営業管理とは?成果を最大化する4つの柱とSFA導入・定着ガイド
「営業目標がなかなか達成できない」「Excelでの案件管理に限界を感じている」「SFAを導入したけど活用しきれていない」、そんな悩みを抱えていませんか?
営業管理は、勘や経験頼りの営業から脱却し、組織的に成果を出し続けるための重要な仕組みです。
この記事では、営業管理の基本となる「4つの柱」(案件・目標・行動・モチベーション管理)から、Excel管理の限界とSFA導入のメリット・比較、さらに導入後の定着まで、成果に繋げるための具体的な方法を分かりやすく解説します。
この記事を読めば、自社に最適な営業管理の方法を見つけ、売上向上への道筋を描けるようになります。
営業管理とは|営業目標達成に必要な管理業務

営業管理とは、営業活動を効率化し、各営業担当者のパフォーマンスを最大化するために必要な管理業務です。営業マネジメントと呼ばれることもあります。
適切な営業管理を行うことで、営業目標の達成を実現できます。営業目標は、経営・売上目標を達成するために設定した目標です。したがって、営業管理による営業目標の達成は、会社全体の目標達成につながります。
営業管理は、部門全体の組織的な管理と個々の担当者に対する人材的な管理の大きく2つに分かれます。営業部門全体の数値から各担当者の行動プロセスまで適切に管理することが理想です。
営業管理 | 組織的な管理 | 人材的な管理 |
項目 | ・目標管理(ギャップ管理) ・戦略管理 ・市場管理(ターゲット管理) ・顧客管理(案件管理) ・商談管理 |
・行動管理 ・モチベーション管理 ・人材育成管理 |
営業管理の目的とメリット

