
Northern Trains社
100万人以上の乗客とつながりを深めるNorthern Trains社
AIと自動化を活用し、作業時間を半分に短縮して生産性を高め、収益を増やしている鉄道会社の事例を紹介します。

AIと自動化を活用し、作業時間を半分に短縮して生産性を高め、収益を増やしている鉄道会社の事例を紹介します。
デジタルチャネルで企業とやり取りしたいと望む顧客は、ますます増えています。しかし、現実世界でのサービス提供が主である企業は、どのようにこれを実現すればよいのでしょうか?英国運輸省の公営企業DOHL(DfT OLR Holdings Limited)の子会社であるNorthern Trains社は、解決策を見つけました。同社はAI、データ、CRMを駆使して、サポートの依頼や最新のサービス情報の提供など、デジタルと実体験を融合する新しい方法を見出しています。
「イングランド北部の活性化に貢献したいと考えています。お客様に寄り添い、運営を最適化して、誰もが快適に鉄道の旅ができるように取り組んでいます」とNorthern Trainsのコマースおよび顧客担当ディレクターのMark Powles氏は言います。
変革の恩恵を受けるのは顧客だけではありません。従業員も効率よく、スマートに働けるようになります。Northern Trainsでは、すでに次のような成果を上げています。
ワークフローを自動化して、一般的なカスタマーサービスにかかる時間を50%削減
鉄道利用に関する指標の分析を簡単にできるようにして、年間4,000時間を節約
120万件の顧客レコードを安全なクラウドプラットフォームで一元管理し、チームに有益なインサイトを提供
Northern TrainsがEinstein 1を活用して顧客体験と業務効率を高めている方法を、詳しく見てみましょう。
“テクノロジーを活用して複雑な手間をなくし、効率性を高めることで、サステナブルな方法でコスト効率よく、多くのお客様を安全に目的地にお連れできます。”
Mark Powles氏
目次
複雑さを排除し、効率性を高め、成長を促進
自動化とインテグレーションを進め、サービスケースのエスカレーションにかかる時間を60%短縮
顧客の全体像がわかる情報でサポート担当者を支援し、オンラインの問い合わせの99%を初回で解決
リアルタイムの更新で、120万件の顧客レコードから豊富なインサイトを入手
パーソナライズされたやり取りで顧客とのつながりを強化
1. 複雑さを排除し、効率性を高め、成長を促進
複雑なものを効率化するのは骨が折れます。そして英国の鉄道業界はとても複雑です。Northern Trainsは、国内にある鉄道会社28社のひとつとして、多くの提携企業と連携しながら、イングランド北部にある500以上の駅に1日2,500本以上の列車を運行しなければなりません。
「鉄道業界の情報は著しく断片化しています。顧客体験一つとっても、80以上のデータセットとシステムが関わります。そしてお客様は、信頼に足る、快適に利用できる鉄道サービスを求めています」と、顧客体験担当責任者であるTracy Barr氏は言います。
約7,000人の従業員を抱えるNorthern Trainsは、Einstein 1を活用して、この鉄道業界の課題に正面から取り組んでいます。駅での業務から顧客体験センターに至るまで、AI、データ、CRMを駆使してワークフローを最適化し、シンプルなやり取りを可能にしてチームを支援しています。
Northern Trainsは、コロナ禍が鉄道移動に及ぼした影響から完全には回復できておらず、コスト管理と成長の促進を優先課題にしています。「信頼性を高め、もっと多くの方に利用してほしいと考えています。毎日何万人もの人々が、職場や旅行先、学校に行くために当社の鉄道を利用しています。Salesforceを使えば、顧客体験とサービスをさらに充実させることができます」とPowles氏は言います。
“Northern Trainsは、限界を突破し、鉄道業界に新たな標準を確立すべく取り組んでいます。”
Keith White氏
2. 自動化とインテグレーションを進め、サービスケースのエスカレーションにかかる時間を60%短縮
顧客は、どのチャネルでもシームレスで手間のかからないサービスを期待しています。Northern Trainsにとって、これは大きな課題です。顧客からの電話やメールだけではなく、駅のエレベーターや券売機など、現場でも迅速な対応が求められます。
顧客の期待に応えるため、Northern Trainsは新しいカスタマーサービスプラットフォームを導入し、顧客体験センターの効率性を高めています。たとえば、Service Cloudの自動ワークフローを利用して、これまで社外パートナーへのケース引き継ぎにかかっていた時間を約4分から90秒未満に減らし、約60%短縮しています。また、サポート担当者が手入力していたメールの情報を自動的に記録し、乗客の返金リクエストの登録にかかる時間も半分に短縮しています。ほかにも、さまざまな効率化が見込まれています。
今後、カスタマーサービスソリューションを国の鉄道情報システムと連携させれば、必要に応じて、一意の鉄道サービスコードを顧客からの問い合わせに自動的に追加できるようになります。これにより、サポート担当者の対応時間をケース1件あたり約2分短縮できます。フルタイムのサポート担当者約4人分の時間が削減され、そのリソースを他のサポートチャネルに充てることが可能になります。
50人以上の担当者からなるNorthern Trainsのサポートチームは、年間約50万件の問い合わせに対応しており、今でも多くが電話で行われています。コストを抑えながら迅速に対応するために、Northern Trainsはデジタルチャネルを活用したいと考えています。すでに有人チャットとEinsteinボットを導入して、よくある質問には自動で回答しています。
同社はすでに問い合わせの約3分の1をデジタル上のセルフサービスで受けていますが、いずれ60%を超えるようになると予想しています。また、Einstein 1 Service(英語)の新機能を使って、最適なアクションやケースごとのナレッジ記事を提案し、サポート担当者を支援する予定です。
