネーブルメントによって、人材育成が仕組み化できます。営業活動は属人化しやすい側面がありますが、ノウハウを集約して教育に活かすことで、組織全体の営業力向上につながるでしょう。

また、営業活動に関する情報が共有されるため、各個人が自ら学ぼうという文化の醸成にも役立ちます。

セールスイネーブルメントが注目される背景

どの企業でも営業力の強化は非常に重要な位置にあり、採用や組織改革に関する本も世の中にごまんとあります。

しかし、企業における営業力の強化の実態としては現場任せになっており、研修も体系化されておらず、部署の体制毎に異なったり、個々人の経験と勘次第という企業は少なくありません。

セールスイネーブルメントは一部のエース社員などのハイパフォーマーに依存しない、データに基づく効率的かつ効果的な営業組織づくりの仕組みになります。だからこそ、今注目されているのです。

セールスイネーブルメントの市場

セールス・イネーブルメント・ツールの市場は、年々増加の傾向が見られます。
データ引用:国内のセールス・イネーブルメント・ツール市場規模推移および予測(株式会社アイ・ティ・アール)

2026年には13億円だった市場が2021年には倍近い25億円となり、2022年も増えて31億円にのぼりました。今後も、市場ニーズは増加が予測されます。

つまり、労働人口の減少や転職市場の活性化などで、企業の人材不足は深刻化しており、多くの企業において優秀な一部社員への依存から全体的な営業力の育成に舵をきっているということだと考えられます。

セールスイネーブルメント構築の5つのステップ

セールスイネーブルメントは、期間限定のプロジェクトではなく、営業組織全体に関わる一機能として扱う必要があります。ここでは組織の機能として組み込むためのステップを紹介します。

1)データの収集と整備

まずは、営業データの収集および整備が必要です。SFA(セールス・フォース・オートメーション)を導入し、営業フローの設定、営業活動の管理項目設定、マネジメント層によるリアルタイム管理を可能にする環境整備を行います。

2)人材のアサイン

「データ収集と整備」とほぼ同じタイミングになりますが、セールスイネーブルメント構築を担う人材を配置します。適正を踏まえ、兼任もしくは専任で携わる人材をアサインしましょう。

そして、営業ノウハウの共有やプレゼンのロールプレイングなど、すぐに現場で役立つコンテンツ提供を行い、組織にセールスイネーブルメントが有用だと実感してもらうことを目指しましょう。

3)プログラムの開発と提供

このフェーズまで来たら、兼任ではなく専任でセールスイネーブルメントに携わる人材を配置しておきたいところです。

高いパフォーマンスを発揮している営業担当のデータを分析し、他の社員にも活かせるトレーニングプログラムの開発を行います。実施内容は現在の企業規模や営業指標により変わってきます。

4)成果の検証

これまで蓄積されたSFAのデータと、前フェーズで社内に提供したトレーニングプログラムの履歴をもとに、プログラム実施前に比べて効果があったのかどうかを検証します。

効果検証のためにも、トレーニングプログラムの履歴は整理し、後でいつでも見返せるようにしておきましょう。

5)PDCAサイクルの策定

これまでのデータを経営層に共有し、結果レビューのサイクルを回していきます。実施されたプログラムの内容とどのような効果が生まれたのかを共有していくことで、営業組織の育成を経営の一部として組み込むことができます。
 
 
 
 
 
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セールスイネーブルメントに必要なツール

先ほどのステップで紹介したとおり、セールスイネーブルメントに取り組むには、SFAなどのツールで営業プロセスを可視化、管理することが必要です。

ツールを導入することで、社内知識の体系化に商談内容の改善、工数削減といったことも可能になります。

セールスフォース・ジャパンが提供するSFAツール「Sales Cloud」は、セールスイネーブルメントに特化した機能を備えています。具体的に何ができるのか、デモ動画がございますので、ぜひご覧ください。

 
 
 
営業チーム全体を持続的に強化
Sales Enablementで何ができるかをご覧ください。

セールスイネーブルメントの取り組み

セールスイネーブルメントの取り組みについてご紹介します。

【Blog】Salesforceのセールスパーソンの育成を担うSales Enablement部門

現場で成果をあげている社員のノウハウから教育コンテンツを開発し、研修に活用することで現場との差異をなくし、営業力向上などにつなげています。

フルリモートの新人教育が可能となっており、新人の育成にもセールスイネーブルメントが活かされている事例です。

【無料eBook】基礎から実践までカバーするSales Enablementの人材育成

「Learn(知る)」「Apply(学んだ知識を現場で適用する)」「Leverage(効率的に動く)」という3ステップでEnableプログラムを推進。

ナレッジマネジメントの専任人材を設置して情報流通を加速的に行い、ナレッジの参照・活用状況を分析することで、セールスイネーブルメントの人材育成に取り組んでいます。

【お客様事例】新人の立ち上がりを迅速化する営業教育の仕組みを確立

トップセールスの営業ノウハウを新人にも浸透させるため、セールスイネーブルメントに着目。e-ラーニングのコンテンツを共有し、受講後にはテストを実施して結果を可視化しています。

営業プロセスをもとにコンテンツを制作・追加しており、現場の知識不足が分かるため的確にアドバイス可能となり、メンバーの即時戦力化が可能となりました。

営業組織が継続的な成果を上げていくため、人材の育成・改善に向けた取り組みであり「セールスイネーブルメント」について解説しました。

本記事で取り上げた事例なども参考に、自社にとってどのようなメリットをもたらすか検討してみてはいかがでしょうか。

 
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