営業管理を行うメリットは、3つあります。
- 目標を意識した営業活動を行えるようになる
- 業務の効率化につながる
- 属人化を回避できる
営業管理のメリットを感じられると、意欲的に営業管理業務を進められるはずです。
1)目標を意識した営業活動を行えるようになる
営業管理が徹底されると、営業目標が部門全体に共有されるため、各担当者が目標を意識した活動が可能です。
営業管理の大きな目的は、営業目標の達成です。目標を明確にし管理をしっかり行うことで、社内でどのように行動すればよいかイメージを共有しやすくなります。
目標を達成するためのスケジュール感も把握しやすくなり、会社全体でスムーズに業務を進めやすくなるでしょう。
数値(KPI)管理を徹底できれば、営業部門全体のKPIを意識した取り組みが可能です。
2)業務の効率化につながる
営業管理では、営業活動のプロセスに潜む無駄を可視化し、不必要な業務を削減できます。浮いたリソースを適切に配分することで、部門全体で業務を効率的に回せるようになるのです。
業務が効率かされると、顧客に対する営業活動のブラッシュアップに時間を割けるようになり、部門全体のスキルアップにもつながります。
3)属人化を回避できる
営業管理によって、各担当者のナレッジやノウハウをストックし、全体に共有することで、業務の属人化を回避できます。
営業活動は、個人のノウハウや経験によって差が生じやすい部分です。業務が属人化すると、担当者の変更や引き継ぎがうまくいなくなり、顧客との関係にも影響を与える可能性があります。
営業管理は、営業スキルが標準化し、営業部門全体のスキルアップとスムーズな業務の遂行を実現します。
営業管理で成果を出すための「4つの柱」
1.案件管理:商談プロセスを見える化し、受注確度を高める
目的 | ・ 商談の進捗状況を可視化し、ボトルネックを発見するため ・ 各案件の受注確度を正確に予測し、売上見込みを立てるため ・ 営業担当者への適切なアドバイスやサポートを可能にするため ・ 成功/失敗事例を分析し、営業プロセスを改善するため |
主な管理項目 | ・顧客名、担当者名 ・商材、提案内容 ・商談フェーズ(例:アポ獲得、初回訪問、提案、クロージング) ・受注確度(例:A, B, C / 高, 中, 低) ・受注予定日、受注予定金額 ・次回アクション予定日と内容 ・失注理由(失注した場合) |
情報を管理する際には、管理項目を必要最低限に絞り込み、入力する人の負担を考慮することが大切です。特に、商談のフェーズや確度といった項目の定義は、チーム内で必ず統一しておく必要があります。
さらに、入力された情報はリアルタイムで更新し、関係者間で共有するルールを徹底しましょう。管理方法については、Excelを使用することも可能ですが、より効率的に行うためにはSFAやCRMといった専用ツールの活用を推奨します。
2.目標管理:チームと個人の向かうべき方向を明確にする
目的 | ・組織全体の売上目標達成への道筋を明確にするため ・営業担当者のモチベーションを高め、主体的な行動を促すため ・目標達成に向けた課題を早期に発見し、対策を講じるため ・公平な評価制度の基盤を作るため |
主な管理項目/指標 | ・売上目標(チーム、個人別) ・粗利目標 ・新規顧客獲得数 ・特定商材の販売数 ・KPI(重要業績評価指標)達成度(例:有効商談化率、受注率など) |
目標を設定する際には、SMARTの原則などを参考に、具体的で測定可能であり、達成可能な範囲のものにしましょう。また、目標を達成するための具体的な行動計画も同時に考えることが重要です。設定した目標に対しては、定期的に進捗状況を確認し、フィードバックを行う機会を設けます。
さらに、評価を行う際には、目標の達成度だけでなく、そこに至るまでのプロセスも評価対象に含めることで、より効果的なものとなります。
3.行動管理:目標達成に繋がる「正しい努力」を促す
目的 | ・目標達成に必要な行動量を明確にするため ・行動の質(例:訪問の質、提案内容の適切さ)を改善するため ・成果に繋がらない非効率な行動を削減するため ・成果を出している担当者の行動を分析し、ノウハウとして共有するため |
主な管理項目/指標 | ・訪問件数、架電数 ・新規アポイント獲得数 ・提案書提出数 ・デモンストレーション実施数 ・各活動に費やした時間や内容 |
評価においては、単に行動の量だけでなく、その行動が成果に繋がっているかという「質」の側面も重視する視点が不可欠です。目標達成との相関性が高い重要行動を見極め、そこにリソースを集中させましょう。
行動の結果については分析を行い、具体的な改善策に繋がるようなフィードバックを提供することが求められます。また、日々の行動報告の負担を軽くするために、日報の様式をシンプルにしたり、SFAやCRMといった支援ツールを活用したりすることも検討します。
4.モチベーション管理:営業担当者の「やる気」を引き出し、維持する
目的 | ・営業担当者のエンゲージメント(組織への愛着・貢献意欲)を高めるため ・高い目標達成意欲を維持・向上させるため ・離職率を低下させ、組織全体の生産性を安定させるため |
主な管理項目/指標 | ・訪問件数、架電数 ・新規アポイント獲得数 ・提案書提出数 ・デモンストレーション実施数 ・各活動に費やした時間や内容 |
組織全体の活性化と個々の成長を促すためには、まず公平で透明性の高い評価制度と報酬体系を設計し、適切に運用することが基本となります。その上で、単に達成された成果だけでなく、目標に至るまでのプロセスや新しいことへの挑戦自体も評価し、賞賛する文化を育むことが重要です。
個々のメンバーに対しては、定期的な1on1ミーティングを実施してキャリアプランや悩みに耳を傾け、それぞれに合ったサポートを提供しましょう。
目標設定においても、一方的に課すのではなく、本人の意向も十分に踏まえた上で適切な目標を設定し、その達成を支援する体制を整えるべきです。さらに、成功事例の共有会や表彰制度などを設けてポジティブな雰囲気を醸成するとともに、チーム内での円滑なコミュニケーションや情報共有を促進する仕組みを作ることも、組織力の向上に繋がります。
組織として必要な5つの営業管理項目