60%
ケースの引き継ぎ時間を短縮*
2分
問い合わせ1件あたりで短縮された
サポート担当者の時間
4人分
他の業務に充てられる
フルタイムのサポート担当者の時間
“どなたでも簡単に使える、効率的なチャネルでお客様とつながりたいと考えています。”
John Smith氏
3. 顧客の全体像がわかる情報でサポート担当者を支援し、オンラインの問い合わせの99%を初回で解決
顧客はただ早いだけではなく、パーソナライズされた応答を求めています。それには、サポートケース固有の情報に加え、全体像も把握する必要があります。Northern TrainsはService Cloudを活用して、切符の購入情報やよく利用する路線、マーケティングプロモーション、サービス関連のやり取りなど、包括的な顧客情報をサポート担当者に提供しています。
「顧客価値とロイヤルティを認識できるようになりました」とカスタマーオペレーション担当マネージャーのJohn Smith氏は言います。たとえば、問い合わせてきた乗客が定期券を持っているかどうかを調べるなどして、その乗客の状況に応じて解決策を提案できます。
サポート担当者を支援するには、的確な情報を適切なタイミングで取得し、共有しなければなりません。Northern Trainsは、Webサイトに動的な入力フォームを導入して、サポート担当者が顧客に追加情報を尋ねなくてもいいようにしています。その結果、Webから登録されたケースの99%を初回で解決できています。
新しいカスタマーサービスツールで、サポート担当者のオンボーディングも簡単になり、数週間かかっていたトレーニングが今では数日で完了可能に。顧客体験チームのリーダーは、このツールで担当者のパフォーマンスを把握し、足りないスキルや効率の改善点を容易に特定できます。また、カスタマーサービスの記録が一元化されたことで、ケースの件数、エンゲージメントのトレンド、リソースの要件について、正確なインサイトをすぐに入手できます。
99%
Webフォームから登録されたケースの初回解決率
“サポート担当者ができるだけ簡単に、直感的に業務を進められれば、お客様対応にもっと時間をかけられます。”
Tracy Barr氏
4. リアルタイムの更新で、120万件の顧客レコードから豊富なインサイトを入手
顧客にデジタルチャネルを利用してもらうことで、顧客のことをより深く理解できます。Northern Trainsは、いまだ顧客の約90%が匿名であることから、Salesforceを活用してこの状況を変えようとしています。そこで120万件の顧客レコードをData Cloudに移行し、リアルタイムで更新しています。たとえば、デジタルチャネルで購入された切符の情報は、すべてData Cloudに記録されます。「ばらばらなデータも、連携させればとてつもない力を発揮します。今では、正確な顧客情報をタイミングよく最適なチームと共有できるようになりました」と、デジタルエクスペリエンス担当責任者のKeith White氏は述べています。
プラットフォームの導入と同時に、新しいデータモデルも構築するという難しいプロジェクトでしたが、Northern TrainsはSalesforceプロフェッショナルサービスの支援を得て、わずか5か月でData Cloudを導入しました。
また、乗客のデータを最大限に活用するために、Tableauを利用。さまざまなダッシュボードを作成して、既存顧客の理解と新規顧客の獲得に役立てようとしています。たとえば、個々の顧客生涯価値を可視化するダッシュボードを作成し、収益の拡大と乗客の満足度向上を促進しています。
さらに、TableauのAI機能で、運営と営利活動に関する豊富なインサイトも入手しています。複数のスプレッドシートで管理していた鉄道の運行状況と収益のデータを1か所に集約して視覚化し、年間で4,000時間以上を削減。路線内の乗客数と移動を詳細に把握して、この情報をもとに運賃や列車の運行を調整することが可能になりました。
120万件
リアルタイムで更新される顧客レコードの数
4,000時間
アナリティクスツールで1年間に削減した作業時間
5. パーソナライズされたやり取りで顧客とのつながりを強化
豊富な顧客データを活用すれば、マーケティングのプロモーションからサービスの最新情報までパーソナライズできます。Northern Trainsは、すでにMarketing Cloudを使って、乗客の移動履歴にもとづいて効果的なキャンペーンを実施しています。
新しい顧客データプラットフォーム(Data Cloud)は、パーソナライズの重要な基盤になっています。Northern Trainsはこのプラットフォームを活用して、顧客の同意を得たものとしては英国鉄道業界で最大規模のデータベースを構築し、さまざまな乗客のニーズと移動履歴を反映した詳細なペルソナを作成しています。このデータベースからは、たとえば、学生が乗客の約10%を占め、利用の動機は経済的であるからといったことがわかります。
「乗客のセグメントを簡単に作成し、的を絞って効果的に情報を発信できるようになりました」と、Northern Trainsで営業とマーケティングを統括するClaire Rowland氏は言います。現在、同社は保守点検で駅を閉鎖する際に、乗車券の購入履歴を調べて影響を受ける乗客を特定できます。
また、自動化されたジャーニーを使って、定期券の更新など、重要なタイミングで顧客にパーソナライズされたメールを送信しています。今後、さらにパーソナライズを進めていけば、マーケティングチームがMarketing CloudでキャンペーンのROIを測定し、費用投入の優先順位を付けられるようになるでしょう。
Northern TrainsはSales Cloudも活用して、従業員向けに大量の定期券を購入する企業などのB2Bの顧客との関係も強化しています。
“最も効果のあるチャネルとコミュニケーション方法を把握すれば、マーケティングのROIを改善できます。”
Claire Rowland氏
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