組織に対する営業管理は、以下の5つの項目を中心に行います。
- 目標管理(ギャップ管理)
- 戦略管理
- 市場管理(ターゲット管理)
- 顧客管理(案件管理)
- 商談管理
組織に対する営業管理では、営業部門全体を俯瞰するなかでいち早く課題を見つけ、改善を繰り返すことが大切です。
1)目標管理(ギャップ管理)

目標管理(ギャップ管理)では、営業目標と現状のギャップを把握し、差を埋めるための施策を考え、担当者に実行してもらいます。営業部門全体の目標を達成するためには、営業担当者一人ひとりの目標管理も必要です。
たとえば、訪問件数が多く成約率の低い担当者がいる場合「なぜ成約につながらなかったかのか」を分析、改善する必要があります。各担当者の成約率を上昇させられれば、成約率における目標とのギャップが埋まるはずです。
管理すべき目標は訪問件数だけでなく、営業担当者ごとの成約率や成約1件あたりの金額のように、目標の細分化が大切です。
参考として、『SaaS ビジネス成功の基礎「The Model」』では、商談が成約に至るまでのステップを型化して、標準化された適切なプロセスで営業活動を行う方法をまとめています。営業プロセスを切り分けて目標数値を可視化することで属人化した営業から脱却し、売上予測の精度を高める事例を紹介しています。
2)戦略管理
戦略管理は、営業戦略の立案から各施策のKPI設定、月別実施計画を含む管理業務です。企業によって、営業戦略立案におけるマネージャーの役割・領域に差はあるものの、戦略をもとに実施計画を立て、リソース配分を考えるのは共通の仕事でしょう。
たとえば、実施計画で「新サービスの拡販のために既存顧客にアプローチをかける」という項目に対する活動比率を、20%から40%に拡大したとします。計画通り遂行するためには、各担当者に均等に仕事を割り振るのではなく、各担当者が抱えているタスクやそれぞれの経験・得意分野を加味し、適切に配分します。
営業戦略を遂行するためのシナリオ作成と、スムーズに実行するための働きかけが求められるわけです。
営業戦略の立案手順について知りたい方は、以下の記事で解説しているので、参考にしてみてください。
3)市場管理(ターゲット管理)
市場管理(ターゲット管理)では、ターゲットや市場に対するアプローチをどのように行うかについて、検討・管理します。業務としては、ターゲット層の分類と層別活動指針の策定が必要です。
ターゲット層の分類とは、ターゲットの種別や特性、購入履歴などさまざまなデータをもとにグループ分けし、アプローチの優先順位を決めることです。分類ごとにスコアリングを決めておくと、実際の顧客を割り振るとき活用できるでしょう。
ターゲットを分類したら、ターゲットごとに適切な活動指針を策定します。たとえば、スコアリングがもっとも高いターゲット層を「最重要顧客」と分類した場合、活動比率を高めに設定し、フォローを手厚くします。
以下の記事でターゲットのスコアリング方法を解説しているので、参考にしてみてください。
【関連コンテンツ】
4)顧客管理(案件管理)
顧客管理(案件管理)では、顧客とのやり取りや営業活動の進捗状況を管理します。
市場管理でターゲットごとに施策を決めても、顧客ごとに細かいニーズは異なります。より顧客のニーズに寄り添った対応をするためには、各顧客の購入履歴や興味関心の傾向を押さえる顧客理解が大切です。とくにBtoBの場合は、3C分析やヒアリングを通して、顧客ごとに対応を計画するアカウントプランを作成しましょう。
顧客数が多いと一人ひとりに適したアプローチをする営業活動は難しくなるため、SFA(営業支援システム)の導入をおすすめします。SFAは、顧客リストの登録から各顧客とのやり取り、営業活動の進捗などを記録、可視化できるツールです。SFAによって、顧客管理業務を効率化できるでしょう。
以下の記事では、顧客管理のポイントを解説しているので、あわせてご覧ください。
【関連コンテンツ】
5)商談管理
商談管理は、受注につながる商談を取りこぼすことがないよう、優先順位を決め、受注確度や進捗を管理する業務です。
商談確度を判断する際は、商談のスコアリングが役立ちます。商談のスコアリングとは、商談のプロセスごとにスコアリングし、ランク付けする方法です。確度のランクに応じて、今後の営業活動を決めます。
商談スコアリングは、営業担当者の主観が「客観的な判断になっているか」をチェックする際にも活用可能です。営業担当者が「この商談はAランクの確度だ」と感じていても、商談スコアリングがCだった場合、ギャップを埋める指導が必要となります。また、スコアが高い見込み客から優先的にアプローチしたり、より興味がありそうな内容を盛り込んだアプローチをすることで、フォローの質を高めて商談化率を向上させることができます。
以下の記事は、案件管理と商談管理の違いについて解説しているので、参考にしてみてください。
【関連コンテンツ】
営業担当者のために必要な3つの管理項目

営業担当者のために必要な管理項目は、以下の3つです。
- 行動管理
- モチベーション管理
- 人材育成管理
営業管理には、部門を構成する人員の管理も含まれます。とくに重要な3つの管理項目を押さえて、各担当者の営業力アップを図りましょう。
1)行動管理
行動管理では営業目標の達成につながる個人目標の設定から、個人の営業効率や成約率の実測値を踏まえたギャップ管理まで行い、個人目標達成に向けてサポートします。
行動管理で大切なのは、個人目標を数値で設定し、測定できる環境を整えることです。営業効率の測定では、例として以下の指標を活用できます。
- 成約率
- 顧客単価の上昇率
- 新規顧客獲得数
各担当者の数値チェックからハイパフォーマーを選出し、効果的な営業活動のノウハウとナレッジを蓄積します。部門で共有することで、営業スキルの標準化を目指すことが可能です。
【関連コンテンツ】
2)モチベーション管理
営業担当者のモチベーションがダウンすると、営業パフォーマンスの低下を招くおそれがあるため、管理が必要です。
モチベーションの維持・管理の施策はさまざまありますが、自社の従業員に合った方法を選ぶ必要があります。たとえば「仕事に対するモチベーションが低くなっている理由」の上位3つは、以下のとおりです。
- 賃金が低いから:46.8%
- 仕事の達成感が感じられないから:43.4%
- 評価の納得性が確保されていないから:35.6%
出典:従業員の意識と人材マネジメントの課題に関する調査 P8|独立行政法人労働政策研究・研修機構
自社の従業員も以上のように感じている場合は、目標管理制度と報酬制度の見直しを検討しましょう。ただし、従業員が何にモチベーションを感じているかは、世代や性別によっても差があり、一概にいえません。
社内アンケートやサーベイを活用して実態を明らかにし、従業員が求める制度や社内環境の整備が必要です。
以下の記事では、部下のモチベーション管理に通じるマインドについて解説しているので、参考にしてみてください。
【関連コンテンツ】
3)人材育成管理
人材育成管理とは、営業人材の育成に向けたプラン策定と取り組みを指します。営業人材の育成は、他部門と異なり短期間で業績につなげることを目標とします。
実現するためには、目指す組織や人材像を明確化し、現状とのギャップを埋める取り組みが大切です。
SFAを導入していれば、蓄積されたノウハウとナレッジの共有によって、いち早く効果の高いスキルを習得できます。
営業部門の役割や仕事を分業し、必要なスキルを絞ることも効果的です。たとえば、インサイドセールスとフィールドセールスの両方を担う営業部門から、インサイドセールス部門を切り離すと、各営業活動に特化した育成が可能です。その際は、他部門や人事部との連携も重要となります。
営業管理の方法

営業管理にはさまざまな項目があり、ひとつずつ手作業で進めていると、膨大な時間と手間がかかります。そこで以下のツールによって、管理業務を効率化することが大切です。
- Excelなど表計算ソフトでの管理
- SFA(営業支援)ツールでの管理
2つのツールの解説をもとに、自社に合った方法を導入してみてください。
以下の記事では、営業管理ツールの選び方にも触れているので、参考にしてみてください。
【関連コンテンツ】
Excelなど表計算ソフトでの管理
Excelはほぼすべての企業で用いられているため、追加コストなしで簡単に導入できます。ただし、案件管理や行動管理といった項目のほとんどで手入力が必要です。
企業が成長するにつれ、追加データも増えるため、作業工数が膨大になるとともに、入力漏れの可能性があります。変更履歴をさかのぼることも難しく、管理ツールとして使うには不安が残ります。
SFA(営業支援)ツールでの管理
SFA(Sales Force Automation)とは、売上の金額や案件の進捗状況、行動履歴、取引先情報など、さまざまなデータを一元管理できる営業効率化ツールです。
リアルタイムで情報を共有でき、マルチデバイスにも対応しているので、外回り中でも顧客情報にアクセスできます。SFAを通じて必要書類をやり取りする機能や、予定のリマインド機能なども搭載されており、営業活動の基幹システムとして役立ちます。『eBook いまから始める営業支援システム』で詳しく解説していますが、SFAに蓄積された情報を最大限に活かすことで、営業力を飛躍的に強化できるようになります。

営業活動をどこからでも可能にする世界No.1のSFAツール Sales Cloud とは?
営業管理を効率化する方法

営業管理を成功させるためには、以下の3つのコツを押さえることが大切です。
- 自社に適したツールを選ぶ
- 管理項目を絞る
- 他部門と連携する
営業マネージャーひとりで抱え込まず、社内リソースをうまく活用しましょう。
1)自社に適したツールを選ぶ
効率的な営業管理には、SFAのようなツール選定が必要です。最適なツールを選定することで、時短や作業ミスの減少をもたらします。長く使い続けるほど、大きな効果を感じられるでしょう。
SFAにもさまざまな製品があり、ツールによって強みや搭載機能、想定規模などが異なります。SFAツールを選ぶときは、自社の課題を特定してから、費用対効果や将来性などを考慮するとよいでしょう。
以下の記事では、SFAの選び方のポイントを解説しているので、参考にしてみてください。
【関連コンテンツ】
2)管理項目を絞る
管理する項目が増えすぎると、担当者の負担が大きくなり、満足のいく結果を得られないことがあります。そのため、管理項目は必要最低限に絞り、最小の作業量で最大の効果を出すことを心がけましょう。
営業管理は、営業目標を達成するための手段に過ぎません。手段が目的になってしまわないよう、気をつけましょう。
3)他部門と連携する
営業部門が蓄積したデータは、マーケティング部門やカスタマーサクセス部門でも活用できます。
マーケティング部門であれば、営業がもつ解像度の高い顧客情報をもとに、よりターゲットに刺さる広告を作成可能です。
CS部門では、これまでやり取りしていた案件情報から、顧客が抱えそうな課題を事前に察知してカバーできます。
営業部門が蓄積したデータを共有することで、会社全体がうまく連携できるようになり、リード獲得からリピーター化までを一貫して行えるようになるでしょう。
営業管理ツールとしてのSFA導入を成功させるためには?
ステップ1:導入前の準備
SFA導入を成功させるための最初のステップは、導入前の準備です。
まず、なぜSFAを導入するのか、その目的を具体的に定義することから始めます。例えば、売上向上、業務効率化、情報共有の促進、顧客満足度向上など、導入によって達成したいことを明確にしましょう。
次に、現状の営業プロセスにおける課題を洗い出します。案件の状況が正確に把握できない、報告業務に時間がかかりすぎている、顧客情報が各所に分散しているなど、SFAツールによって解決したい課題を具体的にリストアップすることが重要です。
これらの目的と課題を踏まえ、ツール導入によってどのような状態を目指すのか、理想のゴールを設定します。可能であれば、具体的な数値目標(KPI)も設定すると、導入効果の測定がしやすくなります。
導入プロジェクトを誰が中心となって進めるかも決定しなくてはなりません。経営層、営業部門、情報システム部門など、関係者を早期に巻き込み、協力体制を構築することが成功の鍵となります。
最後に、初期費用だけでなく、月額や年額のランニングコストも考慮に入れて、必要な予算を確保しましょう。
ステップ2:ツールの選定
準備が整ったら、次は自社に最適なSFAツールを選定するステップに進みます。
まず、ステップ1で明確にした目的や課題解決のために、どのような機能が必要かを洗い出します。この際、絶対に譲れない必須機能(Must)と、あれば便利な機能(Want)に整理すると良いでしょう。多機能すぎても使いこなせない可能性があるため、自社にとっての必要十分な機能を見極めることが大切です。
ツールを比較検討する際には、いくつかの重要なポイントがあります。具体的には、必要な機能が過不足なく搭載されているか、初期費用やランニングコストを含めたトータルコストが予算内に収まるか、営業担当者が日々ストレスなく使える直感的な操作性か、導入支援やトラブル発生時のサポート体制は充実しているか、現在利用している他のシステム(MAツール、会計ソフト、グループウェアなど)と連携できるか、そして顧客情報という機密情報を扱う上でセキュリティ対策は万全か、といった点です。
これらのポイントについて、各ツールのウェブサイト、製品資料、導入事例、第三者によるレビューサイトなどを参考に情報を収集します。候補となるツールを複数リストアップし、比較表を作成すると検討しやすくなります。可能であれば、ベンダーによるデモンストレーションを受けたり、無料トライアルを試したりして、実際の使用感を確かめることが、最適なツール選びに繋がります。
ステップ3:導入と社内展開
最適なツールを選定したら、いよいよ導入と社内展開のステップです。スムーズな移行を実現するためには、まず詳細な導入計画を策定することが不可欠です。これには、いつまでに何を誰が行うのか、具体的なスケジュール、担当者、作業内容を明確に含める必要があります。
次に、実際に利用する機能や管理項目の初期設定を行い、既存の顧客情報や案件データを新しいシステムへ移行します。データ移行作業は時間と手間がかかる場合が多いため、計画的に進め、必要に応じてベンダーのサポートを活用することも検討してください。
本格的な全社導入の前に、一部の部署やチームで試験的に導入するパイロット導入を行うことも有効な手段です。これにより、実際の運用における効果測定や課題の洗い出しができ、全社展開時のリスクを低減できます。
全社展開にあたっては、ツール導入の目的やメリット、具体的な使い方、社内での運用ルールなどを丁寧に説明する社内説明会やトレーニングの機会を設けることが重要です。操作マニュアルの作成や、定期的な勉強会などを実施し、利用者がスムーズにツールを使い始められるようサポートしましょう。
ステップ4:定着化と活用促進
SFA導入の最終段階であり、かつ継続的に取り組むべきなのが、ツールの定着化と活用促進です。SFAは導入することがゴールではなく、継続的に利用され、データが蓄積・活用されて初めて導入効果が発揮されます。定着しなければ、せっかく投資したツールも「宝の持ち腐れ」になってしまいます。
定着化を成功させるためにはいくつかのポイントがあります。まず、経営層や営業マネージャーが率先してツールを利用し、その重要性を示すことが大切です。現場の負担を軽減するため、入力項目を必要最低限に絞ったり、他のツールと連携させたりする工夫も求められます。
また、ツールを活用することで得られた業務時間の削減や成約率の向上といった成果や成功事例を定期的に社内で共有し、利用メリットを実感してもらうことも効果的です。分からないことや困ったことを気軽に質問・相談できる社内サポート体制(担当窓口の設置やFAQの整備など)を整えることも重要です。
さらに、定期的にログイン率やデータ入力率などの利用状況を確認し、活用度が低い部署や担当者がいれば、その原因を探り、個別のフォローアップを行いましょう。
最終的には、ツールに蓄積されたデータを分析し、営業戦略の立案や個々の営業活動の改善に活かす仕組みを作り、データ活用の文化を組織内に醸成していくことを目指します。
営業管理ツールを活用した成功事例

営業管理ツールを活用し、成功した事例を3つ紹介します。
- 事例1:売上データと営業データの連携で営業管理を最適化
- 事例2:個人の目標管理までを可視化しモチベーションを向上
- 事例3:トップセールスのノウハウを継承し新人育成期間を3年から1年に短縮
SFAをはじめとする営業管理ツールの導入を迷われている場合は、参考にしてみてください。
事例1:売上データと営業データの連携で営業管理を最適化
株式会社イシザキは、水道管内の水の逆流を防ぐ逆止弁「スモレンスキ・バルブ」の開発・販売を主として、リフォーム事業も展開する企業です。
かつて同社は、Excelを活用して行動管理や商談管理を行っていました。ところが、お客様の満足度を示す売上データと紐づいていないため、営業活動の効果を把握できずにいたのです。
この状況を打開するためSales Cloudを導入した結果、売上データと営業データを連携できるようになり、売れた理由と売るべき顧客が明確化されたのです。データにもとづく管理ができるようになるとともに、効率化を実現できました。
【関連コンテンツ】
事例2:個人の目標管理までを可視化しモチベーションを向上
ソニービズネットワークスは、「NURO 光」や「NURO Biz」を提供するインターネットソリューション会社です。
同社は、顧客管理をSalesforceで一元化しています。
個人レベルで営業活動の進捗状況や目標達成状況が可視化されることで、管理業務の効率化を実現し、従業員のモチベーションと生産性の向上にもつながったといいます。
【関連コンテンツ】
事例3:トップセールスのノウハウを継承し新人育成期間を3年から1年に短縮
アルミ材料販売問屋の先駆けとして1957年に創業したニッカル商工株式会社は、団塊世代の大量退職を控えた2007年当時、既存社員の営業ノウハウを次世代に引き継げない可能性に危機感を覚えていました。Excelや紙によって顧客管理・商談管理を行っていたことが理由です。
管理方法の改善のためにSales Cloudを導入し、営業改革に踏み切りました。その結果、トップセールスのノウハウをSales Cloudに落とし込むことに成功しました。入社3年目の若手でも、蓄積されたノウハウを活用することで、一人前の営業担当として活動できるようになっています。
これにより、従来はひとり立ちまで3年かかっていた新人教育期間を1年に短縮できました。
【関連コンテンツ】
まとめ:ツールを活用した営業管理で目標を達成しよう

営業マネージャーは、営業部門全体あるいは各担当者が大きな成果を発揮できるよう、以下の項目について管理しなければなりません。
- 目標管理(ギャップ管理)
- 戦略管理
- 市場管理(ターゲット管理)
- 顧客管理(案件管理)
- 商談管理
- 行動管理
- モチベーション管理
- 人材育成管理
ひとつずつ最大限に取り組もうとすると、リソースがいくらあっても足りなくなってしまいます。できるだけ効率的に管理するためにも、管理項目の選定とSFAの導入が重要です。
SFAは営業活動のデータや営業担当者のノウハウを蓄積し、可視化・共有できるツールです。営業マネージャーの複雑な管理業務をサポートできます。
SalesforceではSFAをはじめ、営業管理を効率化できるツールを取りそろえています。お客様のニーズに合った製品をご紹介できますので、お気軽にお問い合わせください。
【営業力強化塾“安易な値引き”と“無駄な失注”をなくす3つの質問】
価格だけに左右されない営業力を身につけるための「3つの質問」をプロが解説
⇒こちらから資料を無料ダウンロードする

Blog
年間売上世界一のセールスが大切にする営業理論とは

Blog
上司、部下との商談管理ミーティングが辛い — そんなあなたに教える、9つの改善方法

Article
営業プロセスとは?成果を上げる基本とフレームワークを理解する
関連記事・リソース

営業に求められる6つのスキルとは?スキルアップのためにできることも紹介

CRM (顧客管理システム) 入門ガイド 決定版
